よくわかるサービスの科学

よくわかるサービスの科学

  • 木下 栄蔵 名城大名誉教授 工博
  • 岸 博之 有限会社ヒロデザインラボ代表取締役 博士(学術)

サービスを科学的なアプローチで解説する書籍。特にAIや意思決定にフォーカスしている。

ジャンル
発行予定日
2026/08/下旬
判型
A5
ページ数
156ページ
ISBN
978-4-339-02957-4
よくわかるサービスの科学
近刊出来次第出荷
発行出来次第どこよりも早くお届けいたします。予約受付中。

定価

2,640(本体2,400円+税)

カートに入れる

購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

本書はサービスの科学を主旨とした書籍です。特に,近年の技術発展に伴ったサービスとAI,意思決定にフォーカスした内容となっています。さあ!AIと人間の意思決定の共存した世界を目指し,サービスの科学を学んでいきましょう!

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

本書は「サービスの科学」を主旨とした書籍です。

「サービス」と聞いて,皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか? 人によってさまざまかと思いますが,本書では「サービス」を「人間に対して,人間もしくは人間がつくりあげたシステムによって行われるもの」と定義しています。そのため,サービスに介在する科学は,人間の科学と連動しなければなりません。そして,その実現には,サービスを提供する側と享受する側の視点から捉えた「実用的なものでなければならない条件」が付帯されます。

本書では「なぜサービスに科学が必要なのか?」「人間の科学とはなにか?」という問いに対して,人間の価値観と意思決定力に焦点を当てながら,解説しています。なお,本書では筆者のコンサルタント経験を通して,なるべく実例での説明を心掛けています。例えば,中小企業のトップランナーによるサービスサイエンスの取組みや商業施設における動線解析AI開発の実例などを挙げ,そこから得られるサービスサイエンスに関する知見を重要なパートとして紹介しています。

サービスサイエンスは,多方面の学術を統合して,サービスに関するアイデアの創出や設計,提供などの課題や問題を解決しようとする手法です。その結果として,効率性や品質性,顧客満足度の向上に帰結させることができます。一方で,近年のSNSやモバイル技術の発達によって,ビジネスモデルが大きく変わり,それに伴ってサービスの提供やアプローチも変化してきています。そのような状況を踏まえ,「AI(人工知能)」と「AHP(階層分析法)」を用いたサービスサイエンスにアプローチしました。AIは,生成AIに見られるように急速な発展と利用拡大があり,世界的にも身近なものになりつつあります。すでに浸透しきっているといっても過言ではありません。また,AHPは,人間が感じる重要度を数値化して意思決定の際に用いることができる数理工学手法の一つです。

本書では,上述したサービスサイエンス,AI,AHPによる相互関係性を明確にしながら,そしてその関係性を「トライアングルインタフェース」と呼ぶこととしています(図1)。このトライアングルインタフェースは,AIと同調する未来の社会構造や経済構造のあるべき姿を考えたとき,先のパラダイムへ導く駆動力となり得ると考えています。


図1 トライアングルインタフェース


トライアングルインタフェースの構造を明確にするためには,数理工学や情報工学はもとより,コンピュータ科学や経済学,認知科学,心理学,哲学,人間行動学などの幅広い学際的視点を源泉とする考察が必要です。特に,「人間対AI」の構造的考察は,先のパラダイムを見据えるうえでは,非常に重要であると考えています。AIにはパターンマッチングという画像認識や音声認識,言語処理などのルールベースに基づくAIの中核をなす技術もありますが,本書ではサービスと人間行動をつなげたAIのディープラーニングに言及しています。

現代社会において,だれもが利用できるAIは,普段の生活において,さらにはビジネスや教育,医療などすべての現場で変革をもたらします。1936年にチューリングにより提起された計算理論から,2024年にノーベル物理学賞を受賞したヒントンとホップフィールドのニューラルネットワークによるディープラーニングの構築まで,わずか88年しか経ていないにもかかわらず,AIは社会を劇的に変化させて,すべての分野において絶大な存在となりました。この現象は一過性のブームではありません。そして,次世代の技術として,素粒子物理学が育んだ量子コンピュータがディープラーニングと協調したあかつきには,想像をはるかに超える社会となるはずです。しかし,どれだけAIが発達して,どんな社会になろうとも,人間が中心である社会は未来永劫続きます。

さあ,AIと人間の意思決定(AHP)の共存した世界を目指し,「サービスの科学」を一緒に学んでいきましょう。

本書の出版にあたり,コロナ社の皆さまには,企画立案から構成,内容の精査に至るまで,終始丁寧なご指導と的確なご助言をいただきました。ここに深く感謝申し上げます。

2026年7月

木下栄蔵・岸 博之

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1.サービスサイエンスとは
1.1 サービスとサービスサイエンス 
1.2 サービスサイエンス概論 
 1.2.1 サービスサイエンスの歴史 
 1.2.2 サービスサイエンスの定義 
1.3 本書の目的とアプローチ 
本章のまとめ

