施工管理学 (改訂版)

環境・都市システム系 教科書シリーズ 10

施工管理学 (改訂版)

建設工事の施工について,調査・試験から各種工法や技術などをわかりやすく解説。

ジャンル
発行年月日
2021/04/30
判型
A5
ページ数
240ページ
ISBN
978-4-339-05526-9
施工管理学 (改訂版)
在庫あり

定価

3,190(本体2,900円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

【本書はどのような役に立つか】
「土木施工」とはどのような内容か?その答えを簡易に与えてくれるのがこの本です。

人間生活を支える社会基盤施設には、道路や鉄道、橋、トンネル、ダム、通信施設、上下水道など種々のものがあります。その施設を発案・調査・計画し、実際に品質を確認しながら建設する技術や方法の学問を「施工管理学」といいます。

わが国には建設会社が約50万社あります。それらには、技術者が数人の小さな会社から数万人の社員がいる大会社があり、他にも住民サービスのための官公庁、および設計などを手掛けるコンサルタントなど種々のものがあり、千差万別の工事を担っています。その業務のひとつである土木施工では、最新のAIやコンピュータを駆使した自動化・無人化や、遠隔操作の建設機械などを用いた各種の最新工法が用いられています。一方、地方の工事や、東南アジア・中近東などでのODAや青年海外協力隊など、日本が技術協力として行っている工事では昔からの工法も数多く採用されています。

以上述べたように、土木施工の分野は大変広い領域を含んでいます。最先端の技術も基礎的な原理・工法を基盤として成り立っており、複雑なプログラムもその理解なくして実践は不可能です。

土木技術者にとって、工法の選択や施工の順序、および建設機械や作業員の配置など、判断を迫られる機会が多くあります。その際、専門知識を豊富に持っていることは、より良い選択・判断が可能となり、品質の良い構造物を早く・安く・しかも安全に作ることができます。

本書はそれらの基礎として、建設やコンサルタントの技術者が身につけておかなければならない基礎的事項を学習するものであり、高専をはじめ大学・短大・高校の教育、およびこれから土木技術者を志す方に活用していただくことを念頭に執筆しています。また、本書は土木施工管理技術検定にも役立つ内容といえます。

【本書の特徴および内容】
本書は、土木工事を行う方法や手順などを記しており、調査・試験から各種の工法や技術および考え方などを、豊富な図表・写真やイラストを用いてわかりやすく解説しています。また、各章の演習問題では、それぞれの習熟度が確認できます。3人の著者は、いずれも民間企業および教育機関を経験しており、実務経験も豊富です。

主な内容は、以下のとおりです。
1章では施工体系全般の説明と、施工に際してまず求められる環境関係の調査・試験・基準について詳述しています。
2章は近年の労働力不足や、生産性・品質向上の観点から進展が著しい建設機械の運営管理をはじめ、無人航空機(UAV)やAIなどの情報通信技術(ITC)を活用した無人化や自動化の要求が高い情報化施工について述べています。
3章から5章は、一般の多くの工事に関係深く汎用性の高い技術である土工・基礎工・コンクリート工について、一方、6章と7章では、特殊な専門性が要求されるトンネル工やダム工などの用語から工法などについて説明しています。
続く8章と9章では施工計画を立案する手順から種々の施工管理の手法を解説しています。

改訂版にあたって
2章全体を見直し,自動化,省力化,ロボット化を目指したi-Constructionを主体とする新しい建設機械施工について加筆した(2.3)。改訂版の執筆分担は,1章,3章~4章が友久,2章の2.1,2.2と5章~9章までが竹下,2章の2.3が江口である。

2021年2月  著 者


まえがき
施工管理学は,建設工事を行う方法や手順などについて学ぶ学問である。建設工事は,人間生活における安全性・利便性・快適性などを確保するために,自然に手を加えて災害を防止し,社会基盤を整備するものである。この意味では,人間の歴史が施工の歴史といっても過言ではない。すなわち,人の生活があるところに建設工事やこれに伴う施工が不可欠である。

