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書店様向けレビュー

読者モニターレビュー【 MD 様(業界・専門分野:パワーエレクトロニクス・モータドライブ )】 掲載日:2024/07/24
永久磁石同期モータ - PMSMの基礎から設計・制御・評価まで -

本書では永久磁石同期モータの制御と設計を学ぶことができます。モータ制御に関しては基本的な数学モデルやそれに基づくベクトル制御,直接トルク制御が記載されています。特に直接トルク制御に関しては詳しく記載されています。設計に関してはPMASynRMや自動設計に関しても記載があり,構造や解析結果に関する図が多く記載されています。さらに,専門書ではあまり記載されていないモータ特性評価方法の記載もあります。本書のみですべてを理解することは難しいですが,本書で全体的なイメージを掴んでから個々の技術は引用・参考文献を参照することで,初学者のみならず技術の復習を志向する場合においても,永久磁石同期モータに関してより理解を深められると感じました。また,300ページ程度の本の中に情報が詰まっているため,本書を理解するためには1行1行丁寧に読む必要があるとも感じました。特に機械損測定などの文献が参照されている箇所は実務で重要なことが書かれていると感じました。

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】 掲載日:2024/07/24
ヒューマンインタフェース

本書は「ヒューマンインタフェース(HI: Human Interface)」について書かれた書籍である.

なお,レビュー者である私自身,過去に『書き込み式 ヒューマンコンピュータインタラクション入門』(Ref:https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339029277/)をレビューしたこともあり,そちらに書かれていた内容のみが,本分野に関しての前提知識であることを予め注記しておく.

まず,本書の特徴としては,大きく分けて2つある.

1つ目は,先ほど記述したように私自身はある程度の前提となる知識がある状態で拝読させていただいたが,専門的な知識がなくても順を追って丁寧に読んでいければ理解できるように書かれている点である.

2つ目は,各章末に,その章の内容が理解できたかを確認するための記述式問題と,実際に思考したり,Webサイトや文献などで調べたり,プロトタイプを作成するなどの発展問題が数問用意されている点である.前者は,本書の内容をしっかり理解していればそれほど難しい問題はないように感じた.後者は,本書は15章立てということで,大学の情報系の学部や学科での講義用テキストとしての側面もあるため,レポート課題や演習(実習)で扱われる可能性が高いだろうと思われる.

本書を読むことにより,ヒューマンインタフェースの分野に関する基礎的な知識が網羅できるだろうとも感じた.

また,各章を通じて,個人的に感じたのは,『書き込み式
ヒューマンコンピュータインタラクション入門』の方で概論的に理解した部分が,本書では更に深く,前後関係が詳細に記述されていたように多くの部分で感じ取られた.そういった意味では,両著書とも是非,手に取って読まれることを個人的にはオススメする次第である.

H.A 様(学部4年生) 掲載日:2024/07/23
詳解 流れの数値計算 - 有限要素法による非圧縮性流体解析の基礎 -

本書は、丁寧で分かりやすい文章と図式で、有限要素法を初めて学ぶ人でも読みやすいと感じました。1章では差分法を用いて、数値解の精度や安定性の比較など、流れの数値計算の基礎を学ぶことができます。2章からは、有限要素法における補間の考え方や行列の計算過程が、順を追って詳細に示されており、一つ一つを確実に身につけながら読み進めることができます。例題や付録では、計算手法が様々な見方で考察されているため、数式の意味を理解して、数値解を評価する力が鍛えられます。本書は流れの問題を用いて、有限要素法を基礎からしっかりと学びたい方におすすめです。

K.K 様(大学院生) 掲載日:2024/07/23
詳解 流れの数値計算 - 有限要素法による非圧縮性流体解析の基礎 -

本書は、流れの数値計算を行う差分法と有限要素法の基礎を解説しており、特に有限要素法の解説に比重をおいています。本書には式の変形や操作といった途中式が丁寧に記述されているため、それぞれの数式が何を意味し、どのようにして導出されたのかが非常にわかりやすいといった特徴があります。また、本文で導出した数式、関数を使った例題や、本文で解説しきれなかった数式や関数の導出を付録で行っており、理解を深めるのに非常に役立ちます。さらに、本書は他の数学書に比べて図を用いた解説も多く、特に1章、2章にある区分1次補間と区分2次補間によって補間された物理量などの空間分布の図や、基底関数と形状関数の対応付けの図から、有限要素法が何を目的としており、どのような利点があるのかを理解するのに非常に役立ちます。このような理由から、本書では式の導出などを曖昧に理解したまま次に進むことがなく、理解を深めながら進めることができます。そのため、初学者にとって有益な参考書となっています。

