確率モデルを用いた統計的信号処理

確率モデルを用いた統計的信号処理

  • 片岡 駿 小樽商科大准教授 博士(情報科学)

確率モデルを用いた信号処理手法に関する入門書

ジャンル
発行年月日
2023/09/20
判型
A5
ページ数
192ページ
ISBN
978-4-339-00988-0
確率モデルを用いた統計的信号処理
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定価

3,300(本体3,000円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

【読者対象】
・線形代数学や微積分学を学んだ統計的信号処理に興味を持つ学部生.
・ディジタル信号処理を学んだ工学部生,大学院生.

【書籍の特徴】
不確実性を持つ対象を扱う一つの方法はその対象を確率モデルとしてモデリングすることである.本書は確率モデルを用いた信号処理に関する入門書である.統計量の計算方法や確率モデルの設計方法といった不規則信号を統計的に扱うための基本的な方法について解説している.

【各章について】
1章,2章:離散信号を対象とした基本的な信号処理の方法を解説する.この内容は通常のディジタル信号処理の授業でも扱われる内容と思われる.
3章と4章:不規則信号の特徴を調べる基本的な調査方法について解説する.
5章と6章:確率モデルを用いた方法の基礎となる確率分布の扱い方と確率分布を用いた統計的な考え方について解説する.
7章:不規則信号を扱う確率モデルの一つである自己回帰モデルについて扱い,通常のディジタル信号処理の内容で扱う信号処理システムとの関係についても解説する.
8章:簡単なノイズ除去問題を例として,確率モデルを用いた信号処理の方法を扱う.これまで扱ってきた確率モデルに関する内容がどのように信号処理に応用されるのかを解説していく.
9章:グラフィカルモデルという確率モデルの可視化方法と確率伝搬法というグラフィカルモデルを利用した周辺分布の計算方法について解説する.
10章:線型動的システムとよばれる重要な状態空間モデルについて扱い,カルマンフィルタといった確率モデルを用いた統計的信号処理の重要な計算手法について解説する.

【著者からのメッセージ】
確率モデルを用いた統計的な方法は不確実性を扱うことができる重要な方法論ですが,計算が煩雑になりやすく初学者にとっては取っ付きにくい方法でもあります.本書では,よく用いられる計算は本文内で使用する前に,できるだけ簡単な具体例で計算方法を先に示すように心がけました.本文内での導出計算で詰まったときは前の章での計算例を参考にしてください.

【キーワード】
確率モデル,統計的信号処理,自己回帰モデル,線型動的システム,カルマンフィルタ

本書は確率モデルを用いた信号処理手法に関する入門書であり,大学の教養課程や専門課程において基本的な微積分学や信号処理を学んだ学生を対象に確率モデルを用いた信号処理の基礎的な内容を解説したものである.確率モデルを用いた信号処理の方法は従来の信号処理教育とは別の形で扱われることが多く,学部の専門教育で学んだ基本的な信号処理の方法との関係性が曖昧なままになってしまうことが多い.本書は,確率モデルを用いた統計的な信号処理の方法をこれから学ぼうとする学生を対象として,従来の信号処理教育で学んだ内容から確率モデルを用いた統計的信号処理への橋渡しとなることを目指して執筆したものである.

本書は,10章で構成している.

最初に,1章で信号処理についてごく簡単に説明した後,2章で離散時間信号を対象とした信号処理システムについて述べる.2章の内容は通常の信号処理教育で扱われる内容である.3章と4章では,統計的信号処理の基礎となる不規則信号の調査方法について扱う.標本平均や標本分散といったよく使用される基本的な調査手法について扱うとともに,可視化による調査の重要性を強調している.5章と6章では,確率モデルの基本的な扱い方について解説する.まず,5章では,確率分布の扱い方を述べるとともに,ガウス分布などの統計的信号処理の基礎となる重要な確率分布を紹介し,続く6章では,観測データを用いた確率モデルの調整方法である最尤推定の方法について解説する.2章から6章までが信号処理で重要となる統計的方法の基礎である.

