電力工学 (改訂版)

電気・電子系 教科書シリーズ 21

電力工学 (改訂版)

本書は発電,変電,送電,配電と広範囲に基礎的な内容を扱っている。また,初学者向けに図表や演習問題を多用し,平易に解説した。発行から13年が経ち,福島第一原発事故,再生可能エネルギー,スマートグリッドほかの電力の新しい環境に沿うよう改訂した。

ジャンル
発行年月日
2017/04/28
判型
A5
ページ数
296ページ
ISBN
978-4-339-01214-9
電力工学 (改訂版)
在庫あり

定価

3,300(本体3,000円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

「発電」「送配電」「変電」を一つにまとめた「電力工学」テキストの決定版!!
改訂版では30ページ増となりパワーアップ!!

図表,写真,演習問題を多数用い,わかりやすく解説した初学者向けの教科書です。今回の改訂で古いデータの更新,最新の知見を追加するとともに,電験三種問題を中心に演習問題を増やすことで,さらに興味をもてるようにしました。

【本書の特徴】
◎演習問題は基礎的な問題から,電験出題問題まで幅広い演習問題を掲載
・初版時より24問プラスして計145問掲載
 このうち電験受験に役立つ問題を7割アップして73問掲載
・丁寧な解答例も掲載

◎電力工学に親しみがより増すよう,一口メモ的なコーヒーブレイクを倍増しほぼ各章に配置,計16テーマを掲載

◎東日本大震災により被害を受けた原子力施設,中でも福島第一原子力発電所の事故概要,安全対策,過去の世界の事故例を5ページにわたり加筆(3章)

◎今,世界が抱えている地球温暖化対策,エネルギー問題がある中で,本書では再生可能エネルギーについて,まず普及状況と固定価格買取制度について解説し,各エネルギー発生については太陽光,風力発電を柱に充実させた
 分散型電源を電力系統に連携する技術要件についても6ページにわたり加筆(5章)

◎電力事業者について解説する中で,電力自由化を説明し,次世代電力網(スマートグリッド),電力変換装置から出る高調波対策について5ページにわたり加筆(6章)

以上の特徴は,各出版社から発行されている「電力工学」関連書籍の中でも群を抜いているものであり,3分野(発電,送配電,変電)を280ページにまとめてある点を考慮すれば,3,300円(税込)の価格はお求めやすいものになっています。

改訂版にあたって

電力工学も初版の発行から13年程が経過した。この間,東日本大震災による福島第一原子力発電所事故(3章),エネルギー問題(太陽光,風力発電を柱とした再生可能エネルギー,固定価格買取制度)(5章),次世代電力網スマートグリッド,電力自由化(6章)など,電力工学を取り巻く環境は大きく変わってきている。このような状況に対応して,今回最新であり,かつ教科書として必要な知見を追加した。また,この機会に古いデータの更新も行うとともに演習問題も見直し,コーヒーブレイクも増やすことで,電力工学を学ぶ学生がさらに興味をもてるようにした。

2017年3月 執筆者を代表して 江間 敏


まえがき

電気は,こんにちの生活において必要欠くべからざるものであり,あらゆる産業のエネルギー源,鉄道・エレベータ・エスカレータなどの輸送手段の動力源,家庭内では家電製品の動力源・熱源・制御電源など,最も使いやすくて安全でクリーンなエネルギーとして,堅実に定着し,また需要も増大している。

この電力を安全に,しかも高品質で供給する役割を担っているのが電力系統(電力システム)である。電力系統は,電力を発生する発電所,電力を効率的に,かつ高品質で送るために適正な電圧への変換や調整などを行う変電所,さらに発変電所間および負荷とを結ぶ送配電線から構成されている。

したがって,電力系統についての学問――「電力工学」は発電工学,変電工学,送配電工学からなっている。著者の学生時代には,各教科について教科書があり授業もそれぞれあったが,現在では電気・電子工学分野の学問の拡がりにより,時間的にそのような余裕もなくなり,これらが圧縮された「電力工学」という授業,教科になってきている傾向にある。

本書「電力工学」は,高専学生および大学生向けテキストとして,図表,写真や演習問題を多数用い,できるだけ平易に述べることに努め,基礎的な内容を扱っている。演習問題には,1995年から始まった新制度の電気主任技術者第三種(電験三種)試験問題も多数使わせていただいた。

初めの1章では電力工学全般について説明し,引き続き前半の2~5章では発電工学について説明し,後半の6~16章では送配電工学,そのうち15章では変電工学について説明している。またページ数の制約から潮流計算,直流送電の詳しい説明などについては省かせていただいた。

本書において学習を進める場合,書籍としては一貫性をもって内容を構成しているが,発電工学(2~5章)と送配電工学(6~16章)とを分離して進めても問題ないと思う。あるいは章の順番を変えて進めていくことも可能である。また,紙面の許す範囲で「コーヒーブレイク」を用意した。これは“休憩”的な内容もあるが,電力工学に関する重要な知識も含んでいるので学んで欲しい。

