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書店様向けレビュー

読者モニターレビュー【 miya 様(業務内容:IT系の学科の教員+情報セキュリティマネジメント試験対策担当)】 掲載日:2024/04/18
IT技術者を目指す人の 情報セキュリティ入門

国家試験である情報セキュリティマネジメント(以下SG)を担当している者として、ほぼ完璧なテキストを見つけたと喜んでいる。もちろん国家試験対策だけではなく、なにかにつけ正当に評価してもらえない情報セキュリティ担当になったとき、真っ先に読むべき本である。

まず、国家試験で出題される内容がほぼ網羅されており(これが最低ラインの知識という意味でもある)、市販のSG対策テキストでは触れない内容までしっかり説明されているのに感心している。

通常、この手の情報セキュリティの本はいわゆる「エンジニアリング的な情報セキュリティ」が中心であるが、これはまず第2章で「人的脅威」が最初に書かれている。

最大の脆弱性は「それを使う人間」というのは、笑い話のように聞こえるものの事実である。おそらくしっかりそれを理解したうえで、この章立てになっているのであろう。人的脅威でも、不正利用・ソーシャルエンジニアリングだけでなく、誤操作や紛失・破損なども丁寧に説明している。一般のイメージではここが「脅威」とは認識してもらえず、対策は精神論が繰り出される部分でもある。

もうひとつSGの試験でも出題されることが多い重要項目でもある、第7章の「物理的なセキュリティ対策」がしっかり取り上げられている点も評価できるポイントである。
来客者が入れる場所を制限するゾーニングや、共連れ(ひとりがロックを解除したら他の人が一緒に正規の手続きをせず入ること)についても、しっかりした説明がされている。
また、地味だがこれをセキュリティの一部として書かれることが少ないポイントとして「バックアップ」についても丁寧に説明されている。

ランサムウェアの被害に遭ったとき、もっとも簡単な復元方法はバックアップから戻すことで、どのようにバックアップするのか、そしてどうやってリストアするのかまで、IT系の専門書なみの記述に、もしかしたら痛い目に遭ったことがあるのではと考えてしまうくらいである。

そして最後にしっかり法規や国際基準まで含めてあって、このページ数に収めるには、本当に理解している専門家でない限り書けないものとなっている。

個人的には情報セキュリティについてはまずこの本から始めて、詳しく知りたいときにはさらに専門的な書籍に進むことを強く進める。

読者モニターレビュー【 ステラ 様(業界・専門分野:電気電子・情報)】 掲載日:2024/04/16
実践 Pythonによるベイズ分析とトピックモデル - 先進的なデータ分析へのアプローチ -

本書はPythonでベイズ分析とトピックモデル実装の方法を学ぶことができる。概念の説明よりも実装に重きが置かれているため、ベイズ分析とトピックモデルは一通り学んだがどのように実装すればよいかわからないという人にオススメである。最初の2章で、本書の基礎となる数学やデータをPythonでどのように分析するかについて確認することができる。後の章では、そこで取り扱う内容が簡潔に説明された後、モジュール及びそのメソッドの解説が事細かにされている。また、数多くの例題とそのソースコード掲載されており、その後にほとんどの行について十二分に解説がなされているためプログラミングが苦手な人にもわかりやすい。総じて、本書は実用上において非常に良書であると考える。本書をご購入予定の方々のご参考になれば、非常に幸いである。

読者モニターレビュー【 最適化研究者 様(業界・専門分野:機械工学)】 掲載日:2024/04/16
トポロジー最適化の基礎 - 弾性体ならびに熱流体関連工学諸問題への応用のために -

この本は熱流体のトポロジー最適化に関する理論を扱っており、数学的な理論の概要から具体的な物理モデルの定式化まで幅広くカバーしています。
計算力学に精通している読者を対象としており、特に伝熱と流体の問題に関する詳細な導出が記されている点が魅力です。
日本においては過去、弾性問題に関する文献が主流でしたが、この書籍は熱流体問題に取り組む学生や企業の設計者にとって非常にアクセスしやすい内容となっています。
今回は基礎編なので記載はないですが、具体的なプログラミングコードや数値実装の方法を解説した実践的な続編が出版されれば、より多くの利用者にとって有益なリソースとなると感じました。

