ゼロからの最速理解 プラスチック材料化学

ゼロからの最速理解 プラスチック材料化学

そのプラスチック素材はどのようにして生まれた,どんな素材か。理論と背景から解説。

ジャンル
発行年月日
2021/04/22
判型
A5
ページ数
256ページ
ISBN
978-4-339-06655-5
ゼロからの最速理解 プラスチック材料化学
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定価

3,740(本体3,400円+税)

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 プラスチックと聞くと、安くて大量生産ができて環境破壊につながる軽薄なイメージが思い浮かぶかもしれません。しかし、プラスチックが誕生したことで様々なことが可能になり、われわれの生活は大きく変わりました。プラスチックは軽くて丈夫で床に落としても割れず、自由に曲げることもできます。バッグやケース、各種コンテナ、自動車部品もプラスチック製品に置き換わって軽くなり、少ないエネルギー消費で遠くまで運べるようになりました。パソコンやプリンターも金属部品が少なく軽くなり、手軽に移動ができるようになっています。薄くしても水や空気を通さず、それでも丈夫なフィルムができたことによって、食品の長期保存も可能になりました。ゴムや熱可塑性エラストマーによって気密を保つことができるようになり、潜水艇や宇宙船も実現されました。割れない食器や衣類の繊維、ペンキ、接着剤もプラスチックです。
なんだプラスチック製か、とひとことで済ませてしまわれがちですが、プラスチック素材には様々なものがあります。しなやかなものや硬いもの、熱で溶けるもの、熱で溶けないもの、透明なもの、透明でないものなど、数多くの種類のプラスチックがあります。身近なプラスチック製品が具体的にどんな化合物でできていて、またその化合物がなぜ選ばれているのでしょう。考えてみると非常に興味深いものです。
 この100年くらいで一気に発展してきたプラスチックですが、それらの発明・発見にはそれぞれにストーリーがあります。この本では、身のまわりのプラスチックがどんなもので、そしてそれらがどのように開発されてきたのかを解説します。大学や高等専門学校で化学や材料を学んでいる人たちだけでなく、プラスチックに関心を持つ多くの人たちが読み進められるように内容を選んであります。
 地球環境を護るためにプラスチックとどう付き合っていくべきなのか、単純で明快な答えを出すことは難しいですが、そういった問題を考えるための基本知識を本書から得ることができるでしょう。

われわれの身のまわりにはプラスチックが溢れている。パソコンも文房具も椅子も机も着ているものもバッグもケーブルもプラスチックである。プラスチックによって,われわれの生活はカラフルになり,日用品のデザインもバラエティー豊かなものになった。

プラスチックは高級素材の代用品として生まれ,大量生産によって作られる安い製品の材料というイメージを持たれるまでに普及した。どこを見ても目に入るプラスチックであるが,しかしそのプラスチックがどんなもので,どのようにして作られているのかは化学を勉強していても意外と知らないものである。プラスチックのフィルムや繊維,塗料などはあまりに見慣れすぎて単純なものとしか認識されていないが,じつはさまざまな工夫がなされた複合材料であったりする。軽くてとにかく丈夫で金属の代わりに使われているものや,硬さと柔らかさのバランスを考えて設計されたもの,酸素を通さないように何枚もの素材を貼り合わせたフィルム,光沢と透明性の調整を行ったものなど,すべてのプラスチックを理解するにはサイエンスと工学の広い分野にわたる知識が必要となる。また,これらプラスチックの開発の歴史を見ると,新しい素材を開発するには幸運も必要であったことがわかる。実用化に耐えるポリマーの開発は,偶然に見つけたあるいは幸運に恵まれたという事例が多く,研究者としては励まされる。

一方で,プラスチックの歴史はそれほど古くない。ポリマーがいったいどんなものなのかがわかってから,まだ100年しかたっていないのである。最近は地球環境を護るという観点からプラスチックごみが問題になることが多い。丈夫で劣化しないように工夫されてきたプラスチックがちゃんとした処理や再利用をしないで放棄されれば長期にわたってそのまま残り,環境に悪影響を及ぼす。これはプラスチックそのものの問題というより,新しい素材であるプラスチックをどう使うかということに社会がまだ対応できていないために生じているところが大きい。将来的には,生産,使用から廃棄,リサイクルまでを設計し,使用する人々の教育までを考えた社会的なシステムが必要になるであろう。そのためにも,優れた新しいプラスチック素材の開発が必要になる。

本書はそんな背景から,世の中に存在する多くのプラスチックについて,化学的な観点からその歴史や性質をわかりやすくまとめたものである。これまでポリマーについては習っていても,プラスチックが何なのかについてはこれから勉強する,という読者を想定している。ただし,さきほども述べたようにプラスチックの理解には化学だけでなく広い範囲の知識が必要となるので,すべてを本書一冊で説明することはできない。本書を読み終えたあと,それぞれのトピックについて詳しく書かれた本を参照することが必要である。

本書の執筆にあたり,査読,校正をしていただいた中裕美子博士とLe Van Khoa博士に感謝します。

また,本書の出版についてご尽力いただいたコロナ社に深く感謝いたします。

2021年2月
佐々木健夫

序.身のまわりのプラスチック
0.1 よく見かけるプラスチック
0.2 プラスチックの見分け方
0.3 フィルムの素材
0.4 リサイクルマーク
0.5 プラスチックと環境負荷

