回転体力学の基礎と制振

回転体力学の基礎と制振

回転体の力学を基礎から学びたい学生や技術者を対象に,数学と力学を復習しながら回転体力学の基礎をわかりやすく解説した。

ジャンル
発行年月日
2016/05/27
判型
A5
ページ数
238ページ
ISBN
978-4-339-04645-8
回転体力学の基礎と制振
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定価

3,740(本体3,400円+税)

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本書では,初学者を念頭において,3次元空間内でのロータの運動を理解するために必要な数学と一般力学について記述し,それらを身に付けた後に回転機械の振動の基礎を学習する形式とした。さらに,特に企業の技術者からは,製品開発の観点から,回転機械の制振方法について勉強したいとの要望があり,著者らの研究も含め,各種の学術雑誌などで報告されている内容をまとめた。構成は以下の通りである。

1章「力学と数学の予備知識(その1)」では,2章で学ぶたわみ振動を理解するために必要な剛体の平面運動の力学について復習する。
2章「2自由度系のたわみ振動」では,回転機械のロータにおいて,たわみ振動が発生する場合の基本的な特性を解説する。
3章「力学と数学の予備知識(その2)」では,4章で取り扱うロータの傾き運動の説明を理解するために必要となる数学と力学を学ぶ。
4章「2自由度系の傾き振動」では,傾き振動が現れる最も簡単なモデルとして,弾性軸の中央に円板が取り付けられた2 自由度系の傾き振動を考える。
5章「4自由度系と多円板系」では,円板が弾性軸の中央から外れた位置に取り付けられた系のように,たわみ振動と傾き振動が同時に発生するモデルの振動について説明するとともに,関連するいくつかのモデルについてそれらの振動特性を説明する。
6章「機械要素に起因する振動」では,回転機械システムで用いられる機械要素に起因して発生する振動について解説する。機械要素としては転がり軸受と軸受台を取り上げ,それにより発生するさまざまな振動がどのような特徴をもつか,またその理解のため,これまで学んだ回転体力学の基礎理論がどのように用いられるかについて学ぶ。
7章「釣合せ」では,製作誤差で生じる偏重心や偏角の影響を小さくする操作方法について解説する。
8章「自励振動」では,回転機械に発生する自励振動について解説する。
9章「回転機械の制振」では,回転機械で提案されている各種の受動的制振法について紹介する。
10章「振動計測データの処理」では,計測データの表示法,周波数分析とその注意点,および波形処理例について解説する。

1. 力学と数学の予備知識(その1)
1.1 ニュートンの法則
1.2 質点の運動方程式
1.3 剛体の運動方程式
 1.3.1 固定軸まわりの回転運動
 1.3.2 平行軸の定理
 1.3.3 剛体の平面運動

2. 2自由度系のたわみ振動
2.1 無減衰系の振動
 2.1.1 運動方程式
 2.1.2 自由振動と固有角振動数
 2.1.3 強制振動
2.2 減衰系の振動
 2.2.1 運動方程式
 2.2.2 減衰自由振動
 2.2.3 強制振動
 2.2.4 軸受部に減衰が作用する系の強制振動
2.3 危険速度通過時の非定常振動
 2.3.1 運動方程式
 2.3.2 一定角加速度で危険速度を通過する場合

3.  力学と数学の予備知識(その2)
3.1 ベクトルとその演算
 3.1.1 ベクトルの定義
 3.1.2 ベクトルの加法と減法
 3.1.3 ベクトルの内積(スカラー積)
 3.1.4 ベクトルの外積(ベクトル積)
 3.1.5 基本ベクトル
3.2 行列と行列式
 3.2.1 行列の定義
 3.2.2 行列の演算,その他
3.3 座標軸の回転(2次元)
3.4 剛体の自由度と剛体の傾き角
 3.4.1 オイラー角
 3.4.2 射影角と回転角
3.5 質点の角運動量
 3.5.1 角運動量
 3.5.2 回転に関する運動方程式
3.6 質点系の運動方程式
 3.6.1 各質点の運動方程式
 3.6.2 重心の運動
 3.6.3 重心まわりの全角運動量
3.7 剛体の運動方程式

