新版 光エレクトロニクス入門

光エレクトロニクス教科書シリーズ 1

新版 光エレクトロニクス入門

前書「光エレクトロニクス入門(改訂版)」から、光メモリに関するブルーレイや光通信に関するFTTH、光配線など内容を一新した。

  • 口絵
ジャンル
発行年月日
2013/04/30
判型
A5 上製
ページ数
222ページ
ISBN
978-4-339-01151-7
新版 光エレクトロニクス入門
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定価

3,190(本体2,900円+税)

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  • 内容紹介
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レーザ光の基礎について物理的意味が理解できるよう配慮し,重要なレーザ応用技術についても工夫した図を用いて平易に解説した。新版に際して,光メモリに関するブルーレイや光通信に関するFTTHや光配線など内容を一新した。

新版の執筆にあたって
本書が出版されて以来,15年経過し,その間多くの方々に本書をご利用いただきありがたく思っている。時代とともに光エレクトロニクス技術がどんどん進歩するので,内容を新しくする必要があり,7年目に改訂版を出して対応したが,それでは対応できなくなったので,15年目のこのたび全体を見直し不適当な部分を書き換え,また新しい項を加筆することにした。

光エレクトロニクスの応用分野の進展は,新しい波長の光源の開発によるところが大きい。青紫色や緑色半導体および発光ダイオードの出現とその実用化によって,光ディスクメモリ技術が進展した。そして三原色の小型光源がそろったので,小型レーザプロジェクタが新たに脚光を浴びるようになった。また光ファイバ通信ネットワークは,世界中に構築される一方で各家庭に接続される円熟期に入ったことに加え,コンピュータ内部の信号を光ファイバで接続する,いわゆる光インターコネクション技術が実用化されるようになった。そのような事情に対応して,1章,6章,7章,9章,10章,12章のそれぞれ関連箇所の加筆,削除,書き換えを行った。また,今回「新版」発行にあたり,口絵を大幅に刷新した。

本書で取り扱っている内容は,学生諸君が将来どのような分野で活躍するにせよ修得しておくべき事柄であるので,ぜひ学びに努めていただきたいと思っている。
2012年12月 著者らしるす


まえがき
電子技術と光とは密接な関係があり,その始まりは,1879年のエジソンによる白熱電球の発明にまで遡さかのぼる。それ以来,光技術は電子技術(エレクトロニクス)の中での地位を確立してきた。

「光エレクトロニクス」の「光」はレーザ光を指しており,したがって,光エレクトロニクスとは,レーザ光をうまく利用したエレクトロニクスの新しい分野の学問を意味している。レーザが開発されるにつれて,この光エレクトロニクスといわれる学問が急速に発展した。それに応じて,光エレクトロニクスに関連した講義が多くの大学でなされるようになった。

本書は工学部電気系の3年次,4年次学生,または高専の電気系学生,あるいは,この分野についてその基礎を急いで学んでみたい技術者を対象にまとめた光エレクトロニクスへの入門のための教科書である。光波の性質,光導波,レーザ,光制御,およびレーザ応用システムなどのレーザ光の基礎を,演習も含めて,ほぼ1年で学ぶことができるように内容を工夫したつもりである。執筆にあたっては,数式はできるだけ基礎的なものに限り,その代わりに物理的意味を述べることに重点をおき,記述はできるだけ平易になるように努めた。本書の講義を受ける前に,電磁気学,量子力学の基礎を学んでおくことが望ましい。

光エレクトロニクスは夢を持たせてくれる学問である。その中で中心を占めるレーザ光は実に興味深い光である。学生諸君は,なぜ,自然光ではなくてレーザ光が使われなければならないかをつねに念頭において勉強していただきたい。そうすれば,レーザ光の特徴は何か,レーザ光のどの特徴がその装置の中で生かされているかなど,自然に重要な点を的確に習得することができるであろう。将来,どんな専門分野に進むにしても,本書の内容程度は学んでおくことが必要である。

本書は1~3,5,6,8,12章をおもに西原が,また4,7,9~11章をおもに裏がその執筆を担当した。また,理解を深めていただけるように,演習問題とその略解を付けた。両者で頻繁に打ち合わせをしたつもりであるが,不十分な点が多々あるのではないかと恐れる。読者のご寛容と叱正を請う次第である。

本書では,電気系工学分野での慣習にならって,光の波動をe{j(ωt‐k・r)}で表現している。また,できるだけSI単位を使用するように心がけたが,光の波長がマイクロ波の波長に比べて短いことによる光学分野での習わしに従って,mm, μm,nm などの単位を使用しているが,読者はこれらの単位についても慣れていただきたい。本書が光エレクトロニクスの入門書として,この分野の勉強を志す方々に少しでもお役に立てれば,著者らの存外の喜びである。
1997年10月大阪大学吹田キャンパスにて著者らしるす

