分子の薄膜化技術 - 有機EL,有機トランジスタ,有機太陽電池などの有機薄膜デバイス作製技術に向けて -

分子の薄膜化技術 - 有機EL,有機トランジスタ,有機太陽電池などの有機薄膜デバイス作製技術に向けて -

金属や無機物と多くの点で本質的に異なる有機分子の薄膜作製法について記述。

ジャンル
発行年月日
2020/12/03
判型
A5
ページ数
288ページ
ISBN
978-4-339-00938-5
分子の薄膜化技術 - 有機EL,有機トランジスタ,有機太陽電池などの有機薄膜デバイス作製技術に向けて -
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スマートフォンや大型ディスプレイに搭載されている有機ELは、1980年代から世界中で熾烈な研究開発が行われてきましたが、カーナビ用の小型パネルや携帯電話のサブディスプレイとして世界に先駆けて日本で製品化されました。一方、これらの基礎となる「有機半導体」の概念を1950年代に研究の俎上に挙げたのは井口洋夫先生たちであり、1970年代から始まる電荷移動型錯体や導電性高分子等の有機金属の研究をリードしてきたのも日本の研究者です。今まさに先人の努力が、一般の方々も使えるエレクトロニクス・デバイスとして実用化が進んできています。このように、応用・実用化が進んでいるときこそ、初心に帰り、有機分子の持つ特徴的な構造、異方的な凝集機構およびその制御法について理解することが必要と考えます。
本書は、薄膜構造・物性および作製法において、既存の成書では多くは語られてこなかった光電子機能有機分子を取り上げ、金属や無機薄膜とは異なる特徴を有する分子薄膜の作製・評価技術に特化したものです。
本書の構成と内容は以下の通りです。
第1章 有機薄膜概論:有機分子の「形」と「分子間に働く力」の異方性に着目し、薄膜構造・凝集機構における分子配向・配列の概念の紹介
第2章 有機結晶学入門:結晶学の観点から有機結晶の特徴、特に、分子配向・配列構造の紹介
第3章 有機薄膜成長の基礎:一般の薄膜成長における原子(点)ではなく、特異な構造を有する有機分子の表面拡散・凝集・核発生・薄膜成長などの機構につき、現象論と確率論に基づく議論および非晶質(アモルファス)膜の成長機構の紹介
第4章 エピタキシャル成長:無機結晶表面での有機分子の異方的な配向・配列による成長機構の説明
第5章 有機薄膜各論:棒状(アルカン)・平板状(フタロシアニン)・球状(フラーレン)等の分子形状に着目した有機薄膜の構造と凝集機構の説明
第6章 有機薄膜の作製法:湿式(ウェット)と乾式(ドライ)作製法の紹介。特に、水面上の単分子膜とその積層によるラングミュア・ブロジェット(LB)法、インクジェット法やマイクロコンタクト法などの印刷法、そして、有機分子ならではの蒸着重合法や間圧転写法などのユニークな手法も紹介
第7章 有機薄膜の構造・分子配向の観測法:電子線やX線を用いた構造・物性評価、各種顕微・分光法による分子配向の評価法、原子間力顕微鏡による分子構造および分子配列の観察法、そして表面潤滑・摩擦(トライボロジー)および熱(蒸気圧)や接触角などの手法の紹介
また、途中で「アモルファス中の分子配向」、「計算機シミュレーション」、「その場観察」についてのコーヒーブレイクを挿入
本書は、応用物理、材料科学、化学・高分子、電気電子、などの大学生や大学院生、企業におけるエレクトロニクス関連の材料・デバイスの研究に携わる方々の入門書(自己学習用教材)として企画・執筆しています。関係する文献もできる限りのものを引用させていただいています。10年後の日本の、そして世界の科学技術を支え、ポストコロナを生き抜く新しい産業のために貢献できればと思っています。

昨今,有機ELテレビや有機太陽電池などの有機薄膜デバイスを銘打った製品が市場に出まわってきている。1980年代に始まるその研究開発においては,日本の研究者・技術者が世界的にもリードし,かつ世界初の製品化も日本企業が担ってきた。しかし,ここ10数年の日本産業の構造変化により,その生産拠点がアジア,特に韓国や台湾および中国に移っている。いわゆる大画面テレビやパソコン,携帯電話などの電子機器は,日本製ではなくなってきている。