読者モニターレビュー【 JAZZCAT 様(業界・専門分野:鉄鋼機械エンジニアリング)】 掲載日:2024/04/10
思考力を磨く信号処理基礎の仕組み

レビュアーは、陶良氏による著書「思考力を磨く信号処理基礎の仕組み」をレビュー致しました。その結果を箇条書きにて、下記致します。

① 本書の一貫したスタイルとなっている「原理的な説明」もしくは「読者が疑問に思う点」をまず提示し、その後、その「理由の説明」や「具体的な例題」を通じて、解説がされており、非常に理解が深まる構成になっていると感じました。
類書では、天下り的な導入から始まり、そこから例題などの演習が中心となっているものが多いようにレビュアーは感じておりました。そのため、「なぜそうなるのか(そう考えるのか)」が理解できないままで、終わってしまうことが多いように思います。
この点は、本書のまえがきに書かれている「「どうして」を「どのように」に結びつけ」という一文からも、上記の良さが分かるものと思います。

② 全章を通じて、説明は(良い意味で)くどいほど丁寧で、理解も早くなるものと思いました(式の誘導も丁寧です)。
但し、数学的な考え方がきちんと身についていないと、読んでいても、チンプンカンプンとなってしまい、かなりしんどくなる点も指摘する必要がある(本書を読むにあたり、「相当な覚悟が必要」)と思いました。具体的には、以下の点を考慮したためです:
1) 本書のタイトルは、「信号処理基礎の仕組み」となっていますが、内容は信号処理を題材とした、「応用数学」の範疇に入るものと思いました。というのも、信号処理は、適用範囲が幅広く、機械系(レビュアーは、機械系出身のため)に限っただけでも、計測工学や制御工学、研究でのデータ処理、実験、開発といったものが思いつきます。

2) 上述の通り、「適用範囲が幅広い」のであれば、そこには「汎用性の高さ」が存在します。汎用性が高いものを理解するためには、「数学もしくは物理」という道具を利用した、抽象的な概念を導入する必要があります。

3) 抽象的な概念の理解で注意しないといけない点は、概念を読んだだけでは、分かったつもりになってしまう、ということです。レビュアーも経験がありますが、その概念を具体的な問題に適用しようとすると、なぜだかうまくできない(問題が解けない、という意味)のです。
それは、抽象的な概念を「具体的な意味合いまで落とし込み、理解をする」というプロセスが抜けているためだということが、経験を積んでいくうちに、分かってきました。
本書では、適切な例題が、適切な位置に配置され、分かりやすい解説がされているので、時間の許す限り、演習を行い、自分のものにするほうが良いと感じました。

4) 本書のまえがきには、「複素数、微分積分、線形代数など大学基礎数学の知識があれば」と書かれていますが、特に、線形代数では、線形空間という抽象的な空間論を自由自在に使いこなせる力をかなり要求されるように思いました(当然、本書内でも丁寧な説明はされておりますが)。
そのため、上記3分野の一通りの基本事項と例題演習ができている、という前提が必須かと感じました(本書のまえがきに「理工系大学2、3年次の学生を対象と想定」と書かれてはいますが、上記の点を考えると、そこまで深く理解できている学生は、そう多くはないものと思われます)。

③ 最後に、いくつかコメント致します。
1) 本書の利用について、1章は初等的な関数の概念の記述となっているので、読者諸氏で不明な部分や初学の部分のみ、読めば良いのではないか、と感じました。また、後章に進むうちに不明点があれば、1章に立ち返り、読み直し、理解すれば良いものと思いました。

2) レビュアーは、本書のコアになる部分は、2章から5章にあると考えています。線形時不変システムを通して、固有空間の概念を導入し、そこからフーリエ級数やフーリエ変換という概念を導いていく、類書にはない特長を有していると思いました。ここは、時間をかけて、じっくり丁寧に読んでいくのが良いものと思いました。

3) 本書を読むにあたり、1度でも信号処理(もしくは、フーリエ変換やラプラス変換、制御工学でも良いと思います)に関する概略を頭に入れておくと、理解がより早く、そして深くなるものと思いました。

4) 制御関係に携わっている諸氏には、釈迦に説法かと思いますが、7.2に記載されているラプラス変換については、既存の書籍ではあまり詳しく書かれていない事項が記載されているので、ラプラス変換を原理的な視点(応用数学からの視点)から理解し直すのに、もってこいの教材かと感じました。

