風力発電とその電力システムへの連系

風力発電とその電力システムへの連系

  • 七原 俊也 愛知工大教授・東工大名誉教授 博士(工学)

風という気象現象から,風力発電装置という機械装置,電力システムまで多岐にわたって解説

ジャンル
発行年月日
2020/08/07
判型
A5
ページ数
236ページ
ISBN
978-4-339-00935-4
風力発電とその電力システムへの連系
在庫あり

定価

3,740(本体3,400円+税)

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 風力発電は,地球環境問題への関心の高まりなどを背景として世界的に導入が進んでいます。風力発電は基本的に電力システムに接続して利用されることを考慮し,本書では,特に電力システムへの接続に焦点をあて,風力発電技術の基礎について解説しています。
 風力発電は,気象現象である風から,風車などの機械装置を用いてエネルギーを取り出し,それを電気エネルギーに変換し電力システムに送電します。このため電力システムへの影響に焦点をあてた場合でも,気象学,機械工学,電気工学など様々な専門分野の知識が必要となります。また風力発電では,たとえば誘導発電機のように,他の発電方式ではあまり利用されていない技術も中心的な役割を果たしています。本書は,これら様々な分野や技術について,できるだけ平易に説明するようにしました。
 一方,風力発電の電力システムへの影響については,世界的に導入量が増加する中,様々な技術課題が現れ,それへの対策が講じられつつある状況です。これについては,本書では技術開発段階の技術も含め,できるだけ最新の状況を紹介するように努めました。
 本書が,今後さらに重要性を増すであろう風力発電技術について,皆様のお役に立てば幸いです。

本書では,風力発電の概要,および風力発電の電力システムへの影響について述べる。これはいくつかの大学で実施してきた講義に肉付けして作成したものである。

筆者は,もともと電力システム工学を専門としてきたが,かれこれ 30 年来,風力発電の電力システムへの影響に関わる研究に携わってきた。その中でこの分野を学ぶのに手頃な書籍(特に和書)が少ないことを痛感してきた。それに応えるべく企画したのが本書である。

しかし,いざ執筆に着手してみると,これはきわめて難しい作業であることを再認識させられることとなった。まず対象とする分野が,風という気象現象から,風力発電装置という機械装置,さらには電力システムまできわめて多岐にわたる。しかも電力システムへの影響を論じるには,多岐にわたる影響の全般をカバーせざるを得ない。また近年の風力発電の導入拡大に呼応して,風力発電技術は日進月歩で進歩している。一方,電力システムへの連系に関わる技術課題やそれへの対策技術も変化しつつある。このような状況のもと,得ることができる限られた情報の中で,内容をどのように取捨選択するかも悩ましい課題であった。

結局,本書では風および風力発電装置から電力システムまでを扱うという分不相応な取組みを目指した。その中で特に以下の点に心を配った。
◦ 風,風力発電,電力システムの各分野の初学者にも(ある程度は)理解してもらえるようなていねいな記述に努めた。
◦ できるだけ興味・実感がわくよう,可能な範囲で実際のデータを載せた。また,関連する具体的なエピソードを「コーヒールーム」で紹介した。 
◦ 数式などの導出過程もできるだけ明記するようにした。
◦ 例えば,電気機器の教科書などでは補足的にしか扱われていないが,風力発電では重要度の高い誘導発電機などについて,詳しい説明を行った。 
◦ 風力発電装置でなぜ同期発電機を電力システムに直接接続して運転しないのかなど基本的な事項についても,歴史的経緯にも触れつつ説明した。 
◦ 風力発電を電力システムに大量に導入した場合に今後予想される技術課題については,研究レベルの内容を含めて記述した。

しかし,これらは浅学非才の徒には過ぎた試みであり,これらの目的を十分に達したとは思えない。また,本書は筆者の 30 年来の勉強の結果ではあるが,対象が広範にわたるため,誤りも少なくないと考えられる。ぜひとも読者の叱正をお願いしたい。

本書の執筆にあたっては,原稿全般にわたり河辺賢一 博士から貴重なご意見をいただいた。加えて松本光弘 氏,三田裕一 氏,早崎宣之 氏からは執筆にあたり多大な助力をいただくとともに,板井準 氏,山本将士 氏,荒井有美 氏からは図の作成などに助力をいただいた。さらに名前は挙げないが,関係する仕事に一緒に携わった多数の諸兄から学ばせていただいた内容が,本書の礎となっている。週末にいつもパソコンに向かっている筆者を我慢強く見守ってくれた家族とともに,お世話になった皆様に深く感謝の意を表します。