一方,電子機器の主体であるシリコンに代表される無機系の半導体材料・薄膜デバイスは,第二次世界大戦後の日本の復興を支えてきたことも事実である。その背景には,固体物理や材料科学,電子工学に関し,大学・大学院での基礎から応用までの教育,あるいは民間企業における基礎研究所での探索研究から事業部での開発研究において,物理や電子技術から微細加工プロセスについて人材育成を含めて精力的に行われてきた。

産業を支える教育や人材育成に不可欠なものは,それを学問とするための理論体系であり,そのための教科書であることはいうまでもない。これまでに有機薄膜デバイスに関する総合的な成書が出版されているが,それらの多くは薄膜の作製技術や構造よりも物性や機能を重視したものであり,ハンドブック的な活用を念頭に置いたさまざまな有機物質の物性に関する情報の寄せ集めの域を出ていない。一方,金属や無機物に関しては,このような物性や機能に加え作製技術,特に真空蒸着やプラズマ利用製膜技術,フォトリソグラフィなどの微細加工技術を中心とした薄膜形成過程に関する教科書が古くから出版されており,実用的のみならず教育的な配慮もなされている。これに対して有機分子の薄膜構造と形成過程については,金属や無機物と多くの点で本質的に異なっているにもかかわらず,まとまった教科書が出版されておらず,教育や研究,さらには実用化に向けた障害になっていることは否めない。強いてあげるとすれば,「真空中で分子を並べる―有機蒸着膜―」(稲岡紀子生,八瀬清志)(共立出版,1989)という先駆的な書籍が出版されてはいるものの,その後の有機ELや有機トランジスタへの展開に関して触れられておらず,すでに絶版となっていることもあり,当該分野の研究者から新たな教科書を求める声が高まっている。また,有機薄膜デバイスの高性能化においては,配向・配列制御が必須であるにもかかわらず,その指針も明らかではないのが実情であり,この点について理論と実験の観点から記述されているものは国内外とも見当たらない。

本書は,2004年ごろから応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会(M&BE)に所属する新進気鋭の若手研究者を中心に,上述の「分子薄膜技術」に関する製本を上程しようと議論してきた結果である。その当時は,ポスドク,助教であった者が,いまや大学などの研究・教育機関において指導的立場に変わってきている(出版の遅れは,いつに私の責任である)。

各人が得意とする薄膜作製法およびその素過程と成長機構の分子形状依存性,各種有機薄膜デバイスの応用について5~20ページの記述を行い,全体でストーリー性をもたせるようにした。そのため,大学の理工学系学部における専門の講義,および大学院のゼミのための資料,そして企業で当該分野に新たに参入した研究者の参考書として活用できるものと思う。かつ,本書の対象としている分野は日本が高いポテンシャルを示していることから,21世紀の日本の産業のさらなる発展の起点となることを祈念する。当該分野は進展が早く,新たな原理やデバイス応用が生まれる可能性が高い。そのため,読者からの忌憚のないご意見を賜れれば幸甚である。

2020年10月
八瀬清志

1.有機薄膜概論
1.1 有機分子の構造
1.2 分子の間に働く力
1.3 有機薄膜デバイス
引用・参考文献

2.有機結晶学入門
2.1 有機結晶
2.2 高分子結晶
2.3 液晶
引用・参考文献

3.有機薄膜成長の基礎
3.1 有機薄膜の形成過程
3.2 薄膜成長素過程
3.3 現象論的な取扱いと確率論的な取扱い
 3.3.1 2種類の取扱い
 3.3.2 連続体モデル
 3.3.3 現象論的な取扱い
 3.3.4 確率論的な取扱い
3.4 分子の異方性が及ぼす影響
 3.4.1 原子・分子の形状と異方性
 3.4.2 分子の異方性・配向とクラスターの形状
 3.4.3 現象論的な取扱い
 3.4.4 確率論的な取扱い
3.5 非晶質薄膜の成長機構
 3.5.1 等方的な薄膜形成
 3.5.2 異方的な薄膜形成
 コーヒーブレイク アモルファス薄膜中の分子配向
引用・参考文献