以上、簡単ではありますが、本書をレビューした結果を記載致しました。本書をご購入予定の方々のご参考になれば、非常に幸いです。

読者モニターレビュー【 河本 倫 様(業界・専門分野:IT業界)】 掲載日:2024/04/05
神経刺激インタフェース

ところどころ学習していないとわからない要素があるものの、その点について説明が都度あったため詰まらず読むことができた。
また、VR等のフィードバックデバイスを開発する際に提示する刺激についてどういった性質の刺激を与えることがより効果的なのかといったことや提示に関する留意点など、開発段階で検討する事がある程度詳細に書かれている。
それに加え、実際に過去に行われた実験や製品化された商品・機器、今後応用が期待される物など、開発の際に疑問に挙がるであろう事例も書かれているため参考になった。
また、フィードバックデバイスのフィードバックアプローチ方法やその原理等、ユーザー目線ではあまり意識しない点について理解することができた。

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】 掲載日:2024/04/01
神経刺激インタフェース

本書は「バーチャルリアリティ学ライブラリ」の2巻目に位置する書籍である.神経刺激といえば,まず思いつくのがSFアニメ・映画・小説などで取り扱われていることを容易に想像できるだろうと思われる.そういった身近なVRの領域でも,本巻では,特に「神経刺激インタフェース」について基礎から解説がなされている.

1章では,神経刺激インタフェースについて扱う前の準備段階として,そもそも電気とは何か?という電気の発見の歴史から分かりやすく解説してある.よく実験系のバラエティ番組などで見かけるであろう,ライデン瓶を使った「人間電線(百人おどし)」という電気実験は身近な例で個人的には興味深く拝読させていただいた.その後は,バーチャルリアリティ学会に投稿された各種論文にはどのような種類のものが多いのかについての考察がなされている.

2章と3章では,侵襲性と非侵襲性の刺激について,身体の五感に関わる部分にそれぞれ侵襲性と非侵襲性の刺激を与えることによる,インタフェースとしての可能性について述べられている.本書のメインである3章では,その中でも非侵襲性刺激について詳細な解説がなされている.

4章では,電気刺激を身体の各部位に流すことになるため,電気刺激の安全性という,電流・電圧・周波数などによる身体への影響・起こり得る可能性について注意点などについて述べられている.

最後の5章では,神経刺激の応用ということで,これまでの章で述べられてきたことを振り返りつつ,各分野への応用例の紹介という形で締め括られている.

読者モニターレビュー【 はると 様(業界・専門分野:情報・電気電子)】 掲載日:2024/04/01
思考力を磨く信号処理基礎の仕組み

本書は信号処理について学べる本である。1章と2章では信号とシステムの概念について説明されている。数学について深く学ばない学科であっても、各々の基礎が理解できるように例題や図を用いて詳しく説明されている。3章では、線形時不変システムの固有関数と直交基底関数について説明されており、これまでの章の内容と4章以降の内容の懸け橋となる重要な章である。固有値の説明からされているため、線形代数学に苦手意識を持っている人でも安心して読み進めることができる。また、人工知能やデータ圧縮で重要な役割を果たす最小二乗法についても紹介されているため、是非とも理解して欲しい。4章ではフーリエ級数展開について説明されており、本書では多くの初学者が苦手とするフーリエ係数の物理的意味について節が設けられており非常にわかりやすく解説されている。5章は連続フーリエ変換について説明されており、フーリエ変換の基礎だけでなくその実用例のローパスフィルタや通信分野で用いられる変調復調などついても書かれており、読み手の視野が広がるようになっている。6章は離散フーリエ変換について、他の離散時間フーリエ変換が書かれた本に比べ、簡潔にわかりやすく書かれている。また、離散ならではのサンプリング定理にもしっかり言及されている点が良いと思った。7章では、ウェーブレット変換やラプラス変換、z変換について説明されており、様々な分野の基礎となる内容を学べるが、これらの内容は非常に難しいため例題や図がもう少し欲しいと感じた。
総じて、信号処理の初学者やそれがどのように応用されているのか知りたい人におすすめである。本書をご購入予定の方々のご参考になれば、とても幸いである。

読者モニターレビュー【 有機合成学生 様 (業界・専門分野:化学 )】 掲載日:2024/03/18
Pythonで動かして始める量子化学計算

本書は,オープンソースソフトウェアであるPsi4を利用して,量子化学計算をやってみたい方の一番最初の入門書である.本書内で,量子化学計算で必要とされる安定構造あるいは遷移状態の構造最適化,振動数計算,電子密度解析などの計算手法について実際のコードとともに解説がなされている.
また,基底関数をはじめとする量子化学計算特有の事項について,簡単に触れられている.あくまで,本書はPsi4の入門書であるため,開殻分子の計算などのより専門性の高い計算については述べられていない.
このような点から,Psi4をはじめて利用する方に向けた書籍として,非常に有用ではないかと思う.

