光学素子のいろは - 機能別分類による説明 -

光学素子のいろは - 機能別分類による説明 -

光学素子について,結像,合波と分波,フィルタなど機能別に,用途,応用などを説明する。

ジャンル
発行年月日
2023/10/05
判型
A5
ページ数
256ページ
ISBN
978-4-339-00987-3
光学素子のいろは - 機能別分類による説明 -
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定価

4,180(本体3,800円+税)

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  • 内容紹介
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  • 目次
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  • 広告掲載情報

【本書の内容】
本書は,読者が光学的機能や作用のなにかを利用したいとき,適切な光学素子(光学部品)を探しやすくなるように配慮している。全体を機能別に分類・構成し,光学素子の原理や特性,用途,応用の例示等のほか,実際に光学系を組む上での調整法や調整用機器,留意点などの記述を加え,様々な読者層にとって使いやすい実用的な書籍とした。

1章「光学の基礎事項」では,以下の内容を理解する上で最低限必要な,光の基本的性質,結像作用,干渉と回折,偏光と複屈折などを説明する。
2章「光路の制御」では光の向きの変更や一方向遮断など,光路の制御に関係する光学素子を説明する。
3章「光の集束と結像作用」では結像作用に関係する球面レンズや色消しレンズ,アナモルフィック光学系を説明する。
4章「像の転送と反転」では像の転送方法や像反転系を説明する。
5章「光の分波と合波」では光の分波と合波に関係する光学素子を説明する。
6章「光の透過率と反射率の制御」では各種光フィルタや反射防止膜など,透過率と反射率に関係する素子を説明する。
7章「分解能」では空間分解能や解像度に関係する内容を説明する。
8章「偏光と位相制御」では位相の制御に関係する偏光素子や波長板などを説明する。
9章「レーザビームの制御」ではレーザビームの制御に関係する内容や素子を説明する。
10章「光学系の調整」では実際に光学系を組む上での調整用機器や調整法,留意点などを説明する。
11章「光学材料」では光学素子に用いられる光学材料を説明する。

【本書の特徴】
(1) 機能別の章立てにして,読者の目的に合致した光学素子やその特徴などが
探しやすいようにする。
(2) 各項目では,素子選択上の機能や特徴などを含めて留意点も述べる。
また,応用の仕方が分かるように,ノウハウの開示や具体的用途の例示を行う。
(3) 旧来のものだけでなく,光ファイバや光MEMS の利用による微小光学素子や
回折光学素子,レーザ用途など新規のものも紹介する。
(4) 読みやすくするため,数式は動作原理の理解に必要な結果を示し,できるかぎり
定性的な説明を行う。また,関連内容の参照箇所を適宜明示している。

近年,光技術の産業分野(電気・電子・通信工業,機械工業,建設業,化学など)への普及に伴い,光技術の重要性が増している。光技術は多岐にわたるが,その光学要素を構成しているのは光学素子あるいは光学部品,光回路素子と呼ばれる個別部品である。光学素子として古くから平面鏡,レンズ,プリズム,回折格子などが使用されてきた。

近年では,光リソグラフィ技術の進展に伴う回折光学素子・偏光素子や,光ファイバの誕生によるファイバ応用部品が生まれ,光MEMSによる微小光学素子などが産業に導入されつつある。高パワ・高指向性などの特徴をもつレーザでは,旧来とは異なる特性の光学素子が必要とされる。

どのような光学素子があるかは,メーカーや販売業者のホームページ,あるいはカタログで容易に調べることができる。しかし,多種類の光学素子の中から,各人の研究・開発の用途・性能・価格などに合致した光学素子を見つけるには,ある程度の基礎知識を必要とする。また,光学素子を手にしても,どのように利用するかについては,ある程度の経験が必要である。

市販されている光学の解説書や光学素子・光学部品に関する書籍は,一般に理論的に体系立った構成になっており,各人の要求に合う光学素子を早期に見つけるのには適していない。

本書は,読者が光学的機能や作用のなにかを利用したいとき,適切な光学素子を探しやすくなるように配慮している。全体を機能別に分類・構成し,光学素子の原理や特性,用途,適用範囲,応用の例示などを通して,実用面に資する書籍を提供することを目指す。

