これでなっとく パワーエレクトロニクス

これでなっとく パワーエレクトロニクス

パワーエレクトロニクスの回路系に始まり,モータ駆動と制御を関連付けて丁寧に解説した。

ジャンル
発行年月日
2017/07/10
判型
A5
ページ数
232ページ
ISBN
978-4-339-00898-2
  • 内容紹介
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介

パワーエレクトロニクスの回路系に始まり,モータ駆動と制御を関連付けて丁寧に解説した。高調波を考慮した電力測定技術や新型パワー素子,ベクトル制御についても紹介。学生はもちろん技術者にもお勧めしたい一冊。

第1部 パワーエレクトロニクス回路
1.省エネ革命をもたらしたパワーエレクトロニクス
1.1 パワーエレクトロニクスとは
1.2 技術開発の2大潮流と省エネ革命
1.3 パワーデバイス,回路の概要
 1.3.1 パワーデバイス
 1.3.2 パワーエレクトロニクス回路
 1.3.3 回路を理解する黄金の法則
1.4 パワーエレクトロニクスとモータ駆動
 1.4.1 モータの種類と動作原理
 1.4.2 パワーエレクトロニクスによる鉄道モータ駆動の変革
鉄道ファン,そして鉄ドルと鉄子,さらにパワ鉄とテク鉄?
演習問題

2.スイッチング機能を進化させたパワーデバイス
2.1 半導体デバイスキソのキソの基礎
 2.1.1 エネルギーバンドとバンドギャップ
 2.1.2 n型とp型半導体
2.2 pn接合が作り出すダイオードの整流作用
2.3 パワーデバイスのつかみどころ
2.4 電流制御のトランジスタ
2.5 サイリスタ
2.6 情報通信系MOSFETから進化したパワーMOSFET
2.7 トランジスタとMOSFETのメリットを取り込んだIGBT
2.8 パワーデバイスの損失
え!あの赤﨑先生がノーベル賞技術革新をもたらしたGaN
演習問題

3.交流を直流に変換する整流回路と位相制御回路
3.1 単相の整流回路と位相制御回路
3.2 単相の整流回路
 3.2.1 半波整流回路
 3.2.2 全波整流回路
3.3 単相の位相制御回路
 3.3.1 半波位相制御回路
 3.3.2 全波位相制御回路
3.4 三相の整流回路と位相制御回路
3.5 三相の整流回路
 3.5.1 三相半波整流回路
 3.5.2 三相全波整流回路
3.6 三相の位相制御回路
3.7 シミュレーションによる確認
 3.7.1 単相全波の整流回路(平滑リアクトルの効果)
 3.7.2 単相全波の位相制御回路(制御角と平均負荷電圧)
画期的な信頼性と寿命をもたらした半導体スイッチ
演習問題

4.直流の電圧を自在に調整するDC-DC変換器
4.1 DC-DC変換器の基本原理と性能指標
4.2 降圧チョッパ(バックコンバータ)
 4.2.1 動作原理
 4.2.2 電圧変換率と電流リプル
 4.2.3 インダクタの効果(連続,不連続モード)
4.3 昇圧チョッパ(ブーストコンバータ)
4.4 昇降圧チョッパ(バックブーストコンバータ)
4.5 3種類のチョッパのまとめと比較
4.6 双方向チョッパ
4.7 シミュレーションによる確認
ヒット商品スライダックとパワーエレクトロニクス
演習問題

5.直流から交流を作り出すインバータ
5.1 インバータの原理と分類
5.2 単相インバータ
 5.2.1 回路構成と基本動作
 5.2.2 単相インバータの動作
 5.2.3 交流電圧波形の制御(ゼロ電圧の形成)
5.3 三相インバータ
 5.3.1 回路構成とパラメータの定義
 5.3.2 等価回路を使った各部の波形解析
 5.3.3 三相インバータの動作モード
5.4 シミュレーションによる確認
クーラーをエアコンに変えたインバータ
演習問題

6.平均電圧可変なPWMインバータとその周辺技術
6.1 インバータの電圧調整とPWM制御
 6.1.1 インバータの電圧調整
 6.1.2 PWMインバータの原理
6.2 PWMインバータの動作
 6.2.1 PWMインバータ回路
 6.2.2 回路動作
6.3 インバータの関連技術
 6.3.1 変調率
 6.3.2 デッドタイム
 6.3.3 LCローパスフィルタ
6.4 シミュレーションによる確認
インバータ小史
演習問題

