ドライプロセスによる表面処理・薄膜形成の応用

ドライプロセスによる表面処理・薄膜形成の応用

「ドライプロセスによる表面処理・薄膜形成の基礎」の応用編。研究現場や製造現場で的確にドライプロセスが実施できるよう工夫し解説。

ジャンル
発行年月日
2016/12/28
判型
A5
ページ数
318ページ
ISBN
978-4-339-04650-2
ドライプロセスによる表面処理・薄膜形成の応用
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定価

5,060(本体4,600円+税)

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「ドライプロセスによる表面処理・薄膜形成の基礎」の応用編。第Ⅰ編「ドライプロセスの基盤技術」および第Ⅱ編「ドライプロセスの応用」から構成され,研究現場や製造現場で的確にドライプロセスが実施できるよう工夫し解説した。

21世紀を迎え,技術と社会のありようが変わりつつあります。技術について見ますと,省資源・省エネルギー型技術,太陽光など自然エネルギー利用技術,環境調和型技術,安心・安全技術などの開発に対する期待は日本のみならず,世界的なレベルで高まっております。このような技術を実現する要素部品として機械部品,電子部品,光学部品などがあり,ドライプロセスはこれら部品の高性能化,高機能化,軽量化などを図る重要なプロセス技術として活用・発展を遂げてきました。

表面技術協会材料機能ドライプロセス部会は,昭和58~61年にかけて組織されたイオンプレーティングおよびスパッタリング関連の研究分科会をルーツに持ちます。昭和62年に,この二つの研究分科会は,ドライプロセス関連の研究専門部会としてまとまり,その後,専門部会・技術部会と名称は変遷しましたが,ドライプロセス技術の啓蒙および情報交換の場として着実に継続され,平成10年より現在の名称となりました。ドライプロセスによる材料機能の創製を目標に,ドライプロセスを基盤とする表面技術の発展を支えるための活動を続けています。

本部会では,これからの発展が望まれている前述の産業分野において,ドライプロセスが必要欠くべからざる貢献を果たし,その成果が迅速かつ有効に浸透するには,若手研究者・技術者の育成および製造現場で活用できる最新の教科書が必要であると考えました。そこで,当該分野で指導的な役割を果たしてこられた明石和夫 東京大学名誉教授を委員長とする編集委員会を立ち上げ,「ドライプロセスによる表面処理・薄膜形成の基礎」を刊行しました。同書は,2013年に出版され好評を博しています。応用編に対する要望も高く,部会では編集委員会を再度組織し,基礎編同様,ドライプロセス分野でリーダーとして活躍しておられる産学官の先生方にご執筆をお願いしました。

今回刊行する応用編は,第Ⅰ編「ドライプロセスの基盤技術」および第Ⅱ編「ドライプロセスの応用」から構成され,研究現場や製造現場で基礎技術をベースに的確にドライプロセスが実施できるよう,工夫をしております。

以下に本書の内容を簡単にまとめます。1章ではドライプロセス反応場を作り出す真空技術を解説しました。2章では反応場に原料気体を制御・導入する技術について説明をしました。3章では薄膜成長時の膜厚を水晶振動子センサーでその場で計測する手法について解説しました。4章では各種光学薄膜の作製技術について説明しました。高性能反射防止膜,反射膜,フィルターなどの形成に活用されています。5章では航空・宇宙・真空機器で使用される機械部品用固体潤滑膜,および電子デバイスや切削工具保護用硬質膜などの作製とその特徴について概説しました。

6章ではPVDにより,Ti,Al,Si,Crなどを原料に用いて窒化膜,炭化膜を形成する技術および膜の特徴について解説しました。省エネルギー型部材への活用が期待されます。7章では溶射技術の特徴および作製した遮熱皮膜,防食皮膜,耐摩耗皮膜の性能について概説しました。遮熱皮膜は航空機エンジン,発電用タービンに,防食皮膜は橋梁に活用されています。8章ではプラスチックフィルムおよびボトルにガスバリア膜を形成する手法である酸化ケイ素を原料に用いるプラズマ蒸着法およびプラズマCVDについて概説しました。食品,医薬品,飲料のみならず,太陽電池などへも利用されつつあります。9章では固体表面の親水性およびはっ水性を支配する化学的因子および物理的因子について解説しました。印刷,自動車,医療のみならず,エレクトロニクス,エネルギー分野でも活用が広がっています。10章では有機材料の表面改質および無機材料薄膜との複合化を可能にするプラズマプロセスの基礎について概説しました。フレキシブルデバイスへの応用が期待できます。11章ではダイヤモンド薄膜,ダイヤモンドライクカーボン,ナノカーボン,グラフェンおよび窒化炭素膜の作製手法について概説しました。切削工具のみならず,電子デバイスへの応用が期待できます。12章では高周波プラズマ溶射を用いてチタン基材上に生体適合性セラミックを傾斜組成的に形成する手法とその特徴について概説しました。骨粗しょう症が顕著な高齢者の方に有効な人工股関節部材として活用できる可能性があります。また,超高電子密度大気圧プラズマにより生成したプラズマ活性溶液は手術が困難な卵巣がんや胃がんの治療に有効であることを紹介しました。プラズマ活性溶液はさまざまな疾患にも応用できます。

