パワーエレクトロニクス (改訂版)
多数の図表,写真,演習問題を用いた初学者向け教科書。最新の知見と演習問題を追加した。
- 発行年月日
- 2021/04/30
- 判型
- A5
- ページ数
- 232ページ
- ISBN
- 978-4-339-01216-3
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- 広告掲載情報
初版発行以来,大変ご好評の教科書『パワーエレクトロニクス』を20年振りに改訂!!
30ページ増でパワーアップ!!
図表,写真,演習問題を多数用い,わかりやすく解説した初学者向けの教科書です。今回の改訂で古いデータの更新,最新の知見を追加するとともに,電験三種問題を中心に演習問題を増やすことで,さらに興味をもてるようにしました。
【本書の特徴】
◎基礎的な問題から電験出題問題まで幅広い演習問題を掲載
・初版時より30問プラスして計120問掲載
このうち,電験受験に役立つ電験問題は2倍にアップして50問掲載
・丁寧な解答例も掲載
◎パワーエレクトロニクスに親しみがより増すよう,一口メモ的なコーヒーブレイクを増やし,計18テーマを掲載
◎平成までにノーベル賞を受賞した日本人科学者の表を追加し,「エレクトロニクス・科学技術の歴史」を刷新
◎電子工作にもチャレンジできるような資料を付録に追加
付録A.1 抵抗のカラーコードとコンデンサの種類
付録A.2 三相整流回路作図シート
付録A.3 トライアックパワー回路の製作
以上の特徴は,各出版社から発行されている多くの「パワーエレクトロニクス」書籍の中で群を抜いているものであり,値段も2,860円(税込)とお求めやすくなっています。
改訂版にあたって
本書「パワーエレクトロニクス」は初版の発行から20年ほどが経過した。この間,ソーラ発電,電気自動車,家電製品など,パワーエレクトロニクスを取り巻く環境は日進月歩である。このような状況に対応するため,今回教科書として必要でかつ最新の知見を追加した。また,この機会に古いデータ更新も行うとともに,演習問題を電験三種問題を中心に増やすことで,パワーエレクトロニクスを学ぶ学生がさらに興味をもてるようにした。
2021年2月 江間 敏
まえがき
1957年に米国GE社で半導体スイッチとしてのサイリスタが発明され,それまで使われていた水銀整流器に代わり,大電力の変換が容易に行えるようになったことから,本格的なパワーエレクトロニクスの時代が始まった。
現在では電力用ダイオード,サイリスタ,GTO,IGBTなどのパワーデバイスがめざましい進歩を遂げ,電力の変換,制御を応用したパワーエレクトロニクスの分野は格段に広がっている。エアコン,蛍光灯からソーラ発電,ロボットそして新幹線,リニアモータカーなどである。
本書『パワーエレクトロニクス』は,高専学生および大学生向けテキストとして,図表,写真や演習問題を多数用い,できるだけ平易に述べることに努め,基礎的な内容を扱っている。演習問題には,平成7年から始まった新制度の電気主任技術者第三種(電験三種)および第二種試験問題も多数使わせていただいた。
全体的には基礎的な内容を扱っている。前半の2~5章では,パワーデバイスについて説明し,後半の6~10章ではパワーエレクトロニクス機器,装置について説明している。パワーエレクトロニクスはあくまで,後半の部分がメインであり,後半により多くのページをさいたつもりである。前半においては,1章ではパワーエレクトロニクスの歴史から始まり,2~5章のパワーデバイスでは,最初に半導体の基礎的事項から始まっている。後半においては6章では交流波形の基礎理論と高調波を扱っている。その後,整流回路,インバータ,直流チョッパとサイクロコンバータと進み,最後の10章ではパワーエレクトロニクスの応用技術について触れている。
この本において学習を進める場合,学生の習熟度に合わせて2章の半導体の基礎的事項は省いていくとか,後半では整流回路,インバータの後に6章の交流波形と高調波を学ぶとか,10章の応用技術では適宜ピックアップして勉強していくとか,この順序には特にこだわらなくてよいかと思う。
また,8章インバータと10章パワーエレクトロニクスの応用技術では,具体的に突っ込んだ内容になっている。特に10章では,9章までに学んだ内容を基礎として現社会で使用されている実システムについて示した。さらに進んだ学習に向けて,勉強していただきたい。
また,各章には「コーヒーブレイク」を用意した。“休憩”的な内容もあるが,パワーエレクトロニクスに関する重要な知識も含んでいるので学んでほしい。このような本を著すことは初めてであり,至らぬ点も多いことと思われるが,読者諸氏のご叱正をいただければ,後日のために幸いである。参考文献で示したように,パワーエレクトロニクスに関する多くの本が出ているので,さまざまな角度から勉強もしてほしい。
