トポロジー最適化の基礎 - 弾性体ならびに熱流体関連工学諸問題への応用のために -
熱流体を対象としたトポロジー最適化について事例を含め詳しく解説している。
- 発行年月日
- 2024/05/02
- 判型
- B5
- ページ数
- 264ページ
- ISBN
- 978-4-339-04688-5
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- レビュー
- 広告掲載情報
熱流体を対象としたトポロジー最適化の基礎理論から,固体熱伝導問題,弾性体変形問題,流体問題,熱流体問題への展開方法,さらには格子ボルツマン法を用いた方法について,事例を含め詳しく述べている。
本書執筆のきっかけは,3人の著者の出会いから始まる。
その歴史を振り返ると,まずは西脇眞二と矢地謙太郎氏との出会いがある。矢地氏は2010年4月に修士課程の学生として西脇の研究室に配属された。大変優秀な彼は,研究に関し卓越した能力をもつだけでなく,国体ボート競技でつねに上位を占める優れたアスリートでもあった。2011年には,翌年に開催されることになっていたロンドンオリンピックへの参加に強い希望をもち,修士課程の1年間を休学し,ボートに専念した。残念ながら,最終選考まで残ったものの,ロンドン行きはなくなってしまったが,その後も国内競技には博士課程に在籍しながら参加し,多くの実績を残している。ちなみに,西脇がたまたまNHKの教育番組でボート競技を視聴していたとき,矢地氏に関し,アナウンサーから「京都大学の博士課程に在籍しながら,ボート競技に参加しています。」等々の説明があり,大いに驚いた記憶がある。また,当時研究室は吉田キャンパスにあったが,彼は滋賀県の瀬田に住み,朝4時からボートの練習をし,その後自転車で二山越えて大学に向かったという,強靱な精神力と体力には頭が下がる。このときの経験は,その後多くの研究成果を創出した彼の研究活動の原動力になったと思う。修士課程,および博士課程で,彼は流体問題に関するトポロジー最適化の研究をしたいという強い希望をもっていた。そのモチベーションの源泉は,速く漕げるオールの構造を求めたいとのことであった。しかしながら,当時西脇には流体を取り扱う十分な知識がなく,その指導をどのようにするか,正直なところ悩んでいた。
その問題を解決するきっかけとなったのが,本書のもう一人の著者である近藤継男氏との出会いである。近藤氏は,西脇が京都大学に異動する前に在籍した株式会社豊田中央研究所(以下,豊田中研)の先輩にあたる。1988年に西脇が豊田中研に入社して間もない頃から,近藤氏は流体解析の分野である程度名が知られ,またのちには,元豊田中研で現九州大学教授の安倍賢一氏によるAKN(Abe-Kondoh-Nagano)モデルと呼ばれる乱流モデルの開発にかかわる研究者として,世界的にも知られることとなる研究者であった。もちろん,西脇が京都大学に異動する前から近藤氏とは面識があり,異動後にはぜひとも指導いただきたいと思っていた。そして,矢地氏が流れに関するトポロジー最適化について研究を始めたばかりのときに,たまたま機会があり,いろいろと助言をいただいた。特に,矢地氏がはじめて論文を投稿した国際ジャーナルにおいて,辛口の査読者との度重なるやりとりの末に何とか採択まで漕ぎ着けられたのは,近藤氏の助言のおかげである。矢地氏は,その後信州大学の吉野正人教授ならびに名古屋大学の松本敏郎教授の指導をいただき,世界に先駆けて格子ボルツマン法を用いた流体問題のトポロジー最適化の方法を提案し,現在ではその先駆者として構造最適化の分野で高い評価を得ている。この研究の成果が,本書における矢地氏の執筆部分の内容となっている。