具体的にいうと,施工は町の路地裏の小さな側溝から,人工衛星からも識別できるような巨大構造物などを造るための方法や手段である。そして,構造物を建設する際には,自然災害の発生を回避して住民の理解を得るとともに,周辺の生態系や環境に配慮して事業を推進することが要求される。また,施工は古来より行ってきた工法から,機械化・自動化をはじめバイオテクノロジーやITを駆使した最新工法までの種々のものがあり,土木や建築の専門的技術のほか機械・電気・情報・化学・景観・衛生・経済などの学問を総合的に応用し,多くの人々の協力を得て初めて成し遂げられるものである。

本書は,種々の施工方法や手順について知りたいという,現場の若い技術者や大学・高専・工業高校の学生や生徒の強い要望に応える参考書や教科書として執筆した。このため,現場経験のない学生にもできるだけ理解しやすいように図表を多く配置した。一方,実際に建設される構造物は,その機能や建設地域の自然地理や工学的条件の違いを考慮して,その現場に適した施工方法を採用することが必要であり,基礎技術を十分理解したうえで最適工法や応用工法を選定することが望まれる。また,施工にかかわる人だけでなく,設計や積算業務を行う人においても,その施工法を十分理解していなければ現場に即応したものはできない。

本書では,建設技術者としての交流や情報交換をする場合に,知っていなければ意思の疎通が図れない基本的な事項をとりあげている。1章では土木工事全般の流れと施工を行う際の調査・試験について,2章では建設機械に関する一般的事項と作業能力および運営管理に関する基礎事項について述べている。3章~7章では施工の主要工種である土工・基礎工・コンクリート工・トンネル工・ダム工の基本的事項について述べている。そして,8章および9章では施工計画および施工管理の手法や留意点について詳述している。また,読者は各章末の演習問題に取り組むことにより学習効果を一層高め、各自の理解度を確かめることができる。一方,コーヒーブレイクでは,息抜きに肩のこらない話題をとりあげた。

著者の分担は,1章~4章まで(2章は2.1,2.2のみ)が友久,2章の2.3,2.4と5章~9章までが竹下である。前述したように,施工にかかわる範囲は非常に広く,本書ですべてを網羅することはできない。さらに詳細な情報が必要な読者や,道路・鉄道・河川・港湾・橋梁などについてはほかの専門書を参考にされたい。

最後に,本書の執筆にあたり,参考にさせていただいた多数の文献の著者や出版社に謝意を表すとともに,本出版にお世話をいただいたコロナ社に心から感謝いたします。

2003年11月  著 者

1.総説
1.1 土木工事の特徴
1.2 施工体系
1.3 環境影響評価
1.4 設計,積算と入札
 1.4.1 設計書と仕様書
 1.4.2 積算
 1.4.3 入札
1.5 施工のための調査・試験
 1.5.1 地形・地質
 1.5.2 地盤調査
 1.5.3 ボーリング
 1.5.4 サンプリング
 1.5.5 原位置試験
1.6 環境保全のための調査・試験
1.7 工事用測量
演習問題

2.建設機械施工
2.1 建設機械の作業能力の算定
 2.1.1 ブルドーザーの作業能力
 2.1.2 ショベル系掘削機の作業能力
 2.1.3 ダンプトラックの作業能力
2.2 建設機械の運営と管理
 2.2.1 機械経費
 2.2.2 機械損料
 2.2.3 運転経費
 2.2.4 建設機械の所要台数
2.3 新しい建設機械施工技術
 2.3.1 情報化施工
 2.3.2 情報通信技術(ICT)の活用
 2.3.3 新しい施工に対応した建設機械と周辺技術
演習問題

3.土工
3.1 概説
 3.1.1 地盤材料の分類
 3.1.2 土工計画
 3.1.3 土量配分
3.2 掘削と運搬
 3.2.1 掘削方法と運搬方法
 3.2.2 切土
 3.2.3 土砂の掘削
 3.2.4 軟岩の掘削
 3.2.5 硬岩の掘削
3.3 盛土と締固め
 3.3.1 盛土
 3.3.2 締固めと品質管理
 3.3.3 締固め機械
3.4 浚渫と埋立て
3.5 法面の保護
演習問題