第2部パワーエレクトロニクスによるモータ駆動と制御
7.制御性,コスト,メンテナンス性に優れた永久磁石同期モータ
7.1 インバータでモータを駆動,制御する(7~10章の概要)
7.2 大型モータの主役だった直流モータ
7.3 周波数で速度を変える永久磁石同期モータ
 7.3.1 永久磁石同期モータの構造
 7.3.2 永久磁石同期モータの核心,回転磁界
7.4 電気系の学生にはピンとこないトルクの説明
7.5 PSIMの計算
パワーエレクトロニクスと真オレンジの201系中央線
演習問題

8.永久磁石同期モータの位置検出を理解する
8.1 永久磁石同期モータのロータに注目
 8.1.1 表面磁石同期モータと埋込磁石同期モータ
 8.1.2 d軸とq軸の導入と制御の座標軸
8.2 スカラー制御とベクトル制御
 8.2.1 永久磁石同期モータの回転方向
 8.2.2 スカラー制御とベクトル制御
8.3 スカラー制御,ベクトル制御でともに重要な位置検出
8.4 スカラー制御
8.5 PSIMの計算
 8.5.1 永久磁石同期モータの位置検出
 8.5.2 永久磁石同期モータの磁束
Hall博士が大学院生のときに発見したホール効果
演習問題

9.少し難しいけれどベクトル制御の基本式
9.1 モータの動きを記述する方程式
9.2 電圧方程式
 9.2.1 電圧方程式導出の流れ
 9.2.2 三相モデル
 9.2.3 三相二相変換とd-q変換
 9.2.4 電圧方程式を使ってみる
9.3 トルク方程式
 9.3.1 2種類のトルク
 9.3.2 トルク方程式を使ってみる
9.4 運動方程式を使ってみる
パワーエレクトロニクスが実現したハイブリッドカー
演習問題

10.インバータによるベクトル制御
10.1 インバータを使ったベクトル制御の装置構成
 10.1.1 ベクトル制御をブロック図で構成する
 10.1.2 ベクトル制御をPSIMで構成する
 10.1.3 PWMの変調率
10.2 PSIMによるベクトル制御と弱め磁界制御の動作確認
 10.2.1 ベクトル制御
 10.2.2 弱め磁界制御
 10.2.3 変調率とPWM信号発生
10.3 PSIMによるフィードバック制御と非干渉制御の確認
 10.3.1 PI制御
 10.3.2 非干渉制御
10.4 フィードバック制御と非干渉制御
 10.4.1 ラプラス変換,伝達関数,ブロック線図
 10.4.2 電圧方程式のラプラス変換と非干渉制御
 10.4.3 PI制御
再生可能エネルギーを支えるパワーエレクトロニクス
演習問題

第3部 パワーエレクトロニクスの計測
11.高速化,高調波による影響
11.1 パワーエレクトロニクスにおける小型化
 11.1.1 小型化が進む電気機器
 11.1.2 小型化によるメリット
11.2 小型化を可能にする高速スイッチング
 11.2.1 小型化に必要な熱対策
 11.2.2 スイッチングによる発熱
 11.2.3 高速スイッチングによる発熱抑制
11.3 インダクタの電気特性
 11.3.1 高周波特性
 11.3.2 インダクタの電流特性
11.4 コンデンサの電気特性
11.5 パワーエレクトロニクスにおけるパルス波特性
 11.5.1 パルス波の特性
 11.5.2 パルス波の電力
海外の電源あれこれ
演習問題

12.電圧,電流,電力測定の方法
12.1 測定準備
12.2 電圧測定法
 12.2.1 実効値測定法(ディジタルマルチメータ)
 12.2.2 波形測定法(オシロスコープ,アイソレーション計測)
12.3 電流測定法
 12.3.1 シャント抵抗方式
 12.3.2 ロゴスキーコイル式電流プローブとカレントトランス
 12.3.3 ゼロフラックスゲート式電流プローブ
12.4 電力測定法
 12.4.1 電圧,電流計法
 12.4.2 電圧,電流波形演算
 12.4.3 電力アナライザの測定法
パワーエレクトロニクスの発展に貢献したオシロスコープの歴史
演習問題

13.パワーエレクトロニクス計測の実際
13.1 Si,GaN,SiCデバイスの特性
13.2 GaNデバイスの測定
 13.2.1 デバイス特性の測定
 13.2.2 GaNデバイスの波形測定
13.3 三相インバータを使ったモータ駆動の測定
13.4 ワイヤレス給電(非接触給電)の測定
13.5 パワーエレクトロニクスにおけるノイズ
 13.5.1 ノイズの発生と影響
 13.5.2 測定系のノイズ対策
自動車,家電で広がる使用環境を意識した計測の進化
演習問題