読者モニターレビュー【 みた 様(業界・専門分野:ウェブ開発)】 掲載日:2024/07/18
設計と価値の共創論 - 製品,サービス,そして人工物 -

本書は幅広い設計手法やその考え方を知りたい人にお勧めします。

1~3章ではモノづくりにおける設計や設計物(プロダクト)の価値がどのように考えられてきたか、工学のみならず歴史・哲学の観点からも多様に論じられています。

4~8章はさまざまな設計開発手法について整理され紹介されています。
9~10章は筆者人らによる今後のものづくりとその価値創造の在り方について1~8章をまとめつつ、提言している内容でした。

私自身は工学系大学出身かつ製造業に従事していたこともあり、設計開発手法に関しては既知の内容が多かった部分はあります。また、その内容に関しても扱われ方がやや古いものもあり、あまり現場をご存知でないのかなと思える記述もありました。

一方で、哲学の観点からものづくりやモノと人とのあり方を論じている本はあまりなく、本書はそういった点から評価できる部分が多々あると思います。

特に、人間とプロダクトがどのように共生してきたのか、そしてプロダクトがどのようにあるべきなのかといった提言部分は、非常に読み応えがありました。
私自身は歴史分野・哲学分野にはめっぽう疎く、非常に興味深く読めました。そうした内容は設計に関わる社会人のみならず、学生さんにとっても、勉強になる点が多いと思います。

読者モニターレビュー【 JAZZCAT 様(業界・専門分野:製鉄用機械設計、技術サービス、技術教育)】 掲載日:2024/07/11
バイオメカニクスと運動工学 - 運動機構と神経制御 -

レビュアーは、牧川他5氏による著書「バイオメカニクスと運動工学」をレビュー致しました。その結果を箇条書きにて、下記致します。

① 本書は、類書と比較して、専ら、人体を題材として、そこから、
『(工学的な)モデル化→解析→解析結果の解釈→実際問題への適応』の説明が、詳細になされている点が、大きな特徴であると思った。
類書は意外にも(機械系のケースでは)、4力の説明が簡潔に説明され、あとは、多少の生体工学の内容に触れているだけのように感じることが多く、やや中途半端で終わってしまっているように感じていた。

② 各章をレビューした結果を章毎に記述する:
1章:バイオメカニクスの歴史(意外と驚くべきことが書かれており、非常に勉強になる)、研究範囲、研究の手法(バイオメカニクス独特の方法が説明されており、「このような手法もあるのか」と、新しい視点を得ることができるように感じた)が書かれており、イントロとして、是非一読すべき章だと思った。
2章:本章では主として、「ヒトの運動」を扱うと「まえがき」に述べられている通り、それに対応する、ヒトの解剖学上、必要となる事項について説明されている。後章で必要となる用語などが詳細に説明されているので、必読ではあるが、若干専門性が高いので、時間の無い読者は、先に後章に進み、必要に応じて、本章を読み返すので構わないと感じた。
3章:4、5章の前段階として、確実に理解すべき事項が記載されている。静力学は動力学の特別な場合であることを考えれば、単純に解ける問題で理解を確実にすることは、後々、(動力学などのより高度な問題を解く上で)必ず有利となる。本章でも、上記1. に示した課題解決の方法(『』で囲んだ部分)を踏襲しており、また、人体での結果解釈も丁寧に述べられているので、本章は時間をかけて丁寧に読むことをお勧めしたい。
4~5章:本書のコアとなる重要な章であると考える。人体の動きの基本となる、関節の構成原理に始まり、バイオメカニクスにおける運動方程式の適用と、実際に解析を行う上での、現実に即したパラメータを、計測方法を交えて、詳しく解説されている。
また、歩行や走行といった、生活に密着した内容を、バイオメカニクス的にどのように扱い、解釈するかについても、分かりやすい図を用いて、解説されている。
6~9章:6~9章は、6章、7章、8~9章と3つに分けて読まれるのが良いと感じた。
いずれの章も、バイオメカニクスの内容としては、必須項目と考えるが、時間の取れない読者にとっては、やや特論的な内容かと思われる。
まずは、5章までをじっくり読まれ、7章で、実際に測定するための方法を、必要な部分のみを読まれるのが良いと思う(5章での運動方程式中に現れるパラメータを決定するための測定方法が書かれているため)。その上で、6章にて、動くための原動力である「筋」について勉強されれば、理解が深まるのではないかと感じた。
8~9章は、脳に関する事項であるが、1~7章までとは異なり、若干専門性、数学的要素が強い内容となっている。時間の取れる読者、数学(非線型力学)に興味のある読者は、読まれると良いかと思う。

