ケミカルバイオロジー基礎

ケミカルバイオロジー基礎

生命を理解しその機能を活用するための統合化学であるケミカルバイオロジーの教科書。

ジャンル
発行年月日
2020/06/05
判型
B5
ページ数
150ページ
ISBN
978-4-339-06761-3
ケミカルバイオロジー基礎
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定価

2,750(本体2,500円+税)

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ケミカルバイオロジーは総合化学で,物理化学,分析化学,有機化学,無機化学を軸に生命を理解し,あるいは積極的に生命活動を活用するための方法論です。

ケミカルバイオロジーを志す学生諸君のすべてが化学専攻とは限らないでしょう。薬学,農学,医学などに籍を置いているかもしれない。この本はケミカルバイオロジーを手掛かりに生命活動を理解していこうとする学生諸君が学部修了までに修めるべき”化学“のkeyを提供しています。

半期(14~15回の講義)で修了することを前提に12章で構成しました。各章末にはその章の理解を確かめるための「問題」を配置しています。解または解法は基本的に本文に記載したので,予習を先行するのであれば「章末問題」に目を通し,索引を頼りに本文を読んで考えてみると良いでしょう。

科学は必ずしも記述された言葉だけで理解できるのもではありません。実験とその結果,また結果を解析するための数式も大切です。式の導出では可能な限り置き換えと省略を避けました。理論式で描かれるグラフと実際の実験結果のプロットを比較することで仮説を検証することができます。自然現象を理解し,説明するための数式をあなた自身が言葉に翻訳し,文科系の友達にも理解できるよう語れるとき,その事項に対するあなたの理解は明確になっていることでしょう。

私自身が学生時代,理解に難義したところの記述では特に表現を選び,また多くの事項で図解に努めましたが言葉が足りないところもあるかもしれません。見開きの左右にやや広めの余白を設けたので,あなた自身の理解を助けたことを書き込むノートとしてください。(私自身が予備知識あるいは補足として書き込んでおいたところもあります。)この本を終えるころにはあなたが獲得した知識と理解で余白が埋まり,生命と生命活動を理解するのに必要な知識と技能の涵養だけでなく,あなた自身がより知りたいと思う生命の謎が深まっていることを期待します。

◆キーワード◆
ケミカルバイオロジー基礎,ケミカルバイオロジー,生命化学,生物化学,生物工学,生物物理化学,生物有機化学,分析化学,Introduction to Chemical Biology,Chemical Biology

Men in black, international(2019年に公開された映画)のセリフで,All the things happening in space are chemical reactions, anyway.というのがあったと思う。まさしく宇宙で起こる事象の一つとして生命があるのだから,生命は発生から現在の活動に至るまですべて化学反応によって営まれている。固有の性質をもった粒子である原子が化学結合して分子となり,分子が集合して細胞を構築する。分子はまたたがいに関わり合うことで反応を起こし,生命体を運転している。

そんな生命の起源にも思いをはせつつ,生命探求の旅に出よう。1章では生命活動を支える分子を俯瞰しよう。2章では分子を構成する化学結合と分子間相互作用,3章,4章ではそれぞれ分子固有の性質と分子間相互作用を利用した物質分離を考え,5章では生命体が分子集合体で組織されていることを理解しよう。6章では生命活動を営む分子(粒子)の移動と輸送を考えよう。7章では生命情報とその発現であるタンパク質合成を,8章でタンパク質の構造を定義する。9章ではタンパク質の働きとして受容体,酵素と基質の化学量論,結合阻害の定量的解析法を獲得しよう。10章~12章には代謝の異化と同化における化学反応を挙げている。これら代謝の化学反応では多くの酵素が関わっており(これについては,10章~12章の各章末の問題に挙げた),BRENDA,KEGG,PDBなどインターネット上の検索エンジン,データベースも使いこなしてほしい。

ケミカルバイオロジーは総合化学で,物理化学,分析化学,有機化学,無機化学を軸に生命を理解し,あるいは積極的に生命活動を活用するための方法論である。この本は生命理解の扉を開けるのに必要な化学のkeyを提供する。各見開きの左右にやや広めの余白を設けたので,あなた自身の理解を助ける事項を書き込むノートとしてほしい。この本を終えるころにはあなたが獲得した知識と理解で余白が埋まり,生命と生命活動を理解するのに必要な知識と技能の涵養だけでなく,あなた自身がより知りたいと思う生命の謎が深まっていることを期待する。

