制御系設計論

制御系設計論

古典制御と現代制御の制御系設計論に加え,ロバスト制御やディジタル制御の基礎理論を解説

ジャンル
発行予定日
2021/12/上旬
判型
A5
ページ数
240ページ
ISBN
978-4-339-03237-6
制御系設計論
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定価

3,520(本体3,200円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

本書は,モノの動きをデザインするための方法をまとめた制御工学の教科書である。制御工学のスペシャリストとしての素養を身につけたい,断片的に知っている制御工学の知識を整理したい,辞書的な書籍を手元においておきたい,そんな人におすすめの一冊である。

ロボットを賢く動かしたい,機械・電気システムを安心安全に使えるようにしたい,そういった要求に応えるためには,制御システムを適切に設計する方法を知っておく必要がある。しかし,設計方法は一通りではない。制御対象のモデル表現として,伝達関数と状態方程式のどちらを選ぶかや,制御器の構造をどのように選ぶか,周波数領域と時間領域のどちらに注目して設計するかなど,多くの選択肢がある。そのため,直面する制御問題に対してベストな方法を選択できるように,さまざまな手法を学習し,それらの長短を理解しておくことが肝要である。

本書では,「制御系設計」をメインテーマとして,高専・大学・大学院で学習するさまざまな設計論を解説している。本書の構成は,以下の通りである。第1章では,「制御系設計論」というタイトルの意味を解きほぐすところから始め,制御系設計の勘所を説明する。第2章~第5章では,制御系設計で必要となるモデリングと制御系解析の重要な項目をまとめている。第6章では,制御系設計の仕様を整理しており,それに続く第7章~第14章では,伝達関数をベースとした古典制御論,状態方程式をベースとした現代制御論,ロバスト制御やディジタル制御の基礎理論を紹介している。

本書の特徴をいくつか紹介しておく。まず,読者が制御系設計論を体験できるように,例題をできるだけ取り入れるようにした。それから,対象を1入力1出力系に限定し,記述をすっきりさせることで,制御系設計のエッセンスを伝えるようにした。さらに,制御系設計手法の一つとして強化学習を紹介している点も新しい試みである。また,巻末には「Laplace変換」や「行列とベクトル」の基本性質のまとめや,制御工学の理解を深めるために有効な参考文献も記載してあるので,参考にしてほしい。なお,本書の章末問題の詳細な解答や補助教材をサポートページで公開している。

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

「対象物の動きをデザインしたい」この要請に応えるキーテクノロジーが制御工学である。制御工学の歴史を簡単に振り返ると,まず,1950年代に伝達関数をベースとする古典制御論が整備された。そして,1960年頃に状態方程式をベースとする現代制御論が登場し,1980年頃から,古典制御論と現代制御論の強みを生かしたロバスト制御論が整備されていった。現在では,幅広い分野の対象について,制御論が議論されており,制御工学は進化し続けている。

制御工学は,対象物のモデリング,解析,そして設計からなる。その中で「動きのデザイン」に直結するのが制御系設計であるが,その方法はさまざまである。例えば,制御対象のモデル表現として,伝達関数と状態方程式のどちらを選ぶかや,制御器の構造をどのように選ぶか,設計において,周波数領域と時間領域のどちらに注目するかなど,多くの選択肢がある。直面している制御問題に対して,ベストな方法を選択できることが望ましいが,そのためには,さまざまな手法の長短を理解しておく必要がある。

本書では,「制御系設計」をメインテーマとして,古典制御と現代制御の制御系設計論に加えて,ロバスト制御やディジタル制御の基礎理論を紹介している。本書の構成は,図のようになっている。第2~第5章では,モデリングと制御系解析の重要な項目をまとめている。第6章では,制御系設計の仕様を整理しており,それに続く第7~第14章では,さまざまな制御系設計手法を説明している。設計手法に関しては,高専や大学,大学院で学習する内容を網羅している。

本書の特徴をいくつか紹介しておく。まず,制御系設計の例題をできるだけ取り入れるようにした。それから,対象を1入力1出力系に限定し,記述をすっきりさせることで,制御系設計のエッセンスを伝えるようにした。さらに,人物名は,カタカナ表記のゆれを防ぐため,英語表記に統一した。

本書を執筆するにあたり著者が痛感したことは,制御工学の奥深さである。勉強するたびに新しい発見がある。その制御工学のすべてを限られたページ内で伝えるというのは,無理な話である。本書では,制御系設計手法の紹介に注力したが,すべてをカバーしきれていない。厳密さを欠いている部分も多々ある。是非,ほかの書籍を参考にしながら,制御工学の理解を深めていただきたい。なお,本書の章末問題の解答や補足内容,補助教材をサポートページ
https://y373.sakura.ne.jp/minami/csd
で公開している。ご活用いただければ幸いである。

