データベースの基礎 (改訂版)- MariaDB/MySQL対応 -
データベースの基本の解説から資格試験やMariaDB/MySQLを用いた実習まで対応
- 発行年月日
- 2021/07/10
- 判型
- A5
- ページ数
- 192ページ
- ISBN
- 978-4-339-02919-2
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- レビュー
- 広告掲載情報
【書籍の特徴】
本書は確かな実力を付けるための5つの工夫をしました。
①YouTubeと連携した新しい書籍:2020年のオンライン授業で作成した動画を YouTube にアップしました。内容は本書の内容と完全に一致させています。学習者はいつでもどこでも本書とスマートフォンなどを用いて、視聴覚学習(目と耳を用いた学習)が可能です。すなわち、本書は「オンデマンド型」の教材として利用できます。この動画はWebに掲載されているのと動画の概要欄には次の動画のURLを記載しましたのでたどっていただけるとすべての動画をご覧いただけます。
②大学・高専などのオンライン教材にも最適:本書は、「オンライン授業」と「対面授業」の両方で利用できます。大学では一コマ100分で14回での授業が主流になってきました。本書は12の章から構成していますので、各章に一コマを割り当てます。受講ガイダンス(PC環境設定含む)とPC実習(JavaによるDBアクセス)の 2回分を合わせて14 回分の授業運営が可能となります。教師はまず動画を学習者に視聴させます。個々の動画は各章の内容にしたがって 20~40分程度となっています。その後、教師による補足説明と質問対応をしてください。オンライン授業の場合には、オンライン会議システム(MS-teamsなど)を用いてください。残りの時間は、学習者に章末の演習問題や付録の PC 実習などを実施させてください。演習問題の解答は Webに掲載しています。すなわち、本書は「同時双方型」の教材として利用できます。なお演習問題の解法やPC実習において、受講者のグループワークによるアクティブラーニングへの展開も可能です。
③PCを用いた実習による実力養成:データベースを理解するためには、実際にDBMSを使ってみることが一番の早道です。本書の付録にはMySQLの後継である MariaDBのインストールからはじめて、JavaによるSQLプログラミング、MariaDB 実習を掲載しました。いずれの動画もありますので学習者が自ら手を動かして、データベースを使用する実力を得ることができるでしょう。
④資格試験の過去問題対策:基本情報技術者試験などの過去問題を各章の演習問題に掲載しています。文部科学省からは、単位の厳格化のために学校での授業時間に加えて、自宅での「事後学習」と「事前学習」を確実に実施することが求められています。教師は事後学習として章末の演習問題をレポートとして提出を求めることができます。また、事前学習として次章の動画の視聴をさせておくと学習者の理解が深まります。
⑤専門英語の読解力養成:各章の演習問題にその章の内容に関係する短い英文を載せました。情報系の学生は上級年次に進級するにしたがって専門英語に触れる機会が多くなりますのでその一歩を踏み出すことができます。
本書は新しいタイプとしての大学・高専での教科書を強く意識したものですが企業の新人教育用としても利用可能です。
改訂版にあたって
本書の初版が発行されてから10年以上が経過しました。幸いにも広く受け入れていただき,版を重ねることができたことは感謝にたえません。
今回の改訂ではMySQLの後継であるMariaDBが今後の教育現場で主流になることを踏まえ,付録を更新することとしました。特に「C. MariaDB実習」を新たに設けることにより,6,7章のSQLの内容について実際にMariaDBを用いて行えるように工夫しました。そして,演習問題解答や講義資料などをWebに掲載しているので,そちらもぜひ活用していただきたいと思います。
なお,オンライン授業で使用した動画も公開しました。動画の概要欄には,つぎの動画のURLを記載しましたので,たどっていただけるとすべての動画をご覧いただけます。
最初の動画のURL:https://youtu.be/oc-QyhWQeVw
2021年5月 永田武
まえがき
本書は,大学,短大と高等専門学校の学生を対象として記述したものです。データベースは,今日の情報化された現代社会の膨大な情報を蓄積・管理して,利用者の要求に応じたデータを迅速に提供するシステムです。1990年代以降には,WindowsというOSが日本でも一般化し,Linuxという無料のOSも登場し,一般の人も個人のPCを持ち,WWWやEmailが本格的に使われるようになりました。したがって,皆さん方の多くは小さいころからインターネットを通じて多くの情報を手に入れてきたと思います。