終わりに,本書の執筆にあたり,明電舎総合研究所の鈴木俊昭博士からは種々有益な助言をいただいた。ここに記して感謝の意を表したい。
また,この本をまとめるにあたり,最後に示した多くの書籍,文献等を参考にさせていただいた。ここに感謝致します。
2001年11月 執筆者を代表して 江間 敏
1.パワーエレクトロニクス
1.1 パワーエレクトロニクスの登場
1.2 パワーエレクトロニクスの歴史
1.3 パワーエレクトロニクスの分野
演習問題
2.電力用ダイオードとパワートランジスタ
2.1 半導体とは
2.1.1 真性半導体
2.1.2 n形半導体とp形半導体
2.2 電力用ダイオード
2.3 パワートランジスタ
2.3.1 バイポーラトランジスタ
2.3.2 バイポーラトランジスタのスイッチング特性
演習問題
3.パワーMOSFETとIGBT
3.1 FET(電界効果トランジスタ)の基本原理
3.2 接合形FET(JFET)
3.3 パワーMOSFET
3.3.1 エンハンスメント形MOSFET
3.3.2 ディプレション形MOSFET
3.4 IGBT
演習問題
4.サイリスタとGTO
4.1 サイリスタの構造とその働き
4.2 サイリスタのターンオン
4.2.1 サイリスタのターンオン機構
4.2.2 ブレークオーバ電圧による点弧
4.3 サイリスタのターンオフ
4.4 di/dt特性とdv/dt特性
4.5 ゲートターンオフサイリスタ(GTO)
演習問題
5.パワーエレクトロニクスの周辺技術
5.1 パワーモジュール
5.2 IPM(インテリジェントパワーモジュール)
5.3 素子の直並列接続
5.4 パワーデバイスの冷却方式
5.5 素子のサージ電圧と実装法
5.5.1 スイッチング時の素子のサージ電圧
5.5.2 素子の実装法
演習問題
6.交流波形と高調波
6.1 正弦波の基本波と高調波
6.1.1 正弦波の実効値,平均値,波形率,波高率
6.1.2 フーリエ級数と高調波
6.2 ひずみ波形
6.2.1 ひずみ波の実効値と電力
6.2.2 ひずみ波形のひずみ率
6.3 電力系統の高調波
6.3.1 電力系統からの高調波障害
6.3.2 高調波対策
6.3.3 高調波抑制対策ガイドライン
演習問題
7.整流回路
7.1 単相半波整流回路とインダクタンスL,環流ダイオードの働き
7.1.1 単相半波整流回路(純抵抗負荷の場合)
7.1.2 誘導負荷におけるインダクタンスLの働き
7.1.3 環流ダイオードの働き
7.2 単相全波整流回路
7.2.1 平滑リアクトルをもつダイオードブリッジ回路
7.2.2 平滑コンデンサをもつダイオードブリッジ回路
7.2.3 正弦波入力電流整流回路
7.2.4 サイリスタブリッジ回路
7.3 三相整流回路
7.3.1 三相半波整流回路
7.3.2 三相全波整流回路
7.3.3 三相整流回路のインバータ運転(他励式インバータ)
7.3.4 三相整流回路の転流と重なり角
演習問題
8.インバータ
8.1 インバータの原理
8.1.1 インバータの歴史
8.1.2 インバータの動作
8.2 種々のインバータ回路
8.2.1 単相インバータ
8.2.2 三相ブリッジ形インバータ
8.3 インバータの出力電圧波形改善
8.3.1 インバータと高調波障害
8.3.2 ブリッジ形インバータの出力電圧波形改善
8.3.3 方形波インバータの波形改善
8.3.4 PWMインバータによる波形改善
8.4 インバータの主回路と制御回路
8.4.1 三相インバータの主回路
8.4.2 三相インバータの制御回路
8.4.3 PWMインバータの制御回路
演習問題
9.直流チョッパとサイクロコンバータ
9.1 直流チョッパ
9.1.1 チョッパによる電力調整
9.1.2 降圧チョッパ
9.1.3 昇圧チョッパ
9.2 サイクロコンバータ
9.3 交流スイッチと交流電力調整装置
演習問題
10.パワーエレクトロニクスの応用技術
10.1 モータ制御分野
10.1.1 直流モータの制御への応用
10.1.2 交流モータの制御への応用
10.1.3 誘導モータのインバータドライブへの応用
10.1.4 PMモータのインバータドライブへの応用
10.2 電源分野
10.2.1 直流電源への応用
10.2.2 交流電源への応用
10.3 電力分野
10.3.1 電力系統の電圧制御(無効電力制御)への応用
10.3.2 直流送電への応用
10.3.3 太陽光発電への応用
演習問題
付録
引用・参考文献
演習問題解答
索引
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掲載日:2021/09/27
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掲載日:2021/07/01
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掲載日:2021/04/21