メカトロニクス計測の基礎 (改訂版) - 新SI対応 -

ロボティクスシリーズ 3

メカトロニクス計測の基礎 (改訂版)- 新SI対応 -

計測の概要やメカトロニクス分野における主な測定信号の検出,変換に必要なセンサ技術,測定値の取り扱いなどを解説。

ジャンル
発行年月日
2020/05/10
判型
A5
ページ数
160ページ
ISBN
978-4-339-04510-9
メカトロニクス計測の基礎 (改訂版) - 新SI対応 -
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定価

2,420(本体2,200円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
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【書籍の特徴】
大学のセメスタ15 週の講義の範囲で扱える内容として,基本的な測定の実施方法と測定結果の表現方法およびメカトロニクス分野における主要な測定信号の検出と変換に必要なセンサ技術に絞った内容とし,以下の構成とした。

1章「計測の概要」では,計測の基盤となる測定の概念と方法について基本的な理解を得ることを目的として計測の役割と計測システムの成り立ちについて解説した。
2章「単位と標準」では,国際単位系と測定標準のネットワークとしてのトレーサビリティについて解説した(※2020年4月発行の初版第2刷(改訂版)では,2019年5月20日に改定施行された新SIに対応した)。
3章「信号の検出と変換」では,各種の物理現象を利用して測定量を信号として検出し,検出信号を測定に適した信号に変換する方法について解説した。
4章「メカトロニクスの基本測定」では,3章で学んだ信号の検出と変換の方法に基づき,メカトロニクスにおける基本的な測定量を対象とした測定器の具体的な構成方法について解説した。
5章「測定値の誤差と精度」では,測定値の誤差分布について統計的に解析し,誤差の母集団の平均および分散を推定する方法および誤差解析の基盤となる正規分布の統計的性質について解説した。
6章「測定値の信頼性評価と不確かさの評価」では,得られた測定値の精度と信頼性を統計的に評価する方法を述べた後,統計的方法以外の評価も合わせた測定値の不確かさの概念の導入と不確かさの評価方法について解説した。なお,初学者においては,6 章を飛ばして,先に,7 章へ進むことができる。
7章「測定値の取り扱い方」では,実際の測定の場面で出会うことが多い基本的な測定値の取り扱い方について,複数の測定量の測定結果から一つの測定量の値を算出する際の各測定の要求精度の設定,測定値の計算結果における有効数字の把握,さらに測定値列から現象の全体的傾向を理解するためのグラフによる表示および最小二乗法を用いた近似関数の当てはめについて解説した。

まえがき
計測技術は,産業活動に限らず広く社会生活を支える上で不可欠な技術である。その内容は自然科学の各分野の知識を基盤とし広く深い。したがって,一編の教科書で取り上げることができる技術内容はおのずと限られる。本書は初学者を対象とし,大学のセメスタ15週の講義の範囲で扱える内容として,基本的な測定の実施方法と測定結果の表現方法およびメカトロニクス分野における主要な測定信号の検出と変換に必要なセンサ技術に限ることとした。そのため,信号処理技術の詳細や具体的なセンサ応用・計測システムについては触れていない。また部品材料の試験や感覚量の計測において,測定の効率的実施と測定結果の判定に有用な統計解析手法である,実験計画法,分散分析,t検定等についても割愛した。これらに関し,信号処理技術とセンサ応用・計測システムについては,それぞれ本シリーズの「信号処理論」と「応用センサ工学」において,統計解析については同シリーズの「感覚生理工学」において取り上げられているので,読者の関心に応じて参照していただければ計測の知識を広げるのに有効であろう。

上記執筆方針により,本書による学習の狙いをつぎの点においた。まず,測定の基本的な実施方法と測定結果の表現方法については,測定のトレーサビリティを軸に,国際標準から測定現場にいたるトレーサビリティの連鎖,国際的なトレーサビリティの進展を支えるため近年導入が広がってきた測定値の不確かさの表現,そして,その基礎となる誤差分布の統計解析についての理解を得ることを狙いとする。また,実験学習,卒業研究の場など身近な測定機会で要求される基礎知識として,測定条件,特に測定の要求精度の設定,測定値の有効数字の表示,さらに測定値列が示す現象のグラフなどによる可視的表現について習得することを狙いとする。測定信号の検出と変換については,各種物理現象の応用とセンサ技術の適用による代表的な物理量の検出変換方法について述べ,電気量,力学量,温度などの基本的な測定量の具体的な測定方法について基礎知識を得ることを狙いとする。これらの狙いから,本書を以下のように構成した。

1章では,計測の基本的な概念を理解するために,計測の役割と計測システムの構成および種々の測定法について概説する。2章では,国際単位系と測定標準のネットワークとしてのトレーサビリティについて述べる。3章では,個々の物理量から測定信号を得るための基本的な原理と手段について述べ,4章では,電圧,電流,変位,圧力,温度などの基本的な物理量の測定方法について述べる。5章では,測定値の誤差分布について統計的に解析し,誤差の母集団の平均および分散を推定する方法および誤差解析の基盤となる正規分布の統計的性質について述べる。6章では,得られた測定値の精度と信頼性を統計的に評価する方法を述べた後,統計的方法以外の評価も合わせた測定値の不確かさの概念の導入と不確かさの評価方法について述べる。なお,初学者においては,6章を飛ばして,先に,7章へ進むことができる。最後の7章では,実際の測定の場面で出会うことが多い基本的な測定値の取り扱い方について,複数の測定量の測定結果から一つの測定量の値を算出する際の各測定の要求精度の設定,測定値の計算結果における有効数字の把握,さらに測定値列から現象の全体的傾向を理解するためのグラフによる表示および最小二乗法を用いた近似関数の当てはめについて述べる。執筆は,1章,2章,5章,6章を石井,3章,4章を木股,7章を金子が担当した。

