高校数学でマスターする 現代制御とディジタル制御 - 本質の理解からMat@Scilab による実践まで -

高校数学でマスターする 現代制御とディジタル制御 - 本質の理解からMat@Scilab による実践まで -

古典制御について書かれた『高校数学でマスターする制御工学』の続編。前書と高校数学の知識でマスターできるようにした。

ジャンル
発行年月日
2015/09/25
判型
A5
ページ数
204ページ
ISBN
978-4-339-03218-5
高校数学でマスターする 現代制御とディジタル制御 - 本質の理解からMat@Scilab による実践まで -
在庫僅少
在庫が少ない商品です。品切れとなっている場合がございます。

定価

2,860(本体2,600円+税)

カートに入れる

電子版を購入

購入案内

  • 内容紹介
  • 目次
  • 著者紹介

古典制御について書かれた『高校数学でマスターする制御工学』の続編。現代制御とディジタル制御,およびそれらをマイコンに実装する際の現場的な工夫を,厳選した実例を示しながら前書と高校数学の知識でマスターできるようにした。

Part I【わかる編】
1. 現代制御を「わかる」
1.1 状態空間表現によるシステムの解析
 1.1.1 状態空間表現とは
 1.1.2 状態空間表現(A, B, C, D)を伝達関数G(s)に変換する
 1.1.3 あるシステムを表すA, B, C, Dの組合せは無限にある
 1.1.4 伝達関数G(s)を状態空間表現(A, B, C, D)に変換する
 1.1.5 安定性の解析
 1.1.6 状態方程式 x = Ax + Bu の解
 1.1.7 状態空間表現のブロック線図
 1.1.8 システムの接続
1.2 状態空間表現による制御系設計
 1.2.1 レギュレータとサーボ
 1.2.2 状態フィードバック
 1.2.3 極配置法
 1.2.4 可制御性
 1.2.5 オブザーバ(状態観測器)
 1.2.6 可観測性
 1.2.7 最適制御
 1.2.8 定常偏差をなくすサーボ
 1.2.9 状態フィードバックとオブザーバを併合した制御器
 1.2.10 併合系の定常偏差をなくすサーボ
 1.2.11 MATLAB を使ってH∞制御で混合感度問題を設計しよう

2. ディジタル制御を「わかる」
2.1 制御器を実装するためのディジタル制御
2.2 状態表現の制御器のオイラー法によるプログラム化
 2.2.1 PID制御器のオイラー法によるプログラム化
 2.2.2 伝達関数のオイラー法によるプログラム化
2.3 双一次変換による積分の近似
2.4 遅延演算子z^-1
2.5 z変換で離散化した状態方程式と伝達関数
2.6 オイラー法と双一次変換で離散化した状態方程式と伝達関数
2.7 サンプリング定理
2.8 オイラー法と双一次変換の周波数特性のずれ
2.9 ある周波数でずれない双一次変換のプリワーピング
2.10 ある周波数でずれないオイラー法のプリワープ処理
2.11 一般化双一次変換
 2.11.1 オイラー法の安定性
 2.11.2 双一次変換の安定性
 2.11.3 z変換の安定性
 2.11.4 一般化双一次変換による最適制御系とH∞ 制御系の指定領域への極配置
2.12 MATLABによる離散化

3. 現場の制御技術を「わかる」
3.1 アンチワインドアップ
 3.1.1 入力飽和とワインドアップ
 3.1.2 PID制御のアンチワインドアップ
 3.1.3 制御器がパルス伝達関数K(z)のときのアンチワインドアップ
 3.1.4 制御器が状態方程式のときのアンチワインドアップ
3.2 不感帯対策
3.3 ロボットの非線形補償
3.4 リミットサイクルを用いたPIDゲインの調整
3.5 フィルタによるノイズ対策
 3.5.1 フィルタとは
 3.5.2 LPF
 3.5.3 HPF
 3.5.4 MATLABでフィルタを設計しよう
 3.5.5 メディアンフィルタ
3.6 システム同定
 3.6.1 ステップ応答による同定
 3.6.2 周波数応答法
 3.6.3 最小二乗法
 3.6.4 周波数応答を用いた伝達関数G(s)の同定