2019年9月  七原俊也

1.風力発電と電力システム
1.1 概説
1.2 本書の構成
引用・参考文献

2.風と風力発電の概要
2.1 風の有するエネルギーとベッツの法則
2.2 風車におけるエネルギー変換
2.3 風車のタイプ
2.4 風の性質
補足 2.1 ベッツの法則の導出
引用・参考文献

3.風力発電装置と風力発電所
3.1 風力発電装置
 3.1.1 風力発電装置の概要
 3.1.2 風力発電装置の基本的な制御方式
 3.1.3 風力発電装置の特徴
3.2 風力発電装置の発電性能
3.3 風力発電所
補足 3.1 2質点系の共振周波数を表す式(3.5)の導出
引用・参考文献

4.風力発電装置で用いる発電機と半導体電力変換装置
4.1 発電機
 4.1.1 同期発電機
 4.1.2 誘導発電機
4.2 半導体電力変換装置
補足 4.1 送電線の送電電力を表す式(4.4)の導出
補足 4.2 発電機の動揺方程式を表す式(4.5)の導出
補足 4.3 二重給電誘導発電機における回転子電流の目標値
引用・参考文献

5.発電機構成から見た風力発電装置の種類
5.1 タイプⅠ:誘導発電機直結方式
5.2 タイプⅡ:誘導発電機の二次抵抗制御方式
5.3 タイプⅢ:誘導発電機の二次励磁制御方式
5.4 タイプⅣ:同期発電機によるフルスケールコンバータ方式
引用・参考文献

6.電力システムとその特性
6.1 電力システムの概要
6.2 電力システムの需給運用・制御
6.3 電力システムの系統運用・制御
 6.3.1 潮流計算
 6.3.2 電圧・無効電力制御
 6.3.3 電力システムに接続したさまざまな発電機の安定性
 6.3.4 電力システムにおける事故波及
 6.3.5 電力システムの信頼度
 6.3.6 海底ケーブルによる送電
補足 6.1 送電線の電力潮流を表す近似式の導出
引用・参考文献

7.風力発電を電力システムに連系した場合の影響
7.1 電力システムから見た風力発電の特徴
7.2 分散形電源を電力システムに連系する際の要件
7.3 風力発電の連系に伴う局所的な影響
 7.3.1 電力品質
 7.3.2 保護協調
 7.3.3 短絡容量
 7.3.4 送電線の送電容量
7.4 風力発電の連系に伴う広範囲への影響
 7.4.1 電力システムの需給バランス
 7.4.2 電源脱落時などにおける周波数異常
 7.4.3 事故時における風力発電装置の一斉脱落
 7.4.4 風力発電の過渡応答と電力システムの安定性
補足 7.1 平滑化効果の理論
引用・参考文献

付録
A.パワースペクトル
B.クロススペクトル
C.風力発電の出力予測

索引

コーヒールーム
2.1 揚力形風車と抗力形風車の比較
2.2 風速のスペクトル
3.1 風力発電にとっての代表的な風速とは
3.2 実測データに基づく風速と発電出力の関係例
3.3 ウィンドファームの設備利用率の実績例
4.1 風力発電装置ではなぜ同期発電機を電力システムに直結しないのか
4.2 二重給電機の歴史
6.1 欧米で見直されている同期調相機
6.2 潮流過負荷の連鎖によるヨーロッパ大停電(2006年11月4日)
6.3 北海道胆振東部地震に伴うブラックアウト(2018年9月6日)
6.4 2003年8月14日の北米大停電
7.1 わが国における分散形電源の系統連系要件の変遷
7.2 インバータが主体の電力システムの技術課題:直流送電線で連系した洋上風力発電装置群をつなぐ交流系統の例
7.3 ウィンドファーム出力における平滑化効果
7.4 非同期電源比率:アイルランドのアプローチ

七原 俊也

七原 俊也(ナナハラ トシヤ)

名古屋市で生まれ,大阪府などで育ちました。
1979年3月に京都大学大学院(電気工学専攻)の修士課程を修了し,(財)電力中央研究所に入所しました。その後,大学に移り,2015~2020年には東京工業大学工学院電気電子系教授,2020年からは愛知工業大学工学部教授を務めています。
専門分野は,風力・太陽光発電の電力システムへの影響評価,分散型電源の系統連系,電力システムの需給計画・運用・制御などです。

掲載日:2020/07/31

日刊工業新聞広告掲載(2020年7月31日)

掲載日:2020/06/24

「電気学会誌」2020年7月号広告

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