本書をまとめるにあたり,さまざまな方にお世話になりました。日頃からご指導,鞭撻を賜っている大阪大学の大須賀公一先生,杉江俊治先生に心からお礼申し上げます。また,原稿をチェックしていただいた熊本大学の岡島寛先生や大阪大学石川・南研究室の高木勇樹君,吉田侑史君,荻尾優吾君,宮下和大君,田中健太君をはじめ,学生の皆さんに厚く感謝します。最後に,自宅で執筆する著者らをあたたかく見守ってくれた妻と娘に感謝します。

2021年11月
南裕樹,石川将人

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1. 制御系設計論とは
1.1 どのような学問か
1.1.1 動詞の学問
1.1.2 制御系設計論の気持ち
1.2 制御系設計論の勘所
1.2.1 ダイナミクス—システムの「記憶」—
1.2.2 因果性
1.2.3 フィードバック
1.2.4 不確実性
1.2.5 トレードオフ
章末問題

2. 動的システムの表現
2.1 常微分方程式
2.1.1 常微分方程式によるモデリング
2.1.2 常微分方程式を「解く」とは
2.2 状態空間表現
2.2.1 常微分方程式から状態方程式へ
2.2.2 状態方程式の一般形
2.3 伝達関数表現
2.3.1 常微分方程式から伝達関数へ
2.3.2 システムの結合とブロック線図
2.3.3 状態方程式表現と伝達関数表現の相互変換
2.4 非線形状態方程式と近似線形化
章末問題

3. 線形システムの特性
3.1 伝達関数の時間応答
3.1.1 インパルス応答
3.1.2 ステップ応答
3.1.3 1次系の時間応答
3.1.4 2次系の時間応答
3.2 状態方程式の時間応答
3.2.1 状態方程式の解と遷移行列
3.2.2 不変部分空間
3.2.3 2次系の固有値と解の振る舞い
3.3 周波数応答
3.3.1 正弦波応答
3.3.2 周波数応答
3.3.3 基本的なシステムの周波数応答
章末問題

4. 線形システムの構造
4.1 可制御性(可安定性)
4.2 可観測性(可検出性)と双対性
4.3 等価変換
4.4 可制御正準形と可観測正準形
4.5 状態空間の構造と正準分解
章末問題

5. 安定性とロバスト性
5.1 安定性の定義
5.1.1 (伝達関数の)入出力安定性
5.1.2 (状態方程式の)内部安定性
5.2 Routh—Hurwitzの安定判別法
5.3 Lyapunovの安定判別法
5.4 フィードバック系の内部安定性
5.4.1 フィードバック結合と内部安定性
5.4.2 Nyquistの安定判別法
5.4.3 安定余裕
章末問題

6. 制御系の設計仕様
6.1 制御系の性能評価
6.1.1 時間領域の指標
6.1.2 周波数領域の指標
6.1.3 s領域の指標
6.2 閉ループ系と開ループ系の設計仕様の関係
6.3 制御系の設計仕様
6.3.1 過渡特性に関する設計仕様
6.3.2 定常特性に関する設計仕様
6.4 評価関数
章末問題

7. PID制御
7.1 PID制御
7.1.1 P制御
7.1.2 PI制御
7.1.3 PID制御
7.2 限界感度法
7.3 ステップ応答法
7.4 モデルマッチング法
7.5 2自由度制御系
章末問題

8. 状態フィードバック制御
8.1 状態フィードバック制御
8.2 極配置法
8.3 Ackermannの極配置アルゴリズム
章末問題

9. 最適制御
9.1 線形システムの最適制御問題
9.2 動的計画法
9.3 最適レギュレータ
9.4 Riccati方程式の数値解法
9.5 最適レギュレータのロバスト性
章末問題

10. サーボ系
10.1 フィードフォワードによる目標値追従制御
10.2 内部モデル原理
10.3 積分型サーボ系
10.4 最適サーボ系
章末問題

11. 状態推定
11.1 同一次元オブザーバ
11.2 閉ループ系の解析
11.3 最小次元オブザーバ
11.4 線形関数オブザーバ
11.5 最適オブザーバ
章末問題

12. ループ整形
12.1 ループ整形の考え方
12.2 PID制御
12.2.1 PI制御
12.2.2 PD制御
12.3 位相遅れ・進み補償
12.3.1 位相遅れ補償
12.3.2 位相進み補償
章末問題

13. ロバスト制御
13.1 不確かさの記述
13.2 H∞ノルムとスモールゲイン定理
13.3 ロバスト安定化問題
13.4 混合感度問題
13.5 安定化制御器のパラメータ化
13.6 一般化制御対象とH∞制御問題
章末問題

14. 離散時間システムの制御
14.1 制御器のディジタル実装
14.2 Z変換とパルス伝達関数
14.3連続時間システムの離散化.2
14.3.10 次ホールドによる離散化
14.3.2 双一次変換による離散化
14.4 安定性と状態フィードバック制御
14.5 最適制御
14.6 強化学習
章末問題

付録
A.1 Laplace変換
A.2 偏角の原理
A.3 行列とベクトルの基本性質

南 裕樹(ミナミ ユウキ)

石川 将人(イシカワ マサト)