近藤氏は,豊田中研在籍中に,流れに関するトポロジー最適化の発端となるいくつかの論文をすでに発表していた。世界的に見れば,流体の世界にトポロジー最適化を最初に展開したのは,2003年に論文を公表したBorrvallとPeterssonであるが,近藤氏は翼型の空力やヒートシンクの熱伝達に関するトポロジー最適化の方法を世界に先駆けて提案しており,その貢献は非常に大きい。このうち,後者(熱伝達トポロジー最適化)に関する論文は,その後多くの研究者に参照され,トポロジー最適化を熱流体の分野に展開する発端となった。豊田中研では,それ以前に川本敦史氏がトポロジー最適化に関する研究を立ち上げていたが,近藤氏とともに川本チームのメンバーであった松森唯益氏を筆頭著者とするこの論文により,世界のトポロジー最適化の潮流が変わったといっても過言ではない。実際,これをきっかけに多くの関連論文が著名な雑誌に掲載されるようになった。また,この論文に記された方法の応用についても活発に議論されるようになり,高性能冷却デバイスや高効率熱交換器の構造を創出できる期待が高まってきた。このような状況下で西脇のもとにも多くの企業からこれに関する問合せがあり,産業界からの強いニーズを感じとるようになった。そしてこの流れを受け,熱流体分野のトポロジー最適化を産学で議論する場として,西脇が2019年9月に「熱流体を対象としたトポロジー最適化研究コンソーシアム」を設立し,方法論開発の指導をいただくために,近藤氏に参画いただくことにした。以来,2か月に1回の頻度で委員会を開催してきたが,近藤氏には,流体解析の基礎からトポロジー最適化の方法論,またその応用など広い範囲にわたり,ほぼ毎回,チュートリアルを実施していただいた。そして,そのチュートリアルのために作られた資料がきわめて洗練され充実した内容であったため,西脇が近藤氏に書籍にまとめていただくようお願いした。これが,本書の近藤氏担当の執筆内容のもととなっている。
以上のように,本書は,西脇が執筆を担当した第1章と第2章,ならびに近藤氏(第3章~第8章,付録)と矢地氏(第9章)が2010年以降のおよそ10年間に実施してきた研究内容をまとめたものとなっている。トポロジー最適化の基礎理論から,固体熱伝導問題,弾性体変形問題,流体問題,熱流体問題への展開方法,さらには格子ボルツマン法を用いた方法について,事例を含め詳しく述べている。読者の今後の研究開発の一助となることを切に願う次第である。
2024年3月
著者を代表して 西脇眞二
1. 構造最適化の歴史
2. トポロジー最適化の基本的な考え方
2.1 固定設計領域と特性関数による形状・形態表現
2.2 均質化設計法
2.3 密度法
2.4 レベルセット法
2.5 剛性最大化問題の定式化および最適化アルゴリズム
2.6 最適化の方法
2.6.1 最適性基準法(optimality criteria method)
2.6.2 逐次凸関数近似法(sequential convex programming)
3. 発展方程式を利用したトポロジー最適化
3.1 トポロジー最適化法における物体等の形の表現
3.1.1 密度法
3.1.2 フェーズフィールド法
3.1.3 レベルセット法
3.2 発展方程式(非定常反応拡散方程式)
3.2.1 最適化問題と感度
3.2.2 発展方程式―――最適化問題の解をその収束解として求めるための微分方程式
3.2.3 反応拡散方程式―――密度法とレベルセット法によるトポロジー最適化において設計変数を時間発展的に更新するための発展方程式
3.2.4 アレン・カーン方程式(二重井戸ポテンシャル項をもつ反応拡散方程式)―――フェーズフィールド法において設計変数を時間発展的に更新するためのプラットフォーム
3.3 密度法によるトポロジー最適化―――反応拡散方程式を利用した密度法
3.4 フェーズフィールド法によるトポロジー最適化
3.4.1 アレン・カーン方程式を利用したフェーズフィールド法
3.4.2 変形アレン・カーン方程式を利用した竹澤のフェーズフィールド法(形状最適化)
3.5 レベルセット法によるトポロジー最適化