4.エピタキシャル成長
4.1 エピタキシーとは
 4.1.1 エピタキシー
 4.1.2 ミスフィット
 4.1.3 分子-基板間相互作用とエピタキシーの種類
4.2 界面相互作用のモデル
 4.2.1 1次元界面モデル
 4.2.2 2次元界面モデル
4.3 格子整合とミスフィット
 4.3.1 有機エピタキシーにおける格子整合性
 4.3.2 有機エピタキシーにおけるミスフィット
 4.3.3 有機エピタキシーにおける分子の異方性の影響
4.4 さまざまなエピタキシー現象
 4.4.1 エピタキシーにおける基板表面粗さの影響
 4.4.2 グラフォエピタキシー
 4.4.3 分子と基板が強い結合を作る場合のエピタキシー
 コーヒーブレイク コンピューターシミュレーション
引用・参考文献

5.有機薄膜各論
5.1 分子形状による分類
5.2 1次元鎖状分子
 5.2.1 長鎖n-アルカン
 5.2.2 長鎖パーフルオロ-n-アルカン
 5.2.3 フッ化ビニリデン(VDF)オリゴマー
 5.2.4 直鎖有機シラン
5.3 平面状分子
 5.3.1 フタロシアニン
 5.3.2 その他の平面状分子
5.4 球状分子(フラーレン)
5.5 複雑形状をもつ分子の薄膜結晶成長
引用・参考文献

6.有機薄膜の作製法
6.1 さまざまな作製法
6.2 ウェットプロセス
 6.2.1 スピンコート法およびバーコート法
 6.2.2 電解重合法
 6.2.3 ラングミュア-ブロジェット(LB)法
 6.2.4 化学吸着法および自己組織化法
 6.2.5 交互吸着法
 6.2.6 印刷法
6.3 ドライプロセス
 6.3.1 真空蒸着法・分子線蒸着法
 6.3.2 蒸着重合
 6.3.3 摩擦転写法
 6.3.4 スプレー法
 6.3.5 その他
6.4 薄膜処理法
 6.4.1 ラビング法(機械的処理)
 6.4.2 ポーリング法(電気的処理)
 6.4.3 ソルベントアニール法(溶媒処理)
引用・参考文献

7.有機薄膜の構造・分子配向の観測法
7.1 電子顕微鏡
 7.1.1 電子線エネルギー損失分光
 7.1.2 EELSパターンの検出法
 7.1.3 電子分光結像法
7.2 電子線回折
7.3 電子分光
 7.3.1 エネルギー準位測定の手法
 7.3.2 電気化学的方法
 7.3.3 光電子放出電流分光(PYS)法
 7.3.4 光電子分光
 7.3.5 逆光電子分光
 7.3.6 高分解能電子エネルギー損失分光
7.4 X線回折
7.5 光学顕微鏡
7.6 分光的手法
 7.6.1 電磁波と分子の相互作用
 7.6.2 赤外分光法
 7.6.3 赤外吸収スペクトルの実際の測定
 7.6.4 ラマン分光法
 7.6.5 表面プラズモン共鳴
 7.6.6 強い電場と非線形分極
 7.6.7 和周波発生(SFG)分光法
 7.6.8 第2次高調波発生(SHG)分光法
 7.6.9 エリプソメトリー法
 7.6.10 偏光蛍光法
7.7 原子間力顕微鏡
 7.7.1 原子間力顕微鏡の原理
 7.7.2 AFMによる有機結晶の構造解析
7.8 機械的手法(トライボロジー)
7.9 その他の手法
 7.9.1 蒸気圧測定
 7.9.2 昇温脱離法
 7.9.3 接触角
 コーヒーブレイク その場観察
引用・参考文献

索引

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八瀬 清志

八瀬 清志(ヤセ キヨシ)

1954年12月8日生まれ。
1978年 大阪大学理学部高分子学科 卒業、1980年 大学院無機及び物理化学専攻 博士前期課程 修了、1983年 京都大学大学院理学研究科結晶化学専攻 博士後期課程 単位取得退学、1984年 広島大学生物生産学部・助手、1989年11月より1991年2月までマックスプランク高分子研究所(西独)に留学、1991年 助教授、1992年 通商産業省 工業技術院 繊維高分子材料研究所・主任研究員、1993年 同 物質工学工業技術研究所・主任研究員、室長を経て、2001年 独立行政法人 産業技術総合研究所 光技術研究部門・副研究部門長、2010年 ナノシステム研究部門・研究部門長、2013年 計測・計量標準分野・副研究統括、2015年 定年退職、招聘研究員を経て、現在、先端素材高速開発技術研究組合 専務理事補佐。