2.サービスサイエンスと人間科学
2.1 人間科学とは 
2.2 サービスサイエンスにおける心理学 
 2.2.1 心理学とは 
 2.2.2 認知心理学の例 
 2.2.3 アフォーダンス 
 2.2.4 シグニファイア 
2.3 人間科学を用いたサービスの例 
2.4 人間科学と統計解析 
 2.4.1 環境心理学の例 
 2.4.2 購買行動の例 
2.5 人間科学と意思決定 
 2.5.1 態度の3成分 
 2.5.2 ハーロウの代理母実験 
 2.5.3 意思決定と購買行動 
2.6 哲学と意思決定 
本章のまとめ

3.サービスサイエンスと経済学
3.1 経済学とは 
3.2 サービスサイエンスと資本主義 
3.3 市場の二極化 
3.4 正の経済と負の経済 
本章のまとめ

4.サービスサイエンスと数理工学
4.1 数理工学とは 
4.2 主問題と相対問題 
4.3 サービスサイエンスとAHP 
 4.3.1 AHPとは 
 4.3.2 AHPの歴史 
4.4 AHPの基礎 
 4.4.1 人間の意思決定 
 4.4.2 AHPの考え方 
 4.4.3 一対比較尺度 
 4.4.4 心理的距離と心理的圧力 
4.5 AHP利用における注意点 
4.6 AHPを用いたサービス解析の実例 
 4.6.1 マイホームの建築 
 4.6.2 医療施設の設計(実例1) 

5.サービスサイエンスと情報工学
5.1 情報工学とは 
5.2 AIとは 
 5.2.1 AIの歴史 
 5.2.2 生成AIと従来型AI 
 5.2.3 生成AIの流行 
5.3 AIとデータ 
 5.3.1 AIにおけるデータ利用 
 5.3.2 スマートシティ 
5.4 AIとビジネス 
 5.4.1 AIに関係するビジネスの変遷 
 5.4.2 サービスサイエンスとAI技術の進展 
 5.4.3 AI開発における学習特性とデータ依存性 
 5.4.4 オープン化戦略と制度としてのサービス設計 
5.5 AI利用における注意点 
5.6 AIを用いたサービス解析の実例 
 5.6.1 動線解析AI(実例2) 
 5.6.2 動線解析AIの将来像 

6.サービスサイエンスとAIとAHP
6.1 トライアングルインタフェース 
6.2 トライアングルインタフェースとスマートサイエンス社会 
6.3 トライアングルインタフェースの事例 
 6.3.1 観光業での例 
 6.3.2 製造業での例(実例3) 
6.4 サービスサイエンスとAI・AHPの関係 

7.サービスサイエンスの運用
7.1 サービスサイエンスの循環工程 
 7.1.1 サービス財の提供工程(工程1) 
 7.1.2 データ抽出工程(工程2) 
 7.1.3 データマイニング工程(工程3) 
 7.1.4 アップサイクルデータ回収工程(工程4) 
7.2 サービスサイエンスインタフェース 
7.3 サービスサイエンスに必要な検討事項 
 7.3.1 基礎知識習得(表8.1) 
 7.3.2 情報・データ取得(表8.2) 
 7.3.3 AHP設計・被験実施とAI方向性策定・実装設計(表8.3) 
 7.3.4 サービスサイエンスとしての成立チェック(表8.4) 

8.サービスサイエンスの未来像
8.1 未来のサービス財 
8.2 生成AI時代におけるサービス 

用語一覧
引用・参考文献
索引

木下 栄蔵(キノシタ エイゾウ)

1949年、京都府生まれ。
1975年、京都大学大学院工学研究科修了。現在、名城大学名誉教授、工学博士。交通計画、都市計画、意思決定論、サービスサイエンス、マクロ経済学などに関する研究に従事。
とくに意思決定論において、支配型AHP(Dominant AHP) 一斉法(CCM)を提唱、さらにマクロ経済学における新しい理論(Paradigm)を提唱している。

1996年日本オペレーションズリサーチ学会事例研究奨励賞受賞、2001年第6回AHP国際シンポジウムでBest Paper Award受賞、2005年第8回AHP国際シンポジウムにおいて Keynote Speech Award 受賞、2008年日本オペレーションズリサーチ学会第33回普及賞受賞。

2004年4月より2007年3月まで文部科学省科学技術政策研究所客員研究官を兼任。 2005年4月より2009年3月まで、および2013年4月より2017年3月まで名城大学大学院都市情報学研究科研究科長、並びに名城大学都市情報学部学部長を兼任。 2020年5月1日 名城大学退職。2022年4月1日 名城大学名誉教授に就任。

著作に「経済学はなぜ間違え続けるのか」(徳間書店)、「忍びよる世界恐慌」(扶桑社)、「統計学でわかるビッグデータ」 (日科技連出版社) 、「資本主義の限界」(扶桑社)、「意思決定法AHPの世界―理想的な意思決定とは」(日科技連)、「データサイエンスから読み解く野球の戦略論」(オーム社)、「日本の核武装こそが世界を平和にする」(ヒカルランド)など多数。

岸 博之(キシ ヒロユキ)