2020年4月   濱崎啓太

1.序論生命活動を構成する分子の概観
1.1 生命はどこで生まれたのか?
1.2 アミノ酸のホモキラリティー
1.3 核酸のホモキラリティー
1.4 糖質,アミロース,セルロース
1.5 脂質,細胞膜
章末問題

2.生命体を形づくる共有結合と非共有結合
2.1 イオン結合と共有結合
2.2 配位結合と金属タンパク質
2.3 水素結合
2.4 双極子モーメント
2.5 双極子–双極子相互作用
2.6 双極子–誘起双極子相互作用
2.7 分散相互作用
2.8 疎水性相互作用
章末問題

3.分子の大きさと質量に基づく物質分離
3.1 分子の大きさに基づく物質分離①濾過
3.2 分子の大きさに基づく物質分離②ゲル濾過
3.3 分子の大きさに基づく物質分離③電気泳動
3.4 分子の質量に基づく物質分離沈降と遠心
章末問題

4.分子間相互作用に基づく物質分離クロマトグラフィー
4.1 双極子–双極子相互作用を用いる物質分離順相クロマトグラフィー
4.2 疎水性相互作用を用いる物質分離逆相クロマトグラフィー
4.3 静電相互作用を用いる物質分離イオン交換クロマトグラフィー
4.4 分子の特異な相互作用を用いる物質分離アフィニティークロマトグラフィー
章末問題

5.粒子から組織へ脂質の会合と細胞膜の形成
5.1 脂質,脂肪酸,コレステロール,トリアシルグリセロール
5.2 細胞膜を構成する脂質
5.3 脂質分子の会合と細胞膜の形成
5.4 膜タンパク質と細胞膜
章末問題

6.物質輸送
6.1 分子(粒子)の運動
6.2 拡散と物質移動
6.3 受動輸送と浸透
6.4 能動輸送の駆動力
章末問題

7.生命情報
7.1 DNAの二重らせん,融解温度とDNAの変性
7.2 DNAとRNAの構造
 7.2.1 DNAとRNA構造の相違
 7.2.2 Hoogsteen型塩基対とDNAの三重らせん
 7.2.3 DNA四重鎖の形成
7.3 DNAからRNAへタンパク質合成に必要な遺伝情報の編集
 7.3.1 グループⅠイントロンスプライシング
 7.3.2 グループⅡイントロンスプライシング
7.4 タンパク質の生合成(翻訳合成)
7.5 タンパク質(ポリペプチド)の化学合成
7.6 生命情報発現の調節リボスイッチ
章末問題

8.タンパク質の構造
8.1 タンパク質の一次構造アミノ酸配列
8.2 タンパク質の二次構造主鎖の水素結合と二面角
8.3 タンパク質の三次構造側鎖の相互作用による折りたたみ
8.4 タンパク質の四次構造タンパク質の相互作用
8.5 タンパク質の折りたたみと構造の遷移
章末問題

9.タンパク質の働き
9.1 受容体と基質の解離定数の決定
9.2 受容体-基質に対する結合阻害
9.3 受容体と基質,複合体形成の温度依存,熱力学定数の決定
9.4 受容体と基質の結合の化学量論
9.5 受容体に対する基質結合の協同性,協同性の判定
9.6 酵素活性の評価
9.7 酵素阻害様式の判定
9.8 酵素の活性中心を構成するアミノ酸側鎖
9.9 酵素のpH依存
章末問題

10.生命活動を可能にするエネルギーの獲得
10.1 解糖によるATPの獲得
10.2 脂質の代謝によるエネルギーの獲得
章末問題

11.生命活動を維持するエネルギーの蓄積
11.1 グリコーゲンの合成
11.2 脂肪酸の合成
11.3 細胞膜を構成する脂質の合成
章末問題

12.生命活動を維持する分子の合成
12.1 アミノ酸の合成
12.2 ヌクレオチドの合成
 12.2.1 プリンヌクレオチドの合成
 12.2.2 ピリミジンヌクレオチドの合成
章末問題

引用・参考文献
索引

濱崎 啓太(ハマサキ ケイタ)

掲載日:2021/12/27

「生物工学会誌」2021年12月号広告

掲載日:2021/04/16

月刊「化学」2021年5月号広告

掲載日:2021/03/01

第60回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム講演要旨集広告

掲載日:2021/02/17

「現代化学」2021年3月号広告

掲載日:2020/11/02

「化学工学会誌」2020年11月号広告

掲載日:2020/06/03

「化学と工業」2020年6月号広告