弾性表面波・圧電振動型センサ

音響テクノロジーシリーズ 23

弾性表面波・圧電振動型センサ

伝搬媒質表面付近傍の振動を利用した弾性表面波センサ,固体振動を利用した圧電振動型センサを取り扱う。

ジャンル
発行年月日
2019/09/02
判型
A5 上製
ページ数
230ページ
ISBN
978-4-339-01138-8
弾性表面波・圧電振動型センサ
在庫あり

定価

3,850(本体3,500円+税)

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超音波を利用したデバイスは,スマホやデジタルカメラなど身の回りで広く利用されているが,目に触れることはない。本書では,伝搬媒質表面近傍の振動を利用した弾性表面波センサ,固体振動を利用した圧電振動型センサを取り扱う。

「超音波」は人間の可聴周波数よりも高い音として広く知られている。その超音波の振動ならびに波動を利用した弾性波デバイスが,われわれの身のまわりで広く利用されていることについてどれだけ知られているであろうか。ほとんどは利用者の目に触れることのない「縁の下の力持ち」としての重要な役割を担っている。例えば,スマートフォンや携帯電話に代表される移動体通信機器において,情報通信用デバイスや信号処理デバイスは必要不可欠な電子部品であり,基準信号発生や周波数選択などの素子として弾性波デバイスが利用されている。また,ビデオカメラやデジタルカメラの手振れ検知あるいは物体の姿勢制御用の機能デバイスとして弾性波デバイスが使用されている。このように弾性波デバイスは,圧電効果を利用しているため電気的に制御できるという特徴がある。さらに,波動や振動を利用していることから周囲の環境変化によりその特性が変化するため,各種のセンサデバイスとして利用することができる。現在,弾性波センサはいろいろな分野で利用されており,その応用分野は今後ますます拡大していくものと期待される。

本書は2部構成であり,第Ⅰ部では伝搬媒質表面近傍の振動を利用した弾性波デバイスとして「弾性表面波センサ」(担当:近藤)を,また,第Ⅱ部では固体振動を利用したバルク波デバイスとして「圧電振動型センサ」(担当:工藤)を取り扱う。弾性表面波センサには,水晶振動子,横波型板波,ラム波,ラブ波,弾性表面波,横波型弾性表面波がおもに利用されている。これらの中で,水晶振動子,横波型板波,ラム波,弾性表面波を用いたセンサに関しては書籍などが出版されている。しかし,ラブ波や横波型弾性表面波を用いたセンサに関しては,基礎理論から応用まで網羅した書籍はない。しかし,現在最も利用されているのは横波型弾性表面波,ならびに横波型弾性表面波が伝搬する基板上に薄膜を付けたラブ波を用いたセンサである。そのため,これらを用いたセンサの検出原理を理解することは重要である。以上のことを考慮して,第Ⅰ部の「弾性表面波センサ」に関しては6章構成とした。1章では,弾性表面波ならびに弾性表面波センサの基礎について述べる。2章では,弾性表面波センサの構成ならびに代表的な測定法について記述する。3章から5章では,弾性表面波センサの基礎として数値解析法と摂動法の基礎を示す。6章では,ガスセンサ,バイオセンサ,液体センサなど各種弾性表面波センサの検出原理や測定例について具体的に述べる。

一方,固体振動を利用した電子デバイスの一つである水晶振動子や圧電振動子は,高いQ値を持ち高安定で小型化が可能であるためエレクトロメカニカル機能デバイスとして広く実用化されている。また,これらの振動子を応用した圧電振動型センサの一例として,振動型力センサや加速度センサ,振動ジャイロ・角速度センサは,移動体通信機器や自動制御やナビゲーションシステムのキーデバイスとして使用されている。これらの圧電振動型センサの特性を理解し,小型化や高性能化,高機能化を図るためには,その基礎的事項である圧電現象ならびに各種振動子の特性と特徴を理解することが必要である。また,近年のコンピュータシミュレーション技術の発展と展開を考えると,回路シミュレータや有限要素法は設計,開発にはなくてはならないツールであり,圧電振動型センサの等価回路解析とシミュレーション法は必要不可欠な分野である。以上の点を踏まえて,第Ⅱ部の「圧電振動型センサ」に関しては7章構成とした。7章では,弾性波機能デバイスの特徴と圧電デバイスの解析手法について述べる。8章では,圧電振動の基礎として圧電方程式とその等価回路について記述する。9章では,基本となる各種の振動子について解説する。10章では,コンピュータシミュレーションと関連するマトリクス法と有限要素法の具体的な使用方法について記述する。11章から13章では,圧電振動子の具体的な応用例として,各種の圧電振動型センサの原理や構成例ならびに特性などについて具体的に述べる。

本書は,弾性表面波デバイス,および圧電振動型デバイス分野の研究を志す方や,これらを必要とする他分野の方々を対象として書かれたものであり,読者の方々に少しでもお役に立てれば幸いである。本書の内容は,筆者らが直接携わってきた研究内容を中心にまとめたものであり,これまでご指導いただいた諸先生方には深く感謝の意を表する次第である。しかしながら,浅学非才ゆえ不完全な点や誤った記述もあることが危惧されるので,読者のご教示とご意見を仰げれば幸いである。

最後に,本書を執筆する機会を与えていただいた日本音響学会音響テクノロジーシリーズ編集委員会編集委員(当時)垣尾省司山梨大学教授,ならびに筆者らの遅筆に付き合っていただいたコロナ社に厚くお礼を申し上げる。

