高校数学でマスターする 電気回路 - 水の流れで電気を実感 -

高校数学でマスターする 電気回路 - 水の流れで電気を実感 -

「わかる編」「ナットク編」「役立つ編」の3つの構成にした。高校数学で電気回路をマスターできるようわかりやすく解説した。

ジャンル
発行年月日
2015/04/30
判型
A5
ページ数
192ページ
ISBN
978-4-339-00876-0
高校数学でマスターする 電気回路 - 水の流れで電気を実感 -
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定価

2,640(本体2,400円+税)

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「わかる編」では物理法則を実感できるよう電気を水の流れで捉え,電気回路の解析方法と設計方法を説明する。「ナットク編」では高校数学の知識で電気回路の理論的裏付けをし,「役立つ編」では身の回りで役に立っている電気回路の実例を学ぶ。

Part I【わかる編】
1電気回路と水の流れを「わかる」
1.1 抵抗R と水の流れ
1.1.1 電力と電力量とは
1.1.2 抵抗のエネルギー
1.1.3 アース
1.1.4 キルヒホッフの法則
1.1.5 抵抗の直列接続と並列接続
1.2 コイルL と水の流れ
1.2.1 コイルの物理法則
1.2.2 コイルは水車と同じ
1.2.3 コイルの抵抗値
1.2.4 コイルのエネルギー
1.3 コンデンサC と水の流れ
1.3.1 コンデンサの物理法則
1.3.2 コンデンサはゴム風船と同じ
1.3.3 コンデンサの抵抗値
1.3.4 コンデンサのエネルギー
1.4 RLC と水の流れのまとめ
1.5 電気の単位
1.6 電気回路図の記号
1.7 抵抗・コイル・コンデンサの外観と読み方
1.7.1 カラーコードの読み方
1.7.2 コンデンサとコイルの読み方

2直流回路を「わかる」
2.1 電圧計・電流計・オーム計
2.1.1 電流計
2.1.2 電圧計
2.1.3 オーム計
2.1.4 ブリッジ回路
2.2 電池
2.2.1 電池の内部抵抗
2.2.2 電池の直列接続
2.2.3 電池の並列接続
2.3 キルヒホッフの法則による回路解析
2.3.1 電流源と電圧源の等価な変換
2.3.2 網目解析
2.3.3 節点解析
2.4 電気回路の他の定理
2.4.1 重ね合わせの原理
2.4.2 鳳・テブナンの定理
2.4.3 ノートンの定理
2.5 直流回路の電力
2.5.1 RLC の消費電力
2.5.2 RLC のエネルギー
2.5.3 抵抗の発熱による水温上昇
2.5.4 RLC の定格など

3交流回路を「わかる」
3.1 正弦波交流回路の解析
3.1.1 正弦波交流とは
3.1.2 正弦波交流とRLC
3.1.3 複素数表示
3.1.4 RL 直列回路
3.1.5 RC 直列回路
3.1.6 RL 直列回路とRC 直列回路によるフィルタ
3.1.7 RLC 直列回路(直列共振回路)
3.1.8 RLC 並列回路(並列共振回路)
3.1.9 実際のRLC 並列回路(並列共振回路)
3.2 交流回路の電力
3.2.1 実効値
3.2.2 正弦波交流の平均値
3.3 変圧器

4三相交流回路を「わかる」
4.1 三相交流回路の解析
4.1.1 Y 結線の電圧と電流
4.1.2 Δ 結線の電圧と電流
4.2 Y 結線とΔ 結線の変換
4.3 三相交流回路の電力

5二端子対回路を「わかる」
5.1 二端子対回路とは
5.2 Z パラメータ
5.2.1 Z パラメータとは
5.2.2 Z パラメータと直列接続
5.3 Y パラメータ
5.3.1 Y パラメータとは
5.3.2 Y パラメータと並列接続
5.4 h パラメータ
5.5 F パラメータ
5.5.1 F パラメータとは
5.5.2 F パラメータと縦続接続
5.6 相反性
5.6.1 相反性とは
5.6.2 相反性とパラメータ