3.5.1 反応拡散方程式を利用したレベルセット法(対密度感度を反応項とするレベルセット法)
3.5.2 反応拡散方程式を利用した山田のレベルセット法
4. 固体熱伝導問題を対象とするトポロジー最適化
4.1 設計変数と無次元密度
4.2 主問題
4.2.1 状態変数
4.2.2 無次元化
4.2.3 状態方程式
4.2.4 物性補間(無次元密度の主問題への埋め込み)
4.3 最適化問題
4.3.1 目的関数と制約関数
4.3.2 制約付き最適化問題
4.3.3 目的関数の拡張
4.3.4 無制約最適化問題とラグランジュ乗数
4.4 随伴問題
4.4.1 制約込み拡張目的関数(ラグランジアン)の変分
4.4.2 随伴状態変数(随伴変数)
4.4.3 随伴状態方程式(随伴熱伝導方程式)
4.5 感度
4.5.1 対密度感度
4.5.2 感度をもとに最適解を求めるための発展方程式
4.6 応用:熱抵抗最小化(自己随伴問題)
5. 弾性体変形問題を対象とするトポロジー最適化
5.1 設計変数と無次元密度
5.2 主問題
5.2.1 状態変数
5.2.2 無次元化
5.2.3 状態方程式
5.2.4 物性補間(無次元密度の主問題への埋め込み)
5.3 最適化問題
5.3.1 目的関数と制約関数
5.3.2 制約付き最適化問題
5.3.3 目的関数の拡張
5.3.4 無制約最適化問題とラグランジュ乗数
5.4 随伴問題
5.4.1 制約込み拡張目的関数(ラグランジアン)の変分
5.4.2 随伴状態変数(随伴変数)
5.4.3 随伴状態方程式(随伴平衡方程式)
5.5 感度
5.5.1 対密度感度
5.5.2 感度をもとに最適解を求めるための発展方程式
5.6 応用:剛性最大化(自己随伴問題)
6. ストークス流を対象とするトポロジー最適化
6.1 設計変数と無次元密度
6.2 主問題
6.2.1 状態変数
6.2.2 無次元化
6.2.3 状態方程式
6.2.4 物性補間(無次元密度の主問題への埋め込み)
6.3 最適化問題
6.3.1 目的関数と制約関数
6.3.2 制約付き最適化問題
6.3.3 目的関数の拡張
6.3.4 無制約最適化問題とラグランジュ乗数
6.4 随伴問題
6.4.1 制約込み拡張目的関数(ラグランジアン)の変分
6.4.2 随伴状態変数(随伴変数)
6.4.3 随伴状態方程式(随伴ストークス方程式)
6.5 感度
6.5.1 対密度感度
6.5.2 感度をもとに最適解を求めるための発展方程式
6.6 応用
6.6.1 流動性を最大化する(流動抵抗を最小化する)流路の形(自己随伴問題)
6.6.2 抵抗(抗力)を最小化する物体の形
7. 層流を対象とするトポロジー最適化
7.1 設計変数と無次元密度
7.2 主問題
7.2.1 状態変数
7.2.2 無次元化
7.2.3 状態方程式
7.2.4 物性補間(無次元密度の主問題への埋め込み)
7.3 最適化問題
7.3.1 目的関数と制約関数
7.3.2 制約付き最適化問題
7.3.3 目的関数の拡張
7.3.4 無制約最適化問題とラグランジュ乗数
7.4 随伴問題
7.4.1 制約込み拡張目的関数(ラグランジアン)の変分
7.4.2 随伴状態変数(随伴変数)
7.4.3 随伴状態方程式(随伴質量保存則と随伴運動量保存則)
7.5 感度
7.5.1 対密度感度
7.5.2 感度をもとに最適解を求めるための発展方程式
7.6 応用
7.6.1 エネルギー散逸を最小化する流路の形
7.6.2 機械的総エネルギー損失を最小化する流路の形
7.6.3 抵抗(抗力)を最小化する物体の形
7.6.4 揚力を最大化する物体の形
7.6.5 揚抗比を最大化する物体の形
8. 層流熱伝達を対象とするトポロジー最適化
8.1 設計変数と無次元密度
8.2 主問題
8.2.1 状態変数
8.2.2 無次元化
8.2.3 状態方程式
8.2.4 物性補間(無次元密度の主問題への埋め込み)
8.3 最適化問題
8.3.1 目的関数と制約関数