1.ポリマーとプラスチック
1.1 ポリマーの発見とプラスチックの利用
1.2 ポリマーの特徴,ポリマーの構造と物性
 1.2.1 ポリマーの重合度,分子量
 1.2.2 ポリマーの分子量の測定
 1.2.3 ポリマーの混合・相分離
 1.2.4 ポリマーアロイ
1.3 プラスチックの特性評価
 1.3.1 プラスチック素材の耐熱性
 1.3.2 プラスチックの硬さ
 1.3.3 プラスチックの強度
 1.3.4 プラスチックの特性
 1.3.5 プラスチックの耐衝撃性
 1.3.6 物性値からプラスチックの特性を読みとる
1.4 プラスチックの成形
 1.4.1 射出成形
 1.4.2 押出成形
 1.4.3 プラスチックの延伸
 1.4.4 押出ブロー成形
章末チェック

2.プラスチック材料の誕生
2.1 生体ポリマーの利用
2.2 プラスチック材料の登場
 2.2.1 セルロイド~半合成プラスチック
 2.2.2 ベークライト~人工プラスチック
2.3 ポリエステルとナイロンの登場
章末チェック

3.ポリマーの合成
3.1 合成ポリマー
 3.1.1 逐次反応によるポリマーの生成
 3.1.2 連鎖反応によるポリマーの生成
3.2 工業的重合方法
章末チェック

4.逐次反応でできるプラスチック材料
4.1 ポリエステル
 4.1.1 ポリエチレンテレフタレート
 4.1.2 ポリトリメチレンテレフタレート
 4.1.3 ポリブチレンテレフタレート
 4.1.4 ポリエチレンフタレートとアルキド樹脂
 4.1.5 ポリエチレンナフタレート
 4.1.6 ポリブチレンナフタレート
 4.1.7 不飽和ポリエステル
4.2 全芳香族ポリエステル
 4.2.1 ポリヒドロキシ安息香酸
 4.2.2 非晶性ポリアリレート
 4.2.3 液晶ポリマー
4.3 天然物を原料とするポリエステル
4.4 脂肪族ポリアミド
 4.4.1 ポリアミド66
 4.4.2 ポリアミド610
 4.4.3 ポリアミド46
 4.4.4 MXD6
 4.4.5 ポリアミドx
 4.4.6 ポリアミド6
 4.4.7 ポリアミド11
 4.4.8 ポリアミド12
4.5 芳香族ポリアミド
 4.5.1 パラ系アラミド
 4.5.2 テクノーラ
 4.5.3 メタ系アラミド
章末チェック

5.連鎖反応でできるプラスチック材料
5.1 ポリエチレン
 5.1.1 低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)
 5.1.2 高密度ポリエチレン(チーグラー・ナッタ触媒)
 5.1.3 直鎖状低密度ポリエチレン
 5.1.4 超高分子量ポリエチレン
5.2 ポリプロピレン
5.3 均一系シングルサイト触媒で合成されるポリマー
 5.3.1 メタロセン触媒
 5.3.2 環状オレフィン共重合体
5.4 塩素置換エチレンのポリマー
 5.4.1 ポリ塩化ビニル
 5.4.2 ポリ塩化ビニリデン
5.5 スチレンのポリマー
5.6 アクリル樹脂
 5.6.1 ポリメチルメタクリレート
 5.6.2 メタクリル酸メチル・スチレン共重合体
5.7 ニトリル基を持つビニルポリマー
 5.7.1 ポリアクリロニトリル
 5.7.2 アクリロニトリル・スチレン共重合体
 5.7.3 ABS樹脂
 5.7.4 シアノアクリレート
5.8 フッ素樹脂
 5.8.1 ポリテトラフルオロエチレン
 5.8.2 テフロン繊維
5.9 ポリ酢酸ビニル系ポリマー
5.10 アセタール化ポリビニルアルコール
5.11 ピロリドン置換エチレンのポリマー
5.12 オレフィンと二酸化硫黄との共重合ポリマー
章末チェック

6.ポリウレタンとエポキシ,メラミン樹脂
6.1 ウレタン樹脂
6.2 エポキシ樹脂
 6.2.1 エポキシドの反応
 6.2.2 エポキシ樹脂
 6.2.3 エポキシ樹脂塗料の電着塗装
 6.2.4 ファイバー強化エポキシ樹脂
6.3 メラミン樹脂
章末チェック

7.エンジニアリングプラスチック
7.1 ポリカーボネート
7.2 ポリオキシメチレン
7.3 ポリエーテルエーテルケトン
7.4 ポリイミド
7.5 ポリスルホン
7.6 ポリフェニレンサルファイド
7.7 変性ポリフェニレンエーテル
章末チェック

8.エラストマー
8.1 熱硬化性エラストマー
 8.1.1 天然ゴムの歴史
 8.1.2 天然ゴム(NR)とイソプレンゴム(IR)
 8.1.3 ブタジエンゴム(BR)
 8.1.4 クロロプレンゴム(CR)
 8.1.5 スチレン・ブタジエンゴム(SBR)
 8.1.6 ニトリルゴム(NBR)
 8.1.7 ブチルゴム(IIR)
 8.1.8 エチレン・プロピレンゴム(EPDM)
 8.1.9 フッ素ゴム
 8.1.10 ゴムを複合して作られる高耐久性製品
8.2 熱可塑性エラストマー
8.3 シリコーン系エラストマー
 8.3.1 シリコーン
 8.3.2 シリコーンゴム
章末チェック

付録
A.1 プラスチックの商品名
A.2 プラスチックの略号

参考文献
索引

掲載日:2021/04/16

月刊「化学」2021年5月号広告

掲載日:2021/03/01

第60回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム講演要旨集広告

掲載日:2021/02/17

「現代化学」2021年3月号広告