建設技術者を目指す人のための防災工学

建設技術者を目指す人のための防災工学

建設技術者を目指す人が最低限必要な防災工学の知識を学べるよう,基礎的な知識から災害の予測・対策方法まで具体例を交えて解説。

ジャンル
発行年月日
2019/01/11
判型
B5
ページ数
142ページ
ISBN
978-4-339-05263-3
建設技術者を目指す人のための防災工学
在庫あり

定価

2,640(本体2,400円+税)

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建設技術者を目指す人が最低限必要な防災工学の知識を学べるよう,地域防災計画等でおもな災害対象の、地震災害、風水害、火山災害などの自然災害について,基礎的な知識から災害の予測・対策方法まで具体的な事例を交えて解説した。

本書は,建設技術者を目指す大学生の方々が,防災工学を学ぶにあたって必要な災害に関する基礎的な知識から災害の予測・対策方法まで順を追って述べたものである。また,その中で各種の災害事例およびそれに対する復旧事例を多く示しており,自治体や民間企業の方々にも実務で参考にしていただけるようにしている。

地震,火山,豪雨,台風と自然災害に頻繁に見舞われる日本にあって,防災工学に関する知識は建設技術者を目指す者にとって不可欠であり,それを実社会に役立たせることが大切である。ところが,防災工学に関してまとめて書かれた本はこれまでほとんど見当たらない。その理由としては,防災工学と一口に言っても地震などの自然災害から工事中の事故といった人為災害まで,災害の種類が非常に多くて網羅できないことが挙げられる。また,防災の概念を知るだけでよいのか,それとも実務に役立つ専門的な内容とすべきなのか,といった選択も書き手はしないといけない。

そこで本書では,建設技術者を目指す方々や従事している方々を対象にし,これらの方々に大切な災害の種類を絞り,記述の内容およびレベルも概念的なものでなく実務的なものとして,以下のような特徴を持たすこととした。
 ( 1 )  災害は自然災害と人為災害とに分けられるが,自然災害を対象にし,さらに,自治体の地域防災計画などで対象にしている主要な災害の,地震災害,風水害,火山災害に絞ることとした。
 ( 2 )  各災害が発生するメカニズムを知ることが大切なので,まずその解説を行うこととした。
 ( 3 )  過去から多くの災害に見舞われてきている日本では,地震や豪雨に対して安全なように構造物を設計し建設してきた。それにもかかわらず地震や豪雨時の構造物の被害があとを絶たない。この矛盾に答えるべく,従来の設計方法で想定していた災害レベルと実際に発生した災害のレベルの違いや,従来の設計で考慮されてこなかったことを説明するようにした。
 ( 4 )  建設技術者は過去の被害事例をよく学んで,将来の災害に備えることが大切である。そこで本書では,災害の種類ごとに過去の代表的な災害事例を紹介することとした。その状況をわかりやすくするため,写真や図面を多く用いた。また,被災後につぎの災害に備えて,どのように対策を施して復旧したのかも紹介することとした。
 ( 5 )  対策にはハードな対策とソフトな対策がある。例えば,豪雨時に土石流による住宅の被害が発生しそうな地区に対し,砂防ダムを建設して土石流の発生をくい止めるハードな対策を行うか,または,土石流が発生しかけたらすぐに避難できるシステムを備えておくソフトな対策を施すかといった選択がある。両者とも検討が必要であるが,前者のほうが根本的な対策のため,本書では前者を対象とすることとした。
 
