システム動力学と振動制御

システム制御工学シリーズ 17

システム動力学と振動制御

振動学と振動制御は不可分の表裏一体の関係にあり,先端科学技術を裏方から支えている基礎工学である。本書では,ラプラス変換法を解析法として用いながら,振動解析と振動制御を設計論の立場から一体的にとらえながら解説した。

ジャンル
発行年月日
2010/09/30
判型
A5
ページ数
208ページ
ISBN
978-4-339-03317-5
システム動力学と振動制御
在庫僅少

定価

3,080(本体2,800円+税)

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振動学と振動制御は不可分の表裏一体の関係にあり,先端科学技術を裏方から支えている基礎工学である。本書では,ラプラス変換法を解析法として用いながら,振動解析と振動制御を設計論の立場から一体的にとらえながら解説した。

振動は古くて新しい問題である。先端科学や先端的な技術革新の裏には多くの振動問題が存在しており振動問題の解決なくして先端科学や先端技術は生まれない。1980年代後半から1990年代前半頃超高層ビルや長大橋などの振動制御が盛んに研究され,超高層ビルの多くにアクティブ(能動形)動吸振器が搭載され実用化がなされた。しかし阪神淡路大震災を契機として,巨大地震の際の電力系統遮断の問題が深刻となりアクティブ動吸振器が見直され,セミアクテイブ(準能動形)やパッシブ(受動形)な振動制御が主流を占めるに至っている。しかしセミアクティブやパッシブな振動制御性能を最大限に引き出すために,アクティブな振動制御系を規範として'性能の限界を極め,その上で,いかにセミアクティブやパッシブな制御系を設計するかが重要な関心事となっている。しかも,多くの輸送機器,精密機器,知能機器,ロボティクス・メカトロニクス機器においてはアクティブ振動制御の技術は必須であり,いまや常識的な範障に入る概念である。このような観点から,本書で述べる振動学と振動制御は不可分の表裏一体の関係にあり,先端科学技術を裏方から支えている基礎工学といえる。

本書は,「システム制御工学シリーズ」として企画された,新しいスタイルの『システム動力学と振動制御』である。ここでいう“新しいスタイル”とは,振動学を制御工学の視点からとらえて記述することである。特に,上述したように振動解析と振動制御を設計論の立場から一体的にとらえることを心掛けた。そして,いろいろな振動解析法が存在する中で,制御工学として初等レベルで学ぶラプラス変換法を解析法として用いている。さらに,後半の内容はアクティブな振動制御法をいかに設計するかという観点から,先端的な制御理論を適用した振動制御について,設計法と実際に適用した実験結果を示している。

1章では,ラプラス変換について復習している。2章では1自由度系の振動を,3章では2自由度系および多自由度系,4章では連続系の振動について述べている。5章では,振動制御の考え方を基本的な視点に立って考察し,パッシブ,セミアクティブ,アクティブなどの各振動制御法について包括的に述べている。ここまでが,振動学と振動制御の基礎となっており,学部または一部大学院での講義などで活用できる内容を含んでいる。

6章以降はかなり先端的な振動制御法について論じており, 6章ではH_∞制御理論による振動制御を記述した。特に,6章ではH_∞制御理論をどのように振動制御系として適用するかについていくつかの代表的な方法論を述べた。

7章では,μ設計理論としてディスクリプタμ設計法による振動制御を取り上げた。8章では,出力フィードバック形スライデイングモード振動制御について紹介した。これらの内容は大学院レベルあるいは研究者レベルの内容となっており,関係の参考文献をいくつか示した。本書が読者の勉学や研究の座右の書になれば幸いである。

