せん断加工 - プレス切断加工の基礎と活用技術 -
従来のせん断加工技術に加え,新材料のせん断加工技術,サーボプレス,FEM解析も紹介。
- 発行年月日
- 2016/06/30
- 判型
- A5
- ページ数
- 266ページ
- ISBN
- 978-4-339-04374-7
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- レビュー
- 書籍紹介・書評掲載情報
- 広告掲載情報
好評だった「せん断加工」(塑性加工技術シリーズ)の内容を新たに見直し、高強度鋼板やマグネシウム合金などの新材料のせん断加工技術,進歩の著しいサーボプレス機械などの塑性加工機械の紹介やその活用技術に関する内容を加えた。
塑性加工技術シリーズ『せん断加工』初版の「まえがき」にも記されているように,せん断加工は,塑性加工の現場で最も多く見受けられる加工法である.すなわち,素材製造の現場ではシヤーによるせん断と圧延が繰り返し行われ,最終工程ではスリッターによるトリミングや定尺サイズへの切断がせん断加工により行われる.プレス加工の分野においても,ブランク取りのためのシヤーリングや打抜き,成形後のトリミングや穴あけなどの切断加工が,プレスせん断加工により行われる.このようにせん断加工が多用される理由は,せん断加工が他の切断加工法に比べ,高い生産性を有するためである.そして最近では,金型の加工技術進歩やプレス機械の高精度化や高剛性化とも相まって,せん断加工と他の塑性加工との複合加工が可能となり,加工の高効率化や機能部品のせん断を含む塑性加工への工法転換が進められるなど,せん断加工の需要はますます拡大している.
塑性加工技術シリーズ『せん断加工』は,初版第1刷が1992年に出版され,今日に至るまで,多くの技術者や研究者に購読いただき,新技術の開発や従来技術の改善などに活用いただいた.本書においては,それ以降に新たに塑性加工の対象となった,高強度鋼板やマグネシウム合金などの新材料のせん断加工技術,進歩の著しいサーボプレス機械などの塑性加工機械の紹介やその活用技術に関する内容を加筆した.さらに,塑性加工のなかで唯一破壊を伴う加工であることから,その解析が困難とされてきた,せん断加工のFEM解析についても新たに加筆した.
本書も塑性加工技術シリーズ『せん断加工』と同様に,せん断加工に携わっておられる技術者や研究者に有効な書として活用されることを願って止まない.
本書を発刊するにあたり,現在,国内でせん断加工を中心に研究を行っておられる大学の先生方,塑性加工機械の開発に携わっておられるメーカーの研究開発者の方々にご協力いただいた.ここに改めて御礼申し上げる.
2016年4月
「せん断加工」 専門部会長 古閑 伸裕
1. せん断加工の役割
1.1 切断加工としてのせん断加工
1.2 せん断加工の分類と適用例
1.3 プレスせん断加工の分類
1.4 最近のせん断加工技術の傾向
1.4.1 打抜き品の軽薄短小化
1.4.2 半導体関連の電子部品の打抜き
1.4.3 打抜きを含めた複合加工
1.4.4 新素材加工
1.4.5 自動化と高速化
1.4.6 多品種少量生産
1.5 金型技術
1.5.1 金型材料
1.5.2 金型製作
1.6 プレス機械
引用・参考文献
2. せん断加工特性
2.1 加工現象
2.1.1 せん断加工の特性と種類
2.1.2 各部名称
2.1.3 変形過程
2.1.4 せん断線図
2.1.5 せん断機構の理論
2.2 せん断荷重とせん断エネルギー
2.2.1 せん断荷重
2.2.2 せん断エネルギー
2.2.3 側方力
2.2.4 押込み力とかす取り力
2.3 せん断製品の切口面
2.3.1 クリアランスと切口面
2.3.2 工具条件と切口面
2.3.3 加工条件と切口面
2.3.4 材料特性と切口面
2.4 せん断製品の寸法精度と湾曲
2.4.1 寸法精度
2.4.2 湾曲
引用・参考文献
3. 工具寿命
3.1 工具摩耗
3.1.1 せん断加工における工具摩耗
3.1.2 工具切れ刃の摩耗形状
3.1.3 工具切れ刃の摩耗機構
3.1.4 工具刃先の欠損
3.1.5 工具摩耗に及ぼす工具条件の影響
