電磁気学

電磁気学

電磁気学の本質をきちんとつかみたい人のための本。偉大な先人達が導いた式の導出やその意味を懇切丁寧に解説した。電磁気学にはベクトル解析の知識が不可欠であり,本書で使う記号に慣れてもらう意味で,数学的準備の章も用意した。

ジャンル
発行年月日
2010/06/30
判型
B5
ページ数
424ページ
ISBN
978-4-339-00814-2
電磁気学
在庫あり
2営業日以内に出荷致します。

定価

4,180(本体3,800円+税)

カートに入れる

購入案内

  • 内容紹介
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介

電磁気学の本質をきちんとつかみたい人のための本。偉大な先人達が導いた式の導出やその意味を懇切丁寧に解説した。電磁気学にはベクトル解析の知識が不可欠であり,本書で使う記号に慣れてもらう意味で,数学的準備の章も用意した。

1. 序章

2. 数学的準備
2.1 微分と積分
2.2 スカラ関数とベクトル関数
2.3 座標系
2.4 ベクトルの積
2.5 ベクトル関数の微分
2.6 線積分
2.7 面積積分
2.8 体積積分
2.9 勾配
2.10 ベクトルの発散とガウスの定理
2.11 ベクトルの回転とストークスの定理
2.12 幾つかの重要なベクトル公式
2.13 簡単な微分方程式
章末問題

3. 真空中の静電界
3.1 電荷の分布
3.2 クーロンの法則
3.3 近接作用と電界
3.4 電気力線
3.5 ガウスの法則
3.6 電界と電位・静電ポテンシャル
3.7 電気双極子と電気2 重層
3.8 多重極展開
3.9 静電エネルギーとマクスウェルの静電応力
3.10 コンデンサと静電容量
章末問題

4. 誘電体中の静電界
4.1 静電容量と誘電率
4.2 分極と分極ベクトル
4.3 分極電荷とコンデンサの中の電界
4.4 誘電体中の静電界の基本法則
4.5 一様な誘電体中の電界とコンデンサの容量
4.6 境界条件
4.7 誘電体に働く力?
4.8 コンデンサに働く力とMEMS
4.9 誘電体のやや微視的考察?
章末問題

5. 静電界に関する境界値問題
5.1 静電界の基本法則
5.2 境界値問題-ラプラス方程式の解法-
5.3 電気影像法
5.4 等角写像法?
5.5 ラプラスの方程式の近似解法?
章末問題

6. 定常電流
6.1 定常電流と保存則
6.2 オームの法則
6.3 起電力がある場合のオームの法則
6.4 定常電流の空間分布
6.5 キルヒホッフの法則
6.6 導体の熱作用
章末問題

7. 真空中の静磁界
7.1 磁石による磁気作用と電流による磁気作用
7.2 アンペアの力とその応用
7.3 ローレンツ力とその応用
7.4 ビオ・サバールの法則
7.5 ベクトルポテンシャル
7.6 静磁界におけるガウスの法則
7.7 アンペアの法則
7.8 定常電流に働く力
章末問題

8. 磁性体中の静磁界
8.1 物質の磁化
8.2 磁性体に対する基本法則
8.3 磁気回路
8.4 物質の磁性
8.5 永久磁石
8.6 磁性体の応用
章末問題

9. 電磁誘導
9.1 ファラデーの電磁誘導の法則
9.2 運動する導体に発生する起電力
9.3 電磁誘導に起因する現象
9.4 電磁誘導を利用した装置
9.5 準定常電流による磁界
9.6 インダクタンス
9.7 インダクタンスと磁気エネルギー
章末問題

10. マクスウェルの方程式と電磁波
10.1 変位電流
10.2 マクスウェルの方程式
10.3 電磁波の伝搬
10.4 エネルギー保存則とポインティングベクトル
10.5 電磁ポテンシャル
10.6 正弦振動する電磁界
10.7 アンテナからの電磁波放射
章末問題

11. 電磁気学と電気回路
11.1 準定常電流と基本方程式
11.2 エネルギー保存則
11.3 回路方程式
11.4 簡単な電気回路
章末問題

引用・参考文献
章末問題解答
索引

amazonレビュー

宇野 亨(ウノ トオル)

世界的にも著名な気鋭の電磁界解析研究者が共著で電磁気学の教科書を出版すると聞き,大いに期待していた.最新技術動向を含む計算電磁気学への適用を見据えたものを予想していたが,手にとった印象は意外なものであった.非常に懇切丁寧な初学者向けの教科書なのである.学部生が最初に読むものとして書かれた電磁気学の教科書は多数出版されているが,決定版といえるものを皆様は御存じであろうか.個人の好みもあるが,どの教科書にも一長一短があり,自信を持って薦められるものは少ない.本書はそのジレンマへ挑戦したものであり,無線技術を志す若手への贈り物である.本書の特長として,まず,学術的に疑いがないもののみを選択し,正確に記述している点が挙げられる.教科書には個人の思いが入り,ともすれば誤りや誤解を招く記述があるが,本書は著者間の議論により高い普遍性を達成していると思われる.本書の記述は正しく,読者は幾度も読み返し,よりどころとしてよい.更に,これは両氏の専門性から当然だが,電磁界が書かれた図が非常に正確なことも挙げられる.恐らく,境界値問題を数値計算して記載されたのであろう.これは物理学者が電磁界を想像して書いた教科書にはまれであり,計算機が有効利用できる現代の教科書といえる.本書を見て得られた電磁界への視覚は正しく,読者はこれを記憶すべきである.更なる特長は,電磁気学中級へ向かう道のりが他書の参照を必要としない書き方で効果的に達成されている点である.適切な厚さの電磁気学の教科書の書き方としては,ベクトル解析を丁寧に載せて偏微分方程式の境界値問題を別の書物へ譲る方法,若しくは,前者は付録程度に抑えて後者を強調する方法が一般的だが,本書はその中間をうまくバランスしている.すべての演習問題へも丁寧な解答が巻末に与えられている.読者は,最初は少々難しいところがあっても本書をまずは通読し,更に幾度も読み返すことにより,より高度な古典的名著へ確実にアタックすることができる.現役の研究者も電磁気学の学び直しの書として,著者らがあえて省いた行間を自らの思いで埋めながら読み進むことができる.近年まれな力作であり,名著の呼び声が高まるであろう.
(紹介者 宮下裕章正員 三菱電機株式会社情報技術総合研究所)電子情報通信学会誌2010年12月号より抜粋