以上、簡単ではありますが、本書をレビューした結果を記載致しました。本書をご購入予定の方々のご参考になれば、非常に幸いです。

読者モニターレビュー【 おみにゃ 様(業界・専門分野:制御工学)】 掲載日:2024/07/11
バイオメカニクスと運動工学 - 運動機構と神経制御 -

現在、様々な人型ロボットが開発されている。しかし、人工知能を備えた本格的なヒューマノイドの開発は未だ幾つかの技術的なハードルがある。本書は、未来のヒューマノイドの開発に向けて、「バイオメカニクスと運動工学」の視点で人間の体の構造から脳や神経の仕組みに至るまで分かりやすく解説されているのが特徴である。本書を通じて、人間の体の構造を単純にモデリングするだけではヒューマノイドの開発は困難であることが理解できた。例えば、人間の筋肉は収縮させて複雑に動くが、ロボットは油圧アクチュエータ等を伸縮させて動かしている。このとき、ロボットの質量に対するアクチュエータの出力の効率が人間と比べて極めて低い。このことからも人間の体はいかに複雑な構造ながらも効率的に動いていることが分かる。また、私が興味を持ったのは、人間の歩行を力学的に解析し、杖による補助の有効性が力学的に解説されている点である。このように人間の構造をモデリングする手法は超高齢化社会で活躍が期待される介護ロボットの開発に有効であると感じた。また、本書では、専門用語の多くに注釈が付いて分かりやすい点が読者の理解を深める点で秀逸である。是非、工学系の研究者が生物学の知識を得ながらヒューマノイドをイメージして学習するのにお勧めの良書である。

読者モニターレビュー【 くりぽん 様(業界・専門分野:教養学部情報コース)】 掲載日:2024/07/09
テンソルデータ解析の基礎と応用 - テンソル表現,縮約計算,テンソル分解と低ランク近似 -

本書は、テンソルの定義とテンソルに関する計算から始まり、実装するためのプログラムを眺めながらテンソル分解とその応用を見ていく流れになっています。本書を読むにあたり前提知識は線形代数+αとなっておりますが、この「+α」の部分で読み進めるために最低限必要だと思われるのは、大学1, 2年で学ぶ微分積分、数理最適化問題と統計学の初歩的な知識かと思います。また、本書の特徴として、少ない前提知識から低ランク近似、テンソルデータ解析を理解することが可能となっている点や各項目において該当する内容を実装するためのアルゴリズムやソースコードが間に挟まっている点、ダイヤグラム表記をたくさん用いられている点が挙げられます。ここで、各章が何をしているのか簡潔に述べておきます。

第1章では、テンソルとはなにか?やテンソルの計算を視覚的に捉えるダイヤグラム表記、テンソルを使った表現の応用例(画像処理や関係データ、確率質量関数、回帰係数など)が紹介されています。
第2章では、各々のダイヤグラム表記とともにテンソルの変形や計算について書かれており、フロベニウスノルムや外積、カトリ・ラオ積などが挙げられております。
第3章では、線形代数の内容が書かれており、主に低ランク近似を行うための固有値分解や特異値分解について述べられています。また、主成分分析についても紹介されております。
第4章では、CP分解とTucker分解などのテンソル分解が紹介されています。ダイヤグラム表記を用いたテンソルトレイン分解が特徴的です。
第5章では、テンソル解析について紹介されています。