このような書籍を著すことは初めてであり,至らぬ点も多いことと思われるが,読者諸氏のご叱正をいただければ,後日のために幸いである。また参考文献で示したように,電力工学に関する多くの書籍が発行されているので,さまざまな角度からの学習もしてほしい。

終わりに,本書の執筆にあたり,コロナ社の協力はもとより,全体を通じては(株)明電舎および東京電力沼津支店の方々から種々有益な助言をいただいた。また,2~5章の発電部門の火力・水力においては,王子製紙の山本氏,電源開発の藤田氏に,原子力については中部電力浜岡原子力発電所から種々有益な助言,資料をいただいた。さらに,6章以降の送配電部門では,矢崎電線,北海道電力,鉄道総合技術研究所などから同様に種々有益な助言,資料をいただいた。ここに記して感謝の意を表する。

また,本書をまとめるにあたり,巻末に掲げた多くの書籍,雑誌などを参考にさせていただいた。ここに感謝の意を表する。

2003年8月 執筆者を代表して 江間 敏

1. 電力工学
1.1 電気エネルギーをつくる(発電)
1.2 電気エネルギーを送る(送配電)
演習問題

2. 火力発電
2.1 火力発電のしくみ
2.2 火力発電の熱サイクル
2.3 熱力学の基礎
 2.3.1 温度と圧力
 2.3.2 熱量と比熱
 2.3.3 気体の内部エネルギー
 2.3.4 熱力学の法則
 2.3.5 エンタルピーとエントロピー
2.4 水蒸気の一般特性
 2.4.1 理想気体と実在の気体
 2.4.2 水蒸気の特性
 2.4.3 等温変化と断熱変化
2.5 熱の機械エネルギーへの変換
 2.5.1 熱サイクルと効率
 2.5.2 カルノーサイクル
 2.5.3 ランキンサイクル
 2.5.4 再生サイクルと再熱サイクル
 2.5.5 コンバインドサイクル発電
2.6 ボイラと蒸気タービン
 2.6.1 ボイラ
 2.6.2 蒸気タービン
2.7 環境対策設備
 2.7.1 火力発電と環境保全
 2.7.2 集じん装置
 2.7.3 排煙装置
演習問題

3. 原子力発電
3.1 原子エネルギー
 3.1.1 質量とエネルギー
 3.1.2 原子エネルギー
3.2 原子力発電の原理
3.3 原子炉の構成要素
 3.3.1 核燃料
 3.3.2 減速材,反射材
 3.3.3 冷却材,制御材
3.4 原子力発電の種類
 3.4.1 加圧水(形原子)炉
 3.4.2 沸騰水(形原子)炉
 3.4.3 ガス冷却(形原子)炉
 3.4.4 高速増殖炉
3.5 原子力発電所の安全設計
 3.5.1 安全設計の考え方
 3.5.2 原子炉の安全設計
 3.5.3 原子炉の自己制御性
3.6 原子力発電所の事故と安全対策
 3.6.1 過去の原子力発電所の事故
 3.6.2 東日本大震災の影響を受けた原子力施設
 3.6.3 福島第一原子力発電所の事故概要
 3.6.4 事故を踏まえた安全対策
演習問題

4. 水力発電
4.1 水力発電の概要
 4.1.1 水力発電の原理
 4.1.2 落差の取り方による発電方式
 4.1.3 流量の使い方による発電方式
4.2 水力発電の設備
 4.2.1 水力設備の概要
 4.2.2 ダムの種類
 4.2.3 水撃作用とサージタンク
4.3 流量と落差
 4.3.1 降水量と流量
 4.3.2 流量の表し方
 4.3.3 水力学の基礎
4.4 水車と調速機
 4.4.1 水車の種類
 4.4.2 水車の特性
 4.4.3 調速機
 4.4.4 調速機の特性
演習問題

5. 再生可能エネルギー
5.1 固定価格買取制度と再生可能エネルギー普及状況
5.2 太陽光発電
5.3 風力発電
5.4 地熱発電
5.5 バイオマスエネルギーと廃棄物発電
5.6 燃料電池,核融合炉とその他の再生可能エネルギー
5.7 系統連携技術要件ガイドラインとその変遷
演習問題

6. 送電方式
6.1 電気事業と送電電圧の歴史
6.2 電力系統の構成と次世代電力網
6.3 直流送電方式と電力系統の周波数
6.4 電気方式
 6.4.1 送配電方式
 6.4.2 電気の種別
 6.4.3 公称電圧と最高電圧
6.5 高調波抑制対策ガイドライン
演習問題

