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発変電工学

発変電工学

大学学部での講義を想定した教科書。重要な概念と知識を深く理解させ,演習などを通してそれらを定着させることに主眼を置いた。各種機器のカラー画像や,問題の解説動画,用語の解説記事などを設けたサポートページが利用可能。

発行年月日
2025/08/25
定価
2,970(本体2,700円+税)
ISBN
978-4-339-00997-2
在庫あり

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読者モニターレビュー【 たーぼー 様 (業界・専門分野:自動車部品業界・物性物理学、プラズマ物理学)】

掲載日:2025/09/18

本書は、電力システムの根幹をなす発電・変電の理論と技術を体系的に整理した良書である。電気エネルギーを生み出す「発電」と、電気エネルギーどうしの間でエネルギー変換を行う「変電」の解説から始まり、各種発電方式の特徴、変電設備の役割、さらには系統運用における安定性や信頼性の確保に至るまで広範に及ぶ、電力工学の基盤を理解するうえで極めて有用なものである。特筆すべきは、単なる基礎理論の記述にとどまらず、電力システムの実際的な課題や最新技術の動向にも言及している点である。例えば、変圧器や遮断器といった主要機器に関する解説では、理論的な動作原理と同時に、設計上の留意点や運用上の制約にも触れられており、研究と実務を橋渡しする視点が示されている。これにより、学術的知見を実社会に適用する際の具体的イメージを獲得できる。また近年、電力系統で重要視されるようになった電力貯蔵の持つ意味合いやその具体的な内容について述べられており、発変電工学の体系的な習得が将来的な電力ネットワークの高度化や安定化に資する研究を進めるうえで不可欠であることを認識させられる。