地域防災とライフライン防護
災害対策のための自治体などの地域防災,及び,電気,通信,上下水道,道路などのライフライン防護について,現状と課題を解説。
- 発行年月日
- 2018/10/18
- 判型
- A5
- ページ数
- 230ページ
- ISBN
- 978-4-339-05261-9
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- 広告掲載情報
本書は,災害対策のための自治体や自主防災組織,企業,学校などの地域防災,および,社会経済への影響が大きい電気,通信,上下水道,道路などのライフライン防護について,具体的な現状と課題を解説した防災対策の教科書である。
わが国では誰もが災害に巻き込まれる危険にさらされている。したがって,一人ひとりの住民が,地域の災害に対する脆弱性を認識し,災害の歴史に学んで防災知識を身に着けておき,いざというときには入手した情報を正しく理解し,適切な判断ができることが重要である。また,人的被害や建物被害などが生じた場合,救助の方法や生活を確保する方策なども知っておく必要がある。
また,電気,ガス,上下水道,鉄道,道路,通信などのライフラインが被災すると,人々の生活や社会活動に大きな影響を及ぼすので,平時からライフラインについて理解を深めておくことも必要である。
拙著『自然災害の発生と法制度』では,自然災害の発生メカニズムと対策,そして災害に関する法制度を中心に防災対策を概観したが,本書では,地域の防災とライフラインに焦点を当てて防災対策を論じる。
第Ⅰ部(1~9章)では,過去の大災害を学び,地震・津波,気象,火山などの災害情報に関する知識を得るとともに,災害に対する国土の脆弱性や都市防災の問題を論じる。さらに,地域の防災活動の現状,災害応急対策や防災訓練・教育の現状を把握するとともに,重要な役割を担う市町村長の災害対処策を論じる。
第Ⅱ部(10~19章)では,震災時のライフラインの被災状況などをレビューしたうえで,道路,鉄道,港湾,空港,下水道,水道,電力,石油・ガス,そして情報通信について,整備の現状や防災に関する課題を明らかにする。
2018年8月 木下誠也
第Ⅰ部 地域の防災
1. 近年の大災害を振り返る
1.1 歴史上の大災害
1.2 関東大震災
1.3 阪神・淡路大震災
1.4 東日本大震災
1.5 熊本地震
2. 地震と津波の情報
2.1 地震情報
2.2 津波警報・注意報,津波情報,津波予報
2.3 災害情報の伝達手段
2.3.1 防災行政無線
2.3.2 Jアラート
3. 防災気象情報
3.1 気象の注意報,警報,特別警報
3.1.1 気象情報
3.1.2 注意報,警報,特別警報
3.2 土砂災害の情報
3.2.1 土砂災害危険箇所
3.2.2 土砂災害警戒情報
4. 火山の防災情報
4.1 火山の監視
4.2 噴火警報・予報
4.3 火山ハザードマップと火山防災マップ
4.4 火山災害警戒地域
5. 脆弱な国土と都市防災
5.1 災害に対する脆弱性
5.1.1 脆弱な国土
5.1.2 社会環境による脆弱性
5.2 都市の防災
5.2.1 防災・減災対策としての津波対策
5.2.2 密集市街地対策
5.2.3 宅地防災対策
5.2.4 防災都市づくり計画
5.2.5 住宅・建築物の耐震化
5.2.6 都市の水害対策
6. 地域の防災活動
6.1 自主防災組織
6.2 消防団・水防団
6.2.1 消防団
6.2.2 水防団
7. 災害応急対策
7.1 救急・救護
7.1.1 警察の活動
7.1.2 消防の活動
7.1.3 自衛隊の活動
7.1.4 国土交通省緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の活動
7.2 災害救助
7.2.1 災害対策基本法と災害救助法
7.2.2 災害救助法による救助
7.3 罹災証明制度
8. 防災訓練・防災教育
8.1 防災訓練
8.2 防災教育
8.2.1 学校現場の防災教育
8.2.2 学校現場以外の防災教育
9. 市町村長の災害対応
9.1 市町村長がなすべきこと
9.1.1 市町村における災害対応『虎の巻』
9.1.2 水害サミットからの発信
9.1.3 市町村のための水害対応の手引き
9.2 避難勧告の発令など
第Ⅱ部 ライフライン防護
10. ライフラインの災害
10.1 ライフラインとは
10.2 阪神・淡路大震災におけるライフラインの被害と復旧
10.2.1 被害の概要
10.2.2 災害対応の支障となったライフライン被害
10.3 東日本大震災におけるライフラインの被害と復旧
10.3.1 震災の概要
10.3.2 道路の被害
10.3.3 鉄道の被害
10.3.4 港湾・空港の被害
10.3.5 水道・下水道などの被害
10.3.6 電力への影響
10.3.7 ガス供給への影響
10.3.8 石油供給への影響
10.3.9 情報通信への影響
11. 道路
11.1 道路整備の経緯と現状
11.1.1 道路整備の経緯
11.1.2 道路整備の制度と現状
11.2 道路の防災
11.2.1 道路のメンテナンス
11.2.2 道路の震災対策
11.2.3 道路の雪対策
11.2.4 道路の豪雨対策
11.2.5 道路啓開
12. 鉄道
12.1 鉄道整備の経緯と現状
12.1.1 鉄道整備の経緯
12.1.2 鉄道整備の制度と現状
12.2 鉄道の安全対策
12.2.1 鉄道の耐震化
12.2.2 新幹線の脱線・逸脱対策と早期地震検知システム
12.2.3 鉄道の浸水防止対策
13. 港湾
13.1 港湾整備の経緯と現状
13.2 港湾の防災
14. 空港
14.1 空港整備の経緯と現状
14.2 空港の防災
15. 下水道
15.1 下水道整備の経緯と現状
15.1.1 下水道整備の経緯
15.1.2 下水道整備の制度と現状
15.2 下水道の防災
15.2.1 下水道の地震対策
15.2.2 下水道による浸水対策
16. 水道
16.1 水道整備の経緯と現状
16.1.1 水道整備の経緯
16.1.2 水道の現状
16.2 水道の安全対策
16.2.1 水道施設の耐震化
16.2.2 水道の水質汚染対策
17. 電力
17.1 電力供給の歴史的経緯と電力需給の現状
17.1.1 電力供給の歴史的経緯
17.1.2 電力需給の現状
17.2 電力の安全対策
17.2.1 電気設備などに影響を及ぼす自然災害
17.2.2 東西の周波数変換設備や地域間連系線の強化
18. 石油・ガス
18.1 石油・ガス供給の歴史的経緯と現状
18.1.1 石油・ガス供給の歴史的経緯
18.1.2 石油・ガス供給の現状
18.2 エネルギーの災害リスクなどへの対応
18.2.1 石油・LPガスの供給網の対策
18.2.2 都市ガスの対策
19. 情報通信
19.1 情報インフラ整備の現状
19.1.1 電気通信事業の現状
19.1.2 放送サービスの変遷と現状
19.2 災害時の情報インフラ活用のあり方
19.2.1 東日本大震災以降の情報インフラ
19.2.2 東日本大震災と熊本地震を踏まえた情報インフラの活用のあり方
引用・参考文献
おわりに
用語索引
法律名索引
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掲載日:2020/12/02