![制御理論](/imgs/cover/9784339032475.jpg)
制御理論
50年以上にわたって研究・教育に携わってきた著者陣の集大成となる,制御理論の入門書
- 発行予定日
- 2025/01/中旬
- 判型
- B5
- ページ数
- 220ページ
- ISBN
- 978-4-339-03247-5
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- 広告掲載情報
長年,分野を牽引してきた著者陣の豊富な経験に基づく,制御理論の入門書。制御対象の数式モデルの導出と線形時不変システムの動特性に関する記述に力を入れ,制御系設計法の動機・発想・設計に必要な視点をわかりやすく説明した。
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
本書は,第1著者である児玉が執筆を始め,第2著者の池田が執筆に加わり,そして第3著者の太田が加わって,3名の共著という形で完成したものである。
IFAC(国際自動制御連盟)が1957年に設立されたことが象徴しているように,制御理論の研究は1950年代後半から盛んになった。児玉は1960年代の初めから,池田は1960年代が終わる頃から,太田は1970年代前半から制御理論の研究を始め,おのおので,あるいは協力して研究成果を世に出し,制御理論の発展に貢献してきた。そして,制御理論の教育に携わり,後進の育成に努めてきた。本書はそうして得られた著者らの経験に基づいている。
制御理論では動的システムを数式モデルで表し,その性質を調べることによって,システムの動特性の本質をつかみ,制御できることや,できないことを明らかにしている。その中で,著者らは「できる」,「できない」について,「なぜ」ということを強く意識してきた。そうすることにより,できないことについて,無駄な挑戦をする必要がなくなる。そして,シミュレーションや評価計算によって,できることの中でよりよいものを見つけることの意味を理解することができる。
動的システムを数式モデルで表すことは制御理論以外の分野でも一般的に行われている。それらに比べると,制御理論における数式モデルは一般に抽象度が高いと考えられる。他の分野の数式モデルが元の現実システムの変数やパラメータを用いることが多いのに対して,制御理論の数式モデルの変数やパラメータは現実のものから離れることを許している。そのような抽象化によって,解析や設計の自由度を高め,制御系設計を柔軟に行うことができる。ただし,その結果を現実世界で実現する意識をもつことを忘れてはならない。
本書の第一の特徴は,このような認識のもと,制御対象の数式モデルの導出と線形時不変システムの動特性について,かなり詳しく述べている点である。
また,本書の第二の特徴は,制御系設計法を天下り的に紹介するのではなく,その動機や発想および設計に必要な視点をできるだけわかりやすく述べようとしている点である。
数式モデルについては,実システムの要素とそれらの結合関係から状態方程式と伝達関数を導くことを基本としている。動特性については,時間応答特性,周波数応答特性,安定性にそれぞれ1章ずつを費やしている。
また,制御系の基本であるフィードバック系の性質について,そして伝達関数と状態方程式に基づくフィードバック制御系設計法についてそれぞれ1章ずつを割いている。読者がそれらの設計法の動機や発想を理解すれば,本書で示した例を参考にして,広く応用が可能になるであろうと著者らは期待している。制御理論に関する書籍が多数ある中,本書の視点が読者の理解を深めることに役立つことを望む。
2024年12月
著者一同
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
第1章 制御と制御理論
1.1 制御とは
1.2 制御対象
1.3 制御の仕組み
1.4 制御理論
1.5 制御理論の歴史
1.6 回路網理論からの示唆
1.7 ラプラス変換
演習問題
第2章 システムの数式モデル
2.1 システムと数式モデル
2.2 システムの構成要素
2.2.1 システムの基本要素
2.2.2 基本ブロック
2.3 ブロック線図によるシステムの記述
2.3.1 電気回路
2.3.2 機械系
2.3.3 水位タンク系
2.3.4 平衡状態周りの数式モデル
2.4 入出力微分方程式
2.5 状態方程式
2.5.1 状態方程式の導出
2.5.2 状態方程式の変換
2.6 伝達関数
2.6.1 伝達関数の状態方程式からの導出
2.6.2 入出力関係から導く伝達関数
2.6.3 システムの記述式と伝達関数
2.6.4 むだ時間要素の伝達関数
2.6.5 ブロック線図と伝達関数
2.6.6 ブロック線図における等価変換
2.6.7 ブロック線図の結合における注意
演習問題
第3章 システムの時間応答特性
3.1 状態の応答とシステムモード
3.1.1 状態方程式の解
3.1.2 システムモード
3.1.3 零入力応答と零状態応答におけるシステムモード
3.2 システムモードの安定性
3.3 可制御性と可観測性
3.4 ステップ応答とインパルス応答
3.5 伝達関数とシステムの応答
3.5.1 有理伝達関数をもつシステムのインパルス応答とステップ応答
3.5.2 低次系のステップ応答
3.5.3 ステップ応答に対する指標
3.5.4 ステップ応答に対する零点の影響
3.5.5 ステップ応答に対する極の影響
3.5.6 一般の入力に対する応答
3.6 定常応答と追従性
3.7 状態方程式と伝達関数
3.7.1 システム固有値と極
3.7.2 状態方程式の実現
演習問題
第4章 システムの周波数応答特性
4.1 正弦波入力に対する定常応答
4.2 一般入力と周波数応答
4.3 周波数伝達関数とその表示
4.3.1 ボード線図
4.3.2 ベクトル軌跡
4.4 周波数伝達関数と特性近似
演習問題
第5章 システムの安定性
5.1 システムの安定性について
5.1.1 内部安定性と入出力安定性
5.1.2 安定判別法
5.1.3 むだ時間要素を含むシステムの入出力安定性
5.2 フィードバック制御系の安定性
5.2.1 フィードバック制御系の構成と内部安定性
5.2.2 入出力安定性
5.2.3 ナイキスト安定判別法
5.2.4 むだ時間要素を含むフィードバック系の入出力安定性
5.2.5 フィードバック制御系の安定度:ゲイン余裕と位相余裕
5.2.6 ロバスト安定性
演習問題
第6章 フィードバック制御系の特性
6.1 フィードバック制御の効果
6.2 感度関数、相補感度関数とループ整形
6.3 フィードバック制御系の過渡特性
6.4 フィードバック制御系の定常特性
6.4.1 目標入力に対する定常偏差
6.4.2 外乱に対する定常特性
演習問題
第7章 フィードバック制御系の設計:伝達関数に基づく方法
7.1 フィードバック制御系
7.2 根軌跡法
7.2.1 根軌跡
7.2.2 根軌跡の特性
7.2.3 根軌跡法によるコントローラの設計
7.3 周波数応答法
7.3.1 位相遅れ補償器の設計
7.3.2 位相進み補償器の設計
7.4 PID補償器の設計
7.4.1 限界感度法
7.4.2 ステップ応答に基づく方法
7.5 2自由度制御系
演習問題
第8章 フィードバック制御系の設計:状態方程式に基づく方法
8.1 状態方程式に基づく設計法の特徴
8.2 状態フィードバック
8.2.1 極指定法
8.2.2 最適レギュレータ
8.3 オブザーバ
8.4 積分補償
8.4.1 積分補償を付加した拡大系
8.4.2 積分型サーボ系
8.5 2自由度サーボ系
演習問題
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掲載日:2025/01/06