この間、東北大学多元物質科学研究所 客員教授、筑波大学 客員研究員、金沢工業大学 客員教授、琉球大学工学部・北海道大学電子科学研究所・山口大学大学院理工学研究科・東京工業大学大学院工学研究科・大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センターなどの非常勤講師を務め、若手の育成に協力。

また、学協会活動としては、応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会(M&BE) 庶務担当常任幹事・副幹事長・幹事長(1985-2003年)、日本電子顕微鏡学会 常任理事(1999-2000年)、日本学術振興会 R025先進薄膜界面機能創成委員会(旧 薄膜第131委員会)企画委員(1986年- )、社団法人 電子情報技術産業協会 電子材料・デバイス技術委員会 幹事(2002-2003年)、財団法人 光産業技術振興協会 特許委員会 委員長(2003-2008年)、財団法人 化学技術戦略推進機構、交流連携推進委員会(情報・電子分科会) 顧問(2004-2005年)、高分子学会印刷・情報記録・表示研究会 運営委員長(2006-2007年)を務め、当該分野の社会普及に貢献。

研究開発においては、一貫して有機薄膜と作製、構造評価および物性制御に関し、応用物理学会M&BEの発足当時から研究発信と運営。また、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の評価委員、独立行政法人 科学技術振興機構(JST)の専門委員、アドバイザーを務めるとともに、2016-2019年度の超フレキシブルディスプレイ部材開発プロジェクト(マイクロコンタクトプリント技術) リーダー、2016-2021年度の超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト 事務局として、産学官共同研究に貢献。一方、1989年から毎年開催されている光電子機能有機材料に関する日韓ジョインとフォーラム(KJF-ICOMEP)(日本側代表:2000-2014年)の運営および2011年より国際ナノテクノロジー総合展・技術会議の実行委員を務め、国際交流にも貢献。

石田 謙司

石田 謙司(イシダ ケンジ)

1969年3月8日生まれ
1987年3月 福岡県立田川高校 卒業、1991年3月 山口大学 理学部 物理学科 卒業、 1993年3月 九州大学 工学研究科 博士課程前期課程 応用物理学専攻 修了、1993年4月〜1995年12月 日本学術研究会 特別研究員DC1(九州大学)、1995年12月 九州大学 工学研究科 博士課程後期課程 応用物理学専攻 (短縮)修了、 1995年12月 博士(工学)取得、 1995年12月〜1998年4月 日本学術振興会 特別研究員PD(京都大学)、 1998年5月~2001年12月 京都大学 工学研究科 電子物性工学専攻 助手、2000年10月〜2003年9月 科学技術振興事業団さきがけ研究21 研究員(兼任)、2002年1月〜2006年11月 京都大学 工学研究科 電子物性工学 講師、 2006年12月〜2014年4月 神戸大学 工学研究科 応用化学専攻 准教授、 2013年〜 大学発ベンチャー「センサーズアンドワークス」社外取締役(兼業)。2014年5月〜 神戸大学 工学研究科 応用化学専攻 教授。2015年4月〜2018年3月 神戸大学先端膜工学センター副センター長。 (現在に至る)
 主な研究領域は、物質物理化学、有機強誘電体、有機薄膜の結晶成長と構造・配向特性。

石田 敬雄

石田 敬雄(イシダ タカオ)

1966年10月11日生まれ。
1989年3月 大阪大学基礎工学部合成化学科卒業,1991年3月 大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期(修士)課程化学系専攻修了,1991年4月~1991年12月 株式会社 東芝ULSI研究所勤務,1995年4月 大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程化学系専攻修了 博士(工学)(大阪大学),1995年4月~1996年3月 理化学研究所 国際フロンティア研究システムフロンティア研究員,1996年4月~2000年3月 工業技術院 アトムテクノロジー研究体(産業技術融合領域研究所)リサーチサイエンティスト,1998年12月(2001年9月まで) 科学技術振興事業団さきがけ21研究員,2000年4月 工業技術院 機械技術研究所 極限技術部量子技術研究室 研究員,2001年4月より組織再編により産業技術総合研究所 研究員,2010年10月 産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 研究グループ長,2018年4月~2020年3月 産業技術総合研究所イノベーション推進本部 総括企画主幹(兼) 地域連携企画室長,2020年4月 産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター 総括研究主幹,現在に至る

