画像情報処理の基礎

画像情報処理の基礎

行いたい画像処理に対して,どのような手法があるのかを見つけやすくするため,処理を中心とした章立てを心がけた。

  • 口絵
ジャンル
発行年月日
2019/06/13
判型
A5
ページ数
206ページ
ISBN
978-4-339-02895-9
画像情報処理の基礎
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定価

2,970(本体2,700円+税)

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  • 内容紹介
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  • 目次
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行いたい画像処理に対して,どのような手法があるのかを見つけるのは意外に難しい。そこで,本書では処理を中心とした章立てを心掛けた。画像解析手法そのものが研究の対象でない分野では,本書に書かれた内容で研究に利用できる。

近年,多くの分野で画像を扱った研究や仕事が増えてきているように思われる。以前から,画像処理や画像解析の研究者は多かったが,パターン計測,AI(artificial intelligence),深層学習(deep learning; ディープラーニング)など,最近の流行と融合してさらに多くの人から注目されるようになったことが一つの要因だと思われる。また,OpenCVなどのフリーのライブラリが充実してきたことや,これらのフリーのライブラリをC言語だけでなく,MATLABやPythonなどのプログラミング言語で扱うための手引書が多数刊行されたことも,研究などに画像処理を取り入れる契機となっている。しかし,実際に研究を行う場合,手引書では情報が不十分な場合が多く,画像処理・画像解析の専門書を読むことになる。

本書は,情報系の大学院で行う画像解析の教科書として書かれたものである。また同時に,画像解析に興味を持った大学学部生が最初の文献として利用できるようにも心がけて執筆されている。画像解析の基礎的なテキストは多くの方々が執筆しているが,それらはおもに執筆者が所属する大学などの教科書向けのものである。したがって,それらの書籍で扱っている内容は,それを利用する大学での卒業研究や大学院での研究に必要な内容に特化していることが多い。そのため,画像処理の数学的・理論的な内容を中心としたものや,コンピュータ言語によるプログラミングに焦点を絞った章立てになっているものが多く見受けられる。研究に必要な画像解析を勉強するとき,数学的な処理やプログラミングではなく,まず必要としている処理はどのような手法により実現できるのかを理解し,その手法を処理に合わせて調整していく必要がある。

数学的には非常に似ている処理でも,画像解析としての用途がまったく違う場合もあり,行いたい処理に対してどのような手法があるのかを見つけることは意外に難しい。そのようなことを念頭に置き,本書では処理を中心とした章立てを心がけることにした。数学的に似ている処理が複数の章に分かれてしまったところもあるが,研究初期の段階ではそのほうが効率が良いように思われる。また,画像解析の内容についても,1枚の画像から情報を取り出す場合と,複数枚の画像から情報を取り出す場合がある。本書の構成では,1章から10章までは単独画像を解析する手法をおもに説明し,11章から14章は複数の画像から情報を得る手法を説明している。
画像解析手法そのものを研究の対象としていない多くの分野では,本書に書かれた内容を理解すれば研究に利用できると思われる。著者が専門としている医用画像解析の分野の基礎としても役に立つ内容となっている。一方,画像解析手法自体を対象とした専門的な研究では,本書の内容を基礎として,さらに発展的な手法を学ばなければならない。本書が,これから画像解析を勉強しようとする読者の一助になれば幸いである。

2019年3月 田中敏幸

1. 画像処理の基礎知識
1.1 画像解析に必要な処理
1.2 色の表現方法
 1.2.1 3原色
 1.2.2 加法混色と減法混色
 1.2.3 色温度
1.3 表色系
 1.3.1 RGB表色系
 1.3.2 YIQ表色系
 1.3.3 HSI表色系
 1.3.4 XYZ表色系
 1.3.5 CIE-L*a*b*表色系
 1.3.6 CMY表色系
 1.3.7 CMYK表色系
 1.3.8 YCbCr表色系
1.4 画像の描画方式
 1.4.1 ラスタスキャン方式
 1.4.2 インターレース方式
 1.4.3 プログレッシブ方式
1.5 画像ファイルの基本要素
 1.5.1 圧縮形式
 1.5.2 ファイルフォーマット
 1.5.3 画像フォーマットの課題
1.6 画像の解像度と階調数
 1.6.1 解像度と階調数
 1.6.2 グレースケール画像

2. 画像の変換と濃度値の補正
2.1 濃度・明度の調整
 2.1.1 画像データの表現
 2.1.2 グレースケール化処理
 2.1.3 輝度反転処理
 2.1.4 ポスタリゼーション
 2.1.5 バイアス変更による明度の調整
 2.1.6 ガンマ補正
 2.1.7 1次関数による濃淡補正
2.2 ヒストグラムを用いた処理
2.3 画素位置の変換
 2.3.1 拡大縮小処理
 2.3.2 平行移動
 2.3.3 回転変換
 2.3.4 せん断(スキュー)変換
 2.3.5 反転変換
2.4 アフィン変換に伴う濃度値の補正
 2.4.1 最近傍補間による補正
 2.4.2 双1次補間による補正
 2.4.3 双3次補間による補正

