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機械系のための力学通論

機械系のための力学通論

動力学の体系的な基礎知識を確実に習得するための1冊。機械や構造物の動的挙動に焦点を当て,大学初年度で学ぶ一般力学から専門課程において学ぶ機械力学や機械振動学に至るまでを,一貫した視点と統一的な表現で解説した。

発行年月日
2025/11/05
定価
4,840(本体4,400円+税)
ISBN
978-4-339-04696-0
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

読者モニターレビュー【 onia 様 (業界・専門分野:振動・音響)】

掲載日:2025/11/14

本書は、動力学を体系的に学べる良書です。導出や解説がとても丁寧であることはもちろん、補注の内容も興味深く、背景理解を深めながら読み進められる点が特に魅力です。
内容は数式で解釈可能な解析的手法に焦点を当て、数値解析手法には踏み込まないですが、動的現象を数理的にモデル化し、解釈する力を養うことができます。
演習問題は振り返りにも最適で、ボリュームも解説も充実しています。
著者により提案された新型複素モード解析手法の紹介は個人的には特に興味深く、改めて手を動かしながら学び、実務での応用も検討してみたいと思いました。

読者モニターレビュー【 上道 茜 様 山口大学工学部 (業界・専門分野:機械工学(熱流体、流体関連振動))】

掲載日:2025/10/30

近藤孝広先生の『機械系のための力学通論』は、まさに力学の「通論」と呼ぶにふさわしい1冊である。本書の前書きどおり、すべての数式展開が詳細かつ丁寧で、学習をサポートしてくれる。本書の構成も非常に周到で、1〜3章で力学を学ぶための準備を行った後、4〜12章で機械系学生が学部1年生で履修する基礎的な力学の内容を網羅している。さらに13章以降では、回転機械の振動、多自由度系・連続体の振動、振動制御といった実用的なテーマを深く掘り下げており、学生だけでなく社会人にとっても有用な内容となっている。高度な内容も含まれるが、重要な概念がしっかりと網羅されており、力学および機械力学を学ぶ上で大きな助けとなるだろう。豊富な例題・演習問題とその解説が極めて丁寧なのも特長だ。随所に散りばめられたコラムも知的好奇心を刺激し、楽しみながら力学を深く学ぶことができる。

読者モニターレビュー【 overload 様 (業界・専門分野::機械工学(特に機械工作))】

掲載日:2025/10/17

近年は大学等の機械系学科として卒業生にはどんな技術的職種や研究分野に進もうとも最低限必要となる機械力学(振動学)の内容をとてもコンパクトかつ平易にまとめたテキストがかなり増えてきているように感じますが、本書は、機械力学(振動学)を技術的な職務や研究でツールとして用いるのに必要な、一般的な大学の講義用教科書を超えた高度なレベルが主に扱われているという意味で、プロフェッショナル志向なテキストといえそうです。
そのような内容のため、学生というよりかは現場の設計開発等で機械力学(振動学)を使いこなす必要のある現場の技術者や、研究の過程でそのようなプロ志向の機械力学(振動学)の素養が必要になってくる大学院生向きの一冊ではありますが、大学学部までに教えきれなかった内容を教授するという意味では、大学院の機械力学(振動学)特論みたいな科目のテキストとしても使えそうです。

あとは専門科目のコマ数や時間配分が比較的恵まれていて教員の各科目における分業が大学ほど徹底していない高専(高等専門学校)では、一人の教員が初歩の力学・工業力学(高専本科2-4年程度)からそれに続く機械力学(振動学)(本科4-5年程度)、さらに続編の(機械)力学特論(専攻科)といった流れで本書を最初から最後まで通読させることも可能かと思います。数式の分量がかなり多めですが、数式展開を丁寧に行っているが故のことで、数学的補足も比較的充実しているので、力学の理解に必要な大学理系一般教養レベルの数学を専門科目と同時並行か、下手したら数学よりも先に専門の力学を履修する必要のある高専の方が本書の有難みは大きいかもしれません。