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】 掲載日:2024/03/14
シリアスゲーム

本書は「メディアテクノロジーシリーズ」の5巻目に位置する書籍である.本巻では「シリアスゲーム」についての記述がなされている.

1章では,シリアスゲームとは何かということを理解する上で,そもそも「ゲーム」というものの概念的な定義や,「シリアスゲーム」の定義・範囲及び,それに関連した「ゲーミフィケーション」等の関連用語の類似点や相違点についての解説がなされている.

私が「ゲーミフィケーション」という用語を初めて知り,その概念に興味深いと感じたのは,自身が卒業した大学のWebシラバスであった.閲覧可能な年度でみると,少なくとも2018年度頃から現在まで『ゲーミフィケーション』という名の反転学習型の講義(事前に教科書を読んで,事前学習個所の内容を問う問題に解答し,その内容をグループ討論や,自身の考案したゲーミフィケーションをプレゼンするような)が行われているようだ(因みに使われているテキストは,本書でも1章の引用・参考文献21),2章の引用・参考文献32)にも挙げられている『井上明人(著):「ゲーミフィケーション<ゲーム>がビジネスを変える」,NHK出版』).学習内容を見ていると,この講義の教科書,若しくは参考文献になりそうな気が個人的にはしている.

2章では,シリアスゲームの歴史的背景について書かれており,この1章と2章で,シリアスゲームというもの概念とその広がりが理解できるようになっている.

3章〜5章では,シリアスゲームのデザインやシリアスゲーム開発のためのメディア,開発方法などが解説してある.それらを踏まえて,6章〜7章では開発例として健康をテーマとした,リハビリやヘルスケアを行うエクサゲーム,地方創生ゲームを取り上げて,これらの事例についての解説なされている.個人的には,「PokémonGO」や「Pokémon Sleep」を愛用しているが,これらも社会全体(や個人)が抱える問題(運動不足や睡眠障害など)を解決するシリアスゲームの一種では思った.

最後の8章では,今後の課題と展望ということで各章の論点のまとめと,これまでの課題と展望を振り返りつつ,これからの課題と展望という未来に向けた内容で締め括られている.

最後に,日本におけるシリアスゲームやゲーミフィケーションに関連した専門書は,現段階(2024年3月現在)ではあまり多く出版されていないような状況のように,個人的には思われる.そういった状況から,本書はシリアスゲームやゲーミフィケーションについて丁寧な記述がなされており,初学者の方にもオススメできると思う.また,上記にも挙げたように大学等の講義の教科書や参考書としても十分活用できるものと思われる.

読者モニターレビュー【 waarrk 様(業界・専門分野:電子制御工学 )】 掲載日:2024/03/12
ゲームグラフィックス表現技法

本書では、技術者が表現技法を学ぶ場合、表現者が技術を学ぶ場合の両方に対応することが可能である.
章構成は細分化されており辞書的に用いることが可能であるが、全体を通して、グラフィックスの制作ワークフローに焦点があてられている.業界にはいる前に全体の見通しをつけたり、各作業ポジションで分割可能な作業かといった知識を得ることができる.
各ポジションでの作業フローに丁寧な説明があるため、職場に一冊おいておく辞書的な使用も可能であると考える.
私の場合、技術者が表現技法を学ぶ場合であったが、カメラワーク、ライトなどの項目でも理論的説明に加え、場所によっては追加の技術的説明がなされているので、楽しく読み進めることができるようになっている.
特定のモデリングソフトウェアに依存する使用方法のような説明はないため、その点は注意する必要がある.

読者モニターレビュー【 てらマン 様(業界・専門分野:教育関係 )】 掲載日:2024/03/12
シリアスゲーム

本書は「メディアテクノロジーシリーズ」の中でも,現時点における日本語で書かれた「シリアスゲーム」の貴重な書籍となっている。

編著の藤本徹先生は2007年にも「シリアスゲーム」という書籍を出版されているが,そこから17年が経過した現時点までの「シリアスゲーム」の広がり,特に日本国内での事例が豊富に紹介され,その広がりを知ることができる。また,特に第5章ではシリアスゲームの制作技法が説明されるなどこれからシリアスゲームを制作したい方にとっても有用な情報が記載されている。

