金属疲労の基礎と疲労強度設計への応用 (増補)

金属疲労の基礎と疲労強度設計への応用 (増補)

設計技術者が実務で利用しやすいように実用性を重視した参考書。内容を増補しデータも追加

ジャンル
発行年月日
2026/04/03
判型
A5
ページ数
292ページ
ISBN
978-4-339-04722-6
金属疲労の基礎と疲労強度設計への応用 (増補)
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定価

4,620(本体4,200円+税)

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  • 内容紹介
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  • 目次
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多くの設計技術者にご利用いただいてきた「金属疲労の基礎と疲労強度設計への応用」は発行から17年が経過し,その間に疲労強度研究は格段に進んでいる。実機応用の観点でみれば,疲労き裂と材料欠陥に対する評価法の進歩は特に著しく実用例も多くみられるようになった。

そういった背景から,これからの企業の設計技術者の方々が,引き続きご利用していただくことができる内容に更新する必要があり,このたび増補版としての発行に取り組み,旧版で説明出来ていなかった疲労き裂開閉口と組み合わせ応力の評価を新しく追加した。加えて,き裂進展に影響する因子とき裂進展下限界の節では実用の観点からのデータを追加して充実を計り,内部欠陥からのき裂進展に関して改訂を行い,加えて設計者の便を考慮して鋳鋼材の疲労強度評価過程を詳細に説明している。また,新しい高周波焼入れ技術は,例えば自動変速機用小型歯車の疲労強度向上に大きく寄与しており,小型平歯車を使った疲労試験結果を追加した。さらに,ネジ継手の疲労強度評価法とその疲労試験結果も追加している。

【主要目次】
1. 疲労強度設計の基礎
2. 金属疲労強度の基礎知識
3. 疲労強度の影響因子
4. 実働荷重と疲労寿命
5. 疲労き裂進展と疲労寿命
6. 機械部品の疲労と疲労強度設計

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

著者らは,金属材料の疲労強度に関する研究と実際の機械・構造物の疲労強度の問題に関する仕事を行ってきた。企業の設計技術者からは,疲労強度評価法と疲労強度データの使い方に関する平易な説明を求められることをしばしば経験してきた。特に,疲労強度設計の立場から金属疲労の基礎的事柄とデータの使い方に主眼をおいたテキストが求められていることがわかった。

疲労強度の研究はドイツの鉄道技師であったヴェーラーによって鉄道車軸に関して本格的に実施された。それ以来,160年余の月日が流れている古い研究分野であるが,全世界で年間数千件の論文や資料が発表されていることから見ても,なお今日的な解決課題を含んでいる分野である。

最近では,応力の繰返し数で107回を越えて109回の領域を扱う“ギガサイクル疲労”の研究が行われて,その破壊機構に関して様々に議論されている。この場合に疲労き裂が材料の表面からではなく,内部から発生し,S-N線図が低応力側に二段階に折れ曲がって低下する。

また,最近の遊技機の事故や鋼構造橋の劣化の問題などに見られるように維持管理と補修の問題にも疲労損傷に関する知識の必要性が再認識される社会情勢にある。

著者の一人は旧国鉄の鉄道技術研究所で,主として鉄道車両の各部材の疲労強度問題に関する経験を有し,その後,著者らの川崎重工業(株)技術研究所,龍谷大学理工学部での研究成果を「機械の研究」Vol.53,No.12~Vol.55,No.11に発表した。本著はその内容を基礎にその後の研究成果や資料を追加してとりまとめてある。

本書は企業の設計技術者に利用していただくという視点で書かれている。1章は疲労強度設計の枠組みとして,疲労限度設計の全体像がわかるように工夫した。2章は疲労強度の基礎とし,疲労強度に関する用語の説明に当てている。3章は疲労強度に及ぼす影響因子について平易に説明し,1章で述べた疲労限度設計に使う影響因子の評価を定量的に行ううえでの必要資料としての位置づけを担っている。4章は実働荷重下の疲労強度と疲労き裂進展挙動を説明し,疲労寿命推定法がわかるようにした。5章は疲労き裂進展挙動と寿命推定法についてまとめている。6章は実機の疲労強度評価に関して著者らの経験したことを述べている。文章の表現は可能な限り平易にとりまとめることを心掛けた。関係者の参考になれば幸いである。

2008年7月
著者

増補版にあたって

本書は発行以来17年,5刷を重ねるに至り,その間に疲労強度研究は格段に進んでいる。実機応用の観点でみれば,疲労き裂と材料欠陥に対する評価法の進歩は特に著しく実用例も多くみられるようになった。企業の設計技術者に利用していただくという視点を維持しつつ,増補版を機に旧版で説明出来ていなかった疲労き裂開閉口と組み合わせ応力の評価を新しく追加した。加えてき裂進展に影響する因子とき裂進展下限界の節では実用の観点からのデータを追加して充実を計った。内部欠陥からのき裂進展に関して改訂を行い,加えて設計者の便を考慮して鋳鋼材の疲労強度評価過程を詳細に説明している。また,新しい高周波焼入れ技術は,例えば自動変速機用小型歯車の疲労強度向上に大きく寄与しており,小型平歯車を使った疲労試験結果を追加した。更に,ネジ継手の疲労強度評価法とその疲労試験結果も追加している。関係者の参考になれば幸いである。

2026年2月
著者

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1.疲労強度設計の基礎
1.1 疲労強度設計の枠組み 
1.2 疲労限度設計 
1.3 疲労寿命設計 
1.4 損傷許容設計 

