材料力学

機械系コアテキストシリーズ A-1

材料力学

構造物設計に必要な変形と強度の概念や評価法を修得でき,固体力学や材料科学の先端的諸問題への糸口を見出すことができるよう構成。

ジャンル
発行年月日
2017/06/16
判型
A5
ページ数
348ページ
ISBN
978-4-339-04531-4
  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

材料力学を学ぶことで,構造物設計に必要な変形と強度の概念や評価法を修得できるだけでなく,固体力学や材料科学の先端的諸問題への糸口を見出すことができる。本書ではこの両者を取り上げ,技術者として必要な考え方と感性を養う。

本書は,力学と基礎数学(微分積分学,線形代数学)を学んだ学部学生を対象として書かれた,主として機械工学や理論応用力学そして材料科学を学ぶ学生のための材料力学の教科書である。材料力学の学びにより,構造物設計に必要な変形と強度の概念や評価法を修得できるだけでなく,固体力学や材料科学の分野のフロンティアに関わる諸問題への糸口を見出すことができる。前者の学びでは,変形や強度の考え方の道筋が辿れる知力を身に付けるだけでなく,さまざまな問題を実際に最後まで解くことを通じて,将来ものづくりに携わる技術者としての感性を養うこともできる。また,材料力学には理論応用力学の基礎としての考え方が豊富にあり,後者の学びは数学,物理学のみならず,さまざまな新しい学問体系の礎になる。先人の苦悩やひらめきを知るとともに,工学の今後の有り方の道標をみることができる。

材料力学の対象は多岐にわたり,1冊の本でそのすべてをカバーすることは困難である。本書では,まず技術者・研究者として実務に携わる前に身に付けておくべき構造健全性の考え方と,構造物を理想化・単純化した上で簡単な数理モデルに置き換え,解を求めるための方法について記述している。理論的に明解な解析法を取り上げ,これを用いた簡単な計算例を示すとともに,実務で使われている解法についても紹介する。有限要素解析をはじめとする高度な数値解析法が日常的に使われている昨今においても,少なくとも問題の概略をつかむ(見通しをよくする)方法が不可欠である。構造物の設計では,全体設計のイメージから詳細部の設計にバックキャストされる。その全体設計では,第一近似的でも迅速にかつ定量的な解を求めることが要求され,そのための唯一の方法論が材料力学である。

本書の内容は,著者らがここ数年,大阪大学の学部学生を対象に担当してきた材料力学の講義をベースにしている。構造物の設計の考え方については,著者らの経験が多少なりとも生かされていると思う。本書の構成はきわめてオーソドックスであるが,応力とひずみの概念をしっかりと理解した上で,単軸応力状態から多軸応力状態へと展開している。2章では材料力学の概念を用いた静力学を学び,3章では応力とひずみの概念,4章では棒の引張りと圧縮そしてブロックのせん断,5~8章でははりの曲げとたわみ,9章では棒のねじりについて学ぶ。そして,10章,11章では多軸の応力状態を,12章ではエネルギー法に基づく解の導出を学び,13章では構造物の安定問題としての柱の座屈を取り上げている。14章では,それまで学んだ事項に裏付けされた安全な構造物の設計に関する評価法を習得し,構造設計の業務・研究開発に携わるための基礎が出来上がることになる。本書は,前述した二つの学びを内容としており,初学者にも既学者にも対応できる一冊に仕上げている。

本書をまとめるにあたって,大阪大学の平方寛之准教授,垂水竜一准教授,田中展助教,近藤俊之助教に貴重なコメントを頂いた。これらの先生方は,現在大阪大学工学部応用理工学科機械工学科目で行われている材料力学の講義に関係している方々であり,日頃の材料力学教育に対しても謝意を表します。最後に,本書の執筆に関して大変お世話になりましたコロナ社に深く感謝の意を表します。

2017年3月 渋谷陽二・中谷彰宏 

1. 材料力学の概念とねらい
1.1 材料力学とは
1.2 材料力学を学ぶ意義と部材の力学
1.3 材料力学を学び構造設計を行う上での留意点

2. 材料力学の基礎としての静力学
2.1 力とモーメントの釣合い
2.2 荷重と支持点
 2.2.1 荷重の分類と図示方法
 2.2.2 支持方法の分類と図示方法
2.3 切断法と釣合いによる反力と内力
2.4 反力の計算
 2.4.1 単純支持はり
 2.4.2 固定はり
2.5 軸線を基準にした内力の分類(せん断力図,軸方向力図,曲げモーメント図)
 2.5.1 切断法による内力の同定
 2.5.2 せん断力
 2.5.3 軸方向力
 2.5.4 曲げモーメント
 2.5.5 内力の分布
演習問題

3. 応力とひずみ
3.1 応力の定義
3.2 テンソルとしての応力
3.3 釣合いを表す微分方程式
3.4 ひずみの定義
3.5 テンソルとしてのひずみ
3.6 材料特性とフックの法則
3.7 ひずみエネルギー
3.8 剛性
演習問題