Part II【ナットク編】
4. 【わかる編】を理論的裏付けして「ナットク」する
4.1 高校数学とその応用をナットクする
 4.1.1 微分と積分
 4.1.2 一次方程式とベクトル
 4.1.3 連立一次方程式と行列
 4.1.4 行列の足し算と引き算
 4.1.5 行列の定数倍
 4.1.6 行列の掛け算
 4.1.7 0の行列
 4.1.8 1の行列
 4.1.9 行列の割り算
 4.1.10 AA^-1 = A^-1 A = I の証明
 4.1.11 (XY)^-1 = Y^-1 X^-1 の証明
 4.1.12 逆行列補題
 4.1.13 行列A の転置AT
 4.1.14 (AB)^T = B^T A^T の証明
 4.1.15 (A^T)^-1 = (A^-1)^T の証明
 4.1.16 |A| = |A^T|の証明
 4.1.17 固有値とは
 4.1.18 AとA^Tの固有値が等しいことの証明
4.2 1章の現代制御をナットクする
 4.2.1 状態空間表現を伝達関数に変換する式の証明
 4.2.2 微分方程式から可制御正準形を求める方法の証明
 4.2.3 双対システムと元のシステムとが等価なことの証明
 4.2.4 同値変換しても固有値が不変なことの証明
 4.2.5 e^Atの性質の証明
 4.2.6 状態方程式 x = Ax + Bu の解の証明
 4.2.7 システムの接続の証明
 4.2.8 可制御性行列による可制御正準形への変換
 4.2.9 可制御と極配置の関係
 4.2.10 正定値行列
 4.2.11 Q, R > 0 のときQ +K^T RK > 0 の証明
 4.2.12 リアプノフ方程式とAの固有値
 4.2.13 最適制御のQ = qIとR = r の比が同じならばK が同じになることの証明
 4.2.14 最適制御の証明
 4.2.15 併合系の分離定理の証明
4.3 2章のディジタル制御をナットクする
 4.3.1 双一次変換で離散化した状態方程式
 4.3.2 一般化双一次変換による虚軸の円周上への移動
 4.4 3 章の現場の制御技術をナットクする
 4.4.1 自動整合制御のゲイン設定
 4.4.2 ベクトルθによる微分∂E (θ)∂θ
 4.4.3 最小二乗法は残差の二乗和を最小にすることの証明

Part III【役立つ編】
5. MATLAB を活用した制御系設計を行って「役立つ」
5.1 DCモータのモデリング
 5.1.1 動作原理
 5.1.2 モデリング
5.2 DCモータを状態フィードバックで制御しよう
 5.2.1 モータの状態フィードバックとブロック線図
 5.2.2 状態フィードバックを極配置法で設計しよう
 5.2.3 状態フィードバックを最適制御で設計しよう
 5.2.4 状態フィードバック系のステップ応答とボード線図
 5.2.5 状態フィードバックのアンチワインドアップ
 5.2.6 状態フィードバックのマイコンへの実装
 5.2.7 状態フィードバック最適制御のシミュレーション
5.3 DCモータの速度を出力フィードバックで制御しよう
 5.3.1 併合系を極配置法で設計しよう
 5.3.2 併合系をLQGで設計しよう
 5.3.3 併合系の混合感度問題をH∞制御で設計しよう
 5.3.4 出力フィードバック制御器をマイコンに実装しよう
 5.3.5 出力フィードバック制御器のアンチワインドアップをしよう
 5.3.6 出力フィードバックのシミュレーション

引用・参考文献
索引

小坂 学

小坂 学(コサカ マナブ)

私の専門は「フィードバック制御」、その研究一筋30年以上になります。
 「フィードバック制御」とは機械に望ましい動きをさせる技術です。家電や自動車など多くの機械に、この技術が採用されています。フィードバック制御は、機械の脳に当たる部分と言えます。例えば、エアコンは室温に応じて空気を冷やしたり、暖めたりして室温を設定温度に保ちます。室温を計測し、それに基づいて室温を調節する仕組みがフィードバック制御です。2001年には、ダイキン工業との共同研究でエアコンのモータの回転を効率よく制御する装置の開発に成功しました。私は研究の醍醐味は、「自分で考え思いついたことによって、機械の性能が向上すること」にあると思います。
 研究者としての原点は、幼少期にテレビで見た「人造人間キカイダー」にあり、その登場人物、頭の内部にある「脳」が透けて見える「ハカイダー」にワクワクしました。また、「ルパン三世」に登場した、本体が巨大な「脳」である「マモー」にも引きつけられました。「脳」への興味は、高校生になると人工知能への興味となり、「機械が人間のように知能を持ち、いろいろなことができるようになるのだろうか」と考え、大学は工学部に進みました。
 大学の研究室配属では、制御工学研究室を選びました。これが機械の制御との出会いでした。ロボットが目標の位置でピタッと正確に停止するためには、動作の基となる「数学」が重要となることを学びました。「数学」によって機械の性能を高める、「フィードバック制御」に魅了されました。
 これまでの研究では、エアコン制御、モータ制御、油圧制御などに関わりました。2007年には、脳卒中や脊髄損傷によって麻痺が残った人の足に、電気刺激を与えて筋肉を収縮させ、つま先を強制的に持ち上げるシステムに対し、足首が曲がる角度を計測し、その結果に応じて刺激の強さを決めるフィードバック制御技術を考案しました。私は人の役に立つものを作ることに、大きな喜びを感じます。
 現在は、機械の性能を限界まで高めるフィードバック制御理論の構築を目指して、日々研究に取り組んでいます。