いのちの倫理学

いのちの倫理学

人間が生命をどのようなものと見なすかということが,生命に対する人間の態度を大きく左右するであろう。本書は,現代の医療技術や生命科学技術における生命との向き合い方や,倫理的な問題について,多角的に捉え,論じた。

ジャンル
発行年月日
2004/10/01
判型
A5
ページ数
246ページ
ISBN
978-4-339-07776-6
いのちの倫理学
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定価

2,860(本体2,600円+税)

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人間が生命をどのようなものと見なすかということが,生命に対する人間の態度を大きく左右するであろう。本書は,現代の医療技術や生命科学技術における生命との向き合い方や,倫理的な問題について,多角的に捉え,論じた。

1章 医療における「安全」とは何か
 1.1 はじめに
 1.2 医療における「安全」の概念
 1.3 事例に見る「安全形成」プロセス
  1.3.1 事例1
  1.3.2 事例2
 1.4 医療における「安全形成」のダイナミクス
  1.4.1 対話が拓くリスクを超えた関係
  1.4.2 医療における「安全」の概念:再考
 1.5 医療従事者の直観を万人のための処方に
 1.6 おわりに

2章 医療者の言語,患者のことば
 2.1 ちちんぷいぷい――医療の原風景
 2.2 思いのすれ違い――医療者と患者の断絶
 2.3 自己決定とインフォームド・コンセント
 2.4 すれ違う「ことば」
 2.5 誠実さのパラドックス
 2.6 医療者の言語,患者のことば

3章 われわれの知る権利・知る義務――共同の冒険者として――
 3.1 はじめに――脳死問題が残したもの
 3.2 知る者と知らない者とのギャップ
  3.2.1 ES細胞研究
  3.2.2 先端医療の概念をめぐるギャップ
  3.2.3 欧米諸国への遅れというキーワード
 3.3 ギャップ克服への道
  3.3.1 二つの可能性
  3.3.2 インフォームド・コンセントの概念と歴史
  3.3.3 先端医療におけるインフォームド・コンセントの課題
 3.4 共同の冒険者の知る権利・知る義務
  3.4.1 「われわれ」の「知る義務」
  3.4.2 「われわれ」とは誰のことか
  3.4.3 「われわれ」は何を知るべきか――手段の価値と目的の価値
 3.5 おわりに――「われわれ」としての「われ」

4章 医学実験と倫理委員会制度
 4.1 はじめに――医学と実験
 4.2 実験倫理の古典的立場――ベルナールとボーモント
 4.3 古典的立場の再確認――「ニュルンベルグ綱領」と「ヘルシンキ宣言」
 4.4 倫理委員会制度の登場――実験スキャンダルと「ヘルシンキ宣言」修正
 4.5 現行「ヘルシンキ宣言」の審査体制――事前審査とモニタリング
 4.6 倫理委員会審査とその問題点

5章 PVS患者の生と死
 5.1 はじめに
 5.2 カレン・クィンラン症例
 5.3 その後の代表的な関連症例
 5.4 PVS――過程としての死
 5.5 〈滑り坂〉に対する,カズイスチカ的な縛り
 5.6 おわりに

6章 生命科学・技術者の論理と倫理
 6.1 はじめに
 6.2 生命を語る論理
  6.2.1 ディジタル化する生命像
  6.2.2 生命進化はディジタル志向
  6.2.3 ディジタル生命の創出
 6.3 生命を扱う倫理
  6.3.1 人の問題としての「生命倫理」
  6.3.2 生命システムの問題としての「生命の倫理」
  6.3.3 医療における生命システムの問題
 6.4 生命の論理と倫理が結びつく必然性
  6.4.1 DNAを操作するということ
  6.4.2 客観的であるということ
  6.4.3 論理と倫理は独立したものか
 6.5 「生命の倫理」を実現するルール
  6.5.1 ルールを作る
  6.5.2 生命システムの基本ルール
  6.5.3 安全性と社会性
 6.6 おわりに

7章 ロボット・セラピー・システム
 7.1 はじめに
 7.2 ロボット・セラピーとアニマル・セラピー
 7.3 ロボット・セラピーの事例
  7.3.1 ロボットの開発
  7.3.2 ロボット・セラピーの実践
  7.3.3 今後の展開
 7.4 おわりに――人間とロボットの共生社会を目指して