2010年7月
野波健蔵

1. ラプラス変換と振動学・制御工学
1.1 ラプラス変換法の基本的な考え方
1.2 ラプラス変換とフーリエ変換の関係
演習問題

2. 1自由度系の振動
2.1 自由振動
2.2 強制振動
演習問題

3. 2自由度系-多自由度系の振動
3.1 2自由度系の運動方程式
3.2 減衰のない2自由度系の固有振動数と固有モード
3.3 減衰のない2自由度系の強制振動解
3.4 モード解析を用いた2自由度振動系の解析
3.5 多自由度系の振動
 3.5.1 ラグランジュの運動方程式
 3.5.2 多自由度系の不減衰自由振動と固有値問題
 3.5.3 モードベクトルの直交性
 3.5.4 レイリー商
演習問題

4. 連続系の振動
4.1 弦の横振動
4.2 棒の縦振動
4.3 梁の曲げ振動
演習問題

5. 振動制御の考え方とパッシブ制御・セミアクティブ制御・アクティブ制御
5.1 振動制御の基本的な考え方
5.2 振動のパッシブ制御
 5.2.1 狭義の振動制御
 5.2.2 振動の絶縁
 5.2.3 外乱除去
5.3 振動のセミアクティブ制御
5.4 振動のアクテイブ制御
 5.4.1 パッシブ制御とアクテイブ制御
 5.4.2 振動制御におけるフィードバック制御とフィードフォワード制御
 5.4.3 アクテイブ制御の方法
5.5 コロケーションとノンコロケーション
5.6 スピルオーバ問題
演習問題

6. H_∞制御理論による振動制御
6.1 振動制御の現状とH_∞制御
6.2 H_∞制御による代表的な振動制御系設計法
6.3 スピルオーバ抑制をめざした弾性系への適用
6.4 高周波域遮断特性をめざした剛性系への適用
6.5 外乱オブザーバと等価なH_∞制御
6.6 振動制御におけるH_∞制御の利点

7. μ設計理論による振動制御
7.1 μ設計理論の枠組み
7.2 ディスクリプタμ設計
7.3 ディスクリプタμ設計による柔軟構造物のロバスト制御
 7.3.1 モデリング
 7.3.2 制御系設計およびシミュレーション
 7.3.3 実験および考察

8. スライディングモード制御理論による振動制御
8.1 モデリング
8.2 制御系設計
 8.2.1 切換超平面の設計
 8.2.2 制御系設計1(非線形入力による制御器)
 8.2.3 制御系設計2(準等価制御入力を有する制御器)
8.3 シミュレーションによる検証
 8.3.1 インパルス外乱応答
 8.3.2 地震外乱応答
8.4 実験による検証
 8.4.1 自由振動に対する制振結果
 8.4.2 地震外乱に対する制振結果
8.5 制御器の特性と比較検証
 8.5.1 制約条件と制御系設計
 8.5.2 制御器の比較検証
8.6 出力フィードパック形スライデイングモード振動制御の特徴

引用・参考文献
演習問題の解答
索引

野波 健蔵

野波 健蔵(ノナミ ケンゾウ)

専門は制御工学,ロボット工学,メカトロニクス。略歴は,1979年東京都立大学大学院工学研究科博士課程修了,1985年米航空宇宙局(NASA)研究員・シニア研究員,1988年千葉大学助教授,1994年千葉大学教授,2001年10㎏クラスの小型無人ヘリコプタの完全自律制御に日本で最初に成功,2008年千葉大学理事・副学長(研究担当),2008年千葉大学産学連携知的財産機構長,2011年日本学術会議連携会員,2012年ミニサーベイヤーコンソーシアム会長,2013年大学発ベンチャー「(株)自律制御システム研究所」を創業し,代表取締役社長,2014年千葉大学特別教授(千葉大学名誉教授),2017年一般社団法人日本ドローンコンソーシアム会長,2018年(株)自律制御システム研究所が東証マザーズ市場に上場,取締役会長,2019年一般財団法人先端ロボティクス財団を設立し,理事長に就任。

「計測と制御」2011年3月号 掲載日:2011/04/23

特集:制御技術で描く電気自動車の将来像-自動車技術会・計測自動制御学会共同企画-

掲載日:2020/12/14

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