異方性材料の弾性論

異方性材料の弾性論

弾性力学の基礎から始め,機械,金属,土木,建築分野における解析事例までをわかりやすく解説した1冊。

ジャンル
発行年月日
2014/04/25
判型
A5
ページ数
296ページ
ISBN
978-4-339-04633-5
異方性材料の弾性論
在庫あり

定価

4,620(本体4,200円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

弾性力学の基礎から始め,機械,金属,土木,建築分野における解析事例までをわかりやすく解説した1冊。付録には定数係数の楕円型線形偏微分方程式の解法などを収録し,例題を交えながら,異方性材料の分野を体系化した。

現在,弾性論ないしは弾性力学の著書は数多く見られるが,その多くが等方性弾性体を扱ったものであり,異方性弾性体を扱った著書はきわめて少ない。また,異方性を取り扱った著書であっても,直交異方性体だけに留まったものが多く,一般の異方性体の弾性論について詳しく言及した著書は僅少であると思われる。

異方性体の弾性論の著書では,レクニツキィ(S.G.Lekhnitskii)とティン(T.C.-T.Ting)の著書が有名である。ティンは,その著書の中で,異方性体の2次元弾性論はレクニツキィ流とストロー(A.N.Stroh)流の大きく二つの方法に分けられると述べている。

本書は,おもにレクニツキィ流を踏襲しているが,4章で詳述するように,種-清水-平島の方法により,従来のレクニツキィの方法より一般性のある優れた解法を提示し,いくつかの例題を取り上げて,その解法と特長を具体的に示している。

本書は,弾性係数マトリックスないしは弾性コンプライアンスが密な場合,すなわち,一般の異方性体に対する弾性論,その中でも特に面外せん断変形を詳しく取り上げた著書であり,わが国では類例を見ない著書になっているものと考えている。

2章では,モールの応力円およびひずみ円について類書より詳しい説明を加え,特に,他書ではほとんど取り上げられていない「極」を援用した解法について詳細な説明と例題を取り上げ,実用問題を図式的に解く際に役立ててもらえるよう配慮した。

さて,最近は機械の性能向上を目的として,各種の繊維強化複合材料を初め,一方向凝固材や単結晶材料の高性能耐熱材料など,異方性の強い材料を積極的に機械部品に使用しようとする機会が多くなってきている。また,機械分野ばかりでなく,建築分野において強度材料としても使用されている木材,土木分野においてトンネルなどの建設でその変形挙動が解析対象となる岩盤,電気分野における圧電材料等々,広範な分野で異方性を有する材料の力学的解析が必要とされてきている。そこで本書では,まず4章までで異方性に着目した弾性論に関する基礎理論を著者らの解釈を交えてわかりやすく説明するよう努めた。それらの知識を基にして,5章では,機械はもとより,金属,土木,電気など,種々の分野での応用問題を取り上げ,広範な分野の技術者の役に立つよう配慮した。

本書を上梓するきっかけとなったのは,山梨大学名誉教授の故平島健一先生のご病気である。すでに5年前,先生は病の床に伏せられたが,それまでは精力的にご研究をなさられ,その合間の土日を使って先生の研究室の学生,OBおよび門外漢の私達を対象に,おもに外国の弾性論の教科書を使って輪講を開いてくださっていた。平島先生がご病床に伏せられているとき,どうしても復帰していただきたいとこれまでの輪講の成果の一部,とりわけ,先生のご専門の異方性弾性論の教科書を作成し,その経過を平島先生にご報告することにより,平島先生にそのお弟子さんたちの頑張っている姿をお見せし,生きる力をつけてもらおうと考えたことが本書上梓の端緒である。

あれから5年の歳月が流れ,平島先生はご家族のご看病の甲斐なく,誠に残念ながらお亡くなりになられましたが,このたびようやく本書の完成を見ることになりました。

筆者の一人である中曽根は,米国ノースウェスタン大学名誉教授の故村外志夫先生(T.Mura;1925〜2010)を介して平島先生と米国で知り合い,その後8年間ほど先生の輪講に参加させていただいた。その縁から今回,最年長者として本書作成のまとめ役をお引受けした次第である。

したがって,本書の作成にあたっては,章ないしは項ごとに執筆担当者を決めて,各章ないしは各項の草稿を作成し,すべての筆者が平島先生のご薫陶を思い出しながら,たがいに同等な立場で誠心誠意議論を交わしつつ筆者全員の合意が得られるまで推敲を重ねた。このように本書の執筆には万全を期したつもりであるが,筆者らの力不足のために,誤謬や考え違い,記述の不備などがあるかもしれない。その場合は読者諸氏のご叱正やご指摘を賜り,本書をよりよいものとすることができれば幸いである。

さて,本書は,以上のような経緯を経て上梓されたことから,まずは,筆者たちの共通の最も尊敬する師である村外志夫先生,平島健一先生に感謝申し上げるとともに進呈させていただきたいと思う。