この間九州大学先導物質科学研究所客員教授や東大,東工大などの非常勤講師も行った。また,学協会活動としては,応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会(M&BE)庶務担当常任幹事(2001-2003年),応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会(M&BE)プログラム委員(2003-2005年)表面科学誌編集委員,表面科学電子ジャーナル編集委員,ICOT2016(有機複合熱電変換に関する国際会議)組織委員 ICFPE2016プログラム委員等 有機薄膜,分子エレクトロニクス,有機材料の熱電変換に関連する学会活動を行ってきた。

研究活動としては,有機分子の自己組織化について分子エレクトロニクス,ナノトライボロジー関連の研究に従事してきた。特に単一分子の機械動作のSTMでの直接観察や分子の長距離電子移動能への計測,自己組織化膜の低摩擦表面創生への活用などの成果を上げた。各種研究プロジェクトにも参加し,NEDO異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト(BEANSプロジェクト),未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発(TherMAT)等に参加した。特にTherMATプロジェクトではテーマリーダーとして有機材料の熱電変換でモジュール試作や熱電計測装置の開発などの成果を上げた。現在はその知見を活かして有機材料や新規無機材料による熱電変換研究に従事している。

久保野 敦史

久保野 敦史(クボノ アツシ)

1963年5月28日生まれ。
1987年 東京工業大学工学部有機材料工学科 卒業、1989年 東京工業大学理工学研究科有機材料工学専攻修士課程 修了、1991年 東京工業大学理工学研究科有機材料工学専攻博士後期課程 中退、1991年 東京工業大学工学部・文部技官(教務職員)、1993年 東京工業大学 博士(工学)、1994年 京都工芸繊維学繊維学部高分子学科・助手、2004年 静岡大学工学部物質工学科・助教授、2008年 同 准教授、2010年 同 教授を経て、2012年より静岡大学工学部電子物質科学科・教授。その間、各種学内委員会委員長、学部長補佐等を担当するとともに、静岡県工業技術センターや他大学等の非常勤講師を務め若手の育成に尽力。

また、学協会活動としては、応用物理学会講演会企画運営委員(2014-2017年)、応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会(M&BE)幹事(1996-1998年)・庶務担当常任幹事(2002-2004年)・副幹事長(2017-2019年)・幹事長(2019-2021年)、日本液晶学会編集委員(2003-2005年)、日本液晶学会分子配向エレクトロニクスフォーラム委員(2005-2009年)、日本液晶学会理事(2009-2011年)、繊維学会報文編集委員(2004-2016年)、Journal of Fiber Science and Technology編集委員(2016年-)、電気学会調査専門委員会委員(2008年-)等を務め、当該分野の発展に貢献。

研究においては、指導教員であった故酒井哲也先生と故奥居徳昌先生の薫陶を受けた高分子電気物性や高分子物理(特に結晶成長)、同学科の福田敦夫先生と竹添秀男先生から学んだ光学や液晶物理のエッセンスをベースに、学生時代から一貫して有機薄膜の作製・構造制御ならびに液晶物性の研究に従事。その間、八瀬清志博士や故上田裕清先生(神戸大)を始めとする他組織の方々との交流を通じて多くの刺激を受けながら、特に蒸着重合薄膜の高次構造制御、極性分子の配向による光・電気物性の制御、異方性を有する有機薄膜形成過程の観察と機構の解明、液晶界面物性の測定・解析ならびに界面構造の解明等に注力。最近は、蒸着重合薄膜の実用化を目指して複数企業との共同研究に従事。

島田 敏宏

島田 敏宏(シマダ トシヒロ)

1965年生まれ。
1988年 東京大学理学部化学科 卒業,1993年 東京大学大学院理学系研究科化学専攻 博士後期課程 修了,1993年 東京大学理学部・助手,講師,助教授,准教授を経て,2010年4月より,北海道大学大学院工学研究院応用化学部門 教授。

谷垣 宣孝

谷垣 宣孝(タニガキ ノブタカ)

1962年8月6日生まれ。
1985年 大阪大学理学部高分子学科 卒業、1990年 大学院理学研究科高分子学専攻 博士後期課程 単位取得退学、1990年 通商産業省 工業技術院 繊維高分子材料研究所・研究員、1993年通商産業省 工業技術院 物質工学工業技術研究所、2001年 独立行政法人 産業技術総合研究所 光技術研究部門・主任研究員、2002年 同・研究グループ長、2010年 ユビキタスエネルギー研究部門・研究グループ長、2015年 関西センター産学官連携推進室・総括主幹、2020年より 同・室長。
この間、関西大学 客員教授(2012-2015年)を務めるなど、人材育成にも貢献している。

