近年の科学技術は,情報化・グローバル化の中で驚くべき速さで発展している。計測・制御分野も例外ではなく,次々と新しい概念・理論・技術が発表され,その核心を理解するのに多大な努力を要する状況にある。さらに,各種の技術が単一の分野に閉じることなく,さまざまな分野が横断的に発展・連携・融合し,新たな分野へ多種多様な広がりをみせている。例えば,計測技術の発展は,知的システムを構築するための人工知能やデータサイエンスの発展にも大きく寄与し,両技術分野の融合による技術革新も期待されている。
計測自動制御学会(SICE)が扱う,計測,制御,システム・情報,システムインテグレーション,ライフエンジニアリングといった分野は,もともと分野横断的な性格を備えていることから,SICEが社会において果たすべき役割がより一層重要なものとなってきている。SICEでは,2018年に完結した「計測自動制御学会(SICE)計測・制御テクノロジーシリーズ」の次世代となるシリーズ企画の在り方について模索し,議論を重ねてきた。その結果,めまぐるしく技術動向が変化する時代に活躍する技術者・研究者・学生の助けとなる書籍を,SICEならではの視点からタイムリーに提供するというシリーズの方針を立てた。
この方針に基づき,従来のシリーズでのテーマや執筆者の選定から出版までのプロセスを見直し,これまでとは異なるプロセスでシリーズ企画を進めていくことにした。ユニークな取り組みとして,SICEがシリーズの執筆者の公募を行い,会誌出版委員会での選考を経て収録テーマを決定している点がある。また,公募と並行して,会誌出版委員会によるテーマ選定や,学会誌「計測と制御」での特集から本シリーズの方針に合うテーマを選定するなどして,収録テーマを決定している。テーマの選定に当たっては,SICEが今の時代に出版する書籍としてふさわしいものかどうかを念頭に置きながら進めている。このようなシリーズの企画・編集プロセスを鑑みて,本シリーズの名称を「計測・制御セレクションシリーズ」とした。
本シリーズは,計測,制御,システム・情報,システムインテグレーション,ライフエンジニアリングに関わる多種多様なテーマがタイムリーに収録されていくことをねらっている。本シリーズが変化の大きな時代の中で活躍する研究者・技術者・学生の役に立てば幸いである。最後に,このシリーズ企画を進めるに当たってご尽力いただいたコロナ社の各氏に感謝したい。
2021年5月 計測自動制御学会 会誌出版委員会 出版ワーキンググループ
【本書の構成】
【読者対象】
制御工学,モーションコントロールに関する理論や技術と古典制御理論の基礎をある程度学び,現代制御理論についてもある程度知っている人【本書の構成】
【本書の構成】
【本書の構成】