今日では,われわれは,毎日膨大な情報にさらされるようになり,“情報爆発時代”ともいわれるようになっています。このような情報をうまく管理しようという技術がデータベースです。データベースは,データ(情報)とベース(基地)を一緒にしたものです。まさに電子化された情報を集積する基地の役割を果たすものがデータベースというわけで,情報化された現代社会においては,必要不可欠な存在になっています。
本書は,大学,短大,高等専門学校においては,週1回の半期で履修できる程度の内容になっています。また,情報処理推進機構の基本情報技術者試験とデータベーススペシャリスト試験の過去問題にも触れ,読者がより深く理解できるように工夫しました。また,付録にはMySQLを利用したJavaによる簡単なプログラムの構築方法について解説していますので,実習として用いるとデータベースに対する理解が深まると思います。本書がデータベースの学習への扉となれば,著者にとって望外の喜びです。
最後に,本書の出版の機会を与えていただいた株式会社コロナ社に厚くお礼
申し上げます。
2011年4月 永田武
1.データベース
1.1 データベースの概要
1.2 ファイルシステムとデータベース
1.2.1 ファイルシステム
1.2.2 データベース
1.3 データベースの歴史
1.4 データベース管理システムの概要
演習問題
2.データモデル
2.1 データモデルの概要
2.1.1 階層データモデル
2.1.2 ネットワークデータモデル
2.1.3 関係データモデル
2.1.4 オブジェクト指向データモデル
2.2 ANSI/SPARCの3層スキーマ構造
2.2.1 概念スキーマ
2.2.2 外部スキーマ
2.2.3 内部スキーマ
2.3 E-Rモデル
2.3.1 ERDの表記方法
演習問題
3.関係代数
3.1 関係代数の概要
3.2 集合演算
3.2.1 和集合
3.2.2 差集合
3.2.3 積集合
3.2.4 直積集合
3.3 関係演算
3.3.1 選択演算
3.3.2 射影演算
3.3.3 結合演算
3.3.4 商演算
演習問題
4.データベース設計
4.1 データベース設計の概要
4.2 概念データモデルのモデリング技法
4.2.1 E-Rモデルの表現要素
4.2.2 カーディナリティ
4.2.3 スーパータイプとサブタイプ
4.3 論理データモデルのモデリング技法
4.3.1 階層データモデル
4.3.2 ネットワークデータモデル
4.3.3 関係データモデル
演習問題
5.リレーションの正規化
5.1 正規化の概要
5.2 キー
5.3 関数従属性
5.4 非正規形
5.5 第1正規形
5.6 第2正規形
5.7 第3正規形
5.8 ボイス・コッド正規形
演習問題
6.関係データベース言語SQL(その1)
6.1 SQLの概要
6.2 データ定義言語
6.2.1 表定義
6.2.2 ビュー定義
6.3 データ操作言語
6.3.1 データの参照(SELECT文)
6.3.2 データの追加(INSERT文)
6.3.3 データの変更(UPDATE文)
6.3.4 データの削除(DELETE文)
6.4 データ制御言語
6.4.1 権限の付与(GRANT文)
6.4.2 権限の取消(REVOKE文)
6.5 メタデータとリポジトリ
演習問題
7.関係データベース言語SQL(その2)
7.1 関係演算子
7.2 論理演算子
7.3 その他の演算子
7.4 集合関数
7.5 副問合せ
7.6 埋め込み型SQL
演習問題
8.データの検索機構
8.1 磁気ディスク装置
8.1.1 容量計算
8.1.2 記憶方式
8.1.3 アクセス時間
8.2 インデックス
8.2.1 B+木インデックス
8.2.2 ハッシュインデックス
8.2.3 ビットマップインデックス
8.3 テーブルのアクセス方法
8.4 テーブルの結合方法
8.4.1 ネストループ結合
8.4.2 マージ結合
8.4.3 ハッシュ結合
演習問題
9.トランザクション管理
9.1 トランザクション管理の概要
9.2 ACID特性
9.3 同時実行制御
9.3.1 並列トランザクションに起因する問題
9.3.2 同時実行制御の方式
9.4 直列可能性
9.4.1 直列可能性
9.4.2 2相ロッキングプロトコル
9.5 隔離性水準
演習問題
10.障害回復
10.1 障害回復の概要
10.2 ロールフォワードとロールバック
10.3 ログファイル
10.4 チェックポイント
10.5 障害への対応
演習問題
11.分散データベース
11.1 分散データベースの概要
11.2 透過性
11.3 テーブルの結合方法
11.3.1 分散入れ子ループ法
11.3.2 分散ソートマージ法
11.3.3 セミジョイン法
11.4 コミットメントプロトコル