3. 空間フィルタ
3.1 雑音除去のための平滑化フィルタ
 3.1.1 2次元線形システム
 3.1.2 移動平均フィルタ
 3.1.3 加重平均フィルタ
 3.1.4 バイラテラルフィルタ
3.2 順序統計に基づく非線形フィルタ
 3.2.1 メディアンフィルタ
 3.2.2 加重メディアンフィルタ
 3.2.3 ランクオーダフィルタ
3.3 エッジを抽出するフィルタ
 3.3.1 微分フィルタ
 3.3.2 雑音を抑えた微分フィルタ
 3.3.3 2次微分フィルタ
 3.3.4 キャニーフィルタ
 3.3.5 鮮鋭化フィルタ

4. フーリエ変換とフィルタリング
4.1 フーリエ変換
 4.1.1 2次元フーリエ変換
 4.1.2 周波数空間における特徴量
 4.1.3 フーリエ変換の性質
4.2 高速フーリエ変換(FFT)
 4.2.1 1次元時間間引き型FFT
 4.2.2 2次元高速フーリエ変換
4.3 周波数空間におけるフィルタリング
 4.3.1 低域通過フィルタによる雑音除去
 4.3.2 高域通過フィルタによるエッジ抽出

5. 多重解像度による画像処理
5.1 画像ピラミッド
 5.1.1 ガウシアンピラミッド
 5.1.2 ラプラシアンピラミッド
5.2 短時間フーリエ変換
5.3 1次元ウェーブレット変換
 5.3.1 1次元連続ウェーブレット変換
 5.3.2 1次元直交ウェーブレット変換
 5.3.3 1次元離散ウェーブレット変換
5.4 2次元ウェーブレット変換
 5.4.1 2次元連続ウェーブレット変換
 5.4.2 2次元離散ウェーブレット変換

6. 2値化とモルフォロジー演算
6.1 固定閾値法による2値化
6.2 自動閾値決定法による2値化
 6.2.1 pタイル法
 6.2.2 モード法
 6.2.3 判別分析による2値化
 6.2.4 大津の2値化の応用
6.3 動的閾値決定法
 6.3.1 移動平均法
 6.3.2 部分画像分割法
6.4 ラベリング
6.5 モルフォロジー演算
 6.5.1 膨張処理と収縮処理
 6.5.2 オープニングとクロージング

7. 線分と輪郭の抽出
7.1 直線成分の抽出
7.2 Watershed法による領域分割
7.3 動的輪郭モデルによる境界の抽出
 7.3.1 Snakes
 7.3.2 レベルセット法
7.4 前景と背景の分離
 7.4.1 グラフカット
 7.4.2 グラブカット
 7.4.3 グローカット
7.5 領域拡張法
 7.5.1 単純領域拡張法
 7.5.2 反復型領域拡張法
 7.5.3 分離・統合法

8. 特徴量の算出
8.1 形状特徴量
8.2 テクスチャ特徴量
 8.2.1 濃度ヒストグラム法
 8.2.2 同時生起行列法
 8.2.3 ランレングス行列法
8.3 高次局所自己相関特徴

9. 特徴量による分析法
9.1 特徴量の検定
 9.1.1 F検定
 9.1.2 t検定
9.2 重回帰分析
9.3 主成分分析
 9.3.1 分析の手順
 9.3.2 主成分の寄与率
9.4 判別分析
9.5 クラスタ分析
 9.5.1 階層的クラスタリング
 9.5.2 k-means法

10. 機械学習による分析
10.1 ニューラルネットワーク
 10.1.1 パーセプトロン
 10.1.2 誤差逆伝搬法
10.2 サポートベクトルマシン
 10.2.1 最大マージン分類器
 10.2.2 重なりのあるクラス分布
 10.2.3 カーネルトリック

11. 画像の位置合わせ
11.1 フーリエ変換の性質
 11.1.1 1次元相関積分のフーリエ変換
 11.1.2 離散時間における1次元相関とフーリエ変換
 11.1.3 2次元相関積分のフーリエ変換
 11.1.4 離散時間における2次元相関とフーリエ変換
11.2 位相限定相関法
 11.2.1 位相限定相関法による移動量の算出
 11.2.2 サブピクセル化による画像移動量の高精度推定
 11.2.3 回転・拡大への対応

12. オプティカルフロー
12.1 基本式によるブロックマッチング法
12.2 Lucas-Kanade法
12.3 オプティカルフローの応用
 12.3.1 画像中の移動物体の認識
 12.3.2 ロボットビジョン
 12.3.3 顔の表情の変化の追跡
 12.3.4 流体の動きの可視化

13. ステレオ画像処理
13.1 3次元画像計測の種類
13.2 カメラモデル
 13.2.1 ピンホールカメラモデル
 13.2.2 画像解析におけるカメラモデル
 13.2.3 画像の投影法
13.3 座標間の幾何学的関係
13.4 空間位置の計測
13.5 ステレオビジョン

14. 画像超解像
14.1 単純拡大
14.2 線形補間
14.3 FCBI方式
14.4 厳密な意味での超解像
14.5 超解像の画像縮小
14.6 超解像の応用

引用・参考文献
索引

田中 敏幸(タナカ トシユキ)

掲載日:2022/12/28

「電子情報通信学会誌」2023年1月号広告

掲載日:2022/05/02

「電子情報通信学会誌」2022年5月号広告

掲載日:2020/05/08

「電子情報通信学会誌」2020年5月号広告

掲載日:2020/01/09

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