4. 2自由度系の傾き振動
4.1 無減衰系の自由運動
 4.1.1 運動方程式
 4.1.2 自由振動と固有角振動数
 4.1.3 ジャイロモーメント
4.2 無減衰系の強制振動

5. 4自由度系と多円板系
5.1 たわみと傾きが連成する4自由度系の振動
 5.1.1 運動方程式
 5.1.2 自由振動
 5.1.3 強制振動
5.2 剛性ロータを柔らかいばねで支持した系
 5.2.1 運動方程式
 5.2.2 自由振動と振動モード
5.3 複数の円板をもつ系の危険速度の簡易計算法
 5.3.1 レイリーの方法(エネルギー法)
 5.3.2 ダンカレーの公式

6. 機械要素に起因する振動
6.1 玉軸受に起因する振動
 6.1.1 転動体の直径の不ぞろいに起因する共振
 6.1.2 転動体通過による振動
6.2 軸受台の剛性の方向差に起因する振動

7. 釣合せ
7.1 釣合せの原理(剛性ロータ)
 7.1.1 一面釣合せ
 7.1.2 二面釣合せ
7.2 釣合い試験機(剛性ロータ)
 7.2.1 釣合い試験機(ハード型)
 7.2.2 釣合い試験機(ソフト型)
 7.2.3 不釣合いのさまざまな表現,その他
7.3 弾性ロータの釣合せ
 7.3.1 問題点と基本的な考え方
 7.3.2 モード釣合せ法
 7.3.3 影響係数法

8. 自励振動
8.1 自励振動の基本的性質(1自由度系)
 8.1.1 乾性摩擦が作用する系
 8.1.2 安定性解析
8.2 内部摩擦(履歴減衰)
 8.2.1 回転機械に発生する各種の摩擦
 8.2.2 履歴減衰と自励力の発生
 8.2.3 自励振動の解析(履歴減衰)
8.3 内部摩擦(構造減衰)
 8.3.1 構造減衰と自励力の発生
 8.3.2 自励振動の解析(構造減衰)
8.4 ラビング
 8.4.1 ラビングの種類
 8.4.2 ラビングのモデルと運動方程式
 8.4.3 数値シミュレーション
 8.4.4 実験結果

9. 回転機械の制振
9.1 振動の種類と制振
 9.1.1 強制振動とその制振
 9.1.2 自励振動とその制振
9.2 強制振動の制振
 9.2.1 回転体の釣合せ
 9.2.2 共振の回避
 9.2.3 粘性ダンパを利用した制振
 9.2.4 防振ゴムによる制振
 9.2.5 重ね板ばねによる制振
 9.2.6 動吸振器の定点理論を用いた制振
 9.2.7 スクイズフィルムダンパ軸受を用いた制振
 9.2.8 不連続ばね特性を利用した制振
 9.2.9 ボールバランサを利用した制振
9.3 自励振動の制振
 9.3.1 乾性摩擦に起因する自励振動の制振
 9.3.2 接触に起因するラビングの制振

10. 振動計測データの処理
10.1 計測データの表示法
10.2 FFTによる周波数分析
 10.2.1 フーリエ級数
 10.2.2 離散フーリエ級数
 10.2.3 FFT分析を行う際の注意点
10.3 波形データ処理の回転軸系への応用
 10.3.1 周波数分析における実数データから複素数データへの拡張
 10.3.2 複素数データを用いたFFT分析による周波数成分の分離処理

参考図書
引用・参考文献
索引

石田 幸男(イシダ ユキオ)

池田 隆(イケダ タカシ)

月刊 トライボロジー 2016年11月 NO,351 号 掲載日:2016/11/16

日刊工業新聞2016年9月27日 「話題の本」欄 掲載日:2016/10/14

機械の研究(養賢堂 発行) 第68巻9月号 掲載日:2016/09/01