ロボット機構学 (改訂版)

ロボティクスシリーズ 8

ロボット機構学 (改訂版)

旧版では主にロボットアーム(マニピュレータ)を対象とし運動学,静力学,動力学について解説したが,改訂版ではさらに独学を考え専門分野の研究で必要な基礎を充実させる話題や,知識や手法の実際用場面を考慮した説明を加筆。

ジャンル
発行年月日
2023/10/05
判型
A5
ページ数
158ページ
ISBN
978-4-339-04509-3
ロボット機構学 (改訂版)
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定価

2,310(本体2,100円+税)

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旧版では主にロボットアーム(マニピュレータ)を対象とし運動学,静力学,動力学について解説したが,改訂版ではさらに独学を考え専門分野の研究で必要な基礎を充実させる話題や,知識や手法の実際用場面を考慮した説明を加筆。

本書は,ロボット機構の扱い方を修得したい機械系の学部生や大学院生が独学に用いること,あるいはロボットの機構学を詳説する授業で教科書として用いられることなどを想定して執筆したものである。本書ではおもに,ロボットアーム(マニピュレータ)を対象として,運動学,静力学,そして動力学について解説している。運動学はロボットの手先運動と関節運動の関係を扱い,静力学はロボットの手先力と関節駆動力の関係を扱う。また,動力学はロボットの関節運動と関節駆動力の関係などを扱うものである。このような運動学,静力学,および動力学の知識を修得することは,ロボット機構の解析,制御プログラムの作成,あるいはロボット機構の設計で重要となる基礎知識を身につけることを意味する。

本書の執筆方針は,このような読者や使途の想定,および内容をふまえて,以下のように設定している。

1.ロボット機構学の基礎を丁寧に説明する。
回転関節や並進関節をもつ簡単なマニピュレータの例を多く用いて,ロボット機構学の基礎や手法を丁寧に説明する。

2.運動学や静力学,動力学の物理的意味を丁寧に説明する。
速度の関係式のヤコビ行列,静力学関係式の転置ヤコビ行列,運動方程式の慣性行列などの物理的意味を丁寧に説明する。

3.手法の説明は,一般の機構への手法の適用をふまえて行う。
運動学や静力学,動力学の関係式の導出においては,簡単な機構を対象とする場合であっても,適宜,一般の場合と同一か類似の手法で行い,一般の場合への適用を理解しやすくする。

4.運動制御におけるロボット機構学の利用方法を説明する。
ロボット機構学に対する理解を深めるため,運動学や静力学,動力学がマニピュレータの運動制御においてどのように利用されるかを説明する。

本書の執筆にあたって,図の清書などに多くの協力をいただいた立命館大学理工学部ロボティクス学科の五藤孝彬君と清水拓也君,長澤里美さんに感謝したい。

2015年7月
永井清,土橋宏規

1. ロボット・マニピュレータの機構学
1.1 ロボット・マニピュレータ
 1.1.1 機構の構造
 1.1.2 システムの構成
1.2 ロボット・マニピュレータの運動学,静力学,動力学
 1.2.1 2DOFマニピュレータの運動学の例
 1.2.2 運動学・静力学・動力学の関係
 1.2.3 1自由度マニピュレータの例

2.手先位置の表現と座標変換
2.1 手先の位置と姿勢の表現
2.2 座標変換
 2.2.1 姿勢変換
 2.2.2 同次変換
 2.2.3 ロール・ピッチ・ヨー角

3.運動学における位置の関係式
3.1 順運動学と逆運動学の例
 3.1.1 並進2DOFマニピュレータ
 3.1.2 2DOFマニピュレータ(回転+並進)
3.2 順運動学
 3.2.1 2DOFマニピュレータの順運動学
 3.2.2 3DOFマニピュレータの順運動学
3.3 逆運動学
3.4 一般のマニピュレータに適用可能な運動学方程式の導出方法
 3.4.1 DH記法と運動学方程式
 3.4.2 適用例
章末問題

4.運動学における速度の関係式
4.1 速度の関係式とヤコビ行列
4.2 速度の関係式とその物理的意味
 4.2.1 2DOFマニピュレータ
 4.2.2 並進2DOFマニピュレータ
 4.2.3 2DOFマニピュレータ(回転+並進)
4.3 一般のマニピュレータにおける速度の関係式
 4.3.1 マニピュレータ内の速度の関係式
 4.3.2 同一リンク(剛体)上の速度の等価変換
章末問題

5.静力学
5.1 マニピュレータの静力学関係式
 5.1.1 仮想仕事の原理
 5.1.2 静力学関係式の導出
5.2 静力学関係式の物理的意味
 5.2.1 2DOFマニピュレータ
 5.2.2 並進2DOFマニピュレータ
 5.2.3 2DOFマニピュレータ(回転+並進)
5.3 一般のマニピュレータにおける静力学関係式
 5.3.1 マニピュレータ内の静力学関係式
 5.3.2 同一リンク(剛体)上の力の等価変換
章末問題

6.動力学
6.1 マニピュレータの運動方程式と慣性モーメント
 6.1.1 並進運動における質量と回転運動における慣性モーメント
 6.1.2 一様な棒の慣性モーメント
 6.1.3 単一剛体のニュートンの運動方程式とオイラーの運動方程式
6.2 ラグランジュ法とニュートン・オイラー法
 6.2.1 ラグランジュ法
 6.2.2 ニュートン・オイラー法
6.3 ラグランジュ法による運動方程式の導出
 6.3.1 並進2DOFマニピュレータの運動方程式
 6.3.2 2DOFマニピュレータ(回転+並進)の運動方程式
 6.3.3 2DOFマニピュレータの運動方程式
6.4 ニュートン・オイラー法による運動方程式の導出
 6.4.1 2DOFマニピュレータの運動方程式
 6.4.2 慣性行列M(θ)の導出
章末問題

7.パラレル・メカニズム
7.1 パラレル・メカニズムの構造をもつロボット
 7.1.1 パラレル・リンク機構
 7.1.2 多指ハンド
 7.1.3 ワイヤ・メカニズム
7.2 パラレル・リンク機構の機構学
 7.2.1 3DOF平面パラレル・リンク機構
 7.2.2 運動学
 7.2.3 静力学
 7.2.4 動力学
7.3 パラレル・リンク機構の実際とその扱い
章末問題

8.冗長マニピュレータ
8.1 定義と特徴
 8.1.1 運動学的冗長性を有する冗長マニピュレータ
 8.1.2 駆動冗長性を有する冗長マニピュレータ
8.2 シリアル・マニピュレータの運動学的冗長性
 8.2.1 基礎式と運動学的冗長性
 8.2.2 運動学的冗長性の利用
8.3 パラレル・マニピュレータの駆動冗長性
 8.3.1 基礎式と駆動冗長性
 8.3.2 駆動冗長性の利用
章末問題

9.運動制御における機構学の利用
9.1 手先位置制御
 9.1.1 逆運動学と関節位置制御を用いた手先位置制御
 9.1.2 静力学関係式を用いた手先位置制御
 9.1.3 運動方程式を利用した動的制御
9.2 力制御
 9.2.1 転置ヤコビ行列を用いた手先力制御
 9.2.2 運動方程式を利用したインピーダンス制御
章末問題

付録
引用・参考文献
章末問題解答
索引

土橋 宏規(ドバシ ヒロキ)

掲載日:2023/12/20

日本ロボット学会誌2023年12月号

掲載日:2023/11/07

日本機械学会誌2023年11月号