システム同定

計測・制御テクノロジーシリーズ 9

システム同定

システム同定理論の基礎から最近の発展について解説。

ジャンル
発行年月日
2017/03/21
判型
A5
ページ数
264ページ
ISBN
978-4-339-03359-5
システム同定
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定価

3,960(本体3,600円+税)

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システム同定の有用な結果を得るためには,対象とするモデルの選択,入出力データの取得,パラメータ推定手法の選定などを適切に行う必要がある。本書では,システム同定理論の基礎から最近の発展について解説した。

本書のテーマである「システム同定」は,制御,予測,診断などを正確に行うためにシステムの数式モデルを観測データから構成することである。システム同定は,おもに制御工学において発展してきたが,その適用範囲は工学分野にとどまらず,生物,社会,経済,環境など多様な分野にまで拡大している。
同定手法も年々発展してきており,最近は微分方程式のような数理モデルで表すことが難しい対象でも,ニューラルネットワークなどを用いた数式モデル構成法が開発されている。

近年,実際のシステムを同定しようとするとき,同定のためのソフトウェアなどを使えばとりあえず何らかの同定結果が得られるようになっているが,有用な結果を得るには,対象のモデルの選択,入出力データの取得,パラメータ推定手法の選定などを適切に行わなければならない。これを行うには,対象についての深い知見とともにシステム同定理論に対する十分な理解を必要とする。

本書は,システム同定理論の基礎から最近の発展までについて解説したもので,四つの章から構成されている。
1章は,例題を用いて同定の概要を示し,また同定の歴史を述べている。
2章は,まず統計的推定の基礎理論について説明し,ついで単一入出力システムの同定手法として,標準的な手法のほかに変数誤差モデルの同定やサンプル値データに基づく連続時間システムの同定について述べている。また,多入力多出力システムのベクトル差分方程式による同定の問題点を検討している。
3章では,多入力多出力システム同定の問題点を解決する方法として, 状態空間モデルの直接同定法である部分空間同定法について述べている。確定システムの代表的な手法を示した後に,確率的システムの部分空間同定法を説明し,閉ループ系の同定などを概説している。
4章はニューラルネットワークによる非線形システムの同定について,またオンライン同定手法としての適応フィルタを用いた同定および時系列モデルの同定について述べている。学部学生や技術者にとっての便宜のために,線形代数と確率過程の基礎を付録に書いている。
なお,各章の執筆分担は以下である。
1章:和田 清,奥 宏史
2章:和田 清
3章:奥 宏史,田中秀幸
4章:大松 繁
付録: 奥 宏史,田中秀幸

2017年1月 和田清(執筆者代表)

1. はじめに
1.1 システム同定とは
1.2 例題―台車振子系の動特性―
 1.2.1 台車振子系の物理モデル
 1.2.2 台車振子系のシステム同定
1.3 モデルの分類
1.4 システム同定の歴史

2. システム同定の基礎
2.1 線形回帰モデル
 2.1.1 最小2乗法
 2.1.2 最小2乗推定量の性質
 2.1.3 繰返し最小2乗アルゴリズム
2.2 離散時間システムの同定
 2.2.1 インパルス応答の推定
 2.2.2 伝達関数の推定
 2.2.3 漸近バイアス
 2.2.4 出力誤差法
 2.2.5 一般化最小2乗法
 2.2.6 拡大最小2乗法
 2.2.7 補助変数法
 2.2.8 固有ベクトル法
 2.2.9 バイアス補償最小2乗法
2.3 連続時間システムの同定
 2.3.1 インパルス応答による同定
 2.3.2 連続-離散変換
 2.3.3 近似離散時間モデル
2.4 多変数系同定の問題点
 2.4.1 多変量回帰式
 2.4.2 ベクトル差分方程式
 2.4.3 パラメータ推定
問題

3. 部分空間同定法
3.1 歴史
3.2 実現理論
 3.2.1 確定系の実現理論
 3.2.2 確率系の実現理論
3.3 確定系の部分空間同定法
 3.3.1 確定系の部分空間同定問題
 3.3.2 MOESP法
 3.3.3 N4SID法
3.4 確率系の部分空間同定法
3.5 雑音を考慮した部分空間同定法
 3.5.1 OrdinaryMOESP法
 3.5.2 補助変数の導入
 3.5.3 PI-MOESP法
 3.5.4 PO-MOESP法
 3.5.5 雑音モデルの構造による同定法の選択
3.6 閉ループ部分空間同定法
 3.6.1 CL-MOESP法
 3.6.2 PBSID法
問題

4. ニューラルネットワークによる同定
4.1 ニューラルネットワークの概要
 4.1.1 構造的分類
 4.1.2 学習アルゴリズムによる分類
4.2 代表的なニューラルネットワークの学習アルゴリズム
 4.2.1 多層パーセプトロン
 4.2.2 遺伝的アルゴリズム
 4.2.3 GMDHニューラルネットワーク
 4.2.4 Elmanニューラルネットワーク
4.3 フィードフォワードニューラルネットワークによるシステム同定
 4.3.1 動的システムの記述
 4.3.2 入出力モデルによる同定
 4.3.3 状態空間モデルによる同定
4.4 数式モデルのパラメータ推定
 4.4.1 ニューラルネットワークによるパラメータ推定
 4.4.2 パラメータ推定の例
4.5 適応ディジタルフィルタ
 4.5.1 非巡回型フィルタ
 4.5.2 巡回型フィルタ
 4.5.3 適応フィルタによるシステム同定
4.6 時系列パラメータの同定
 4.6.1 AR(p)の同定
 4.6.2 MA(q)の同定
 4.6.3 ARMA(p,q)の同定
4.7 まとめ
問題

付録
A.1 記法と数学的準備
 A.1.1 線形代数の基礎
 A.1.2 行列による数値計算
 A.1.3 離散時間線形システムの基礎
 A.1.4 確率過程の基礎
A.2 証明および式の導出
 A.2.1 式(3.42)の証明
 A.2.2 式(3.82)の証明
 A.2.3 式(3.87)の証明
 A.2.4 式(3.138),(3.140),(3.141)の導出
 A.2.5 補題3.10の証明
 A.2.6 補題3.11の証明

引用・参考文献
問題解答
索引

和田 清(ワダ キヨシ)

大松 繁(オオマツ シゲル)