後半の7章以降は,これまでの内容をより応用的な内容に発展させていく.まず,7章では,信号などの系列データの扱いの基礎となる自己回帰モデルについて解説する.自己回帰モデルは系列データを扱うための基本的な確率モデルであるだけでなく,信号処理システムとも関係がある重要な確率モデルである.8章では,これまでの内容を用いて,確率モデルの方法がどのように信号処理への応用方法について概説する.9章と10章では,確率モデルを用いた統計的信号処理のやや発展的な内容について扱う.まず,9章では,グラフィカルモデルという確率モデルの可視化方法と確率伝搬法というグラフ構造を利用した周辺分布の計算方法について解説する.そして,最後の10章では,線形動的システムという重要な状態空間モデルについて扱い,カルマンフィルタやカルマン平滑化といった統計的信号処理の重要な手法について解説する.

本書の執筆にあたって,多くの文献を参考にさせていただいた.巻末に関連図書としてその一部を挙げている.最後に,本書の執筆にあたってお世話になった関係者各位に心からの感謝を申し上げたい.また,本書を執筆する機会をくださったコロナ社に御礼を申し上げる.

2023年7月
片岡駿

1.信号処理
1.1 信号と信号処理
1.2 本書での表記について

2.信号とシステム
2.1 確定信号と不規則信号
2.2 信号の時間遅れ
2.3 単位インパルス信号
2.4 離散時間システム
2.5 インパルス応答
2.6 信号とシステムの因果性
2.7 システムの実現
2.8 有限インパルス応答システム
2.9 無限インパルス応答システム

3.不規則信号の調査1
3.1 時間領域プロット
3.2 ヒストグラム
3.3 平均と分散
3.4 平均・分散とヒストグラムの関係
3.5 要約統計量と最小二乗法
3.6 集合平均と時間平均

4.不規則信号の調査2
4.1 散布図と相関関係
4.2 自己相関
4.3 共分散と相関係数
4.4 共分散・相関係数と散布図の関係
4.5 自己共分散と自己相関
4.6 アンスコムの数値例

5.確率分布
5.1 確率的モデリング
5.2 確率質量関数と確率密度関数
5.3 確率分布の扱い方
5.4 確率分布の期待値
5.5 カテゴリカル分布
5.6 ガウス分布
5.7 混合ガウス分布
5.8 多次元ガウス分布

6.最尤推定
6.1 最尤推定
6.2 カテゴリカル分布での最尤推定
6.3 ガウス分布での最尤推定
6.4 二次元ガウス分布での最尤推定
6.5 最尤推定とKL情報量
6.6 EMアルゴリズム
6.7 混合ガウス分布での最尤推定

7.自己回帰モデル
7.1 系列データの確率モデル
7.2 自己回帰モデル
7.3 自己回帰モデルの期待値
7.4 自己回帰モデルと定常性
7.5 自己回帰モデルでの最尤推定
7.6 自己回帰外因性モデル

8.確率モデルを用いた信号処理
8.1 確率モデルを用いた推論
8.2 事前分布と事後分布
8.3 出力信号の推定
8.4 入力信号の推定
8.5 確率モデルのパラメータ推定

9.グラフィカルモデル
9.1 グラフ
9.2 無向グラフと有向グラフ
9.3 ベイジアンネットワーク
9.4 グラフ構造と変数の独立性
9.5 無向木と有向木
9.6 辺をたどる推論
9.7 確率伝搬法

10.線形動的システム
10.1 状態空間モデル
10.2 線形動的システム
10.3 線形動的システムと信号処理システム
10.4 線形動的システムに対する確率伝搬法
10.5 カルマンフィルタ
10.6 カルマン平滑化
10.7 線形動的システムでの最尤推定

引用・参考文献
索引

片岡 駿(カタオカ シュン)

愛知県出身.
2014年,東北大学大学院情報科学研究科博士課程後期3年の課程修了.博士(情報科学).
東北大学助教を経て,2018年より小樽商科大学商学部社会情報学科准教授.
専門分野は確率的情報処理,特にグラフィカルモデルに基づく信号処理.

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