私は線形代数を学部1年のときに履修し、入門の教科書を数回読んだ程度の知識で読ませてもらいました。テンソルの計算を丁寧に紹介されていたので、第4章のテンソル分解までスムーズに理解することができました。また、ダイヤグラム表記がテンソル計算のときに、特に2つのテンソルもしくは行列の積においてどのモードについて合わせていくのかを視覚的に捉えられるのでとても役立ちました。しかし、私のようなレベル帯で一人で最後まで読むのは大変だと思います。第4章では、第2章で紹介されている複雑なテンソル計算をふんだんに用いているため、ダイヤグラム表記がありますが、細かい計算の部分は省力されているため追いかけるだけでも厳しいかと思います。また、ところどころ証明が省かれているので他の本で補うなどの処置が必要かもしれません。テンソルデータ解析について最低限の知識で理解したい、テンソル・線形代数の工学分野における応用例を見てみたい、実際にテンソルもしくはデータ解析の実装を行ってみたい、これら1つでも持っているならば本書を読み込むのは面白いかと思います。

【書評】村上輝康 様(産業戦略研究所代表) 掲載日:2024/07/08
設計と価値の共創論 - 製品,サービス,そして人工物 -

「価値」を、人の欲望を満たし、人に満ち足りる感情をもたらす効果の概念とし、「設計」を、価値を満たすうえで有用な人工の働きを実現する手段を考察し、それを人工物として実現すること、と定義して、設計論の枠組みの中で、価値を真正面から工学の対象にしようとする野心的な快著である。工学や設計の世界が、主観の入る取組みにならざるを得ないため、可能な限り避けてきた「価値」の議論を、「設計」がもたらしたかもしれない「現代の邪悪」の蔓延が、実学を志向する「設計」に鋭く突き付けている社会からの問に、主著者の下村芳樹(以下、下村)は、半世紀に亘る人工物研究の蓄積を武器に、4人の道連れとともに挑もうとしている。

下村は、幼い頃から、「なぜこれ(人工物)は存在するのか?」「なぜこれは必要なのか?」という根源的な問いを持ちつつ、玩具をつぎつぎにバラバラに分解することで、答えを求めようとしていたそうである。そのようにして感じたモノの存在の意義や必要性に対する「違和感」を、下村は捨て去ることなく育て続け、設計工学、設計学、設計論の研究生活の中に持ち込んでいったという。

本書は筆者には、下村が、その「違和感」から出発して、吉川弘之という日本を代表する設計研究者と出会い、その問いに人工物や設計研究という経路を通じて応えようとした、壮大な人生をかけたオデッセウスの航海記に見える。

その航海においては、今は亡き上田完次とともに価値の変遷をたどり、設計の形態とアブダクションについて小括し、サービスドミナント・ロジックの影響を受けて、共創の設計論を展開する。そして、Geelsから学んで、日本におけるレジームとニッチイノベーションの実存的な共進化に、ランドスケープが後追い的に引きずられていく構造を喝破するが、その航海は、価値と時間軸についてのオリジナルな考察によって最高潮に達し、時間軸設計に対する強い期待をもつに至る。そして、オデッセウスの帰還の最終寄港地となるのは、プラトンに再帰した「理念的設計(プラトニックデザイン)」であり、その実現にむけての、オリジナルなプロセス規範である。

その航海においては、下村が次々に問いを発し続けるが、本書は、その問いに直接応えようとするよりも、それらの問いに対して応えようとした既存の方法論や手法を幅広く渉猟するという方法をとっている。このため本書は、プラトンからカント、ハイデッガーを経て、ウィトゲンシュタイン、パース、吉川まで、ブレインストーミングから、一般設計論を経て、サービス工学、トランシジョンマネジメント、リビングラボまで、設計論の枠組みで価値を研究しようとする時に参照されるべき方法論や手法の、ほとんど全てを尽くして体系化するものともなっている。快著たる所以のひとつである。

実は筆者は、「設計と価値の共創論」という著作を手にして、あるシリアスな問題意識をもってこの著作を読んだ。今、筆者は、第5回の日本サービス大賞の審査活動に入ろうとしているが、本書が、優れた価値の設計をしているサービスイノベーションを探索し評価する際の、新たな羅針盤を与えてくれるのではないか、という実利的な問題意識である。
筆者は、可能な限り科学的に審査をするという意図のもと、それに価値共創のサービスモデルを唯一の拠り所として取り組んでいる。おそらくひとつ上のレイヤーで「価値の共創論」を展開する本書が、強力な実効的な示唆を与えてくれるのではないかと期待したのである。

その期待に対しては、結局、手触り感のある形で筆者を牽引してくれる方法論を獲得することはできなかったが、何故できなかったかを考えることで、本書のアプローチの特徴を理解することともなった。