2019年7月
近藤淳,工藤すばる

第I部 弾性表面波センサ
1. 弾性波センサ
1.1 弾性波デバイス
1.2 弾性波を用いた化学センサ,バイオセンサ
1.3 弾性波を用いた物理センサ
引用・参考文献

2. 弾性表面波センサおよび測定法
2.1 弾性表面波デバイス
2.2 代表的な測定システム
 2.2.1 発振周波数法
 2.2.2 位相差法
 2.2.3 バースト法
 2.2.4 ワイヤレス測定法
2.3 測定原理
2.4 共振子タイプと遅延線タイプ
2.5 検出限界
引用・参考文献

3. 弾性表面波センサの解析法
3.1 数値解析法
3.2 摂動法の基礎
 3.2.1 基本解の導出
 3.2.2 機械的摂動に対する基本解
 3.2.3 電気的摂動に対する基本解
3.3 速度変化および波数で規格化した減衰変化
引用・参考文献

4. 機械的摂動
4.1 空気中での質量負荷効果
4.2 ニュートン流体に対する機械的摂動
4.3 液体中での質量負荷効果
4.4 液体の密度と粘度分離測定
4.5 粘弾性流体
引用・参考文献

5. 電気的摂動
5.1 伝搬面上が空気の場合の電気的摂動
5.2 伝搬面上が液体の場合の電気的摂動
5.3 比誘電率-導電率図表
5.4 比誘電率-導電率図表を用いた液体評価
 5.4.1 導電率滴定
 5.4.2 ミネラルウォーター測定
5.5 導電率と誘電率を用いた水評価
5.6 基準液体の導電率が無視できない場合
引用・参考文献

6. 弾性表面波センサを用いた応用測定
6.1 ガスセンサ
6.2 バイオセンサ
 6.2.1 バイオセンサとは
 6.2.2 免疫センサ
 6.2.3 酵素センサ
6.3 多変量解析を用いた液体識別
 6.3.1 多変量解析
 6.3.2 多変量解析を利用した液体識別
 6.3.3 多変量解析を利用した混合液体評価
6.4 ニューラルネットワークを用いた電解質水溶液識別
 6.4.1 ニューラルネットワーク
 6.4.2 液体フローシステムを用いた測定
 6.4.3 ニューラルネットワークを用いた電解質の識別
6.5 センサ応答の推定
6.6 層状構造を用いた弾性波センサの高感度化
6.7 ワイヤレスSAWセンサ
 6.7.1 SAW温度センサ
 6.7.2 SAWひずみセンサ
 6.7.3 SAW圧力センサ
 6.7.4 SAWトルクセンサ
 6.7.5 インピーダンス負荷SAWセンサ
引用・参考文献

第II部 圧電振動型センサ
7. 圧電振動型センサ
7.1 弾性波機能デバイスの特徴
7.2 圧電デバイスの解析手法
引用・参考文献

8. 固体の振動
8.1 固体の弾性
 8.1.1 ひずみと応力
 8.1.2 弾性定数
 8.1.3 圧電方程式の表現方法
8.2 圧電振動と等価回路
 8.2.1 振動子の縦振動
 8.2.2 Masonの等価回路
8.3 圧電振動子の等価回路
 8.3.1 電気音響変換の基本式
 8.3.2 簡易等価回路
引用・参考文献

9. 振動子
9.1 縦振動子およびねじり振動子
 9.1.1 縦振動子
 9.1.2 ねじり振動子
9.2 横振動子
引用・参考文献

10. マトリクス法と有限要素法
10.1 振動体のマトリクス表示と特性解析
 10.1.1 振動体のマトリクス表示
 10.1.2 片持ち複合棒・双共振子の解析
10.2 有限要素法
 10.2.1 有限要素法の概要
 10.2.2 双共振音片振動子の結合振動の有限要素法解析
 10.2.3 圧電セラミック縦振動子の有限要素法解析
引用・参考文献

11. 振動型力センサ
11.1 弦の振動
11.2 複合音さ型振動子を用いた力センサ
11.3 各種構造の横振動子を用いた力センサ
 11.3.1 振動子の構造と振動変位解析
 11.3.2 力センサとしての特性解析
 11.3.3 加速度センサへの応用
 11.3.4 多軸加速度センサなどへの応用
引用・参考文献

12. 振動ジャイロ・角速度センサ
12.1 原理と構成
12.2 等価回路
12.3 感度特性
 12.3.1 性能指数の導出と考察
 12.3.2 回転角速度に対する出力電圧特性
 12.3.3 感度の実験的検討
12.4 応答特性
 12.4.1 周波数応答特性
 12.4.2 過渡応答特性
12.5 漏れ出力特性
 12.5.1 総合等価回路
 12.5.2 漏れ出力の低減化
引用・参考文献

13. 触覚センサ
13.1 接触インピーダンス法による触覚センサの原理
13.2 触覚センサの周波数変化率
 13.2.1 軟らかい対象物の場合
 13.2.2 硬い対象物の場合
 13.2.3 実験的検討
13.3 振動子の質量と触覚センサの周波数変化率との関係
13.4 触覚センサの高感度化の検討
 13.4.1 有限要素法によるホーン型縦振動子の等価質量の解析
 13.4.2 触覚センサの構成例
 13.4.3 実験的検討
引用・参考文献

索引

工藤 すばる(クドウ スバル)

掲載日:2020/03/04

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