第1章では「シリアスゲーム」とその周辺概念,特に2010年代に活発となった「ゲーミフィケーション」との対比がなされている。またアナログゲームも包含されることを述べている。第2章ではシリアスゲームの歴史が述べられ,第3章では学習理論と関連させながら実際のシリアスゲームの活用例が記されている。第4章では同じゲームを異なるメディアで展開した事例が説明されているが,アナログゲームも触れられている点や利用したメディアによって効果が異なることが実証的に示されており興味深い。第5章は上述のとおりである。

第6・7章は具体例としてエクサゲーム(エクササイズのゲーム),地方創生ゲームが取り上げられており,シリアスゲームの幅広い展開を知ることができる。ただし,これらはゲーミフィケーションの事例として扱われるものでもあり,第1章での「シリアスゲーム」と「ゲーミフィケーション」との対比を考えると少々混乱してしまった。第8章は全体のまとめと今後の展望である。

以上のように,特に日本におけるシリアスゲームの現在地を知るうえで本書は入門書であり専門書でもある。シリアスゲームやゲームの教育・実社会への活用を考えているすべての方に一読をおすすめする。

読者モニターレビュー【 芝村 厚志 様(業界・専門分野:IT,機械学習 )】 掲載日:2024/03/12
ロボットの確率・統計 - 製作・競技・知能研究で役立つ考え方と計算法 -

この本は間違いなくよい教科書であり、特に独学者にとって福音だと思います。
私はベイズ確率や機械学習周辺の本は読んだことがありますが、いまいち理解が繋がっていなかった部分が本書のお陰でしっかりと繋がり、実用に活かせるだろうという自信が持てました。
数式についてはきちんと導出が行われるので簡単ではないですが、実用に最低限必要な概念が丁寧に選ばれたうえで解説されていると感じました。
また、数式による説明とロボット制御でどのように役立つかについてを交互に提示してくれています。そのため、学んだ数式が使われるイメージをつかみながら確率・統計の定義をしっかり理解することができ、独学でも確率・統計の概念の見通しがとてもよくなります。
例えば共役性や線形化といった概念がどのようにうれしいかについて、既存のベイズ統計に関する本でおぼろげながら理解していましたが、本書において実例を交えて解説されたことでしっかりとイメージすることができました。
後半になると数式が難しくなっていくので、全てを理解することはできないかもしれません。しかし本書でそれぞれの概念がどのような問題を解くのに役立つかという地図を与えてもらえるので、将来類似の問題に出会ったときにその地図を手掛かりに本書やその参考文献を活用できると思います。
これからロボットに携わる研究者・エンジニアに自信を持ってお勧めできる本です。

読者モニターレビュー【 日高 風詩 様 大阪大学基礎工学部(業界・専門分野:知能システム )】 掲載日:2024/03/12
ロボットの確率・統計 - 製作・競技・知能研究で役立つ考え方と計算法 -

来年度で学部4年になる者です.僕は確率統計について苦手意識がありました.確率統計は僕の分野では重要な要素の一つで頻繁に目にするのでこのままじゃまずい,春休みに勉強しなければと思っていたところ,ロボットの確率・統計というタイトルの本書を見つけました.読めるか少し不安でしたが,理解を深めつつ非常に楽しみながら読むことができました.確率統計の内容を人間,ロボットの具体的な話と関連付けて展開していてどのような文脈で対象の理論を考えるのか,使うのかをイメージしやすくとても読み進めやすかったです.頭の中で確率統計の知識が整理されたと感じました.まえがきにもあるように,数式は容赦なく使われていますが各数式に対して読み方や意味を言葉で補足して下さっていて理解が深まりました.さらに図が全体を通して用いられていて,具体例と合わせて理解を大きく助けてくれました.また,本書は著者の本文,脚注での雑談が非常に面白く,本筋の内容とリンクしているので考えが広がります.

これから本書を読んだ感想を前半部分と後半部分に分けて述べます.

前半1章から4章までは比較的容易に読み進めることができました.1~4章は確率統計の基礎事項をロボットに関係する具体例と一緒に確認する流れになっていて,確率統計として知っている内容でも新しい気づきを得ることができるよい導入だと思います.4章では連続型確率変数を扱いますが,確率密度関数について考えるまでの話の持っていき方が自然ですんなりと話が入ってきました.4章後半の多変量ガウス分布とnシグマ範囲の丁寧な解説は,僕が持っていた苦手意識を克服するのに役立ちました.特に印象に残った部分は高次元ガウス分布のシグマ範囲と人間の変態度を表す独立なパラメータの話で,多分1年後くらいにも覚えていると思います.