価値共創のサービスモデルでは、サービスの提供者たる企業と利用者たる顧客という二つのアクターが、知識とスキルの粋を尽くして共創しようとする系の中で価値共創を考えているが、本書においても特に第6章「サービスの価値と設計」以降でこの構図が頻繁に扱われる。

しかしながら、そこには常に「設計者のまなざし」があまりに横溢しており、筆者には、企業と顧客という構図は、設計者と設計対象という構図の中に埋もれてしまっているように思えてならないのである。

本書には、下村の薫陶を受けた、赤坂文弥らの若い研究者も参加している。私には、設計論の研究者というよりもサービス学やサービスデザインの研究者にみえる人たちである。彼らには今後、本書において下村が道筋を創り上げた「設計論における価値研究のフロンティア」を拓いていくとともに、サービス学やサービスデザインにおける「価値」研究に真正面から立ち向かって、最終的には、実務に役立つ方法論を打ち立てて欲しいと思うのは、筆者の我儘があまりに過ぎるであろうか。

読者モニターレビュー【 佐藤 実 様 東海大学理系教育センター(業界・専門分野:宇宙エレベーター,物理教育研究,科学映像教材)】 掲載日:2024/07/04
人工衛星・惑星探査機のための宇宙工学

人類が誕生してからずっと、天は見上げて想いを馳せる対象でした。それがようやく、出掛けていって旅する場所になりました。いままさに、特別な人ではなくても宇宙を渡り、星を巡ることのできる時代が、幕を開けようとしています。すでにひと足先に、人類がおくり出した探査機たちは、冥王星を含めすべての惑星を訪ね、この瞬間も太陽系を飛びまわっています。なかには太陽圏をとび出して、星間空間をつき進んでいるものさえいます。

いま世界は、宇宙に開かれています。情熱とチャレンジ精神さえあれば、誰もが宇宙に挑戦できる時代がやってきました。『人工衛星・惑星探査機のための宇宙工学』は、そんな時代にふさわしい、太陽系の歩き方を案内する完璧なガイドブックです。
ガイドブックといえば名所案内。この本では、惑星や衛星、小惑星など、太陽系内のさまざまな天体の概要が網羅され、紹介されています。カラー口絵をはじめ図版が豊富で、写真を眺めているだけで、この景色が見たいあの場所にも行ってみたいと、わくわくしてきます。
交通案内も万全です。地球周回にしろ惑星探査にしろ、どのようにすればそこにたどり着けるのか、その行程についても懇切丁寧に記されています。図に描かれた軌道を追うだけで、こんな方法があるのかあんな経路もとれるのかと、どきどきしてきます。

地球周辺や太陽系内の移動には、ニュートン力学が欠かせません。万有引力を受けながら三次元空間を運動する物体の運動を示すには、どうしても数式の助けが要ります。でも大丈夫、読者が迷うことないよう、要所要所に的確な解説が用意されています。著者に手を引かれるまま進んでいけば、いつの間にか宇宙空間を旅していることに気づくことでしょう。
しかも最後の章には、この本で使われている数学や物理の解説まで付いています。この章だけで、教科書一冊分の価値があります。なんて至れり尽くせりのガイドブックなのでしょう。

わたしたち自身が実際に宇宙を旅することができるようになるには、もう少し時間がかかるかもしれません。けれども、想像の翼を広げることはできます。皆さんもぜひこの本を手に、太陽系を旅してみてください。それはきっと、いつかやって来る未来ではなく、皆さんが自ら手繰り寄せる現実となることでしょう。

読者モニターレビュー【 田中 翔大 様 スタンフォード大学(業界・専門分野:学生)】 掲載日:2024/06/28
楽器の音

私はバイオリンを演奏することが大好きな大学1年生です。本書は楽器を演奏している学生にぜひともお薦めしたい一冊です。

楽器の機構のみに焦点が当てられる書籍が多い中で、本書の第3章では楽器の演奏法について詳しく書かれている点に特徴があると考えます。そのため、演奏者にとって自身の楽器演奏経験と対応させて、理解がしやすくなっています。演奏をしたことがない楽器についての記述は、理解に苦労することもあります。しかし、本書は図を活用した説明が多く、それぞれの図に対応した音声資料がついているため、図を見ながら、音として聴きながら、統合的に理解を深めることができます。