8.3.2 制約付き最適化問題
8.3.3 目的関数の拡張
8.3.4 無制約最適化問題とラグランジュ乗数
8.4 随伴問題
8.4.1 制約込み拡張目的関数(ラグランジアン)の変分
8.4.2 随伴状態変数(随伴変数)
8.4.3 随伴状態方程式(随伴質量保存則,随伴運動量保存則,随伴熱エネルギー保存則)
8.5 感度
8.5.1 対密度感度
8.5.2 感度をもとに最適解を求めるための発展方程式
8.6 応用:二次元ヒートシンク内流路の最適設計
9. 格子ボルツマン法によるトポロジー最適化
9.1 格子ボルツマン法
9.1.1 流れ場の基礎方程式
9.1.2 流れ場の初期条件
9.1.3 流れ場の境界条件
9.1.4 体積力の導入方法
9.2 最適化問題の定式化
9.3 随伴感度解析
9.3.1 連続系随伴格子ボルツマン法
9.3.2 随伴場の初期条件
9.3.3 随伴場の境界条件
9.3.4 感度
9.4 熱輸送問題への展開
9.4.1 温度場の基礎方程式
9.4.2 温度場の初期条件
9.4.3 温度場の境界条件
9.4.4 支配方程式の拡張
9.5 応用計算例
9.5.1 定常流における圧力損失最小化問題
9.5.2 非定常流における圧力損失最小化問題
9.5.3 定常流における強制対流問題
9.5.4 非定常流における強制対流問題
9.6 補足:無次元変数
9.7 補足:随伴格子ボルツマン法に基づく感度解析
付録A工学諸問題のトポロジー最適化における目的関数の表現
A.1 固体熱伝導問題のトポロジー最適化
A.1.1 固体熱伝導問題
A.1.2 熱の伝わりやすさを表す目的関数(熱伝導性最大化=熱抵抗最小化=平均熱コンプライアンス最小化)
A.2 弾性体変形問題のトポロジー最適化
A.2.1 弾性体変形問題
A.2.2 弾性体の変形のしにくさを表す目的関数(剛性最大化=平均コンプライアンス最小化?ひずみエネルギー最小化/最大化)
A.3 ストークス流のトポロジー最適化
A.3.1 ストークス流
A.3.2 ストークス流の流れやすさを表す目的関数(流動性最大化=流動抵抗最小化=平均流動コンプライアンス最大化?エネルギー散逸最小化/最大化問題)
A.4 層流のトポロジー最適化
A.4.1 層流
A.4.2 層流の流れやすさを表す目的関数(流動性最大化問題=流動抵抗最小化問題=平均流動コンプライアンス最大化問題)
A.4.3 層流の機械的エネルギーの散逸や損失の大きさを表す目的関数(エネルギー散逸最小化問題,機械的総エネルギー損失最小化問題)
A.4.4 流体中の物体に働く力の大きさを表す目的関数(抗力最小化問題,揚力最大化問題,揚抗比最大化問題)
A.5 層流熱伝達のトポロジー最適化
A.5.1 層流熱伝達
A.5.2 熱源と流体との間の熱伝達を最大化する問題(熱伝達最大化問題)―――流体中の物体あるいは流路の壁の表面で温度が規定される場合(定温度表面熱源)
A.5.3 熱源と流体との間の熱伝達を最大化する問題(熱伝達最大化問題)―――流体中の物体あるいは流路の壁の表面で熱流束が規定される場合(定熱流束表面熱源)
付録B工学諸問題のトポロジー最適化に現れるさまざまな汎関数とその変分
B.1 汎関数
B.1.1 関数と汎関数
B.1.2 汎関数の変分
B.1.3 汎関数の微分(汎関数微分あるいは感度)
B.1.4 汎関数微分(感度)の解釈
B.2 工学諸問題に現れるさまざまな汎関数とその変分
B.2.1 準備:記号等の定義
B.2.2 ガウスの発散定理
B.2.3 汎関数の変分にかかわる基本的な公式
B.2.4 積分として表現されたさまざまな汎関数の変分
付録Cヘルムホルツ型方程式を利用したフィルタリング
C.1 ヘルムホルツ方程式とヘルムホルツ型方程式
C.1.1 ヘルムホルツ方程式
C.1.2 ヘルムホルツ型方程式
C.1.3 ヘルムホルツ型方程式によるフィルタリング
C.2 ヘルムホルツ型方程式の母汎関数