4.基礎工
4.1 概説
 4.1.1 地盤の破壊形式と支持力
 4.1.2 基礎工の種類
4.2 基礎工にかかわる共通事項
 4.2.1 土留め工
 4.2.2 ヒービングとボイリング
 4.2.3 排水工法
4.3 浅い基礎工法
 4.3.1 浅い基礎の種類と特徴
 4.3.2 浅い基礎の支持力
4.4 深い基礎工法
 4.4.1 既製杭基礎
 4.4.2 場所打ち杭基礎
 4.4.3 ケーソン基礎
 4.4.4 深い基礎の支持力
4.5 地中連続壁工法
4.6 地盤改良工法
 4.6.1 概説
 4.6.2 置換工法
 4.6.3 載荷重工法
 4.6.4 ドレーン工法
 4.6.5 締固め工法
 4.6.6 薬液注入工法
 4.6.7 セメント・石灰安定処理工法
 4.6.8 凍結工法
演習問題

5.コンクリート工
5.1 コンクリートの製造
 5.1.1 コンクリートに要求される品質
 5.1.2 計量および練混ぜ
 5.1.3 レディーミクストコンクリート
5.2 型枠・支保工
 5.2.1 型枠・支保工に作用する荷重
 5.2.2 型枠
 5.2.3 支保工
 5.2.4 型枠・支保工の取りはずし
5.3 コンクリートの施工
 5.3.1 運搬・打込み・締固め
 5.3.2 打継目
 5.3.3 養生
5.4 特別な配慮を要するコンクリート
 5.4.1 マスコンクリート
 5.4.2 流動化コンクリート
 5.4.3 暑中コンクリート
 5.4.4 寒中コンクリート
 5.4.5 水中コンクリート
 5.4.6 水密コンクリート
演習問題

6.トンネル工
6.1 概説
 6.1.1 トンネルの種類
 6.1.2 トンネルの調査
 6.1.3 トンネルの設計
6.2 掘削・ずり出し
 6.2.1 掘削
 6.2.2 ずり出し
6.3 支保工
6.4 覆工
6.5 特殊工法
 6.5.1 開削トンネル工法
 6.5.2 シールド工法
 6.5.3 沈埋工法
 6.5.4 推進工法
演習問題

7.ダム工
7.1 概説
 7.1.1 ダムの種類
 7.1.2 ダム建設にかかわる調査
7.2 準備工事
7.3 転流工事
7.4 基礎掘削と基礎処理
 7.4.1 基礎掘削
 7.4.2 基礎処理
7.5 コンクリートダムの施工
 7.5.1 ブロック工法
 7.5.2 RCD工法
演習問題

8.施工計画
8.1 施工計画の基本事項
 8.1.1 施工計画の目的
 8.1.2 施工計画の立案時の留意事項
8.2 施工計画の立案の手順とその内容
 8.2.1 事前調査
 8.2.2 施工技術計画
 8.2.3 仮設備計画
 8.2.4 調達計画
 8.2.5 管理計画
演習問題

9.施工管理
9.1 施工管理の概要
 9.1.1 施工管理の目的
 9.1.2 施工管理の組織
 9.1.3 4大管理
 9.1.4 施工管理のサイクル
9.2 工程管理
 9.2.1 工程管理の意義
 9.2.2 工程表の種類
9.3 品質管理
 9.3.1 品質管理の意義
 9.3.2 品質保証計画
 9.3.3 品質管理の方法
 9.3.4 統計的な品質管理手法
 9.3.5 抜取検査
9.4 原価管理
 9.4.1 原価管理の意義
 9.4.2 原価管理の手順
 9.4.3 コストダウン
9.5 安全衛生管理
 9.5.1 安全衛生管理の必要性
 9.5.2 労働災害の発生原因
 9.5.3 労働災害の表し方
 9.5.4 安全衛生管理活動
9.6 そのほかの管理
 9.6.1 労務管理
 9.6.2 環境保全のための管理
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引

友久 誠司(トモヒサ セイシ)