特定の楽器の演奏者においては、まず初めに自分の演奏している楽器についての記述から読み進めていくのも良いかもしれません。一つの楽器について理解できると、他の楽器についても比較しながら読んでいくことができます。各楽器の解説はザックス=ホルンボステル分類をもとに区切られていますが、区分を横断して楽器に共通する性質があることが浮き彫りになって興味深いです。

本書は一貫して、難しい数式をあまり用いずに直感的にイメージを描きやすいように書かれてあります。さらに理解を深めたい人に向けては、驚くほど膨大な付録資料があることも特徴的です。付録では数式を用いた詳しい説明のみならず、楽器の構造についての歴史的な記述など豊富にまとめられています。演奏している楽器がなぜ現在のような構造になっているのか、疑念を抱きつつも、これまで「そういうものだ」と受け入れていた事柄について、理解を進めることができると考えます。

第2章の節々には各楽器における詳細は「複雑である」という言葉も見受けられます。楽器の多様な音の魅力と共に、まだ楽器の音響学において未解決の問題が大量に存在していることも想像できます。ぜひ楽器を演奏する学生に本書を手に取ってもらい、演奏者の観点から楽器の音響学に興味を持ってもらいたいです。

読者モニターレビュー【 I.T. 様 大学院生(業界・専門分野:機械工学(振動工学・非線形力学・情報処理))】 掲載日:2024/06/25
テンソルデータ解析の基礎と応用 - テンソル表現,縮約計算,テンソル分解と低ランク近似 -

テンソルやテンソル分解を基礎から応用まで日本語で丁寧に学べる貴重な書籍です。本書は、テンソルを理解するための導入として、配列(ベクトルや行列)の基本的な内容から始まり、線形代数の要点や主成分分析の解説を経て、テンソル分解やその応用についての方法論が詳細に説明されています。この流れにより、初心者でも段階的に理解を深めることができるよう配慮されています。
本書の特徴は、数式や数学表記が複雑になる部分に対しても、それぞれの概念や意味について大変丁寧な説明と豊富な図解が盛り込まれていることです。これにより、事前知識がほとんどない私でも挫折することなく理解を深めることができました。理論の説明に加えて、実装の手がかりとなるアルゴリズムやソースコード(MATLAB)も含まれているため、テンソル分解を実際に手で動かしてみる面白さも感じることができます。
また、本書はテンソルやテンソル分解の基礎から応用までを一冊で網羅しており、途中でわからない箇所があれば前半に戻って確認できるような構成になっています。多次元データの解析に関心がある方にとって、この書籍一冊でテンソルデータ解析を効率的に学べる最適な入門書であると感じました。

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】 掲載日:2024/06/24
楽器の音

本書は「音響入門シリーズ」の中でもA(音響学にかかわる分野・事象解説の内容)とB(音響学的な方法にかかわる内容)に分かれているシリーズのうち,Aの5巻目に位置する書籍である.本巻では「楽器の音」という楽器に関する音についての記述がなされている.

まず,本書の特徴としては,大きく分けて2つある.1つ目は,以前までの本シリーズではCD-ROM付き(前の「A-4 音と生活 -CD-ROM付 -」の発行が,2016年11月であるので時代の流れを感じる)で,実際に音や画像,動画などのディジタルデータが提供されていたが,今回からWebサイト上から簡単にアクセスする方式に変更されている点である.

2つ目は,どちらが本編なのか見間違えるほど膨大な付録PDF(その数,全688ページ!!)の存在である.こちらのPDFは,より深く学びたい読者のためのものでもあり,読破には数式を読み解く力も含めて必要なので,根気がいるだろうと思われる.なお,本書(紙の書籍)の中でも数式がやや登場するが,高校数学と物理の知識があれば,付録ほど難解ではないので理解できるものと思われる.

それに加えて,図も多く記載されており,図3.1xxのような3桁台にも及ぶ図の量は初めて見た.なお,一部の図は,カラー画像としてWebサイトから閲覧できる.

1章では,「楽器」とは何かということで,どこまで(の範囲)が楽器としていえるか?という根本的な内容から,本書が取り扱う楽器について,そもそも「音」というものを人間の可聴域や,音の3属性などの観点から順を追って分かりやすく解説がなされている.

