実験の計画と統計的データ解析

実験の計画と統計的データ解析

実験計画の立て方から,統計的解析を基礎とした実験データ解析までを総合的に理解しよう!

ジャンル
発行年月日
2025/05/16
判型
A5
ページ数
176ページ
ISBN
978-4-339-03248-2
実験の計画と統計的データ解析
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定価

2,750(本体2,500円+税)

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【読者対象】
高専生,大学生,研究機関,企業などで実験に携わる方

【書籍の特徴】
実験の考え方からはじまり,実験計画の立て方,統計的解析を基礎としたデータ解析法を総合的に理解するための連続性を意識した構成となっている。
また,測定における誤差や精度などの考え方に加え,測定結果の信頼性を表現するための不確かさの考え方とその表記方法についても説明した。

【各章について】
第1章と第2章で,物理,化学,電気,機械など実験対象の分野によって実験の考え方や計画方法に特徴があるが,共通に考慮すべき基礎的なことを取り上げている。
1.科学・工学における実験
2.実験の構成

第3章と第4章では,実験における測定データの統計的解析,測定の不確かさの考え方を理解する。
3.測定データの統計的解析
4.測定の不確かさ

第5章以降では,実験で取り上げる変数間の関係の解析や関数モデルのあてはめ,さらに,複数の実験変数を取り上げた実験計画の方法とデータ解析の方法を理解する。
なお,多くの「実験計画法」の書籍では,第3章から第10章までの内容を網羅しているが,本書の第8章では,複数の因子間の相互関係を検証するための要因実験だけ説明している。
5.相関と回帰 ―実験変数間の関係の解析―
6.最小二乗法による実験式のあてはめ
7.検定と推定―実験結果の有意性の検証
8.実験計画法による因子実験とデータ解析
9.直交配列表による多因子実験とデータ解析
10.回帰分析による実験式の直線性の検証

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

大学や研究機関,企業において,研究や設計・開発,生産工程の設計・管理,試験検査など,さまざまな場面で実験(測定・試験・分析など)が行われている。この実験結果の質は,実験計画の質とデータ解析の方法に大きく依存する。理工系の学生にとっては自身の実験結果の信頼性を確保する上でも,実験計画の重要性を理解し,実験計画の立案方法や考え方,さらにデータの解析方法への理解を深めることが必要である。実際,企業においてさまざまな場面で日常的に行われるデータ処理には,実験データの信頼性担保の観点からも,データのばらつきの概念の理解と統計的知識の必要性が指摘されることも多い。

このことを踏まえて,本書では,実験の考え方,実験計画の立て方,さらに統計を基礎とする実験計画法を中心としたデータ解析の方法について学習できる内容にまとめた。実験データの数値解析に関する書籍は多くあるが,本書は,実験計画から実験データ解析の方法までを総合的に理解するための連続性を意識した構成となっている。

実験で取り上げた要因の効果を考察する上で,実験に伴う誤差の存在とその扱いの理解は重要である。本書では,実験で行う測定における誤差や精度などの考え方に加え,測定結果の信頼性を表現するための不確かさ(uncertainty)の考え方とその表記方法についても説明している。測定の不確かさの考え方は,基礎物理定数の表示や実験で使用する測定機器の校正証明など,おもに計量標準の分野で適用されているが,測定が実施されるさまざまな場面においても測定結果の信頼性表記の方法として適用が推奨されている。現在は,研究成果の公表や製品開発などの場面においてもデータ解析の結果の信頼性が強く問われるので,測定の不確かさの考え方は実験結果をまとめる上で意識してほしい内容である。

本書は,もともと産業界からの理工系の学生に対する要望(実験データのばらつきについての理解,データ処理の統計的理解および解析方法の知識習得)を受けて企画したものである。データのばらつきについての理解とデータの統計的解析の知識は,研究開発・設計や生産現場における製造品の管理など,企業活動のさまざまな場面で必要となるので,本書がその学習機会となることを期待したい。

本書の構成として,第1章と第2章では実験の考え方と実験計画の方法について説明している。物理,化学,電気,機械など実験対象の分野によって実験の考え方や計画方法に特徴があるが,本書では,実験計画の立案にあたって共通に考慮すべき基礎的なことを取り上げている。第3章と第4章では,実験における測定データの統計的解析,測定の不確かさの考え方を理解する。第5章以降では,実験で取り上げる変数間の関係の解析や関数モデルのあてはめ,さらに,複数の実験変数を取り上げた実験計画の方法と統計的データ解析の方法を理解する。なお,多くの「実験計画法」の書籍では,第3章から第10章までの内容を網羅しているが,本書の第8章実験計画法では,複数の因子間の相互関係を検証するための要因実験だけを説明している。本書で扱った解析方法は実験計画法の一部で,基礎的な内容であり,ほかにもさまざまな実験に有効な多くの方法がある。

本書で参考にした関連書籍を巻末に記載した。数理統計的根拠の詳細な学習や複雑な実験を行う場合に適用する実験計画法など,より詳細な学習は他書を参考にしていただきたい。

なお本書は,『実験とデータ解析の進め方』(立林和夫・宮城善一著,日科技連出版社(2018))を基にして,内容を見直して新しい構成で改めてまとめたものである。本書の出版にあたり,前書の共著者の立林和夫氏と出版社に謝意を表します。最後に,本書の企画から編集・校正まで一貫してお世話になったコロナ社にお礼申し上げます。