2.金属疲労強度の基礎知識
2.1 材料の変形と破壊 
 2.1.1 金属材料の機械的性質 
 2.1.2 破壊の微視的様相 
2.2 疲労破壊の特徴 
 2.2.1 微視的挙動と疲労き裂の発生 
 2.2.2 疲労き裂の進展 
 2.2.3 疲労破面の特徴 
2.3 疲労に関する用語 

3.疲労強度の影響因子
3.1 機械的性質と疲労強度 
 3.1.1 引張強さと疲労限度 
 3.1.2 硬さと疲労限度 
3.2 応力集中の影響 
 3.2.1 切欠係数β 
 3.2.2 切欠材の分岐点 
 3.2.3 切欠係数βの推定式 
3.3 平均応力の影響 
 3.3.1 基本的視点 
 3.3.2 平均応力評価式 
 3.3.3 耐久限度線図 
3.4 組合せ応力の影響 
 3.4.1 疲労強度の傾向 
 3.4.2 疲労限度評価式 
3.5 表面粗さの影響 
3.6 表面硬化処理の影響 
 3.6.1 高周波焼入れ 
 3.6.2 タフトライド処理 
 3.6.3 表面薄膜処理 
 3.6.4 浸炭・窒化処理 
 3.6.5 その他の表面処理 
3.7 腐食環境と疲労強度 
 3.7.1 腐食環境下の疲労強度 
 3.7.2 材料の引張強さと腐食疲労強度 
 3.7.3 腐食疲労破壊防止法 
3.8 高温環境,低温環境の影響 
 3.8.1 高温環境 
 3.8.2 低温環境 

4.実働荷重と疲労寿命
4.1 実働荷重下の疲労強度 
 4.1.1 実働応力波形と疲労試験波形 
 4.1.2 変動応力振幅疲労試験 
 4.1.3 重畳波形疲労試験 
 4.1.4 間欠負荷応力波形疲労試験 
4.2 線形累積損傷則 
 4.2.1 ヒステリシスループと疲労損傷 
 4.2.2 線形累積損傷則 
4.3 重畳波形下の疲労試験結果 
4.4 間欠負荷応力波形下の疲労試験結果 
4.5 疲労寿命推定法 
 4.5.1 疲労寿命推定の手順 
 4.5.2 応力頻度読取り法 
 4.5.3 疲労寿命の計算 

5.疲労き裂進展と疲労寿命
5.1 応力拡大係数 
5.2 疲労き裂進展特性 
5.3 疲労き裂の開閉口 
5.4 疲労き裂進展に影響する因子 
5.5 疲労き裂進展寿命推定 
5.6 き裂進展の下限界 
5.7 微小疲労き裂進展特性 
5.8 内部欠陥からのき裂進展 

6.機械部品の疲労と疲労強度設計
6.1 ボルトの疲労強度と設計 
 6.1.1 ボルトに発生する応力 
 6.1.2 内力係数の計算 
 6.1.3 ボルトの疲労強度に影響する因子 
 6.1.4 大型ボルトについての疲労試験結果 
 6.1.5 ネジ継手の疲労試験結果 
6.2 歯車の疲労強度と設計 
 6.2.1 歯車の応力測定結果 
 6.2.2 実測応力から見た歯車の疲労強度 
 6.2.3 疲労寿命の検討 
 6.2.4 交番荷重の取扱い 
 6.2.5 交番荷重下の疲労損傷評価法 
 6.2.6 小形試験片と歯車の疲労強度比較 
 6.2.7 パルセータ疲労試験とランニング疲労試験 
 6.2.8 高周波焼入れ歯車の疲労強度 
6.3 ディーゼル機関燃焼室壁部材の疲労寿命設計 
 6.3.1 燃焼室壁部材の疲労強度問題 
 6.3.2 鋳鋼,鍛鋼の疲労強度 
 6.3.3 疲労寿命推定法 
6.4 舶用プロペラの疲労と寿命 
 6.4.1 二軸船プロペラ翼の実働応力と疲労寿命 
 6.4.2 可変ピッチプロペラの実働応力と疲労寿命 
 6.4.3 応力拡大係数を使った検討 
6.5 クランク軸の疲労強度 
 6.5.1 クランク軸の疲労強度 
 6.5.2 クランク軸の実働応力 
 6.5.3 実物クランク軸のき裂進展と評価 
6.6 車軸の疲労強度と設計 
 6.6.1 車軸の強度設計 
 6.6.2 車軸の損傷例 
 6.6.3 車軸の疲労寿命設計 
 6.6.4 高周波焼入れ車軸の残留応力分布 
 6.6.5 圧入軸の疲労強度(寸法効果) 
6.7 ねじり軸の疲労強度 
 6.7.1 ねじり疲労試験結果 
 6.7.2 寸法効果,切欠効果の検討 
 6.7.3 キー溝部の応力集中 
 6.7.4 疲労き裂の発生状況 
6.8 車両用台車枠の疲労強度と設計 
 6.8.1 疲労強度評価基準(JIS E4047)の使用例 
 6.8.2 疲労寿命推定のS-N線図 
 6.8.3 溶接試験片と実物台車枠の比較
 6.8.4 日本鋼構造協会指針(JSSC)
 6.8.5 普通鋳鋼材の疲労強度とJIS E 4047

引用・参考文献
索引

中村 宏(ナカムラ ヒロシ)

堀川 武(ホリカワ タケシ)

松原 剛(マツバラ ゴウ)