機械設計製図テキスト 手巻ウインチ

機械設計製図テキスト 手巻ウインチ

手巻ウインチを題材として強度計算に主眼をおき,課題を通して機械設計・製図の概念を理論と実際を結びつけて,わかりやすく習得できるよう要点を集約して手順を追って解説した。各節ごとに「計画図」を書いて学べるように構成した。

ジャンル
発行年月日
2011/11/18
判型
A4
ページ数
96ページ
ISBN
978-4-339-04620-5
機械設計製図テキスト 手巻ウインチ
在庫あり
2営業日以内に出荷致します。

定価

2,640(本体2,400円+税)

カートに入れる

電子版を購入

購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

【設計製図演習用テキストとして貴重な1冊】

本書は高専・大学の機械系学科で開講される設計製図演習のテキストに使われることを目的として,その題材に手巻ウインチを取り上げて解説したものです。手巻ウインチは理論と実際を結び付け,かつ構造が簡単でわかりやすく,設計製図演習の題材にとても適しています。本書は発行以来,数多くの教育機関で採用され,定評のある教科書として定着しています。これから設計製図演習をご担当される先生方には是非ご一読いただきたい1冊です。

はじめに

本書は高専・大学の機械系学科で開講される設計製図演習のテキストに使われることを目的として,その題材に手巻ウインチを取り上げて解説したものです。

1980年代以前には,設計製図演習の受講生には多くの課題が課せられました。例えば,歯車増減速機,動力ウインチ・クレーン,ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン,渦巻ポンプ・歯車ポンプ,遠心ファン・ブロア,ボイラ・熱交換器,油圧ジャッキなどの油圧機器,プレス機などの工作機械,ガスタービン・蒸気タービンなどです。講義で習った材料力学,機械材料,機械力学,機械要素学,生産加工学,流体力学,熱力学,制御工学などの知識をそれらに対応する設計課題演習を体験することによって身につけていきました。

近年,2次元CADならびに3次元CADが普及し,高専・大学にもCADの演習が導入されました。CADで図面を書くためには,まずその操作法を習得する必要があります。上記の課題演習のための時間がCADの操作法の習得のために割かれるようになり,最近では,課題による設計製図演習をまったく行わない大学もあるようです。

本書では,手巻ウインチを題材に「強度計算」に主眼をおき,少ない演習時間でも機械設計・製図の概念が習得できるように要点を集約して解説しています。

手巻ウインチは重量物を引き寄せる荷役機械です。人力によるトルクを歯車減速機構によって増幅し,増幅されたトルクを巻胴に伝達し,巻胴の回転によってワイヤロープを巻き取ります。また,ラチェット機構によって重量物の降下を防ぎ,ブレーキ装置によって降下時の降下速度を制御します。設計には所要の性能が発揮できるように歯車減速比,ブレーキトルクなどを設定する必要があります。そしてなにより大切なのは「強度計算」です。軸,歯車,ラチェット,ブレーキなど手巻ウインチを構成するそれぞれの部品に作用する荷重よりも部品の許容荷重が大きくなるように.材料の選定や寸法を決定する必要があります。いまどき手巻ウインチ?と思われるかもしれませんが,手巻ウインチは理論と実際を結びつけ,かつ構造が簡単でわかりやすく,設計製図演習の題材にとても適しています。

「強度計算」は試行錯誤の作業が伴います。そこで,パソコンの表計算ソフトを使うことを推奨します。図Aにその計算例を示します。また,計算間違いや部品の干渉を見つけるために,各節ごとに「計画図」を書く構成にしています。「計画図」は縮尺を決めて正確に方眼紙に書くように努めてください。正確であればフリーハンドでもかまいません。

表Aに設計仕様の課題例を示します。参考にしてください。

本書のJIS規格は,2011年時点のものであり,改訂されている場合があるので最新のJISを確認して下さい。本書の記述には多くの著書を参考にさせていただきました。それらの文献を以下に記し厚くお礼申し上げます。

2011年9月
著者

1.設計仕様と材料
1.1 設計仕様
1.2 部品材料と許容応力

2.ワイヤロープ
2.1 ワイヤロープ寸法

3.巻胴・ワイヤロープ止め金具
3.1 巻胴
3.2 ワイヤロープ止め金具

4.減速比と歯車諸元
4.1 減速比と歯数比
4.2 平歯車の基本項目と強度

5.ブレーキ装置
5.1 ブレーキドラム・バンドの設計

6.つめ車とつめ
6.1 つめ車
6.2 つめ軸
6.3 つめ

7.軸径
7.1 ハンドル軸
7.2 中間軸
7.3 巻胴軸

8.軸と軸周辺部品
8.1 ハンドル軸とハンドル軸周辺部品
8.2 中間軸と中間軸周辺部品
8.3 巻胴軸と巻胴軸周辺部品

9.歯車詳細寸法
9.1 小歯車の寸法
9.2 中間軸大歯車の寸法
9.3 巻胴軸大歯車の寸法

10.ブレーキ周辺部品
10.1 ブレーキドラムの寸法
10.2 バンド・止め板・止め軸
10.3 ブレーキレバー・支点軸・支持金具・支え板・おもり

11.フレームとフレーム周辺部品
11.1 フレーム・つなぎボルトの寸法

付録 製図例

索引

長町 拓夫(ナガマチ タクオ)

掲載日:2022/09/27

日本図学会誌「図学研究」56巻2号広告

★YouTube講義動画★
著者の長町先生による,本書籍を使用したYouTube講義動画をご覧いただけます。