情報通信ネットワーク入門

情報通信ネットワーク入門

  • 尾崎 博一 北海道情報大教授 博士(コンピュータ理工学)

高校卒業程度の知識でひとりで読み進められる情報通信ネットワークの入門書。

ジャンル
発行年月日
2023/08/24
判型
A5
ページ数
224ページ
ISBN
978-4-339-02936-9
情報通信ネットワーク入門
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定価

3,300(本体3,000円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

【読者対象】
情報系の大学学部生・専門学校生。
情報系の資格(基本情報技術者,応用情報技術者,ネットワークスペシャリスト等)取得を目指す学生や社会人。
「情報」の教員免許取得を目指す学生や高校の教員。
情報通信やインターネットについて学びたい社会人。

【書籍の特徴】
・予備知識を持たない初学者が独力でも学習できるように平易かつ丁寧に記述してある。
・他の入門書にはあまり書かれていない比較的高度な内容も含む。
・執筆時点(2023年)の最新技術を反映・紹介している。
・演習問題に基本情報技術者試験,応用情報技術者試験,ネットワークスペシャリスト試験等の過去問題を収録してある。また,巻末に解答例を示している。
・大学学部・専門学校の半期の授業(15回)を意識した章構成になっている。

【各章について】
1章では,2章以降を読むために必要な知識を整理し情報通信ネットワークの概要を解説する。
2章では,情報通信ネットワークを支えるディジタル通信技術を解説する。
3章では,通信プロトコルの概念および階層化の意味と方法を解説する。
4章では,私たちの身近にある有線LANおよび無線LANの技術を解説する。
5章では,パケットを宛先まで届けるIPおよびルーティング(経路制御)を解説する。
6章では,通信に信頼性を与えるTCPとリアルタイム通信で用いられるUDPを解説する。
7章では,各種インターネットサービスとそれぞれのプロトコルを解説する。
8章では,ブロードバンド通信を実現する方式および現在の移動通信ネットワークの概要を解説する。
9章では,セキュリティへの脅威と情報を守るための技術を解説する。

【著者からのメッセージ】
情報通信ネットワークやインターネットの技術は内容が多岐にわたり,かつそれぞれの奥が深いため初学者には難しく感じられるかもしれません。本書では情報通信ネットワークの基本を初学者向けに易しく解説しています。あまり複雑なことには立ち入らないようにしましたが,それでも比較的高度な(しかし重要な)内容も含んでいます。興味を持って読んでいただければ著者望外の喜びです。

情報通信ネットワークやインターネットに関する教科書,解説書は数多く出版されている。タイトルを見て本書を手にした人はそれらといったい何が違うのだろうと思うかもしれない。本書の特徴は,まず記述が平易でひとりで読み進められるということである。また,本書を読むために予備知識はほとんど必要でない。高校卒業程度の知識があればだれでも読み進めることができるはずである。しかし,基礎的な内容の解説だけに終始しているかというとそうでもない。他の入門的な教科書にはあまり書かれていない比較的高度なこと(しかし重要なこと),たとえば実際に使われているディジタル変調の方式(2.4.3項,2.4.4項),無線LANのフレームの詳細(4.10.2項),TCPの輻輳制御の詳細(6.6.3項),HTTPのメッセージの詳細(7.5.2項)などが本書には含まれている。

本書の執筆は2023年2月に完了したが,可能な限りこの時点の最新の技術動向を反映するようにした。情報通信の技術は日進月歩であり,ある時点で最新の技術であったものがその後廃れて使われなくなることは普通に起こる。しかし,基本的なところは変わらないのである。本書では基本を丁寧に説明しつつ最新の技術動向を紹介している。

読者には情報関連の資格取得を目指す人も多いと思う。本書の各章末の演習問題には基本情報技術者試験,応用情報技術者試験,ネットワークスペシャリスト試験等の過去問題から多くを収録した。本書で学んだ内容がどのような設問として問われるかがわかるようになっている。各章の問および演習問題の解答例は巻末に示した。また,一部解答例の補足はコロナ社の本書紹介ページにアップした。

本書の構成は次のとおりである。第1章は序論であり,最低限知っておくべき知識を整理し情報通信ネットワークの概要を説明している。第2章はディジタル通信技術の解説である。高校数学で習う三角関数の基礎がわかっていれば理解できるはずである。第3章は通信プロトコルとはいったいどういうものであるかを説明する。第4章は私たちの最も身近にあるネットワーク(LAN)の解説である。第5章と第6章はプロトコルの中でも特に重要なTCP/IPの解説である。第5章のIPは基本的な内容が中心であるが,第6章のTCPではこの種の入門書としてはかなり詳しい内容まで紹介した。第7章はインターネットサービスとそのプロトコルの解説である。ユーザには直接見えないDHCPとDNSを最初に解説しているのは,この2つはインターネット通信を支える基本的なプロトコルだからである。第8章はブロードバンド通信と移動通信の解説である。普段何気なく使っているPCやスマートフォンの裏側でどんな技術が使われているかを理解していただきたい。第9章はセキュリティに関する解説である。心構えや人的対策などは省略して技術的な内容に特化して記述した。

