計測工学 (改訂版) - 新SI対応 -

機械系 教科書シリーズ 8

計測工学 (改訂版)- 新SI対応 -

基礎的な測定技術や原理を体系的に解説した入門書。SI改訂に伴う基礎物理定数に対応した。

ジャンル
発行年月日
2020/09/25
判型
A5
ページ数
220ページ
ISBN
978-4-339-04485-0
計測工学 (改訂版) - 新SI対応 -
在庫あり

定価

2,970(本体2,700円+税)

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 計測の類語には、計る、測る、量る、計量、測定、測量、実測、歩測、目測、測地、測深、観測、天測、秤量、量水、検温、計時などがあり、大昔から今日に至るまで、計測が様々な分野に関係していることが分かる。紀元前2600年頃に建てられたピラミッドの4辺は精確に4方位を示し、側壁と底面のなす角はほとんど52度であることが知られており、当時すでに高度な計測技術があったと推定される。また14~16世紀のルネッサンス期の3大発明は遠洋航海術、火薬および印刷術であるが、遠洋航海術の確立のためには羅針盤だけでなく精密天文観測用具と航海歴とが必要であった。18世紀後半に始まるイギリス産業革命は19世紀には急速に世界に伝わり、大きな工業革命となり、さらに同時期には我々が恩恵を受けている電気文明の歴史が始まり、現在の高度な技術に至っている。特に第2次大戦後、工学分野に限ると、機械系のエンジニアにも不可欠なプロセス制御やサーボ機構などの制御技術が急速に発展し、同時に計測技術の重要性が高まった。制御は、ある物理量を目標値に一致させる動作を行うため、電流、電圧、変位、速度、加速度、温度、圧力、液位などを測ることが必要となった。近年注目されている人工知能(AI)による認識にしても、深層学習としてニューラルネットワークを用いているが、その学習用データに様々な計測データが必要とされる。このように計測技術が人類の自然科学の発展に大きく貢献してきたことは明らかである。しかし、一口に“計測“と言っても、電気計測、機械計測、化学計測、土木計測、医用計測、環境計測やヒトの感性を測る感性計測と、その範囲は極めて広い。
 本書は機械系の学生を対象としていることを考慮し、長さを測るマイクロメータなどの機械式測定器具から、ロボットなどのサーボ機構における各種センサ、光や超音波を利用したセンサ、さらに画像計測に至るまで、機械工学を学ぼうとする学生にとって、時代に沿った計測工学に焦点を当てた内容となっている。さらに得られた計測データをどのように処理し、解析を行うかを丁寧に説明している。計測される物理量を電気信号に変換し、信号処理・解析がなされるので、電気の知識を必要とするが、各種センサの原理も含めて基本原理は記しており、その内容も高校の物理程度であるので、機械系の学生でも十分理解できると考える。これを機会に、機械系の学生の皆さんには、電気はもちろんであるが、そのほかの分野にも興味をもって、幅広い知識を習得されることを期待したい。

急速に進む技術革新の時代にあって,日夜新しい計測手法,機器,システムが研究され,開発されている。換言すれば新しい測定技術,機器,システムが現代のハイテク技術を支えているともいえる。

21世紀は情報技術の時代と予想されているが,計測にかかわる者としては同時に計測技術の時代と考えたい。21世紀の技術者には情報技術とともに計測技術がこれまで以上に必須のエンジニアリングバックグラウンドとなるにちがいない。

本書は,おもに高等専門学校(高専)および技術系の短期大学,大学で学ぶ機械系学生を対象として今回新たに執筆したものであるが,上記の視点からすべての分野の技術者にも共通的技術入門書として利用できるよう意図した。

計測工学とは,測定技術を基礎とし設定された工業目的を達成するために行われる総合的(システム的)技術の体系であり,機械,電気・電子,化学,…といった分野を縦糸とするなら,これらを横断的につなぎ,編み上げる横糸的体系である。それゆえ,そのバックグラウンドは科学・工学の諸分野に広範に広がっている。

3名の著者は,ともに学生として計測工学を専攻し,その後長く教育・研究の面で計測工学に携わってきたが,しばしば「計測工学がシステム的技術体系でありながらシステム化し難い技術分野である」と感じてきた。かつて,筆者(前田)は,ある研究論文の結言に,「さて,本研究で検討に多様性をもたせた理由の一つは,共通する問題点を把握し,体系的な結論を得るためであった。しかし,この試みは逆に計測技術が個々の測定対象およびその環境条件に密着して,非常に各個性が強く,体系化の難しい問題であることを再認識させる。」と書いたことがあるが,今回の執筆にあたっても同じ思いを感じている。

広範なバックグラウンドを体系的に整理することの難しさ,また基本的に個別性の高い個々の計測システムから一般性を得ることの難しさを克服して,い
かに「役に立つ入門書」を書くかを私たちなりに模索し,つぎのような指針のもとで原稿作成を進めた。すなわち,全章を通じて
1)計測工学をシステム的技術の体系としてとらえ,情報の獲得と操作という視点で重視する。
2)制御を目的とする計測技術を中心に解説する。
3)計測機器の各論的紹介を避け,できるだけ応用分野の広い基礎測定技術や原理を体系的に解説する。
こととした。

また,現在では大多数の計測機器が電気信号の形で情報操作を行っているとの視点から,4章では基本的な信号処理のための電子回路の解説にもページ数を割いた。

なお,執筆にあたっては,できるだけ抵抗感なく読み進められるよう「読みやすい文体」で書くことにも十分留意した。おもに1~3章を前田が,4章を押田が,5章を木村が,6章の各節を3名がそれぞれ執筆したが,著者による文体の差異が生じないよう前田が最終的に原稿の調整も行った。