7. 架空送電線路
7.1 架空送電線路の構成
7.2 電線,地線の種類
 7.2.1 鋼心アルミより線
 7.2.2 亜鉛めっき鋼より線
 7.2.3 光ファイバ複合架空地線
 7.2.4 多導体送電線
7.3 がいし
 7.3.1 がいしの種類
 7.3.2 懸垂がいし
 7.3.3 長幹がいし
 7.3.4 ラインポストがいしとピンがいし
7.4 支持物(送電鉄塔)
7.5 電線のたるみ
演習問題

8. 架空送電線路と雷などの気象対策
8.1 架空送電線路と雷
 8.1.1 直撃雷
 8.1.2 逆フラッシオーバ
 8.1.3 誘導雷
 8.1.4 送電線路の雷事故防護対策
8.2 架空送電線路と風
8.3 架空送電線路と雪
8.4 がいしと塩害,じん害
演習問題

9. 地中送電線路
9.1 電力ケーブルの種類
 9.1.1 OFケーブル
 9.1.2 CVケーブル
9.2 電力ケーブルの布設方式
9.3 電力ケーブルの電気的特性
演習問題

10. 架空送電線路の線路定数
10.1 抵抗
10.2 インダクタンス
 10.2.1 インダクタンスの定義
 10.2.2 導体の自己インダクタンス
 10.2.3 往復2導体のインダクタンス
 10.2.4 三相1回線当りの線路のインダクタンス
 10.2.5 大地帰路のインダクタンス
 10.2.6 3導体の大地帰路のインダクタンス
10.3 静電容量
 10.3.1 2導体間の静電容量
 10.3.2 対地静電容量
 10.3.3 2導体の作用静電容量
 10.3.4 3導体の作用静電容量
10.4 漏れコンダクタンス
演習問題

11. 送電線路の等価回路,電力円線図と安定度
11.1 短距離送電線
11.2 中距離送電線
11.3 長距離送電線
11.4 電力円線図
 11.4.1 四端子回路
 11.4.2 受電端電力と電力円線図
 11.4.3 調相
11.5 安定度
 11.5.1 定態安定度
 11.5.2 過渡安定度
 11.5.3 電圧安定度
演習問題

12. 異常電圧,避雷器と誘導障害
12.1 内部異常電圧(内雷)
 12.1.1 スイッチ投入による無負荷線路充電(投入サージ)
 12.1.2 スイッチ開放による充電電流遮断(開放サージ)
12.2 避雷器
12.3 絶縁協調
12.4 誘導障害
 12.4.1 電磁誘導
 12.4.2 静電誘導
演習問題

13. 故障計算と中性点接地方式
13.1 故障計算
 13.1.1 %インピーダンス法による短絡電流計算法
 13.1.2 対称座標法
 13.1.3 発電機の基本方程式
 13.1.4 故障計算
13.2 中性点接地方式
 13.2.1 直接接地方式
 13.2.2 抵抗接地方式
 13.2.3 消弧リアクトル接地方式
演習問題

14. 電力系統の電圧,無効電力,周波数制御
14.1 電圧制御
 14.1.1 変電所
 14.1.2 発電所
14.2 無効電力制御
14.3 周波数制御
演習問題

15. 変電所と保護継電器
15.1 変電所の概要
 15.1.1 変電所の基本構成
 15.1.2 変電所の変電機器
15.2 保護継電器
 15.2.1 保護継電器の分類
 15.2.2 保護継電器の変遷
演習問題

16. 配電方式
16.1 高圧・低圧・特別高圧の配電方式
 16.1.1 高圧配電線
 16.1.2 低圧配電線
 16.1.3 特別高圧配電線
16.2 配電線路の電気的特性
 16.2.1 末端集中負荷に対する電圧降下
 16.2.2 平等分布負荷に対する電圧降下
16.3 需要率,不等率,負荷率
演習問題

付録
参考文献
演習問題解答
索引

江間 敏

江間 敏(エマ サトシ)

出身地は静岡県袋井市。五人兄弟の末っ子で育つ。家族は妻,娘2人(独立)孫3人。非常勤講師(高専)の傍ら,趣味である家庭菜園(春のジャガイモ,夏野菜,冬の大根)で忙しい。若い頃は鉄道員であったこともあり,小旅行,街道・史跡巡りも楽しみの一つ。時事川柳なども書き,新聞に投稿している。
学生時代(高専・大学)は体操部に所属し汗を流した。また野球,テニスも好きなスポーツである。
大学院卒業後,国鉄(現JR)に勤め全国各地で勤務。学生時代を含めて,北は北海道・札幌から南は九州・宮崎まで全国9ヶ所で生活している。昭和55年宮崎実験線で初期のリニアモーターカーの研究・開発に従事。その後,民営化と共に国立の沼津工業高等専門学校(高専)電気電子工学科の教員に転職。リニアモーターカーの電力供給,電力工学の研究に従事。在職中は電気学会,日本鉄道電気技術協会の各種委員会の委員を経験,電気学会上級会員でもある。

甲斐 隆章(カイ タカアキ)