今回の応用編を次世代ものづくり産業の創製・発展に役立てていただければ幸いです。

最後に,本書の刊行にあたり,コロナ社の方々には大変お世話になりました。編集委員会ならびに執筆者一同に代わって御礼申し上げます。

2016年10月 材料機能ドライプロセス部会 代表幹事 亀山哲也

第Ⅰ編 ドライプロセスの基盤技術
1. 真空技術
1.1 ドライプロセスの中の真空技術
1.2 絶対圧とゲージ圧
1.3 真空下での気体の挙動
1.4 プロセス容器の真空排気特性
1.5 ドライプロセスにおける真空の必要性
1.6 大気成分の化学的影響を排除する(1)清浄表面の確保
1.7 大気成分の化学的影響を排除する(2)膜中不純物の管理
1.8 平均自由行程を確保する
1.9 真空を作る:真空ポンプ
1.10 真空を測る:真空計

2. ガス制御
2.1 ドライプロセスに必要なガス制御技術
2.2 バルブの構造と取付け方向
2.3 減圧弁
2.4 気体の流量制御
2.5 液体原料の気化供給系

3. プロセスモニター
3.1 膜厚モニター
3.2 ガス分析
 3.2.1 質量分析法および装置の概略
 3.2.2 イオン化法と質量分析法の種類
 3.2.3 四重極型質量分析法の特徴
 3.2.4 四重極型質量分析による測定結果の例
3.3 プローブ計測
 3.3.1 ラングミュアプローブ
 3.3.2 マイクロ波領域の共振を利用したプローブ
3.4 プラズマ発光分光法によるプロセス診断
 3.4.1 プラズマ発光分光法の概要
 3.4.2 プラズマ発光分光に必要な装置
 3.4.3 プラズマ発光分光によるプロセスモニタリング例
 3.4.4 プラズマ発光スペクトルの解釈

第Ⅱ編 ドライプロセスの応用
4. 光学薄膜
4.1 真空蒸着と光学薄膜
4.2 光学薄膜の原理
4.3 光学薄膜の種類
 4.3.1 反射防止膜
 4.3.2 反射膜
 4.3.3 フィルター,ミラー
4.4 光学薄膜の作製技術
 4.4.1 真空蒸着
 4.4.2 光学薄膜の特徴と作製技術の発展

5. トライボロジー薄膜
5.1 機械部品への応用に適したトライボコーティング
 5.1.1 摩擦のメカニズム
 5.1.2 固体潤滑トライボコーティングの機能と特徴
 5.1.3 硬質トライボコーティングの機能と特徴
 5.1.4 ナノコンポジット系トライボコーティングの機能と特徴
5.2 薄膜のナノトライボロジー
 5.2.1 薄膜と評価
 5.2.2 極薄膜のトライボロジー応用
 5.2.3 走査型プローブ顕微鏡(SPM)のナノトライボロジー評価への応用

6. 表面硬化処理
6.1 ラジカル窒化と複合硬化処理
 6.1.1 ラジカル窒化
 6.1.2 複合硬化処理:ラジカル窒化+PVDコーティング
 6.1.3 複合表面処理の応用例
6.2 PVD,CVD
 6.2.1 PVD
 6.2.2 CVD