本書が,一人でも多くの技術系学生や技術者の方々に,工学基礎としての「計測工学」を学ぶ手がかりとなれば,筆者としてこんなに嬉しいことはない。

執筆を終えるにあたり,執筆の機会を与えていただいた「機械系教科書シリーズ編集委員会」,また発刊に向けて多大のご援助をいただいたコロナ社に心からお礼申し上げる。また,執筆開始から発刊の際には是非,恩師故米持政忠神戸大学名誉教授にご批判を仰ぎたいと思っていたが,先生の急逝により果たせぬこととなった。謹んでご霊前に本書を捧げたい。

2001年1月 前田良昭

改訂版(新SI対応)にあたって
2019年5月に国際単位系(SI)の基本単位の大幅な定義改定が実施され,SI基本単位はすべて基礎物理定数によって定義されることになった。改訂版では,該当する内容を書き直し,新SI対応とした。
2020年7月 著者

1.計測とその目的
1.1 科学・技術と測定
1.2 計測工学とは
1.3 計測機器の利用形態
 1.3.1 工業プロセスや操作の監視
 1.3.2 工業プロセスや操作の制御
 1.3.3 実験的工学解析
1.4 本書の目的

2.計測の基礎
2.1 単位と標準
 2.1.1 SIの基本単位とその標準
 2.1.2 物理量間の演算と次元,次元式
2.2 測定の基本的手法
 2.2.1 直接測定と間接測定
 2.2.2 絶対測定と比較測定
 2.2.3 偏位法と零位法
2.3 計測の計画と実施―計測システム計画―

3.計測データとその処理
3.1 測定誤差
 3.1.1 誤差の原因
 3.1.2 測定値の統計的分布
 3.1.3 誤差の回避・低減
 3.1.4 偶然誤差の性質と正規分布
3.2 測定精度
 3.2.1 正確さと精密さ
 3.2.2 計測機器の確度
3.3 測定データの統計的処理
 3.3.1 有効数字
 3.3.2 算術平均
 3.3.3 誤差の伝播
 3.3.4 最小二乗法
演習問題

4.計測システムとシステム解析
4.1 計測システムの基本構成
 4.1.1 情報源
 4.1.2 検出部
 4.1.3 信号処理部
 4.1.4 表示部
 4.1.5 制御装置
 4.1.6 信号伝送
4.2 計測システムにおける信号変換
 4.2.1 アナログ信号とディジタル信号
 4.2.2 アナログ信号処理
 4.2.3 ディジタル信号処理
 4.2.4 信号の表示と記録,記憶
4.3 計測システムの特性とシステム解析
 4.3.1 静特性
 4.3.2 動特性とシステム解析
演習問題

5.信号変換の方式とセンサ
5.1 機械式センサ
 5.1.1 機械的拡大
 5.1.2 弾性変形
 5.1.3 サイズモ系
 5.1.4 ジャイロ効果
5.2 電気電子式センサ
 5.2.1 抵抗変化
 5.2.2 容量変化
 5.2.3 電磁誘導
 5.2.4 圧電効果
 5.2.5 ゼーベック効果
5.3 流体式センサ
 5.3.1 流体静力学
 5.3.2 ベルヌーイの定理
 5.3.3 カルマン渦
5.4 光学式センサ
 5.4.1 光学的拡大
 5.4.2 光干渉
 5.4.3 モアレ法
5.5 その他の方式
 5.5.1 ドップラー効果
 5.5.2 波動の伝搬
 5.5.3 相関法
演習問題

6.計測技術の開発と応用―筆者の研究事例から―
6.1 ディジタル画像処理を用いた切削工具刃先形状の測定
 6.1.1 二次元すくい面画像による工具刃先状態の測定
 6.1.2 測定システムの構成
 6.1.3 データ処理の手順
 6.1.4 試作システムの性能と応用性
6.2 温度場と速度場の可視化情報計測
 6.2.1 感温液晶法
 6.2.2 可視化実験
 6.2.3 温度場の計測
 6.2.4 速度ベクトル場の計測
 6.2.5 二次元自然対流への適用
 6.2.6 三次元温度・速度計測
6.3 スペックルシアリング干渉法によるたわみ勾配の測定
 6.3.1 位相シフトスペックルシアリング干渉法
 6.3.2 位相シフトスペックル干渉法の精度
 6.3.3 位相シフト誤差の補正

引用・参考文献
演習問題解答
索引

前田 良昭(マエダ ヨシアキ)

木村 一郎(キムラ イチロウ)

 大学は本書の題名通りの計測工学科出身で、卒業後ベアリングの会社に就職するが、どうも自分が抱いていたエンジニアとの違和感から会社を退職し、大学院修士課程計測工学専攻に入学する。大学院修了後、指導教授の薦めもあって、助手に採用される。その後、その頃注目されていたフルイディクスの研究で工学博士の学位を得て、助教授に昇格する。助教授時代には、流れの動画像計測を中心にロボットアクチュエータ、感性情報処理などの研究にも手を伸ばす。その後、私学に教授として移り、脳の情報処理、アクアバイオメカニズムなど、面白さのままに研究を進めてきた感がある。このような幅広い研究を続けられたのは、学生時代は電気も機械も学ぶ中途半端な学科と思ってきた計測工学科出身のおかげだと思っている。現在は、大学を退職し悠々自適の日々を送っているが、流れの動画像計測を通じて知り合った他大学の名誉教授の先生方とは、飲み会などで今も交流関係が続いている。

押田 至啓(オシダ ヨシヒロ)

掲載日:2020/11/12

「計測と制御」2020年11月号広告

掲載日:2020/11/09

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掲載日:2020/11/05

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