後半5章から先は,難しい部分があり何回か飛ばして読みました.どの章も導入部分がわかりやすく,扱う対象の例があることで理解がしやすくなっています.以下各章に対する感想です.
5章:ベイズの定理についてわかりやすく説明されていました.僕は本書で初めて尤度の話をベイズの定理と関連付けて考えたのですが,言われてみれば確かにとなりました.ベイズの定理は知能を考えるうえで,何か情報が入ったときにある事象に対する認識がどう変わるかを計算する式,という説明を見て理解が深まりました.
6章:図がとても分かりやすかったです.特にロボットの状態の不確かさの部分で,考えている様子がどういったものなのか一目でわかり理論の理解に役立ちました.
7章:クイズに対して人間がどう考えるかをベイズの定理や尤度関数を使って解釈する部分が印象に残りました.尤度関数が地図の上で表現されていることで直感的に話を理解することができました.後半は少し難しくて飛ばしながら読みました.大学の実験でROSを使った移動ロボットを扱いましたがその理論については深い理解をせずに終わったので,それと関連付けながらゆっくり読んで考えようと思います.
8章:混合ガウス分布の推定の節が印象に残りました.僕は半年ほど大学内のある集まりに参加してほかの人の研究について話を聞くことをしていたのですが,混合ガウス分布の推定,変分推論の話を勉強する中であの時のあの話はこのことだったのかーーと気づくことが多く,勉強していて充実感がありました.まだまだ理解できていないのでこの章もゆっくり読もうと思います.
9章:強化学習をそれなりに勉強済みだったのですんなりと話が入ってきました.最適制御の話で,式の説明がわかりやすかったです.

本書を通じて僕の確率統計に関する理解が大きく広がり,深まったことを実感しています.とてもおすすめです.

読者モニターレビュー【 佐藤 顕治 様 株式会社キビテク(業界・専門分野:ロボット )】 掲載日:2024/03/07
ロボットの確率・統計 - 製作・競技・知能研究で役立つ考え方と計算法 -

ロボットと世界の相互作用に現れる様々な確率的ゆらぎを数式で表現し、ロボットの開発に利用する技術を知る、あるいは実際に数式にはしなくとも、数式で表現できることを知ることができる本です。

私もロボットを開発する中で、確率的ゆらぎに対してちょっとした実験と勘でパラメータを設定して済ませるようなことがありますが、そのような場合でも「どのような確率的ゆらぎがあるか知っており、それを数学で扱う方法があると知っている」ということは重要です。
また、確率的なアルゴリズムのソフトウェアライブラリや、それが組み込まれたデバイスなどを利用するときも、その背後にある確率の性質を知っていることは重要です。

本書の各章はシンプルな例を取り上げ、理論解説を行い、少しの教訓でまとめる構成となっており、読みやすく、随所に著者独特のユーモアが散りばめられていることも読み進めを促進します。
まえがきで飛ばし読みが推奨されており、一度の通読で完全に理解しなければならないというプレッシャーがないことも、三日坊主を防止するでしょう。
もちろん参考文献リストがあり、本書に書かれている以上に詳細な理解への導線も引かれています。

ロボット技術者に求められる数学能力のうち、確率分野のよい入門書です。
本書の次には著者の前著「詳解確率ロボティクス」に進んでもよいでしょう。
確率的なアルゴリズムの実装方法を知ることができます。

読者モニターレビュー【 鷲崎 海 様 株式会社Fusic(業界・専門分野:機械学習)】 掲載日:2024/03/07
ロボットの確率・統計 - 製作・競技・知能研究で役立つ考え方と計算法 -

確率の基礎から、ロボットの位置推定、環境認識まで幅広く扱っており、自動運転やロボットの知能に関して興味がある初学者におすすめの本です。
軽快な口調で、様々な例を出しながら、話が進むので、技術書というよりは読み物みたいな感覚で読み進めることができました。もちろん、4章あたりから、数式が増えてきて、6,7章は腰を据えて読む必要がありました。しかし、ロボットの動作の数式化と、センシングによるロボットの位置推定に関して簡潔にまとめられており、難しい内容ながら、初学者がロボットに関する勉強や研究をするうえで、大いに助けになる本だと思いました。

第5章の試行回数と信頼性における「ロボットの性能が改善したかどうかを計測する際に、どれくらい実験すればよいのか」というテーマは、読者が今後研究していくなかで、役に立つだろうと思いました。また、第8章、9章では、機械学習や、ロボットの意思決定に関する強化学習など、最近のロボットの知能研究で必要な情報の基礎が書かれており、難しい内容ですが、ロボットの初学者にとって、ロボットの知能というテーマを知る良い機会になると思いました。

機械学習エンジニアとしても、自律ロボットにおけるベイズの定理の応用や意思決定のための強化学習について知ることができ、読んでて面白かったです!