また,2次元異方性問題の解法および等角写像に関してご教示を賜った株式会社ミラプロの清水秀樹博士,北九州工業高等専門学校准教授の種健先生,松江工業高等専門学校名誉教授の浜野浩幹先生,元群馬工業高等専門学校専攻科学生の野口敦史氏に衷心より感謝申し上げます。さらに,本書の作成に長い間協力をしてくださった筆者らの家族一同に対して心より感謝を申し上げます。

最後に,本書の原稿を長い間辛抱強く待って頂いたコロナ社の関係各位には心より御礼を申し上げます。

2014年2月
著者を代表して 中曽根祐司

● 執筆分担一覧●
中曽根祐司 (東京理科大学,工学博士)  まえがき,1 章,2.1 節,2.3 節, 5.1 節,5.3 節,5.4 節
田中純夫(明治大学,博士(工学))  2.4.2 項,2.6 節,4章,付録A3
木村清和(群馬工業高等専門学校,博士(工学))  2.4.1 項,3.2 節,5.2節
黒瀬雅詞(群馬工業高等専門学校,博士(工学))  2.4.3 項,3.1節
鈴木拓雄(東京都立産業技術高等専門学校,博士(工学))  5.5節
宮川睦巳(東京都立産業技術高等専門学校,博士(工学))  2.4.3 項,3.3.1項,付録A2
志村穣(東京工業高等専門学校,博士(工学))  2.2 節,3.3.2項,付録A1
佐々木徹(長岡技術科学大学,博士(工学))  2.5 節,5.5節
(所属は2014年1月現在)

1. 異方性弾性論とは
1.1 弾性論について
1.2 異方性とは
1.3 種々の異方性
1.4 弾性体モデルについて
1.5 計算の品質
引用・参考文献

2. 弾性体の基礎方程式
2.1 外力に抵抗する内力――応力――
2.2 変形の取扱い
2.2.1 変位ベクトルと変位勾配テンソル
2.2.2 ひずみテンソル
2.2.3 回転テンソル
2.2.4 変位勾配テンソルとひずみテンソルおよび回転テンソルの関係
2.3 つり合い方程式
2.4 主応力および主ひずみ
2.4.1 応力テンソルの座標変換と主応力
2.4.2 ひずみテンソルの座標変換と主ひずみ
2.4.3 モールの円
2.5 境界条件
2.6 ひずみの適合条件式
まとめ
引用・参考文献 74

3. 応力とひずみの関係
3.1 構成式(弾性材料の応力とひずみの関係式
3.1.1 弾性係数テンソルの縮退
3.1.2 弾性ひずみエネルギーの性質による縮退
3.1.3 応力テンソルとひずみテンソルの対称性による縮退
3.2 弾性係数テンソルの座標変換
3.2.1 4階のテンソルとしての座標変換
3.2.2 フォークト表記を用いた場合の座標変換
3.3 代表的な異方性材料
3.3.1 結晶構造の対称性と弾性係数テンソルの異方性
3.3.2 実用材料の異方性
まとめ
引用・参考文献

4. 2次元弾性論の応力関数
4.1 2次元弾性論の問題
4.1.1 2次元弾性論の概要
4.1.2 面内問題と面外せん断問題
4.1.3 弾性コンプライアンスに関する仮定
4.2 2次元弾性論の基礎方程式
4.2.1 つり合い方程式
4.2.2 エアリーの応力関数とプラントル型応力関数
4.2.3 変位-ひずみ関係式
4.2.4 ひずみの適合条件式
4.2.5 境界条件
4.2.6 基礎方程式の解法
4.3 等方性材料の応力関数
4.3.1 面内問題
4.3.2 面外せん断問題
4.4 異方性材料の応力関数
4.4.1 面内問題
4.4.2 面外せん断問題
4.4.3 面外傾斜のある問題
まとめ
引用・参考文献

5. 種々の工学分野における解析事例
5.1 軸荷重および自重による異方性弾性体の棒の変形
5.2 異方性材料中のだ円孔による応力集中問題
5.2.1 等方性材料の場合
5.2.2 異方性材料の場合
5.3 異方性材料中のき裂による応力特異性の問題
5.3.1 等方性材料中の応力拡大係数
5.3.2 直異方性材料中の応力拡大係数
5.4 異方性弾性体中の直線転位
5.4.1 転位概説――結晶転位と連続体近似転位(等方性体の場合)――
5.4.2 異方性弾性体中の直線転位
5.5 圧電材料の力学への応用
5.5.1 圧電材料の力学と異方性材料の面内・面外連成問題とのアナロジー
5.5.2 圧電材料に対する応力,ひずみ,電気変位,および電界の表式
5.5.3 圧電材料中のだ円孔の応力集中問題
まとめ
引用・参考文献

付録
 A1 テンソルの概念
 A2 回転対称性を有する結晶の弾性係数テンソル
 A3 2次元弾性論に現れる線形同次偏微分方程式の解法
索引

田中 純夫(タナカ スミオ)

木村 清和(キムラ キヨカズ)

黒瀬 雅詞(クロセ マサシ)

鈴木 拓雄(スズキ タクオ)

宮川 睦巳(ミヤカワ ムツミ)

志村 穣(シムラ ジョウ)

佐々木 徹(ササキ トオル)