本書の概要は以下の通りである。1章では,以下の内容を理解する上で最低限必要な,光の基本的性質,結像作用,干渉と回折,偏光と複屈折などを説明する。2章では光の向きの変更や一方向遮断など,光路の制御に関係する光学素子を,3章では結像作用に関係する球面レンズや色消しレンズ,アナモルフィック光学系を,4章では像の転送方法や像反転系を説明する。

5章では光の分波と合波に関係する光学素子を,6章では各種光フィルタや反射防止膜など,透過率と反射率に関係する素子を説明する。7章では空間分解能や解像度に関係する内容を,8章では位相の制御に関係する偏光素子や波長板などを,9章ではレーザビームの制御に関係する内容や素子を説明する。

10章では実際に光学系を組む上での調整用機器や調整法,留意点などを,11章では光学素子に用いられる光学材料を説明する。

本書の特徴は次の通りである。

(1)機能別の章立てにして,読者の目的に合致した光学素子やその特徴などが探しやすいようにする。

(2)各項目では,素子選択上の機能や特徴などを含めて留意点も述べる。また,応用の仕方が分かるように,ノウハウの開示や具体的用途の例示を行う。

(3)旧来のものだけでなく,光ファイバや光MEMSの利用による微小光学素子や回折光学素子,レーザ用途など新規のものも紹介する。

(4)読みやすくするため,数式は動作原理の理解に必要な結果を示し,できるかぎり定性的な説明を行う。また,関連内容の参照箇所を適宜明示している。

本書を出版するにあたり,終始お世話になったコロナ社の関係各位に感謝申
し上げる。

2023年7月
左貝潤一

1.光学の基礎事項
1.1 屈折率に関連する事項
 1.1.1 屈折率とスネルの法則
 1.1.2 全反射
 1.1.3 光路長とフェルマーの原理
 1.1.4 分散:屈折率の波長依存性
1.2 光の波動的性質
 1.2.1 光の波動的記述
 1.2.2 フレネルの公式
 1.2.3 ブルースターの法則
1.3 球面光学系による結像作用
 1.3.1 薄肉レンズによる結像特性
 1.3.2 結像と光路長の関係
 1.3.3 厚肉レンズによる結像特性
 1.3.4 球面反射鏡による結像特性
1.4 光学系での諸概念
 1.4.1 絞りと瞳
 1.4.2 光学系の明るさ表示
 1.4.3 焦点深度
1.5 収差
 1.5.1 単色収差
 1.5.2 単色収差の軽減・除去方法
 1.5.3 色収差
1.6 干渉と回折
 1.6.1 干渉
 1.6.2 回折
1.7 偏光の分類
 1.7.1 完全偏光と非偏光
 1.7.2 偏光の形状
1.8 偏光が関連する現象
 1.8.1 複屈折
 1.8.2 旋光性
 1.8.3 二色性

2.光路の制御
2.1 光路の向き変更
 2.1.1 平面鏡による光路の向きの変更
 2.1.2 光路の向きを90°変える方法
 2.1.3 光路の向きを180°変える方法
 2.1.4 再帰性反射:光を元の経路に戻す方法
 2.1.5 光路を任意に変える方法
2.2 光路の平行移動
 2.2.1 平行移動量が大きい場合
 2.2.2 平行移動量が微小な場合
2.3 光の通過領域の制限
2.4 光の一方向通過・逆方向遮断
 2.4.1 光アイソレータ①:4分の1波長板の利用
 2.4.2 光アイソレータ②:ファラデー回転子の利用
2.5 光路長の変更
 2.5.1 単純な光路長の変化
 2.5.2 その他の光路長の変化方法

3.光の集束と結像作用
3.1 基本的な結像素子
 3.1.1 球面レンズ
 3.1.2 球面反射鏡
3.2 収差を除去した結像素子
 3.2.1 非球面レンズ
 3.2.2 非球面反射鏡(無収差反射鏡)
 3.2.3 色消しレンズ:色収差の補正
3.3 方向により集束作用が異なる結像素子
 3.3.1 アナモルフィック光学系
 3.3.2 シリンドリカルレンズ
 3.3.3 トロイダルレンズ
 3.3.4 アナモルフィックプリズム
 3.3.5 fiレンズ
3.4 球面をもたない屈折型結像素子
 3.4.1 フレネルレンズ
 3.4.2 分布屈折率(GRIN)レンズ
3.5 回折を利用する結像素子
 3.5.1 球面レンズの位相変換作用
 3.5.2 回折光学素子
 3.5.3 ホログラム
3.6 結像作用の比較とハイブリッド結像素子
 3.6.1 結像作用の比較
 3.6.2 ハイブリッド結像素子