読者モニターレビュー【 クラーク 様(業界・専門分野:医療・MRI )】 掲載日:2024/02/26
演習で学ぶMATLABによるディープラーニング

この度、『演習で学ぶMATLABによるディープラーニング』の読者モニターをさせていただく機会に恵まれました。書籍を手にした初めの印象としては、「MATLABって難しいんじゃないの?もっと厚い本かと思った」でした。ですが、書籍の中に散りばめられた多くのQRコードが初手の印象を見事に覆しました。QRを読み取ることで、活字とPCのオンライントレーニングが見事に線となり理解を促進させています。また、実際に手を動かしながら進められることで、本のページ数の何倍もの奥行きが得られました。さらに、かゆいところに手が届くようにQ&Aが散りばめられており大変助かっています。初心者の状態からのスタートですが、豊富な演習問題も用意されており、反復した理解が得られると思います。多くの人にお勧めの一冊に出会えたことで、この先の活路が見えそうな気が致しました。

読者モニターレビュー【 ナラなら 様(業界・専門分野:組み込み制御 )】 掲載日:2024/02/26
演習で学ぶMATLABによるディープラーニング

本書は、シナプスやニューロンの生理学的な要素から始まり、これらがどのようにニューラルネットワークの設計に影響を与え、さらにディープラーニング技術の発展に繋がったかを、初学者にも理解しやすいように解説してくれます。
また、ディープラーニングの基本概念から先端技術に至るまでを幅広く扱い、MATLABを用いた具体的な演習を通じて、理論と実践の橋渡しをしてくれます。特に、画像認識と時系列予測に関する演習は、技術の実世界での応用への理解を深めるのに役立ちます。
本書は、ディープラーニングを学び、理解を深めたい研究者や技術者にとって、理論と実践を結ぶ理想的なガイドと言えると思います。

読者モニターレビュー【 山内 善高 様 半導体業界・アナログIC設計会社勤務(業務内容:アナログIC設計(特にパワーマネジメント関係:DC-DC, LDOなど))】 掲載日:2024/02/26
基礎から学ぶ電気回路と電子回路

本書は、パワーエレクトロニクス技術(特にスイッチング電源回路技術)の習得に向けた電気回路および電子回路の基礎に関する教科書です。

電気回路の重要項目の導入順序は、日本語で書かれた伝統的な電気回路の教科書の形を踏襲しています。すなわち、第 1 章:定常状態の回路解析(直流回路の諸定理、フェーザ表示を用いた定常状態の交流回路理論)から入り、次に第 2 章:回路の過渡応答解析(ラプラス変換を用いた定数係数線形微分方程式(時間領域)から代数方程式(s 領域)への変換)という日本の大学・高専の電気系学科で標準的に用いられている導入順序です。

ここで習得すべき電気回路の要点を挙げれば、
1. 回路素子(特にインダクタやキャパシタ)における電流・電圧の時間微分・時間積分の関係と物理的なイメージの一致
2. 微分方程式を扱うツールとしてのラプラス変換(時間領域から s 領域への変換)
3. s 領域の特殊な場合(過渡応答を終えた後の交流定常状態)としてのフェーザ表示
4. s 領域における伝達関数の極・零配置と時間領域応答との関係
などと考えられます。これらをきちんと身に付けられれば、このシリーズ第3巻以降での導入が推測される、スイッチング電源回路に特有の解析方法は、電気回路の基本的な手法の応用と実感できるはずです。

電気回路の章には、基礎的で本質的な練習問題(略解付き)が揃えられているので、自分でしっかり手を動かして解けば、パワエレ回路に進むために必要な電気回路の基礎知識が習得できるはずです。

3 章から 9 章は、「例題形式で学ぶ基礎アナログ電子回路」というような内容になっています。具体的には、トランジスタレベルの回路(トランジスタの小信号等価回路から始まり、オペアンプ内部回路のトランジスタレベルでの構成方法まで)、オペアンプをブラックボックスとして扱う回路(各種オペアンプ回路、能動フィルタ回路、センサ回路、オペアンプ非理想特性が与える影響など)、さらには大信号動作するアナログ回路(コンパレータ、PLLなど)などの重要な項目を、例題を通じて一通り勉強する形となっています。

