構造解析のための材料力学

構造解析のための材料力学

高層ビルなどの構造物が力を受けた際,それを構成する部材内部の力や変形について解説。

ジャンル
発行年月日
2020/02/28
判型
A5
ページ数
168ページ
ISBN
978-4-339-05270-1
構造解析のための材料力学
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定価

2,420(本体2,200円+税)

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【書籍の特徴】
 材料力学は,構造物が力を受けた際に,それを構成する部材の内部にどのような力や変形が生じるかという問題を取り扱う学問であり,構造工学への入門科目として位置づけられます。材料力学の教科書,すなわち構造工学への入門書として,本書ではできるだけ平易に力学の基礎を解説しました。また,内容は厳選に厳選を重ね,コンパクトな書籍に仕上げました。
 自習書としても使っていただけるよう,配慮しました。式の導出や変形は,冗長にならない範囲で,省略を避けて丁寧に記述しています。話が込み入ったところには例題を配し,立ち止まって考える機会を設けてあります。また,各章末には演習問題を付け,巻末にその解答を示しました。
【各章について】
 1章では,はりなどの単純な部材を対象に,力のつり合いと断面力の求め方について解説しています。2章では応力,ひずみの概念を紹介し,これ以降の部材の力学・変形解析への導入としました。3章以降,軸力,曲げ,せん断,ねじりの四つの作用を受ける部材の応力・変形挙動についてそれぞれ解説しています。4種の作用を受ける部材を同列に万遍なく解説している点は本書の特徴の一つです。7章では,一般的な応力・ひずみの取扱いについて述べています。その際,3次元での説明は煩雑となることから,解説は2次元で行い,3次元表現は紹介のみにとどめる工夫をしました。8章では,初学者にとっては難解であると思われます主応力・主ひずみの概念とその求め方について詳述しました。9章では,後続科目への橋渡しとなる発展的な話題について解説しています。なお,章の順番どおりに学習してもらうことを想定しています。
【著者からのメッセージ】
 材料力学は,構造工学の基礎固めのために重要であると同時に,構造工学への第一印象を左右するという意味でも重要な位置づけにある科目です。構造工学に少しでもよい印象を持ってもらえるよう,できるだけ平易な材料力学の解説書を提供したい,本書はそのような思いから執筆,出版に至ったものです。
 構造工学は非常に洗練された,美しい学問です。また,土木や建築,機械など,すべての構造物の成り立ちに直結する実践的な学問でもあります。本書が初学者の理解の助けとなり,奥深い構造工学の道へと入り込むきっかけになれば幸いです。

橋や高層ビルなどの大きな構造物から,住宅や家具などの身近な構造物まで,私たちの生活はさまざまな構造物に支えられている。構造物は,金属,コンクリート,プラスチックなど,いろいろな材料を使って製作される。それぞれの材料が持つ特徴を生かし,安全で長持ちする構造物を造るには,材料や構造物の力学的な挙動に関する深い究明と理解が必要である。これを担う工学分野が構造工学である。材料力学は構造工学の一部であり,構造物が力を受けた際に,それを構成する部材の内部にどのような力や変形が生じるかという問題を取り扱う。

構造物を対象とした工学分野,例えば土木工学,建築学,機械工学などの履修コースでは,構造工学に関する多くの科目がカリキュラムに組み込まれている。その中で,材料力学あるいはそれに類する科目は,構造工学の最も基礎的な内容を取り扱う入門科目として,比較的低学年時に履修機会が設けられることが多い。よって,材料力学は,構造工学の基礎固めのために重要であると同時に,構造工学への第一印象を左右するという意味でも重要な科目であるといえる。構造工学に少しでもよい印象を持ってもらえるよう,できるだけ平易な材料力学の解説書を提供したい,本書はそのような動機から執筆,出版に至ったものである。

本書は,名古屋大学で土木工学を学ぶ2年生向けに開講している講義の講義ノートを基に,内容の選別,章立ての見直しなどを行って全9章に編集した。章の順番どおりに学習してもらうことを想定している。1章では,はりなどの単純な部材を対象に,力のつり合いと断面力の求め方について解説している。2章では応力,ひずみの概念を紹介し,これ以降の部材の力学・変形解析への導入とした。3章以降,軸力,曲げ,せん断,ねじりの四つの作用を受ける部材の応力・変形挙動についてそれぞれ解説している。4種の作用を受ける部材を同列に万遍なく解説している点は本書の特徴の一つである。7章では,一般的な応力・ひずみの取扱いについて述べている。その際,3次元での説明は煩雑となることから,解説は2次元で行い,3次元表現は紹介のみにとどめる工夫をした。8章では,初学者にとっては難解であると思われる主応力・主ひずみの概念とその求め方について詳述した。9章では,後続科目への橋渡しとなる発展的な話題について解説している。