4.像の転送と反転
4.1 プリズムによる像の正立転送
 4.1.1 ペンタプリズム
 4.1.2 菱形プリズム
4.2 屋根型鏡・プリズムによる像変換
4.3 プリズムによる像反転系
 4.3.1 アミチプリズム
 4.3.2 ダブプリズム
 4.3.3 ペンタダハプリズム
 4.3.4 シュミットプリズム
 4.3.5 ポロプリズム
 4.3.6 像反転系の利用例
4.4 その他の像転送方法
 4.4.1 リレー光学系
 4.4.2 バンドルファイバ
 4.4.3 GRINレンズアレー

5.光の分波と合波
5.1 光の分波と合波(1×2)
 5.1.1 ビームスプリッタ
 5.1.2 偏光ビームスプリッタ
 5.1.3 光カプラ
5.2 光の波長による2分波と合波
 5.2.1 ダイクロイックミラー・プリズム:波長分離素子
 5.2.2 波長分離カプラ
5.3 波長選択素子
 5.3.1 分散プリズム
 5.3.2 回折格子
 5.3.3 ファブリ-ペロー干渉素子
 5.3.4 色消しプリズムと直視プリズム

6.光の透過率と反射率の制御
6.1 光学フィルタの分類
6.2 透過率の減少(波長無依存)
6.3 吸収型フィルタによる透過率の制御
 6.3.1 シャープカットフィルタ
 6.3.2 色温度変換フィルタ
 6.3.3 色補正フィルタ
6.4 干渉型フィルタによる透過率の制御
 6.4.1 バンドパスフィルタ
 6.4.2 ダイクロイックフィルタ
 6.4.3 ノッチフィルタ
6.5 反射率の制御
 6.5.1 反射防止膜
 6.5.2 増反射膜
6.6 偏光による透過率の制御
 6.6.1 偏光フィルタ
 6.6.2 ブルースター窓

7.分解能
7.1 光学系の分解能
 7.1.1 円形開口からの回折
 7.1.2 レイリーの分解能
 7.1.3 スリットからの回折による分解能
7.2 光学素子の分解能
 7.2.1 プリズムの分解能
 7.2.2 回折格子の分解能
 7.2.3 ファブリ-ペロー干渉素子の分解能
 7.2.4 光学素子における分解能の比較
7.3 眼の分解能
7.4 光学機器の分解能
 7.4.1 望遠鏡の分解能
 7.4.2 顕微鏡の分解能と油浸法

8.偏光と位相制御
8.1 直線偏光子:複屈折を利用して直線偏光を取り出す
 8.1.1 グラン-トムソンプリズム
 8.1.2 グラン-フーコープリズム
 8.1.3 グラン-テイラープリズム
 8.1.4 ローションプリズム
 8.1.5 ウォラストンプリズム
8.2 その他の偏光子
 8.2.1 ワイヤーグリッド偏光子
 8.2.2 二色性偏光子
 8.2.3 偏光フィルム
 8.2.4 薄膜偏光子:ブルースター角を利用する直線偏光子
 8.2.5 円偏光子:円偏光を取り出す
8.3 波長板:直交成分間に一定の位相差を与える
 8.3.1 半波長板
 8.3.2 4分の1波長板
 8.3.3 色消し波長板:波長依存性を抑えた波長板
8.4 位相補償板:直交成分間に任意の位相差を与える
8.5 デポラライザ:偏光状態をなくす