4. 棒の引張りと圧縮およびブロックのせん断
4.1 棒の引張・圧縮応力
4.2 平均せん断応力
4.3 単軸応力状態の例題
4.4 軸力を受ける棒の不静定問題
4.5 熱応力
 4.5.1 熱ひずみ
 4.5.2 熱応力
4.6 衝撃応力
4.7 サン・ブナンの原理と応力集中
演習問題

5. はりの曲げ応力
5.1 曲げの公式
5.2 断面二次モーメント
 5.2.1 面積,図心,断面モーメント
 5.2.2 断面二次モーメントを求めるための軸の平行移動
 5.2.3 断面係数と断面二次半径
 5.2.4 各種断面形状
5.3 一様強さのはり
5.4 組合せはり
5.5 はりの非対称曲げ
 5.5.1 断面相乗モーメント,慣性主軸,主断面二次モーメント
 5.5.2 非対称荷重を受けるはり
演習問題

6. はりのたわみ
6.1 たわみの方程式
6.2 種々のはりのたわみ
 6.2.1 直接積分を用いる方法(直接積分法)
 6.2.2 たわみの基礎式を用いる方法
 6.2.3 重ね合せの原理を用いる方法
 6.2.4 特異関数を用いる方法
6.3 モーメント面積法
 6.3.1 モーメント面積法とは
 6.3.2 静定はりへのモーメント面積法の応用
演習問題

7. はりのせん断応力
7.1 せん断応力の公式
 7.1.1 長方形断面
 7.1.2 円形断面
7.2 せん断中心
7.3 せん断力によるはりのたわみ
演習問題

8. 複雑なはりの問題
8.1 不静定はり
 8.1.1 直接積分を用いる方法(直接積分法)
 8.1.2 重ね合せの原理を用いる方法
 8.1.3 モーメント面積法を用いる方法
 8.1.4 連続はり
 8.1.5 はりの極限荷重
8.2 曲りはり
 8.2.1 曲げ応力
 8.2.2 断面係数
演習問題

9. ねじり
9.1 ねじりの公式
 9.1.1 中実円断面の軸
 9.1.2 中空円断面の軸
9.2 円形断面を有する軸のねじれ角
 9.2.1 ねじれ角
 9.2.2 断面寸法が変化する場合
 9.2.3 伝動軸
9.3 種々のねじり問題
 9.3.1 重ね合せの原理を用いる方法
 9.3.2 分布モーメントが作用する問題
9.4 不静定問題
9.5 曲げとねじりの組合せ
 9.5.1 組合せ荷重
 9.5.2 コイルばね
9.6 円形でない断面のねじり
 9.6.1 円形でない断面の中実部材のねじり
 9.6.2 プラントルの薄膜相似
 9.6.3 薄肉管のねじり
演習問題

10. 応力とひずみの変換
10.1 応力の変換
10.2 主応力,最大せん断応力
10.3 モールの応力円
 10.3.1 モールの応力円の定義
 10.3.2 モールの応力円の描き方
 10.3.3 三軸応力状態でのモールの応力円
10.4 ひずみの変換
10.5 モールのひずみ円
10.6 ひずみの計測(ロゼット解析)
演習問題

11. 回転対称殻に作用する軸対称な応力
11.1 薄肉回転対称殻の釣合い式
11.2 内圧を受ける薄肉円筒
11.3 内圧を受ける薄肉球殻
11.4 内外圧を受ける厚肉円筒
11.5 内外圧を受ける厚肉球殻
11.6 焼ばめ
演習問題

12. エネルギー法
12.1 弾性ひずみエネルギー
 12.1.1 ひずみエネルギー密度
 12.1.2 コンプリメンタリーひずみエネルギー密度
 12.1.3 フックの法則と弾性ひずみエネルギー
 12.1.4 ひずみエネルギーとコンプリメンタリーひずみエネルギー
12.2 カスチリアーノの定理
 12.2.1 カスチリアーノの定理の応用
 12.2.2 外力が作用していない点へのカスチリアーノの定理の応用
12.3 相反定理
12.4 不静定問題
 12.4.1 カスチリアーノの定理による解法
 12.4.2 最小仕事の原理による解法
 12.4.3 単位荷重の定理による解法
 12.4.4 変位が与えられる問題
 12.4.5 ラーメン構造
演習問題

13. 柱の座屈
13.1 はり柱の支配微分方程式
13.2 柱の安定性
13.3 オイラーの座屈
13.4 エネルギー法による座屈方程式の導出
13.5 種々の境界条件におけるオイラーの座屈
13.6 柱の座屈強度と設計
 13.6.1 座屈強度の実験式
 13.6.2 偏心荷重を受ける柱の座屈応力
演習問題

14. 材料の破損条件と強度設計
14.1 許容応力と安全率
14.2 延性破壊と脆性破壊
14.3 疲労破壊
14.4 クリープ(高温破壊)
14.5 衝撃破壊
14.6 破損則
 14.6.1 最大せん断応力説(トレスカの条件)
 14.6.2 最大せん断ひずみエネルギー説(ミーゼスの条件)
 14.6.3 最大主応力説(ランキンの条件)
 14.6.4 実験値との比較とその他の説
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引