2020
01/30

JASPとは?

研究に役立つ JASPによるデータ分析- 頻度論的統計とベイズ統計を用いて -』の発行にあたって,本書で採り上げている「JASP」というソフトについて簡単に紹介いたします。

JASPとは?

JASP(Jeffreys's Amazing Statistics Program)とは,アムステルダム大学心理学部で開発が進められている,無償で高性能な統計解析ソフトウェアです(サイトURL:https://jasp-stats.org/)。JASPの開発の背景として,フリーフレンドリーフレキシブルの3つが掲げられており,その意味するところはつぎ通りです。

  • フリー:オープンソースで開発され,無償で利用できる
  • フレンドリー:ユーザの使いやすさを念頭に置いて設計されたグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を採用しており,ボタン操作で簡単に使用できる
  • フレキシブル:従来からの頻度論的統計と,注目が高まっているベイズ的統計の両方を扱うことができる


JASPでできること

データ分析においてはこれまで,有償の統計解析ソフトであるSPSSや無償のソフトとしてはHAD,プログラム言語ではRやPythonが多く使用されてきました。
JASPは上記の通り,無償かつ使いやすいGUIが採用されているほか,大きなポイントとして伝統的な 統計手法である「頻度論的統計 」に加え,近年注目が高まっている「ベイズ統計」も扱える点が挙げられます。
RやPythonでもベイズ統計処理を行うことはできますが,プログラミングの習得にかかる時間は,事前の習熟度によって個人差はあるものの,無視できるものではありません。以上のことから,JASPはデータ分析の初学者にとって多くの利点があることがわかります。


頻度論的統計? ベイズ統計?

JASPで扱える「頻度論的統計」と「ベイズ統計」の両手法はそれぞれつぎの性質をもった統計手法です。

  • 頻度論的統計:相対度数(頻度論的確率)にもとづき、主にデータが特定の仮説と整合しない指標であるp値を用いる統計手法。
  • ベイズ統計:個人的信念(主観確率)にもとづき、パラメータの事後(確率)分布やベイズファクターを用いる統計手法。

研究に役立つ JASPによるデータ分析- 頻度論的統計とベイズ統計を用いて -』では,頻度論的統計とベイズ統計との共通点と差異を明らかにしたうえで,どのような場面で両者を使うべきかについて検討します。

関連書籍