本書を大学や専門学校の半期の授業で使用する場合,第1章,第3章,第8章をそれぞれ1回,その他の章をそれぞれ2回の講義とすれば,全15回で完了することができる。もっともこれに従う必要はなく担当される先生の裁量で適宜変えていただいて差し支えない。

本書では紙数の関係で割愛せざるを得なかった内容が多々あるが,読者は巻末の参考文献を参照し,さらに深い知識を身につけていただきたいと思う。

最後に本書の内容について有益なご教示をいただいた北海道情報大学の中島潤教授,廣奥暢准教授に深く感謝いたします。また,出版に際してお世話になったコロナ社の諸氏に感謝いたします。

2023年6月
著 者 

1.序論
1.1 基礎事項
 1.1.1 10進数,2進数および16進数
 1.1.2 基数変換
 1.1.3 単位の接頭語
 1.1.4 単位に関する注意
1.2 情報通信ネットワーク
 1.2.1 情報通信ネットワークの発展
 1.2.2 情報通信ネットワークの役割と構成
1.3 通信の形態
 1.3.1 伝送媒体による分類
 1.3.2 通信の方向による分類
 1.3.3 通信相手の数による分類
 1.3.4 ネットワークのトポロジーによる分類
1.4 情報通信ネットワークへの要求
1.5 インターネット
 1.5.1 インターネットの歴史
 1.5.2 インターネットおよび通信一般に関係する組織
演習問題

2.ディジタル通信技術
2.1 アナログとディジタル
 2.1.1 アナログとディジタルの定義
 2.1.2 ディジタル信号の特徴
2.2 情報のディジタル化
 2.2.1 標本化
 2.2.2 量子化
 2.2.3 符号化
2.3 ベースバンド伝送とブロードバンド伝送
 2.3.1 ベースバンド伝送
 2.3.2 ブロードバンド伝送
2.4 変調技術
 2.4.1 正弦波
 2.4.2 正弦波による信号波形の合成と分解
 2.4.3 アナログ変調とディジタル変調
 2.4.4 OFDM
2.5 多重化技術
 2.5.1 周波数分割多重
 2.5.2 時分割多重
 2.5.3 符号分割多重
 2.5.4 波長分割多重
 2.5.5 多元接続方式
2.6 回線交換とパケット交換
 2.6.1 交換方式
 2.6.2 回線交換と蓄積交換
 2.6.3 コネクション型とコネクションレス型
演習問題

3.通信プロトコル
3.1 通信プロトコルの役割
3.2 階層化とその実現方法
 3.2.1 プロトコルの例と階層化
 3.2.2 通信プロトコルの階層化
 3.2.3 階層化の実現方法
3.3 OSI基本参照モデル
 3.3.1 物理層(第1層)
 3.3.2 データリンク層(第2層)
 3.3.3 ネットワーク層(第3層)
 3.3.4 トランスポート層(第4層)
 3.3.5 セッション層(第5層)
 3.3.6 プレゼンテーション層(第6層)
 3.3.7 アプリケーション層(第7層)
3.4 インターネットのプロトコル階層
 3.4.1 ネットワークインタフェース層
 3.4.2 ネットワーク層
 3.4.3 トランスポート層
 3.4.4 アプリケーション層
3.5 クライアント・サーバ型とピア・ツー・ピア型
演習問題

4.LAN
4.1 LANの構成
4.2 MACアドレス
4.3 Ethernet
4.4 ARP
4.5 媒体アクセス制御とCSMA/CD
4.6 Ethernetに用いられるネットワーク機器
 4.6.1 リピータ
 4.6.2 ハブ
 4.6.3 スイッチとブリッジ
4.7 スパニングツリープロトコル
4.8 リンクアグリゲーション
4.9 VLAN
4.10 無線LAN
 4.10.1 無線LANの規格
 4.10.2 無線LANのフレーム
4.11 CSMA/CA
 4.11.1 無線LANにおける媒体アクセス制御
 4.11.2 隠れ端末問題とその回避方法
4.12 PAN
 4.12.1 Bluetooth
 4.12.2 ZigBee
演習問題