3.1.6 工具摩耗に及ぼす加工条件の影響
3.1.7 加工力に及ぼす工具摩耗の影響
3.1.8 製品性状に及ぼす工具摩耗の影響
3.2 かえり
3.2.1 かえりの形状
3.2.2 かえりの発生機構
3.2.3 かえり高さと工具摩耗
3.2.4 欠損とかえり
3.2.5 加工条件とかえり
3.2.6 表面処理とかえり
3.2.7 かえりの処理
3.3 かす上がり,かす詰り
3.3.1 問題点
3.3.2 発生原因
3.3.3 対策
引用・参考文献
4. 精密せん断加工
4.1 精密せん断加工の目的
4.2 ファインブランキング
4.2.1 加工の概要
4.2.2 加工機構
4.2.3 金型
4.2.4 加工事例
4.3 各種精密せん断加工
4.3.1 仕上げ抜き
4.3.2 シェービング
4.3.3 対向ダイスせん断法
4.3.4 かえりなしせん断法
4.3.5 だれなしせん断加工
4.4 微細部品のせん断加工
4.4.1 加工の特徴
4.4.2 リードフレーム打抜きにおける形状不良
4.5 棒管材のせん断加工
4.5.1 冷間鍛造用素材取りとしての慣用棒材せん断法
4.5.2 高速せん断法
4.5.3 拘束せん断法
4.5.4 管材のせん断法
引用・参考文献
5. 特殊材料のせん断加工
5.1 難加工材のせん断加工
5.1.1 高強度鋼板
5.1.2 マグネシウム合金板
5.1.3 アモルファス合金箔
5.1.4 セラミックグリーンシート
5.2 プラスチック材料のせん断加工
5.2.1 熱可塑性プラスチック
5.2.2 プラスチック複合材料
5.2.3 樹脂複合鋼板のせん断加工
引用・参考文献
6. せん断型
6.1 型設計
6.1.1 せん断型の種類と等級
6.1.2 せん断荷重・かす取り力の計算
6.1.3 クリアランスの選定
6.1.4 抜きレイアウト設計と工程設計
6.1.5 型構造の設計と機能
6.1.6 パンチ・ダイの設計
6.1.7 ストリッパーの設計
6.1.8 材料ガイド・パイロットの設計
6.1.9 ダイセット,ガイドポスト,ガイドブシュの設計
6.1.10 ミスフィード対策
6.1.11 型部品の規格と設計
6.1.12 精密抜き型,簡易型
6.2 型材料
6.2.1 鉄鋼材料
6.2.2 超硬合金材料
6.2.3 超硬合金の種類と特性値
6.2.4 型用超硬合金材種の選び方
6.2.5 セラミックス材料
6.2.6 表面処理
6.3 型製作
引用・参考文献
7. せん断機械
7.1 プレス機械
7.1.1 せん断加工に用いられる材料
7.1.2 せん断加工時の加工温度
7.1.3 プレス機械以外の機械によるせん断加工
7.1.4 せん断加工に用いられる設備
7.1.5 サーボプレス
7.2 タレットパンチプレス
7.2.1 本体と機能
7.2.2 付加機能
7.2.3 パンチング金型
7.2.4 成形用金型
7.2.5 複合機,複合加工
7.3 素材のせん断加工機械
7.3.1 スリッター
7.3.2 ギロチン式シヤー
引用・参考文献
8. せん断加工の数値解析
8.1 せん断加工変形解析の特徴
8.1.1 せん断加工変形解析の目的
8.1.2 せん断加工変形解析の課題
8.2 要素配置
8.2.1 アダプティブメッシング
8.2.2 リメッシング
8.3 FEMにおける亀裂の表現
8.3.1 節点分離法
8.3.2 要素除去法
8.3.3 ボイド理論に基づく方法
8.3.4 その他の手法
8.4 延性破壊条件
8.4.1 積分型延性破壊条件式
8.4.2 ボイド理論に基づく方法
8.5 せん断加工の有限要素解析事例
8.5.1 慣用せん断の変形解析
8.5.2 工具刃先の取扱い
8.5.3 亀裂発生および進展予測
8.5.4 精密打抜き(ファインブランキング)の変形解析
引用・参考文献
索引
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機械の研究(養賢堂 発行) 第68巻11月号 掲載日:2017/02/03
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