9.レーザビームの制御
9.1 レーザビームの特徴と留意点
 9.1.1 円形ガウスビーム
 9.1.2 楕円ガウスビーム
9.2 ビームスポットの径や形状の変換
 9.2.1 結像光学系によるビーム径の変換
 9.2.2 平行ビームでの径変換
 9.2.3 ビーム形状の変換
9.3 レーザビームにおける焦点深度
9.4 ビーム整形素子
 9.4.1 静的ビーム整形
 9.4.2 ビームホモジナイザ:ビーム断面の形状と分布の能動的制御
9.5 ビーム断面の光強度分布均一化
 9.5.1 フライアイレンズ
 9.5.2 カライドスコープ
 9.5.3 その他の方法と応用例
9.6 レーザビームの偏向と走査
 9.6.1 ガルバノミラーによる偏向と走査
 9.6.2 回転多面鏡による偏向と走査
 9.6.3 光MEMSによるスキャナ
 9.6.4 音響光学偏向器
9.7 レーザ用導光路
 9.7.1 平面反射鏡を用いた導光路
 9.7.2 光ファイバ導光路

10.光学系の調整
10.1 光学系の構成準備
10.2 光学系調整用の機器
10.3 光学系の調整作業
 10.3.1 可視光の場合の調整方法
 10.3.2 光源が可視光でない場合の調整方法
 10.3.3 光ビームの微小箇所への集光方法
 10.3.4 光ビーム調整作業での留意点
 10.3.5 アッベの原理:移動測定での測定誤差
10.4 光学素子を取り扱う上での注意点

11.光学材料
11.1 光学材料選択上の一般的留意点
11.2 可視域用の光学ガラスの屈折率とアッベ数
 11.2.1 屈折率
 11.2.2 アッベ数
 11.2.3 屈折率とアッベ数のデータ
11.3 各種光学材料の特性
 11.3.1 可視域の光学材料
 11.3.2 赤外域の光学材料
 11.3.3 紫外域の光学材料
 11.3.4 光学プラスチック
 11.3.5 レーザ用光学材料
11.4 複屈折物質
 11.4.1 一軸結晶
 11.4.2 二軸結晶

付録
A. 再帰性反射の原理の3次元での証明
B. 屋根型鏡・プリズムでの入・出射光線の方向の関係
参考図書
索引

読者モニターレビュー【 あき 様 (業界・専門分野:光学機器メーカー)】

現在光学機器メーカにてハードウェア開発の仕事に従事しています。光学については高校物理+α程度の知識しかありません。
本書では、レンズや鏡、各種フィルタなど光学素子の原理や使い方について体系的に学べます。また、1章で干渉と回折、偏光や複屈折など基本的な光の性質について触れられるので初学者でも難なく読み進めることができると思います。
個人的には7章の分解能と10章の光学系の調整に関する説明がありがたかったです。言葉や物理現象としては知っていたものの、具体的に理解できていなかったので非常に参考になりました。

左貝 潤一(サカイ ジュンイチ)

NTTの基礎研究所を退職後、立命館大学理工学部教授に奉職。
現在は立命館大学大学院名誉教授・工学博士。

以下の著書がある。
【光学全般】
『光学の基礎』,コロナ社(1997)
『光の数理』,コロナ社(2021)

【通信】
『光通信工学』,共立出版(2000)
『通信ネットワーク概論』,森北出版(2018)

【光ファイバ・光導波路】
『導波光学』,共立出版(2004)
『フォトニック結晶ファイバ』,コロナ社(2011)
『光導波路の電磁界数値解析法』,森北出版(2015)

【光工学】
『光エレクトロニクス入門』, 森北出版(2014)

【光学関連分野】
『位相共役光学』,朝倉書店(1990)
”Phase Conjugate Optics,” McGraw-Hill (1992).
『光学機器の基礎』,森北出版(2013)
『光計測入門』,森北出版(2016)
『メタマテリアルのための光学入門』,森北出版(2017)

【電磁波工学】
『電磁波工学エッセンシャルズ -基礎からアンテナ・伝送線路まで-』,共立出版(2020)

掲載日:2024/01/31

電気・電子工学書目録 2024年度版

掲載日:2023/12/04

電気学会誌2023年12月号

掲載日:2023/10/10

日本光学会誌2023年10月号

掲載日:2023/10/03

応用物理学会誌「応用物理」2023年10月号

掲載日:2023/10/03

電子情報通信学会誌2023年10月号