引用・参考文献
演習問題略答
索引

amazonレビュー

高木 茂行

高木 茂行(タカギ シゲユキ)

 31年間、(株)東芝に勤務し、2015年に東京工科大学に工学部が設立される時に、電気電子工学科の教員として採用されました。企業経験が長かったこともあり、研究室では、実践的・実用的な研究に重点を置いています。「使ってもらってこそ工学の研究」というのが、基本的な考えです。
 入社後の15 年間は、NEDOプロジェクトで高電圧・大電流を扱うガスレーザの研究開発に取り組みました。プロジェクト終了後は、シミュレーションを使った液晶・半導体のプロセス開発・改善に取り組み、国内のクリーンルームを転々としました。レーザから半導体へと専門分野を変わる時は、慣れない分野で苦しみもありましたが、変わることにより多くの成果を上げることができました。「研究者・技術者のも社会の要請に対して変化しなければならない」とうのがもう一つの考えです。
 東京工科大学ではパワーエレクトロニクスを担当しています。パワー半導体で電力を制御するという複合技術による応用研究です。企業で経験したレーザ開発は電力を制御する技術、半導体シミュレーションはパワー半導体を効率よく活用する技術に結びついています。パワーエレクトロニクスが応用研究という点は、「使ってもらってこそ工学」という考えに直結しており、とても気に入っているテーマです。
 最後に少しだけ趣味の話を。大学時代に研究室のメンバーと槍ヶ岳に登って以来、山の魅力にとり付かれました。会社の同期2名と南アルプスを縦走した時、光岳の山頂に「日本百名山達成」というプレートがかけられていました。同行していた2人から深田久弥さんの日本百名山について教えてもらい、「いつか自分も日本百名山」と思い始めました。その後、日本百名山で最北の利尻岳から、最南の宮之浦岳(屋久島)までをコツコツと登り、94座まできました。残りは、北アルプスの五竜岳など6座です。達成できる日を楽しみにしています。

長浜 竜

長浜 竜(ナガハマ リュウ)

 パワーエレクトロニクス計測に深く関わるまでに、測定に関わる4つの転機がありました。
 一つ目は、岩崎通信機(略称:IWATSU)において測定技術サポートを始めた当初、ゲーム機、PC、サーバーなどの高速デジタル回路のタイミング計測における経験です。機器の小型化が進むにつれて、高速高密度実装された基板上のプロービングに苦労しました。その上、スイッチング電源から発生するリップルによるタイミング変動が大きく現れる事がわかり、電源変動を抑えるための対策を施すこともありました。
 二つ目は、パワエレ研究室でのTDR(Time Domain Reflectometry)測定です。高速シリアル通信の基板設計、ケーブル解析で頻繁に使われるTDRですが、パワーデバイスの高周波化によって、インバータ・モータに利用されるケーブルのインピーダンス特性などを把握する必要がありました。
 三つ目の出来事は、同じパワエレ研究室における高精度パワーアナライザによるインダクタのコアロス測定です。当時から、磁性体材料の損失の多角的評価には、B-Hアナライザが国内の標準機として使われていましたが、低コストで簡易的に測定する手法として数多くのエンジニアに提案することができました。
 その後、高速・高電圧パワーデバイスSiC/GaNが入手できるようなり、高周波に対応した低歪みプロービング、配線間クロストークなど、高速デジタル回路の測定経験がパワーエレクトロニクスに生かされています。
 これまでの経験を生かし、正確に測定するために知っておくべき電圧・電流・電力測定、プロービングの基本について、「これでなっとくパワーエレクトロニクス」で紹介する機会を頂きました。
 そして、「エンジニアの悩みを解決パワーエレクトロニクス - パワーデバイスを使いこなす設計・計測・自動車への展開 - 」では、様々なパワーエレクトロニクス回路、システムを評価するための2つの課題と測定事例を紹介させて頂きました。
 一つ目は、省エネ化に対応した電流・電圧の高精度測定です。わずかな測定方法の違いによって、波形の歪みが現れる事もあり、電力測定に影響を与えてしまうことがあります。
 二つ目は、電圧・大電流を安心して測定する方法です。測定方法を誤ってしまうと、パワーデバイスの焼損、短絡事故などの大きな事故につながることがあります。高電圧・大電流を安心して測定するための方法を提案します。
 最後に、プリウスのインバータなどの実測における測定のポイントなどを紹介致します。