「材料力学」を題する成書は非常に多く,ロングセラーになっている名著も多いが,上記のような単元構成は他書にはあまり見られないのではないかと考えている。また,入門科目として位置づけられる材料力学の解説書として使われることを念頭におき,内容は厳選に厳選を重ね,コンパクトな書籍に仕上げた。話が込み入った箇所や重要な箇所では適当な区切りをつけ,例題とその解説を示している。各章末には演習問題をつけ,巻末にその解答を示した。ぜひ,自己学習に役立てていただきたい。構造工学は非常に洗練された奥の深い学問である。本書が初学者の理解の助けとなり,構造工学の道へ入り込むきっかけになれば深甚なる喜びである。なお,演習問題のいくつかは名古屋大学工学部の清水優氏による。ここに記して感謝します。
2019年12月舘石和雄

1.外力と内力(断面力)
1.1 力とモーメントのつり合い
1.2 合力と合モーメント
1.3 反力
1.4 内力(断面力)
1.5 断面力の種類と正負
1.6 断面力の求め方
1.7 分布荷重の取扱い
1.8 荷重,せん断力,曲げモーメントの関係
章末問題

2.応力とひずみ
2.1 応力とは
2.2 応力の種類
2.3 応力と断面力の関係
2.4 ひずみとは
2.5 応力とひずみの関係(その1)
2.6 強度と設計
章末問題

3.軸力部材の力学
3.1 軸力部材とは
3.2 軸力部材の応力と変形
 3.2.1 棒の自重が無視できる場合
 3.2.2 棒の自重が無視できない場合
3.3 残留応力と温度応力
章末問題

4.曲げ部材の力学
4.1 曲げ部材とは
4.2 はりの曲げ応力
 4.2.1 はりの変形
 4.2.2 曲げ応力
4.3 断面諸量
 4.3.1 図心
 4.3.2 断面1次モーメント
 4.3.3 断面2次モーメント
4.4 中立軸まわりの断面2次モーメント
 4.4.1 長方形断面の断面2次モーメント
 4.4.2 T形断面の断面2次モーメント
 4.4.3 I形断面の断面2次モーメント
 4.4.4 円形断面の断面2次モーメント
4.5 断面係数
4.6 はりのたわみ
 4.6.1 片持ちばりのたわみ
 4.6.2 単純ばりのたわみ
章末問題

5.せん断を受ける部材の力学
5.1 せん断力を受けるはり
5.2 せん断力によるはりのせん断応力
 5.2.1 長方形断面はりのせん断応力分布
 5.2.2 円形断面はりのせん断応力分布
5.3 せん断力によるたわみ
章末問題

6.ねじりを受ける部材の力学
6.1 ねじりを受ける部材
6.2 ねじりモーメントによるせん断応力
 6.2.1 円形断面部材のせん断応力分布
 6.2.2 開断面部材のせん断応力分布
 6.2.3 閉断面部材のせん断応力分布
章末問題

7.一般的な応力とひずみ
7.1 任意形状の物体の応力とひずみ
7.2 一般的な応力の表示法
7.3 微小長方形の力のつり合い
7.4 ひずみと変位の関係
7.5 応力とひずみの関係(その2)
7.6 3次元における応力とひずみ
7.7 平面応力と平面ひずみ
章末問題

8.平面応力問題
8.1 応力成分の座標変換
8.2 主応力
8.3 主せん断応力
8.4 モール円
8.5 特別な応力状態のときのモール円
8.6 弾性係数間の関係
8.7 主ひずみ
8.8 主ひずみと主応力の計測
章末問題

9.いくつかの発展的話題
9.1 組合せ外力を受ける部材
9.2 合成部材
9.3 柱の座屈
9.4 応力テンソル(2次元)
9.5 ひずみテンソル(2次元)
9.6 断面の主軸
9.7 非対称曲げ
章末問題

章末問題解答
索引

「建築技術」2020年6月号 掲載日:2020/05/26