また、学協会活動としては、電気学会・誘電・絶縁材料技術の有機分子素子工学への展開に関する調査専門委員会(2000-2002年)、電子情報通信学会・ポリマー光回路時限研究委員会委員、ポリマー光部品技術時限研究専門委員会(2004年-)、応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会、近畿化学協会・編集委員会、エレクトロニクス研究会、事業企画委員会(2007年-)、化学技術戦略推進機構(2000-2001年)、NEDOナノテクノロジー分野の技術戦略マップ改訂に関する調査WG(2007-2008年)、光産業振興協会 光技術動向調査委員会(2014-2016年)等で委員を務め当該分野の社会普及に貢献した。

研究開発においては、固体高分子の構造解析・分子配向評価を専門としており、そこから派生し、高分子・有機材料の配向制御、薄膜化技術を中心として活動し、さらに有機・高分子薄膜の光・電子デバイス応用へ展開した。その中で独自の機能性高分子材料配向薄膜化技術である摩擦転写法を開発した。現在は関西センター産学官連携推進室で産業技術総合研究所の研究成果を企業等に紹介し、技術の橋渡しに貢献している。

中村 雅一

中村 雅一(ナカムラ マサカズ)

1965年8月10日生まれ。
1988年 大阪大学基礎工学部電気工学科 卒業、1990年 大阪大学基礎工学研究科物理系専攻 博士前期課程 修了、1997年 博士(工学)大阪大学
1990年 (株)東レリサーチセンター構造化学研究部・研究員として二次イオン質量分析法による半導体中のドーパント分布評価などの研究に従事、1994年 アトムテクノロジー研究体(JRCAT)出向・徳本グループ研究員として基板表面原子配列制御による有機薄膜の配向制御および走査型プローブ顕微鏡を用いた有機薄膜の構造・物性評価に関する研究に従事、1997年 (株)東レリサーチセンター復職 表面科学研究部・研究員(SPMグループリーダー)として走査型プローブ顕微鏡による半導体のドーパント二次元分布定量評価などの研究に従事、2000年 千葉大学工学部 准教授として有機薄膜トランジスタの作製法と物性研究および走査型プローブ顕微鏡による局所電気物性評価に関する研究に従事、2011年 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域・教授、現在に至る。現在の研究は、有機エレクトロニクス全般であり、現在、有機系熱電材料、電荷輸送および熱輸送に関する計測/評価、有機トランジスタ、有機太陽電池の研究を進めている。

この間、プリンストン大学 Visiting Fellow、分子科学研究所 客員教授、名古屋大学、京都大学、北海道大学 非常勤講師を務めている。また、学教会活動としては、日本学術振興会ナノプローブテクノロジー第167委員会 運営委員、応用物理学会 講演会プログラム委員、講演会企画運営委員(有機分子・バイオエレクトロニクス大分類プログラム委員代表)、理事(機関誌編集委員長)、有機分子・バイオエレクトロニクス分科会 常任幹事、薄膜・表面物理分科会 幹事、Japanese Journal of Applied Physics 編集委員、日本表面科学会 会誌編集委員、日本表面真空学会 協議員、電子情報通信学会 有機エレクトロニクス研究専門委員会 委員、薄膜材料・デバイス研究会 組織委員、表面化学分析技術国際標準化委員会(JSCA) SPM WG 委員などを務めている。

星野 聡孝

星野 聡孝(ホシノ アキタカ)

1966年3月19日生まれ。
1989年 京都大学理学部 卒業、1991年 京都大学大学院理学研究科化学専攻修士課程 修了、1994年 博士後期課程単位取得後退学、1994年 京都大学化学研究所文部科学技官、1995年 京都大学大学院理学研究科物理学第1教室助手、1997年 京大博士(理学)、2005年 大阪府立大学総合教育研究機構第3教室(物理分野)助教授、2008年 同 教授を経て、2011年より大阪府立大学高等教育推進機構教授。また、2017年より大阪府立大学高等教育推進機構副機構長、2020年より大阪府立大学学長補佐を兼任。この間、2009年 大阪府立大学高等教育開発センター主任、2013年 同 副センター長、2016年より 同 センター長を兼任。

有機超薄膜のエピタキシーについて、透過型電子顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡などによる研究に従事するとともに、現在では、大学内の教育支援系システムの開発・運用などにも従事。