Part II【ナットク編】
6わかる編を理論的に裏づけて「ナットク」する
6.1 高校数学とその応用を「ナットク」する
6.1.1 一次方程式とベクトル
6.1.2 連立一次方程式と行列
6.1.3 行列の足し算と引き算
6.1.4 行列の定数倍
6.1.5 行列の掛け算
6.1.6 1 の行列
6.1.7 行列の割り算
6.1.8 三角関数
6.1.9 複素数
6.1.10 オイラーの公式
6.2 2 章の直流回路を「ナットク」する
6.2.1 重ね合わせの原理の証明
6.2.2 鳳・テブナンの定理の証明
6.3 3 章の交流回路を「ナットク」する
6.3.1 共振の鋭さQ と角周波数
6.3.2 瞬時電力p (t) の平均値などの計算
6.3.3 複素数表示と有効電力・無効電力・皮相電力
6.3.4 正弦波交流の平均値
6.4 4 章の三相交流回路を「ナットク」する
6.4.1 位相が120◦ ずつずれた正弦波の和がゼロになることの証明
6.4.2 三相交流のY 結線の線間電圧と相電圧
6.4.3 三相交流のΔ 結線の相電流と線電流
6.5 5 章の二端子対回路を「ナットク」する

Part III【役立つ編】
7これまで学んだ電気回路が「役立つ」
7.1 直流回路が役立つ
7.1.1 電気ポットで水が沸く時間
7.1.2 ひずみゲージとブリッジ回路によるひずみ計測
7.2 交流回路が役立つ
7.2.1 直列共振回路によるテレビやラジオの選局への応用
7.2.2 変圧器と送電
7.3 三相交流が役立つ
7.4 二端子対回路が役立つ
7.5 伝送で役立つインピーダンス整合
7.5.1 供給電力の最大化
7.5.2 電源が内部抵抗r をもつとき
7.5.3 電源が出力インピーダンスZ をもつとき
7.5.4 インピーダンス変換
7.6 ノイズ除去で役立つフィルタ
7.6.1 フィルタとは
7.6.2 RC 直列回路とRL 直列回路によるLPF とHPF
7.6.3 RC 直列回路とRL 直列回路による他のフィルタ
7.6.4 ツインT ノッチフィルタ
引用・参考文献
索引

小坂 学

小坂 学(コサカ マナブ)

私の専門は「フィードバック制御」、その研究一筋30年以上になります。
 「フィードバック制御」とは機械に望ましい動きをさせる技術です。家電や自動車など多くの機械に、この技術が採用されています。フィードバック制御は、機械の脳に当たる部分と言えます。例えば、エアコンは室温に応じて空気を冷やしたり、暖めたりして室温を設定温度に保ちます。室温を計測し、それに基づいて室温を調節する仕組みがフィードバック制御です。2001年には、ダイキン工業との共同研究でエアコンのモータの回転を効率よく制御する装置の開発に成功しました。私は研究の醍醐味は、「自分で考え思いついたことによって、機械の性能が向上すること」にあると思います。
 研究者としての原点は、幼少期にテレビで見た「人造人間キカイダー」にあり、その登場人物、頭の内部にある「脳」が透けて見える「ハカイダー」にワクワクしました。また、「ルパン三世」に登場した、本体が巨大な「脳」である「マモー」にも引きつけられました。「脳」への興味は、高校生になると人工知能への興味となり、「機械が人間のように知能を持ち、いろいろなことができるようになるのだろうか」と考え、大学は工学部に進みました。
 大学の研究室配属では、制御工学研究室を選びました。これが機械の制御との出会いでした。ロボットが目標の位置でピタッと正確に停止するためには、動作の基となる「数学」が重要となることを学びました。「数学」によって機械の性能を高める、「フィードバック制御」に魅了されました。
 これまでの研究では、エアコン制御、モータ制御、油圧制御などに関わりました。2007年には、脳卒中や脊髄損傷によって麻痺が残った人の足に、電気刺激を与えて筋肉を収縮させ、つま先を強制的に持ち上げるシステムに対し、足首が曲がる角度を計測し、その結果に応じて刺激の強さを決めるフィードバック制御技術を考案しました。私は人の役に立つものを作ることに、大きな喜びを感じます。
 現在は、機械の性能を限界まで高めるフィードバック制御理論の構築を目指して、日々研究に取り組んでいます。