以上のような考えのもと,五つの章に分けて説明していく。まず,1章では,耐震設計など構造物の設計方法が進んできているにもかかわらず,災害が発生し続けている背景を述べ,本書では主要な災害である地震災害,風水害,火山災害に絞る理由を述べる。2章では,三つの災害とも地盤の脆弱性に起因したものが最近目立ってきていることと,地盤の形成過程によって災害に対する地盤の強弱が大きく異なるので,地盤の種類に関する基礎知識を述べる。3章では,地震災害に対する防災のあり方を述べる。そのためには,地震が発生するメカニズムや,地震動が地表面まで伝わってくる間の増幅特性などの基礎を知らないといけないので,まず,この説明を行う。その後,強い揺れ,液状化,自然斜面や造成斜面の崩壊,断層,津波について,過去の地震時における被災事例と復旧方法,今後の予測・対策方法を述べる。4章では,風水害に対する防災のあり方に関し,まず,日本における降水の特徴を述べる。そして,土砂災害として斜面崩壊,土石流,地すべりをとり上げ,被災事例や復旧時の対策,今後の予測と対策に関して述べる。また,豪雨による氾濫として外水氾濫と内水氾濫をとり上げ,同様の説明を行う。5章では,火山災害に対し,まず火山が形成されるメカニズムや噴火の特徴などを述べる。そして,噴火や火砕流,降灰による被災事例を紹介し,火山災害に対する対策の現状を述べる。

上述したように,防災工学を扱った本は少ない。また,防災工学が扱うべき範囲は幅広い。その中で,建設技術者を目指す方々に対象を絞って本書を書いた。読者の方々のお役に立てば幸いである。なお,執筆にあたっては,吉田望東北学院大学名誉教授,千葉達朗氏(アジア航測株式会社),後藤聡山梨大学准教授,中濃耕司氏(東亜コンサルタント株式会社)にお世話になった。感謝する次第である。

2018年11月 安田  進・石川 敬祐

1. 本書が対象とする災害
1.1 災害が発生し続けている背景
1.2 本書で対象とする災害
引用・参考文献

2. 地盤の種類とそこで発生する災害の特徴
2.1 最近の災害が地盤の脆弱性に起因したものが目立つ理由
2.2 地球の誕生と地質年代
2.3 低地の地盤
 2.3.1 河川沿いに形成された低地
 2.3.2 海岸沿いに形成された低地
 2.3.3 台地を切り刻んで形成された低地
2.4 段丘・台地の地盤
2.5 山地・丘陵地の地盤
引用・参考文献

3. 地震災害
3.1 地震の発生と地震災害の分類
 3.1.1 地震や火山の発生の源
 3.1.2 震源断層と地表地震断層
 3.1.3 震源から地表までの地震波の伝搬
 3.1.4 地震による構造物の被害の種類
3.2 強い揺れによる被害
 3.2.1 強い揺れによる被害の種類
 3.2.2 強い揺れによる被害事例
 3.2.3 強い揺れの予測と対策
3.3 地盤の液状化
 3.3.1 液状化の発生およびそれにより被災するメカニズム
 3.3.2 液状化による被災事例
 3.3.3 液状化の予測と対策
3.4 自然斜面や造成斜面の崩壊
 3.4.1 斜面崩壊の種類
 3.4.2 斜面崩壊の事例
 3.4.3 斜面崩壊の予測と対策
3.5 地表地震断層による被害
3.6 津波による被害
引用・参考文献

4. 風水害
4.1 日本の降水の特徴と土砂災害,氾濫
4.2 土砂災害
 4.2.1 土砂災害の被害事例
 4.2.2 土砂災害の予測と対策
4.3 氾濫
 4.3.1 氾濫の種類
 4.3.2 外水氾濫の事例と対策
 4.3.3 内水氾濫の事例と対策
引用・参考文献

5. 火山災害
5.1 火山災害の特徴
5.2 火山の噴火と構造,火山噴出物の種類
5.3 火山による被害および復旧復興事例
 5.3.1 三宅島の噴火
 5.3.2 雲仙普賢岳の火砕流
 5.3.3 富士山の噴火
5.4 火山災害に対する対策
引用・参考文献

あとがき
索引

安田 進(ヤスダ ススム)

石川 敬祐(イシカワ ケイスケ)

「土木学会誌」2019年4月号

掲載日:2019/11/15

土木学会誌 2019年11月号広告