 1949年生まれ。1970年明石工業高等専門学校土木工学科卒業後、西松建設(株)に入社し1974年まで勤務。1975年明石工業高等専門学校土木工学科(1994年より都市システム工学科)に助手として勤め、講師、助教授、教授を経て2013年に定年退職、同年明石工業高等専門学校名誉教授。この間、技術教育支援センター長、寮務主事、教務主事、学科長、副校長、創立50周年記念事業実施委員長を務めた。1990年に工学博士(京都大学)を取得し、1993年にはカルガリー大学(カナダ)客員研究員を務めた。
 これまでに土木学会、地盤工学会(1994年まで土質工学会)、国際地盤工学会、日本材料学会に所属し、委員歴は、地盤工学会の関西支部評議員・室内試験規格基準委員、日本材料学会の関西支部常議員・企画事業委員・技術認証制度管理委員、明石市の入札監視委員・事業評価監視委員、高等専門学校機関別認証評価専門委員、関西工学教育協会幹事などを歴任し、2011年には兵庫県教育功労者表彰を授賞している。
 専門は環境地盤工学で、環境と地盤との関わり、および建設事業をはじめ種々の産業から排出される廃棄物の有効利用である。主な研究テーマは、産業廃棄物(製紙焼却灰、石炭灰、製鋼スラグ、コンクリートスラッジ、コンクリート微粉末、高炉スラグなど)・特殊土(マサ土、ヘドロ、降下火山灰など)の有効利用、地盤防災、地盤改良、セメント系安定材による固化処理などである。1991年には日本材料学会論文賞を受賞(共著)している。
 私の人生で最も土木に対する愛着を芽生えさせたのが現場経験である。施工のさなかの苦労の後に構造物を完成したときの達成感、技術者仲間との連帯感のすばらしさを是非、若者に味わっていただきたい。そのためにも幅広い知識を備えた技術者となり、人生を実り多いものにしていただきたいという思いでこの書籍を執筆した。

竹下 治之(タケシタ ハルユキ)

 1944年生まれ。1968年神戸大学工学部土木工学科卒業。1970年同大学院卒業後、日立造船(株)技術研究所に入社し1979年まで勤務。その後、日本国土開発(株)技術研究所にコンクリート研究室長として勤務し、1994年から技術研究所長を歴任。その間、1987年技術士、1988年工学博士を取得。1996年から北見工業大学客員教授としても勤務。1998年高松工業高等専門学校に教授として勤務し、学科長、専攻科長を歴任し、2008年定年退職。
 これらの勤務の間、土木学会、日本コンクリート工学協会、材料学会に所属し、53編の審査論文を提案採用。またこの間、日本コンクリート工学協会理事、同四国支部常任委員、全国鉄鋼工業協会性能評価委員、香川県港湾審議会委員、香川県代替骨材検討委員会副会長、香川県土地利用審議会委員などを歴任。
 これらの勤務先では研究業務が主で、日立造船(株)勤務では、鋼橋、海洋構造物、船舶などの研究に従事。日本国土開発(株)勤務では、新トンネル掘削工法、スリップホーム工法、コンクリートの温度ひび割れ抑制工法、新コンクリート吹付機、高強度コンクリート、高流動コンクリートなどの開発に従事。高松工業高等専門学校勤務では、即時脱型コンクリート、多用途破砕機、コンクリート廃棄物の骨材再生法、高品質骨材製造法、廃棄瓦の有効利用などの研究に従事。
 これらの研究においては、できる限り現場に出向き、現場の実情をよく理解したうえで、実施工に役立つことを常に念頭におき実施。教科書作成に当たっては、これらの幾多の経験を踏まえ、実施工で問題となり易い項目や注意点などを含めて執筆した。

江口 忠臣(エグチ タダオミ)

 1965年生まれ。1986年明石工業高等専門学校機械工学科卒業後、住友ゴム工業(株)に入社し1991年まで勤務。1991年明石工業高等専門学校土木工学科(1994年より都市システム工学科)に助手として着任、講師、助教授を経て2006年群馬工業高等専門学校環境都市工学科助教授、その後明石工業高等専門学校准教授、教授、2016年から同校副校長。2005年に博士(工学)を取得。1999年愛媛大学客員研究員。
 所属学協会は土木学会、地盤工学会、国際地盤車両系学会(ISTVS)、テラメカニックス研究会。現在、日本建設機械施工協会関西支部技術部会副委員長を務める。
 建設施工システムを研究分野としている。施工現場における問題を主として実験的アプローチにより解決することを目指している。主要課題は厚層転圧、建設機械作業部の摩耗対策、建設車両走行性能向上、月面施工要素技術開発などである。国際地盤車両系学会の第15回国際会議において厚層転圧に関する発表論文にてPaper Awardを受賞している。
 建設施工現場の問題解決は多様な学問背景を有する技術者の結集によってなされている。読者にこのことを感得してもらうことを念頭に本書の執筆に当たった。

掲載日:2021/11/01

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