8章 生命システムと供養
 8.1 はじめに――まず臨終をならふて
 8.2 生命倫理と生命システム
  8.2.1 「生命倫理」の変遷
  8.2.2 生命システムと生物
 8.3 縁――いのちのネットワーク
  8.3.1 五蘊説と縁起の理法
  8.3.2 不殺生戒――インド・仏教の生命倫理
 8.4 供養について
  8.4.1 「供養」の原語
  8.4.2 あの世送り
 8.5 実験動物供養と器物供養
  8.5.1 実験動物供養
  8.5.2 器物供養とエコシステム
 8.6 おわりに――いのちの遠近法

9章 誰が遺伝子を誤解しているか
 9.1 これは誤解なのだろうか
 9.2 設計図の比喩
 9.3「ゲノム=設計図」という見方はどのようなものか
 9.4 専門家にとっての設計図の意味
 9.5 科学的概念の社会的広がり
 9.6 おわりに

10章 医療空間と合意形成
 10.1 はじめに
 10.2 「価値構造」と合意形成
 10.3 感性的な創造性の尊重
 10.4 社会的合意の基礎
 10.5 医療空間での合意形成の手法

索引

桑子 敏雄(クワコ トシオ)

【著者紹介】
哲学の研究をベースにしつつ、公共事業やまちづくり、環境・インフラ分野のプロジェクトにおいて、合意形成とプロジェクトマネジメントの実践と研究を長年にわたり行っている。
国や自治体のプロジェクトに関わるなかで、計画どおりに進めることが必ずしも現実の課題解決や価値の実現につながらない場面を数多く経験し、プロジェクトを単なる計画の遂行としてではなく、関係者との相互作用のなかで価値が生成されていく営みとして捉え直す理論を構想してきた。
現在は、一般社団法人コンセンサス・コーディネーターズ代表理事として、実務の現場と理論の往復を続けている。 

【略歴】
群馬県太田市生まれ。
1975年に東京大学文学部哲学科を卒業、1980年に同大学院博士課程単位修得退学。東京大学文学部助手を経て、1994年に博士(文学、東京大学)の学位を取得した。
1981年に南山大学文学部講師、1984年に同助教授、1989年に東京工業大学工学部助教授、1996年に同大学院社会理工学研究科教授を務めたのち、2018年より東京女子大学現代教養学部教授を務め、2022年に退職した。
この間、1983〜84年にケンブリッジ大学客員研究員、2002〜03年にフランス国立社会科学高等研究院客員教授、2009〜11年に大連大学客員教授として研究活動を行っている。

哲学研究と並行して、公共政策や社会的実践の現場に深く関わり、これまでの研究・実践の成果である「社会的合意形成技術」と「プロジェクトマネジメント技術」を統合する形で、2014年に一般社団法人コンセンサス・コーディネーターズを設立した。
研究・著作活動と並行して、河川、海岸、道路、森林管理、農村インフラ整備、都市計画など、公共政策に関わる事業を中心に、行政と市民の間に立って対立や紛争を解決するコンサルティング活動に従事し、その理論化と方法論化にも取り組んできた。

【著作】
著書には、『エネルゲイア アリストテレス哲学の創造』(東京大学出版会、1993年)をはじめ、『気相の哲学』(新曜社、1996年)、『空間と身体――新しい哲学への出発』(東信堂、1998年)、『環境の哲学――日本の思想を現代に活かす』(講談社学術文庫、1999年)、『西行の風景』(NHKブックス、1999年)、『感性の哲学』(NHKブックス、2001年)、『理想と決断――哲学の新しい冒険』(NHKライブラリー、2003年)、『わたしがわたしであるための哲学』(PHP研究所、2003年)、『風景のなかの環境哲学』(東京大学出版会、2005年)、『空間の履歴――哲学エッセイ集』(東信堂、2009年)、『生命と風景の哲学』(岩波書店、2013年)がある。
また、社会的実践に関する著作として、『社会的合意形成のプロジェクトマネージメント』(コロナ社、2016年)、『わがまち再生プロジェクト』(KADOKAWA、2016年)、『何のための「教養」か』(ちくまプリマー新書、2019年)、『風土のなかの神々』(筑摩選書、2023年)などを刊行している。

大上 泰弘(オオウエ ヤスヒロ)

岡田 真美子(オカダ マミコ)

香川 知晶(カガワ チアキ)

金森 修(カナモリ オサム)

佐々木 能章(ササキ ヨシアキ)

浜田 利満(ハマダ トシミツ)

谷津 裕子(ヤツ ユウコ)

山田 有希子(ヤマダ ユキコ)