C.2.1 ヘルムホルツ型方程式の働きを表現する母汎関数
C.2.2 母汎関数の微分(汎関数微分,感度)
C.2.3 母汎関数の停留条件として導かれる微分方程式
C.3 ヘルムホルツ型方程式を利用した局所平均あるいはフィルタリング
C.3.1 フィルタリングに利用することのできるヘルムホルツ型方程式
C.3.2 フィルタ半径
C.3.3 二次元ヘルムホルツ型方程式を利用したフィルタリングの例
付録D制約付き最適化問題におけるラグランジュ乗数の定め方
D.1 制約付き最適化問題におけるラグランジュ乗数
D.1.1 制約付き最適化問題
D.1.2 無制約最適化問題
D.1.3 KKT条件
D.2 設計変数を求めるための発展方程式
D.2.1 発展方程式(基本形)
D.2.2 発展方程式(目標追従形)
D.3 ラグランジュ乗数を定めるための発展方程式
D.3.1 発展方程式(基本形)
D.3.2 発展方程式(基本形)の解釈
D.3.3 発展方程式(実用形)
D.3.4 発展方程式(目標追従形)
付録Eベクトルとテンソルに関する演算の定義と公式
E.1 ベクトルとテンソルの表記と単純な演算
E.1.1 ベクトルの表記と単純な演算
E.1.2 テンソルの表記と単純な演算
E.2 ベクトルとテンソルの微分演算
E.3 公式
E.3.1 ベクトルあるいはテンソルの間の単純な演算に関するもの
E.3.2 勾配オペレータ(\vec{\nabla})に関するもの
E.3.3 発散オペレータ(\vec{\nabla}·)に関するもの
E.3.4 回転オペレータ(\vec{\nabla}×)に関するもの
E.3.5 積分公式
付録F近似ヘビサイド関数と近似デルタ関数
F.1 ヘビサイド関数(ステップ関数)とデルタ関数
F.2 近似ヘビサイド関数(近似ステップ関数)と近似デルタ関数
F.2.1 区分的多項式による近似
F.2.2 双曲線正接関数による近似
引用・参考文献
索引
読者モニターレビュー【 アマサイ 様(業界・専門分野:電子工学)】
トポロジー最適化とは、設計で使える空間にどのように材料を配置すれば最適な構造となるのかを明らかにする解析である。設計空間・荷重条件・拘束条件・制約条件を与え、所望の性能指標を最大化する材料の配置を計算し、設計空間モデルで想定される製品の使用環境やスペックに対して最適形状を見つけることである。筆者はこの分野には明るくない。それでも「基礎」を信じて頁をめくってみた。数式はたくさん出てくるが工学系であれば、読み解けれるレベルである。特に「2.トポロジー最適化の基本的な考え方」を丹念に読んでおけば、あとの章はスムーズに読み進めることができる。弾性体にしても熱流体にしても物理の知識を引き出し、数式を追っていけば理解できるであろう。シミュレーションの図が豊富なのも大いにためになる。読後に門外漢の私でもトポロジー最適化の議論に入れるのではないかと思う。いやいや早合点は禁物である。引用・参考文献の中から選んだ本を読みながら、本書を読み返し、専門家の意見を聴く機会に臨もう。
読者モニターレビュー【 最適化研究者 様(業界・専門分野:機械工学)】
この本は熱流体のトポロジー最適化に関する理論を扱っており、数学的な理論の概要から具体的な物理モデルの定式化まで幅広くカバーしています。
計算力学に精通している読者を対象としており、特に伝熱と流体の問題に関する詳細な導出が記されている点が魅力です。
日本においては過去、弾性問題に関する文献が主流でしたが、この書籍は熱流体問題に取り組む学生や企業の設計者にとって非常にアクセスしやすい内容となっています。
今回は基礎編なので記載はないですが、具体的なプログラミングコードや数値実装の方法を解説した実践的な続編が出版されれば、より多くの利用者にとって有益なリソースとなると感じました。
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