2012年12月     著者代表  石井 明


改訂版にあたって
本書は2013年の初版から8年目が経過した。この間も,計測技術は科学技術および産業の世界的な発展の中で進歩を遂げてきた。その中で,国際単位系(SI)の基本単位7単位のうち,質量(キログラム:kg),電流(アンペア:A),温度(ケルビン:K)および物質量(モル:mol)の四つの基本単位の定義が変更になった。また時間(秒:s),長さ(メートル:m),光度(カンデラ:cd)の3単位は定義の表現が変更となった。特筆すべきは,これまで唯一質量の定義だけが国際キログラム原器という人工物で行われていたが,今回,他の6単位と同様に長期的に安定した基礎物理定数による定義に統一されたことであり,本書改訂の所以である。

定義の改定の発効は,計量単位令政令第六号令和元年5月20日改定施行による。

2020年4月     著者代表  石井 明

1.計測の概要
1.1 計測の役割
1.2 測定の種類
 1.2.1 直接測定と間接測定
 1.2.2 絶対測定と比較測定
1.3 測定の方法
 1.3.1 零位法
 1.3.2 偏位法
 1.3.3 置換法
 1.3.4 合致法
 1.3.5 補償法
 1.3.6 差動法
章末問題

2.単位と標準
2.1 測定量
2.2 測定標準
 2.2.1 現象を特徴づける数値による定義
 2.2.2 計測器による定義
 2.2.3 標準試料による定義
2.3 国際単位系
 2.3.1 SIの構成
 2.3.2 SI単位の表記と使用に関する規則
2.4 標準の供給
 2.4.1 標準器と標準物質
 2.4.2 トレーサビリティ
章末問題

3.信号の検出と変換
3.1 力学の利用
 3.1.1 サイズモ系
 3.1.2 コリオリ力
 3.1.3 フックの法則
 3.1.4 ベルヌーイの定理
 3.1.5 カルマン渦
3.2 光学,音響学の利用
 3.2.1 量子型光電変換
 3.2.2 熱型光電変換
 3.2.3 干渉
 3.2.4 光てこ
 3.2.5 ドップラー効果
 3.2.6 画像の利用
 3.2.7 光速,音速の利用
3.3 電気電子工学の利用
 3.3.1 抵抗の温度依存性の利用
 3.3.2 ピエゾ抵抗効果
 3.3.3 静電容量の利用
 3.3.4 圧電効果
 3.3.5 焦電効果
 3.3.6 ゼーベック効果
 3.3.7 ホール効果・磁気抵抗効果
 3.3.8 電磁誘導
章末問題

4.メカトロニクスの基本測定
4.1 電圧,電流,抵抗の測定
4.2 位置,速度,加速度の測定
4.3 応力・ひずみ・圧力の測定
4.4 流速・流量の測定
4.5 温度・熱量の測定
4.6 光,放射線の測定
章末問題

5.測定値の誤差と精度
5.1 測定値と誤差
 5.1.1 真の値と誤差
 5.1.2 測定値の母集団
 5.1.3 正確さと精密さ
5.2 誤差の種類
 5.2.1 系統誤差
 5.2.2 偶然誤差
5.3 誤差の法則
 5.3.1 誤差の性質
 5.3.2 誤差の確率分布のモデル
 5.3.3 正規分布の性質
 5.3.4 誤差伝播の法則
5.4 母集団の平均と分散の推定
 5.4.1 母平均と母分散の不偏推定量
 5.4.2 試料平均の母集団における母平均と母分散の不偏推定量
章末問題

6.測定値の信頼性評価と不確かさの評価
6.1 母平均と母分散の区間推定
 6.1.1 母平均μの信頼区間
 6.1.2 母分散σ2の信頼区間
6.2 測定の不確かさの評価
 6.2.1 測定量の関数によるモデル化
 6.2.2 標準不確かさのAタイプ評価
 6.2.3 標準不確かさのBタイプ評価
 6.2.4 合成標準不確かさの評価
 6.2.5 拡張不確かさの評価
 6.2.6 不確かさの表記
 6.2.7 ブロックゲージの校正における不確かさ解析
章末問題

7.測定値の取り扱い方
7.1 間接測定における各測定の精度の選定
 7.1.1 間接測定
 7.1.2 精度の選定
7.2 有効数字と計算の精度
 7.2.1 有効数字
 7.2.2 数値の丸め方
 7.2.3 測定値の演算
7.3 測定結果の表し方
 7.3.1 グラフ表示
 7.3.2 グラフに対する直線や曲線の当てはめ
7.4 関数の当てはめ
 7.4.1 最小二乗法
 7.4.2 外れ値の処理
 7.4.3 複数の関数を当てはめる場合
 7.4.4 ヘッセの標準形を用いた直線の当てはめ
章末問題

引用・参考文献
章末問題解答
索引

石井 明(イシイ アキラ)

掲載日:2022/11/14

「計測と制御」2022年11月号広告

掲載日:2022/10/06

日本機械学会誌2022年10月号広告

掲載日:2021/10/06

「日本機械学会誌」2021年10月号広告

掲載日:2020/11/12

「計測と制御」2020年11月号広告

掲載日:2020/11/09

「日本機械学会誌」2020年11月号広告

【補足】

本書で学習した後に,計測の知識を広げるために,信号処理技術やセンサ応用・計測システムを本シリーズの「信号処理論」「応用センサ工学」で,統計解析を「感覚生理工学」で学習することが有効です。詳細は下部のおすすめ書籍をご覧ください。