11.4.12 相コミットメント
11.4.2 3相コミットメント
演習問題
12.応用技術と将来動向
12.1 XMLデータベース
12.2 OLAP
12.3 ストアドプロシージャ
12.4 オブジェクト指向データベース
12.5 レプリケーション
12.6 GoogleFileSystem
12.7 BigTable
12.8 データベースの将来動向
演習問題
付録
A. MariaDBのインストール
B. 埋め込み型SQLのプログラミング
C. MariaDB実習
参考文献
索引
読者モニターレビュー【小林将大 様(大学院生,専門:統計的機械学習)】
本書は,現代の情報化社会を実現している要素の中でも,最も重要な要素の一つであるデータベースについて,その登場の歴史や設計 に関する概念,SQLによる操作など基礎的な内容について書かれた書籍です。
私自身データベースについての知識は多くありませんが,そんな初学者でも前提知識をほとんど必要とすることなく本書を読み進めることができました。理路整然として飛躍のない簡潔でわかりやすい説明がなされていると思います。
各章末には5〜10題程度の演習問題がついており,適宜本書の内容の理解度を測るために有効です。また,YouTubeには著者自らが本書の内容に沿った講義形式の動画を用意されているため,そちらと合わせて学習するとより本書への理解度が深まると思います。
読者モニターレビュー【くのっち様(広告業,ご専門:広告マーケティング戦略,データ解析)】
本書を読んでみて,データベースの教科書として,体系的に簡潔にまとまっている印象を受けた。先日基本情報技術者試験を受けた直後であったので,試験用教科書,問題集では出題頻度の高いポイントに触れるだけであるのに対し,体系的に網羅され,SQL構文事例や計算問題が豊富にありわかりやすい。特に演習問題,どこかで見た覚えがあったと思ったら基本情報技術者試験の過去問だった。受験者にぜひ本書を読むことをお勧めしたい。
また,全内容が著者によるYouTube動画化されていることは非常に良い試みだと思う。試験勉強などで電車の中で動画を見て,後に本書で確認するというやり方は非常に効果的だと思う。惜しむらくは,一見本書を手に取っただけでは,その地味な表紙デザインからはこのようなオンライン教育に対応した進んだアプローチが想像できないことだ。非常にもったいないと思います。帯とかでもっとアピールしてください。よろしくお願いいたします。
読者モニターレビュー【にわけん様(ITエンジニア プログラマー,ご専門:ITシステム構築に関する業務全般,教育,コンサル)】
データベースシステムの概要についてきちんと説明されており,データ操作時の基本となる関係代数の章が設けられ,SQLやテーブル設計の学習に入る前に,その考え方の基礎となる理論をきちんと学べる。
設計面でも正規化についてきちんと押さえられているし,トランザクションや障害回復などについても解説されているので,本当にデータベースの基礎を学ぶテキストという面ではなかなかの出来。各章に設けられている演習問題で理解度も測れるであろう。
一点惜しいのは(関係代数の章があるのに)SQLの章でテーブル結合についての解説がほぼ無い点。現実にリレーショナルデータベースを使用する際には必須となる点なので,この部分についてもう一章あれば過不足無い書籍に仕上がったと思われる。
が,全体で見れば,初めてデータベースを学習するにあたって十分な書籍に仕上がっている。本書で基礎をきちんと理解してから次のレベルのテキストに移れば,基礎を理解している分学習が早まると感じた。
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掲載日:2022/10/03
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掲載日:2021/10/14
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掲載日:2021/09/30
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掲載日:2021/09/01
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掲載日:2021/07/01
★YouTube講義動画★
著者の永田武先生による,本書籍を使用したYouTube講義動画をご覧いただけます。
※動画内では旧版のカバー画像が使用されておりますが,改訂版でもご参考いただける動画になっております。
関連資料(一般)
- 「データベースの基礎(改訂版)」演習問題解答
- 著者による講義動画(YouTube)
関連資料(採用者向け)
- PowerPoint資料