2章では,楽器の構造と発音機構,3章では,楽器の音ということで,各楽器に焦点を当てて,それぞれの楽器に対して,楽器の構造,発音機構,楽器そのものの音について,詳述されている.

本書だけでも,充分に詳述されている方だと個人的には思われるが,まえがきやあとがき,及び1章の最後の部分の記述から見ても分かる通り,著者の方々は,これでもまだ書き足らない!という想いみたいなものが,拝読させていただいている際に,ひしひしと感じ取られた次第である.紙面の都合上,泣く泣く紙の書籍上ではカットしたものが,付録PDFの膨大なページ数に大いに現れていると感じた.

読者モニターレビュー【 charmie11 様 (業界・専門分野:Computer Vision)】 掲載日:2024/06/24
テンソルデータ解析の基礎と応用 - テンソル表現,縮約計算,テンソル分解と低ランク近似 -

テンソル分解のアルゴリズムやテンソルデータ解析の応用の定式化を学びたい人におすすめします.
テンソル分解を含めたテンソルデータ解析の基礎理論について詳しくイメージ図を交えながら説明をしてくれており,何となく聞きかじったことのあるアルゴリズムが整理しやすいありがたい解説本という印象を受けました.特にテンソル分解について代表的な3アルゴリズムをわかりやすく解説してくれています.
強いて欠点を挙げるとすれば応用の説明が期待はずれでした.後半で解説しているテンソルデータ解析の応用例は問題・解法の定式化を丁寧にいている反面,具体的な応用例が少数しか掲載されていません.また,テンソル分解が目立たないような解説になっていて,頑張って理解したテンソル分解が...という気持ちになります.

読者モニターレビュー【 napo 様(業界・専門分野:IT業界)】 掲載日:2024/06/24
人工衛星・惑星探査機のための宇宙工学

本書は、太陽系の惑星の特徴からロケット方程式、人工衛星の軌道設計まで幅広くカバーしています。
数式を理解するためには大学レベルの微分積分、線形代数、物理学の知識が必要ですが、第7章で基本的な概念が解説されており、専門知識がなくても挑戦可能だと思います。
専門外の方には数式が難解に感じられるかもしれませんが、すべての数式を追う必要はなく、内容は丁寧に説明されています。
私自身、知識が不足し、また忘れている部分もありましたが、理解に支障はありませんでした。
数式と理論だけでなく、適用された実際のミッションの例も記載されており、理解や知識を深めるのに役立ちました。
宇宙業界に関わりたい方、すでに関わっている方や、宇宙自体に興味がある方に特におすすめの一冊です。

読者モニターレビュー【 大手 希望 様 (業界・専門分野:医用画像工学)】 掲載日:2024/06/24
テンソルデータ解析の基礎と応用 - テンソル表現,縮約計算,テンソル分解と低ランク近似 -

本書はテンソルデータ解析の基礎と応用について、平易な語り口で述べたものです。テンソルの演算、線形代数の特異値分解を紹介した後、本書の肝となるテンソル分解について説明します。テンソル分解には、CP分解、タッカー分解、テンソルトレイン分解などがあり、本書を読むことによってそれらの違いを正確に理解することができます。また、応用として、ノイズ除去、補間、ボケ補正、超解像、フーリエ変換・ラドン変換に基づく画像再構成、圧縮センシングについて、コンパクトにまとめられています。ノイズ除去は、信号とノイズの2つの未知パラメータを1つの観測データから推定しなければならないため不良設定問題になるという説明はとてもわかりやすいです。交互方向乗数法、近接勾配法についてもまとめられており、ハイブリッドなデータ解析に興味のある読者にも有用な内容となっています。

【書評】JAXA宇宙科学研究所 澤井 秀次郎 教授 (JAXA SLIMプロジェクト プロジェクトサイエンティスト) 掲載日:2024/06/19
人工衛星・惑星探査機のための宇宙工学