2025年3月吉日
著者代表 宮城善一

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1.科学・工学における実験
1.1 測定と実験
コラム1.A ガリレオの実験
1.2 科学的ということ
1.3 工学における実験
1.4 測定の仕組みと役割
1.5 測定に関わる用語
コラム1.B 測定と計測

2.実験の構成
2.1 実験の設計
 2.1.1 目的の確認
 2.1.2 実験対象量の選択
 2.1.3 因子とその水準の選択
 2.1.4 反復回数と実験順序の決定
 2.1.5 実験装置の選択と構成
 2.1.6 時間・コストへの配慮
 2.1.7 記録・解析方法の準備
コラム2.A データ解析用のソフトウェア
2.2 実験対象量の選択問題
 2.2.1 性能の指標と品質の指標
 2.2.2 目的特性と代用特性
 2.2.3 百分率特性とロジット変換
2.3 測定器の校正
2.4 数値の扱い
 2.4.1 有効数字
 2.4.2 数値の丸め方
 2.4.3 四則演算後の有効数字
コラム2.B 四捨五入によるかたより
演習問題

3.測定データの統計的解析
3.1 統計学のパラダイム―標本と母集団
3.2 ばらつきの指標―分散と標準偏差
コラム3.A 自由度
3.3 確率密度関数
3.4 標本平均の性質
3.5 さまざまな確率分布
 3.5.1 正規分布
 3.5.2 一様分布
 3.5.3 正規分布から導かれる分布
3.6 正規分布表とその使い方
演習問題

4.測定の不確かさ
4.1 測定の信頼性評価の必要性
4.2 ばらつきとかたより
4.3 測定の信頼性の定量的指標―不確かさ
コラム4.A 誤差と不確かさの分類
4.4 不確かさの評価方法
 4.4.1 タイプA評価
 4.4.2 タイプB評価
4.5 不確かさの合成
 4.5.1 測定モデル
 4.5.2 不確かさの伝ぱ則
4.6 不確かさの表現方法
コラム4.B 信頼区間が表すもの
演習問題

5.相関と回帰 ―実験変数間の関係の解析―
5.1 散布図と相関関係
5.2 相関係数の意味と求め方
5.3 回帰式の概念(相関のある2変数の関数モデル)
コラム5.A 相関係数の比較
演習問題

6.最小二乗法による実験式のあてはめ
6.1 最小二乗法の理論
6.2 最小二乗法による実験式の求め方の手順
6.3 実験式のあてはめの妥当性の検証
 6.3.1 決定係数の利用
 6.3.2 残差の検討
 6.3.3 回帰分析による検証
6.4 さまざまな実験式(曲線となる場合を含む)
演習問題

7.検定と推定―実験結果の有意性の検証
7.1 統計的検定の必要性
7.2 検定の考え方
7.3 検定に関する基本用語
7.4 統計的検定の方法
コラム7.A 検定における実験データ数の目安
 7.4.1 平均μに関する検定(σが既知の場合)
 7.4.2 平均μに関する検定(σが未知の場合)
 7.4.3 分散に関する検定(二つの母分散の違いの検定)
7.5 推定の基本的な考え方
演習問題

8.実験計画法による因子実験とデータ解析
8.1 実験計画法とは
8.2 実験計画法における基本
コラム8.A 反復と繰り返し
8.3 実験の種類
8.4 一元配置実験(一因子実験)の計画とデータ解析
 8.4.1 一元配置実験の計画
 8.4.2 データ構造のモデル
 8.4.3 二乗和の分解
 8.4.4 自由度の分解
 8.4.5 因子の効果の統計的検定
 8.4.6 分散分析
 8.4.7 分散分析後の母平均と区間推定
8.5 二元配置実験(二因子実験)の計画とデータ解析
 8.5.1 繰返しのない二元配置実験の計画
 8.5.2 データ構造のモデル
 8.5.3 二乗和の分解
 8.5.4 自由度の分解と分散分析
8.6 繰返しのある二元配置実験
 8.6.1 繰返しのある二元配置実験の計画
 8.6.2 主効果と交互作用
 8.6.3 データ構造のモデル
 8.6.4 二乗和の分解
 8.6.5 自由度の分解と分散分析
 8.6.6 分割実験の方法
コラム8.A 自由度の計算
演習問題

9.直交配列表による多因子実験と実験データ解析
9.1 直交配列表の構造
9.2 2水準系の直交配列表による実験データの解析
9.3 実験データの解析例(L_8直交配列表を使用した実験結果の解析例)
9.4 寄与率による要因効果の考察
コラム9.A 寄与率の計算
9.5 直交配列表への因子と交互作用の割付け
9.6 3水準系の直交配列表による実験データの解析
9.7 多水準作成法の割付け
演習問題

10.回帰分析による実験式の直線性の検証
10.1 回帰分析の考え方
10.2 単回帰分析
10.3 実験結果のグラフ化
演習問題

付録
付表1 正規分布表(Ⅰ)(kからPを求める表)
付表2 正規分布表(Ⅱ)(Pからkを求める表)
付表3 χ^2分布表(カイ二乗分布表)
付表4 t分布表
付表5 F分布表
付表6 直交配列表と線点図

引用・参考文献
索引

宮城 善一(ミヤギ ゼンイチ)

榎原 研正(エハラ ケンセイ)

関連資料(一般)

  • 演習問題解答

関連資料ダウンロードはこちら