1. 光エレクトロニクスの生い立ち
1.1 光エレクトロニクスの誕生
1.2 光エレクトロニクスの発展

2. レーザ光の特徴
2.1 自然光とレーザ光
2.2 単色性
2.3 指向性
演習問題

3. 光波動と光線
3.1 波動光学による取扱い
 3.1.1 マクスウェルの方程式
 3.1.2 平面波
 3.1.3 偏光
 3.1.4 光波のエネルギー
3.2 光線光学による取扱い
 3.2.1 光線と波面
 3.2.2 光線方程式
 3.2.3 光線の性質
3.3 反射と屈折
 3.3.1 ホイヘンスの原理
 3.3.2 反射・屈折の法則
3.4 干渉とコヒーレンス
 3.4.1 2光波による干渉縞
 3.4.2 可干渉性(コヒーレンス)
3.5 回折
 3.5.1 回折現象
 3.5.2 回折公式
 3.5.3 単スリットからの回折
 3.5.4 円形開口からの回折
 3.5.5 周期構造からの回折(ブラッグ回折)
3.6 集光
 3.6.1 レンズによる集光
 3.6.2 空間的コヒーレンスと集光
3.7 光学系と力学系の対応
演習問題

4. 光導波
4.1 光波の閉じ込めと光導波
4.2 導波モード
 4.2.1 全反射
 4.2.2 固有値方程式
 4.2.3 実効屈折率と界分布
 4.2.4 導波モードのカットオフ
4.3 チャネル光導波路
4.4 光ファイバ
 4.4.1 種類と特長
 4.4.2 導波モード
 4.4.3 固有値方程式
 4.4.4 単一モード光ファイバ
 4.4.5 分布屈折率多モード光ファイバ
演習問題

5. レーザの発振原理
5.1 光波と電子の相互作用
5.2 自然放出,誘導放出および誘導吸収
5.3 反転分布
5.4 光増幅利得
5.5 光共振器と光子寿命
5.6 発振条件
演習問題

6. レーザおよび発光ダイオード
6.1 レーザの分類
6.2 気体レーザ
 6.2.1 代表的な気体レーザ
 6.2.2 動作原理
 6.2.3 構造と特性
6.3 固体レーザ
 6.3.1 ランプ光励起固体レーザ
 6.3.2 半導体レーザ励起固体レーザ
6.4 半導体レーザ
 6.4.1 代表的な半導体レーザ
 6.4.2 電子遷移と化合物半導体結晶
 6.4.3 動作原理と反転分布
 6.4.4 光子の寿命時間とレート方程式
 6.4.5 発振特性
 6.4.6 半導体レーザの展開
6.5 発光ダイオード
 6.5.1 可視光および赤外光発光ダイオード
 6.5.2 白色発光ダイオード
演習問題

7. 光受動素子
7.1 偏光素子
 7.1.1 位相板
 7.1.2 波長板
 7.1.3 偏光子
 7.1.4 光アイソレータ
7.2 波長フィルタ・分波素子
 7.2.1 プリズム
 7.2.2 干渉フィルタ
 7.2.3 多層膜反射と分布ブラッグ反射
 7.2.4 波長分波グレーティング
7.3 非相反素子
 7.3.1 ファラデー効果
 7.3.2 光アイソレータ
7.4 光検出器
 7.4.1 光電効果
 7.4.2 pinホトダイオードの構造
 7.4.3 応答速度と検出感度
 7.4.4 固体イメージセンサ
 7.4.5 太陽電池
演習問題

8. 光制御素子
8.1 光変調
 8.1.1 変調方式
 8.1.2 機械的光変調器
 8.1.3 音響光学光変調器
 8.1.4 電気光学光変調器
 8.1.5 その他の電気的光変調器
8.2 光ビーム走査
 8.2.1 機械的走査
 8.2.2 電気的走査
 8.2.3 鏡・対象物移動による走査
演習問題

9. 光ファイバ通信
9.1 光ファイバ通信システム
9.2 コード変調と伝送信号
9.3 伝送帯域と分散
9.4 光ファイバの伝送損失
9.5 光多重技術
9.6 光増幅技術
9.7 光インターコネクション
9.8 その他の光通信技術
演習問題

10. 光メモリ
10.1 光ディスクの特長
10.2 ピックアップ光学系
10.3 光ディスクの変遷(CDからDVD,BDへ)
10.4 多波長用光ピックアップ
10.5 光ディスクの記録方式
演習問題

11. 光計測
11.1 距離・長さ計測
 11.1.1 光パルス伝搬時間測定法
 11.1.2 光強度変調法
11.2 変位計測
 11.2.1 レーザ干渉計による微小変位計測
 11.2.2 高精度干渉法
 11.2.3 エンコーダ
11.3 速度計測
 11.3.1 ドップラーシフトと速度計測
 11.3.2 サニャック効果と角速度計測
11.4 面ひずみ計測
11.5 電気量計測
演習問題

12. レーザ応用機器
12.1 レーザビームシステムの基本構成
12.2 バーコード読取りシステム
12.3 レーザビームプリンタ
12.4 高品質カラー写真プリント
12.5 レーザディスプレイ

付録
参考文献
演習問題略解
索引

西原 浩(ニシハラ ヒロシ)

「OPTCOM」 (工業通信 発行) 2013年8月号 掲載日:2013/07/22
上記雑誌の「編集者が薦めるBOOK」欄に当書籍の紹介文が掲載されました。

掲載日:2023/10/10

日本光学会誌2023年10月号

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