本書は、軌道力学やロケット工学の基礎をわかりやすく整理しており、これから学ぼうとする学部学生や、人工衛星や探査機の現場で研究開発に取り組むエンジニア、更にはこれから天体探査ミッションを検討しようとする研究者等にも是非とも手に取ってほしい一冊である。
本書の大きな特徴のひとつとして、宇宙工学を題材として現場の研究開発と基礎的な数学や物理がどのように結びつくのかを平易に解説している点がある。たとえば、有名な公式の導出を丁寧に解説しており、学生諸氏にとっては、これまで自身が取り組んできた数学や物理の知識がどのように宇宙開発の現場で役立っていくのかを実感できる良書である。式の展開が続く教科書は全体像がわかりにくくなりがちであるが、本書では随所に具体的・現実的な問題設定に基づく「例題」があって、数式遊びになることはない。
本書の例題やコラムは現場に即しているため、軌道力学の数式を正確に暗記していない分野外のエンジニアにとっては、これらを見るだけでも大いに助けになるはずである。また、特に若い読者の中には、本書で必要な基礎的な数学や物理に精通していない方もいるかもしれない。本書はそういう読者もないがしろにしない。第7章には必要な基礎が平易に整理されている。
また、軌道力学・ロケット工学としての教科書としては異例であるが、第2章では太陽系天体の概要やそれらへの探査の歴史がまとめられている。本書を学ぶモチベーションを大いにかき立てられると同時に、ひとつの独立した読み物としても迫力がある。

読者モニターレビュー【 アマサイ 様(業界・専門分野:電子工学)】 掲載日:2024/06/06
トポロジー最適化の基礎 - 弾性体ならびに熱流体関連工学諸問題への応用のために -

トポロジー最適化とは、設計で使える空間にどのように材料を配置すれば最適な構造となるのかを明らかにする解析である。設計空間・荷重条件・拘束条件・制約条件を与え、所望の性能指標を最大化する材料の配置を計算し、設計空間モデルで想定される製品の使用環境やスペックに対して最適形状を見つけることである。筆者はこの分野には明るくない。それでも「基礎」を信じて頁をめくってみた。数式はたくさん出てくるが工学系であれば、読み解けれるレベルである。特に「2.トポロジー最適化の基本的な考え方」を丹念に読んでおけば、あとの章はスムーズに読み進めることができる。弾性体にしても熱流体にしても物理の知識を引き出し、数式を追っていけば理解できるであろう。シミュレーションの図が豊富なのも大いにためになる。読後に門外漢の私でもトポロジー最適化の議論に入れるのではないかと思う。いやいや早合点は禁物である。引用・参考文献の中から選んだ本を読みながら、本書を読み返し、専門家の意見を聴く機会に臨もう。

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】 掲載日:2024/05/21
デジタルファブリケーションとメディア

本書は「メディアテクノロジーシリーズ」の6巻目に位置する書籍である.本巻では「デジタルファブリケーション」というデジタルデータを基にしてモノを創り出す技術についての記述がなされている.

本書は,全4章で構成されているが,それぞれ独立した形で記述されているため,興味のある章から読むという自由度がある点も本書の特徴である.

1章では,「デジタルファブリケーション」とは何かということを理解する上で,そもそも「デジタル」というものを改めて考えていくことから始まり,「デジタルファブリケーション」の定義などの解説がなされている.1.2節「離散性」の意味と意義では,通信のデジタル(離散)化を考える上で,クロードシャノンの「通信デジタル化」の箇所は,情報理論でおなじみの内容であり,デジタルファブリケーションの分野でも関連性があるのかと興味深く読ませていただいた.

4章の「コラム:自分でデザインしてみたいものを身の回りで探してみよう」にも解説してあるように,デジタルデータを基に何かモノを作ってみたいけど,何を作っていいのかアイディアがいまいちピンとこない方いると思われるが,現実の日常生活で,こういうモノがあればより便利なのにという,発想のヒントみたいなものがこのコラムから得られるようにも感じた.

読者モニターレビュー【 からあげ 様(業界・専門分野:制御工学、強化学習)】 掲載日:2024/05/07
医療従事者のための基礎物理学

本書は医療従事者の方が普段使用される機器などについて、物理学の観点からその背景を説明するものです。
各章ではまずそれぞれの基本的な内容からはじまり、おおむね章末で「医療従事者の方が関わる具体的な例」を示しています。例えば、波の章ではその基本的な内容を説明したのちにドップラー効果に触れ、救急車の音と「ドップラー血流計」について述べています。
本書では当然数式での説明もなされていますが、あまり難しい印象は受けませんでした。丁寧な語り口で微細にわたって説明がなされており、また図での説明も多いため数学・物理学が苦手な方でもとっつきやすいように感じます。医療従事者の方だけでなく、物理学を学びたい学生の方などにもおすすめできる書籍だと感じました。

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