山本 雅人

山本 雅人(ヤマモト マサト)

1991年に早稲田大学理工学部化学科卒業、その後、1993年に早稲田大学大学院理工学研究科化学専攻修士課程修了、1996年に早稲田大学大学院理工学研究科化学専攻博士後期課程修了(博士(理学))。

その間、1995年 早稲田大学理工学部化学科助手。場所を名古屋大学に移し、1996年から日本学術振興会特別研究員(COE、名古屋大学大学院理学研究科)、1998年から名古屋大学物質科学国際研究センター研究員。その後、勤務先を山梨県富士吉田市に移し、1999年から昭和大学教養部化学教室講師、2007年から昭和大学富士吉田教育部准教授で、現在に至る。

この本の内容と重なる薄膜・界面の分子構造を赤外分光法で研究してきた。あわせて、歯や歯科材料の接着や表面処理についても調べている。最近は赤外光による生体ガス分析も試みている。

吉田 郵司

吉田 郵司(ヨシダ ユウジ)

1966年1月12日生まれ。
1989年 九州大学理学部物理学科 卒業,1994年 大学院工学研究科応用物理学専攻 博士課程 修了,1995年 通商産業省 工業技術院 物質工学工業技術研究所・研究員,2001年 独立行政法人 産業技術総合研究所 光技術研究部門・主任研究員,2008年 太陽光発電研究センター・研究チーム長,2014年 環境・エネルギー分野・研究企画室長,2016年 太陽光発電研究センター・副研究センター長,再生可能エネルギー研究センター・副研究センター長(兼務)を経て,現在,ゼロエミッション国際共同研究センター・副研究センター長。

この間,東京工業大学大学院総合理工学研究科物質科学創造専攻 連携教授,筑波大学大学院数理物質科学研究科ナノサイエンス・ナノテクノロジー専攻 連携教授ほか,京都大学,東京理科大学,日本大学,福島大学,九州大学などの客員教授を務め,人材育成に貢献している。

また,学協会活動としては,応用物理学会 学会誌編集委員・公益教育委員・講演会企画運営委員・論文賞選考委員・総務担当理事(2019-2020年),応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会(M&BE) 会計担当常任幹事・庶務補佐・副幹事長・幹事長(2015-2016年),一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) 電子材料・デバイス技術委員会 有機エレクトロニクス技術専門委員会 幹事(2006-2008年),財団法人 光産業技術振興協会 光技術動向調査委員会 委員(2011-2017年)など当該分野の社会普及に貢献した。

研究開発においては,有機薄膜の作製および構造評価から有機デバイスへ展開し,特に有機薄膜太陽電池の研究開発では,応用物理学会内に有機太陽電池のセッションを設置するなど分野をリードしてきた。独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託された有機薄膜太陽電池関連の各種プロジェクトに関して,2008-2013年に亘って実質的なリーダーとして努めてきた。また,国際標準化の分野でも,2017‐2019年に経済産業省委託費「屋内環境用光電池の性能評価に関する国内標準化」のリーダーとして光エネルギーハーベスターとしての普及に取り組み,JEITAの標準化専門委員および国際電気標準団体(IEC)のエキスパートとしても活動している。一方,2013年には光電子機能有機材料に関する日韓ジョインとフォーラム(KJF-ICOMEP)の議長として,2016年には国際結晶成長学会の有機結晶セッションの議長として,また2017年には有機分子・バイオエレクトロニクスに関する国際会議の議長として国際交流にも貢献している。

吉本 則之(ヨシモト ノリユキ)

「現代化学」2021年2月号(東京化学同人) 掲載日:2021/01/19


「化学」2021年1月号(化学同人) 掲載日:2020/12/25


掲載日:2024/03/08

第66回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム講演要旨集広告

掲載日:2023/03/10

第64回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム講演要旨集広告

掲載日:2022/03/01

「第62回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム 講演要旨集」広告

掲載日:2021/06/01

「化学と工業」2021年6月号

掲載日:2021/04/21

「電気学会誌」2021年5月号広告

掲載日:2021/04/16

月刊「化学」2021年5月号広告

掲載日:2021/03/01

第60回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム講演要旨集広告

掲載日:2021/02/17

「現代化学」2021年3月号広告

掲載日:2020/12/03

応用物理学会誌「応用物理」2020年12月号広告

掲載日:2020/11/02

「化学工学会誌」2020年11月号広告