スイッチング電源回路技術と一口に言っても、対象とする電圧・電流範囲によって、実際の回路実装方法は大きく異なり、必要とされるアナログ電子回路の知識は様々だと思われます。
例えば、入力電圧が数十 V 程度で出力電流が数十 A 程度の DC-DC コンバータであれば、高耐圧 IC プロセス(BCD プロセスなど)を使って、制御回路、保護回路のみならずパワーステージの FET とそのドライバ回路をモノリシック集積することが可能です。こういった電源 IC の、設計開発そのものに直接携わる場合には、トランジスタレベルのアナログ電子回路のより深い知識が必須です。その場合には、デバイス物理も含めたより進んだトランジスタレベルのアナログ電子回路の内容に進む必要があるでしょう。一方、システムレベルの設計で、パワエレ回路の構成要素として、市販の IC を選定する場合、あるいは、IC ベンダに専用 IC を設計委託する場合には、制御 IC やセンサ IC のデータシートを読み解くこと、または、必要な仕様書を記述できることが目標となるかもしれません。

アナログ電子回路は、パワーエレクトロニクスと同様に、専門性の高い技術分野です。本書でアナログ電子回路の基礎体系を例題を通して学ぶことは、自分が関わるパワエレ技術領域とアナログ電子回路との関わりを俯瞰し、目的に応じて深掘りするべき項目を把握するための手助けとなるはずです。

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】 掲載日:2024/02/20
ゲームグラフィックス表現技法

本書は「メディアテクノロジーシリーズ」の4巻目に位置する書籍である.本巻では「リアルタイムCG」と「映像制作」におけるゲームグラフィックスについての記述がなされている.

まえがきでは,ゲーム制作を行う上での役割分担ごとに,どのように読み進めればいいのかという全体図(マップ)が示されている.その全体像を,まず図で把握した後に自身が興味深いと思われる分野について読書されることをオススメする.
また,各章のページ数が十数ページの章が多いため,スキマ時間などにサクッと読める章構成なのも本書の特徴である(レビュしている私自身もスキマ時間に1日1章ぐらいのペースにて拝読させていただいた).

1章では,リアルタイムCGとは何かや,その仕組み,フレームレート,レイテンシ,アセット制作環境,ゲームエンジン,アーティストが学ぶこと等,2章以降の制作過程ごとの役割を学ぶ前の準備段階としての解説がなされている.

本シリーズの3巻目の書籍である『可視化と科学・文化・社会(メディアテクノロジーシリーズ 3)』の時にも同じようなことを書かせていただいたが,CGや映像を専門的に扱うシリーズなので,極力,画像劣化の少ないカラー図集(PNG等の劣化の少ない形式)を関連資料として公開していただきたかったのが正直な感想である.その点だけが唯一残念な点ではあるが,それ以外は,初学者でも無理がないように丁寧な記述がなされている印象を受けた.制作フローの全体像だけでなく,個々の分野について詳細に学べるだろうと思われる.

読者モニターレビュー【 中田 康史 様 慶應大学総合政策学部(業界・専門分野:脳波解析 )】 掲載日:2024/02/20
演習で学ぶMATLABによるディープラーニング

本書は「大学生,大学院生または企業のAI実務担当者が学ぶディープラーニングの実践的入門書」というコンセプトのもとに作られている本であるが,他の入門書と大きく違う点がある.それは約200ページのうちの60ページを割いて基礎的なニューラルネットワーク,ディープラーニングの学問的基礎とMATLAB自体の知識を割いているという点である.これらの情報は自学自習のためにという配慮で書かれているが,この部分だけでもとても助かるという人は多いように思う.演習の内容については本の中で宣言している通り,ある程度のプログラミング的な素養(他のプログラミング経験など)があったほうがわかりやすい.ただ,冒頭はmathworkの教育的資産を使っているのである程度相談もしやすいだろう.経験が多いわけではない人でも解答例などから考えることでより理解が進むと考える.他の書籍と比べて演習形式なので「きちんと理解しているのか」ということをたどりながら考えることができる.まとめると,自分の大学の大体1コマ分の分量があり新たにディープラーニングを実際に自分の手で一気通貫に始めたい人におすすめの書籍である.

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