5.IPとルーティング
5.1 IPアドレス
 5.1.1 IPアドレスの必要性
 5.1.2 IPv4アドレスの構成
 5.1.3 IPv4アドレスの枯渇問題とCIDR
 5.1.4 IPv4アドレスの設定
 5.1.5 IPv6アドレスの構成
 5.1.6 IPv6アドレスの設定
5.2 IPネットワークの構成
5.3 IPv4パケット
5.4 IPv6パケット
5.5 アドレス変換技術
 5.5.1 プライベートアドレスとNAT
 5.5.2 IPv4アドレスとIPv6アドレス
5.6 ルーティングプロトコル
 5.6.1 ルーティングの方式
 5.6.2 IGPとEGP
 5.6.3 RIP
 5.6.4 OSPF
 5.6.5 BGP
5.7 SDN
5.8 MPLS
5.9 ICMP
演習問題

6.TCPとUDP
6.1 ポート番号
6.2 TCPの役割
6.3 TCPセグメント
6.4 コネクションの確立と解放
6.5 再送制御と順序制御
 6.5.1 再送制御
 6.5.2 順序制御
 6.5.3 再送タイマーの調整
6.6 フロー制御と輻輳制御
 6.6.1 ウィンドウ制御
 6.6.2 フロー制御
 6.6.3 輻輳制御
6.7 UDPの役割
6.8 UDPデータグラム
演習問題

7.インターネットサービスとプロトコル
7.1 DHCP
7.2 DNS
 7.2.1 ドメイン名とDNS
 7.2.2 DNSの仕組み
7.3 電子メール
 7.3.1 電子メールシステムとプロトコルの概要
 7.3.2 SMTP
 7.3.3 POP3とIMAP4
 7.3.4 添付ファイル
7.4 ファイル転送
7.5 WWW
 7.5.1 WWWとHTTPの概要
 7.5.2 HTTPのメッセージ
 7.5.3 Web情報のキャッシュ
 7.5.4 CGI
 7.5.5 JavaScript
 7.5.6 cookie
7.6 遠隔コンピュータ制御
7.7 ネットワーク管理
演習問題

8.ブロードバンド通信と移動通信
8.1 ブロードバンド通信
8.2 ブロードバンドアクセス方式
 8.2.1 FTTH
 8.2.2 CATV
 8.2.3 公衆無線LAN,WiMAXその他
8.3 リアルタイム通信
 8.3.1 リアルタイム性
 8.3.2 リアルタイム通信に用いられるプロトコル
 8.3.3 RTP
 8.3.4 RTCP
 8.3.5 VoIP
 8.3.6 SIP
8.4 移動通信の歴史と世代
8.5 4Gネットワークの構成と仕組み
8.6 5Gネットワークの特徴
演習問題

9.ネットワークセキュリティ
9.1 情報セキュリティの要素
9.2 セキュリティに対する脅威と備え
 9.2.1 DoS攻撃
 9.2.2 さまざまな攻撃手法
 9.2.3 マルウェア
 9.2.4 ファイアウォール
 9.2.5 侵入検知/防止システム
9.3 暗号技術
9.4 共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式
 9.4.1 2つの暗号方式
 9.4.2 AES
 9.4.3 RSA
9.5 電子署名とSHA
9.6 認証技術
9.7 認証局とPKI
9.8 プロトコルとセキュリティ
 9.8.1 WPA
 9.8.2 IPsec
 9.8.3 TLS
演習問題

参考文献
問と演習問題の解答例
索引

読者モニターレビュー【 とんび 様 (業務内容:コネクティッドカー向け通信モジュール関連 )】

本書は今後情報通信業界を目指す人や、情報通信を用いて新たなビジネスを展開していく人にむけて、技術の基本から現時点の最新動向まで体系的かつ横断的に解説されている。私自身も情報通信エンジニアとして働いているが、自分の専門領域では職務上知識がついても、他領域のこととなると分からない、知らないことばかりである。そういったとき、その領域の基礎知識をまず本書で手軽に確認すると非常に効果的であると感じた。

また、昨今の技術動向ではあまりメジャーではないWiMAXについても解説されているところから見るに、かなり細かいところまで配慮して執筆されている。本書の内容を一通り読めば、少なくとも携帯電話の販売員よりも通信技術に明るくなることは間違いない。

尾崎 博一(オザキ ヒロカズ)

1983年 京都⼤学⼯学部電気⼯学科卒業
1985年 京都⼤学⼤学院⼯学研究科修⼠課程修了(電⼦⼯学専攻)
1985年 ⽇本電気株式会社(NEC) 勤務(〜2011 年)
コアネットワークおよびアクセスネットワークの光伝送装置の研究・開発に従事。
2007年 会津⼤学⼤学院⾮常勤講師(〜2014 年)
2009年 博⼠(コンピュータ理⼯学) (会津⼤学)
2011年 北海道情報⼤学教授

掲載日:2023/12/29

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