7. 耐環境性皮膜
7.1 溶射プロセスによる耐環境性皮膜の特徴
7.2 溶射プロセスの概要
7.3 遮熱皮膜
7.4 防食・耐食皮膜
7.5 耐摩耗皮膜

8. ガスバリア膜
8.1 ガスバリア
8.2 ガスバリア評価技術
 8.2.1 クローメトリック法
 8.2.2 カップ法
8.3 シート系バリア成膜技術
 8.3.1 概要
 8.3.2 ロールtoロールプラズマアシスト蒸着装置
 8.3.3 プラズマCVD装置
8.4 ボトル系バリア成膜技術
 8.4.1 概要
 8.4.2 PETボトル内面コーティング装置

9. 親水性とはっ水性
9.1 親水性・はっ水性とその応用分野
9.2 化学的にみた親水性とはっ水性
 9.2.1 親水・はっ水の原理
 9.2.2 凝集力と界面エネルギー
 9.2.3 固体の表面張力(表面エネルギー)
 9.2.4 親水・はっ水現象─水滴の接触角と表面エネルギー
 9.2.5 臨界表面張力と親水性・はっ水性
9.3 表面の物理的構造制御による超親水化・超はっ水化
 9.3.1 ウェンゼルの表面
 9.3.2 カッシー-バクスターの表面
 9.3.3 超親水表面と超はっ水表面

10. 高分子材料の表面処理
10.1 プラズマ
 10.1.1 プラズマ処理の特徴
 10.1.2 プロセスダメージを低減可能なプラズマの生成と制御
 10.1.3 プラズマとソフトマテリアルとの相互作用
 10.1.4 プラズマを用いたソフトマテリアル表面処理の展望
10.2 光による高分子表面処理
 10.2.1 光による高分子表面処理
 10.2.2 真空紫外光による分子励起と共有結合の解離
 10.2.3 シクロオレフィンポリマーの酸素増感VUV表面改質
 10.2.4 VUV表面処理の応用例
 10.2.5 光プロセスの特徴

11. 炭素系薄膜
11.1 ダイヤモンド薄膜
 11.1.1 工業用ダイヤモンド
 11.1.2 ダイヤモンドの物性と応用
 11.1.3 合成の歴史
 11.1.4 気相合成法
 11.1.5 気相合成の反応機構
 11.1.6 ダイヤモンド薄膜の今後の課題
11.2 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)
 11.2.1 ダイヤモンドライクカーボンとその作製方法
 11.2.2 物理的・化学的特性
 11.2.3 機械的特性
11.3 窒化炭素薄膜
 11.3.1 窒化炭素とは
 11.3.2 窒化炭素の合成
 11.3.3 マイクロ波プラズマCVDによる窒化炭素の合成
 11.3.4 窒化炭素の電界電子放出特性
 11.3.5 窒化炭素のトライボロジー特性
 11.3.6 窒化炭素の今後の展望
11.4 ナノカーボン
 11.4.1 カーボンナノチューブ
 11.4.2 グラフェン

12. ドライプロセスと医療
12.1 ドライプロセスによる人工股関節部材の高機能化
 12.1.1 部材界面・表面の高機能化による高度生体親和性付与技術の開発
 12.1.2 骨質改善用治療薬の活用技術の開発
 12.1.3 形態・力学適合関節部材の開発
12.2 ドライプロセスと医療
 12.2.1 大気圧プラズマの医療応用への展開
 12.2.2 大気圧プラズマによるがん治療の歴史
 12.2.3 プラズマ活性溶液によるがん治療
 12.2.4 プラズマと細胞との相互作用
 12.2.5 プラズマがん治療の作用機序

引用・参考文献
索引

関口 敦(セキグチ アツシ)

杉村 博之(スギムラ ヒロユキ)

井上 泰志(イノウエ ヤスシ)

大工原 茂樹(ダイクハラ シゲキ)

渡部 修一(ワタナベ シュウイチ)

梅村 茂(ウメムラ シゲル)

坂本 幸弘(サカモト ユキヒロ)

川名 淳雄(カワナ アツオ)

黒田 聖治(クロダ セイジ)

尾形 聡(オガタ サトシ)

光田 好孝(ミツダ ヨシタカ)

馬場 恒明(ババ コウメイ)

國次 真輔(クニツグ シンスケ)

三浦 健一(ミウラ ケンイチ)

田中 一平(タナカ イッペイ)

石原 正統(イシハラ マサトウ)

亀山 哲也(カメヤマ テツヤ)

稲垣 雅彦(イナガキ マサヒコ)

堀 勝(ホリ マサル)

日刊工業新聞2017年3月28日 「技術科学図書」欄

掲載日:2020/03/16

第58回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム講演要旨集広告