動物の生き方 人間の生き方 - 人間科学へのアプローチ -
人間は遺伝によらない継承手段である文化を獲得した。それは脳の進化における小さな一歩であったが生命の歴史上最大級の出来事となった。本書ではこの出来事を出発点として動物の生き方と人間の生き方の違いを探り人間理解をめざす。
- 発行年月日
- 2004/08/30
- 判型
- 四六 上製
- ページ数
- 176ページ
- ISBN
- 978-4-339-07775-9
- 日本図書館協会選定図書に選定されました。
- 内容紹介
- 目次
人間は遺伝によらない継承手段である文化を獲得した。それは脳の進化における小さな一歩であったが生命の歴史上最大級の出来事となった。本書ではこの出来事を出発点として動物の生き方と人間の生き方の違いを探り人間理解をめざす。
目 次
1章 人間、生物、機械 ―違いを知るには、まず同類として見る必要がある―
ヒトは一つの生物種 2 謎の存在としての人間 3
生物を見るいろいろな視点 6 高等動物の出現 10
サルとヒトとの溝 11
★ 文 献 14
2章 適応と進化 ―子孫を残すことがすべて―
突然変異と淘汰 16 遺伝子と個体 17
適 応 度 18 淘 汰 圧 20
多様な適応方策 20 最適設計に至る淘汰の極限 21
「なぜか」という問いが許される 23
動物行動学 24 多 様 化 25
★ 文 献 26
3章 運 動 ―動物の生き方の原点―
動くことへのこだわり 28 動物の出現 29
動く機構の出現 30 周辺装置の進化 32
外骨格と内骨格 32 体の形と大きさ 34
運動制御のサブシステム 35 現代の人間の生活 36
★ 文 献 38
4章 脳 ―集中化の一途をたどった器官―
運動の命令系統 40 感覚情報の活用 41
ニューロンの進化 42 大脳皮質 45
機能の局在 47 脳の退化 48
★ 文 献 50
5章 意 識 ―神経活動でもあり、精神活動でもある―
心の理解の原点 52
人間だけが意識を持っているのか? 54
自由意志 57 意識理解の手がかり 59
ロボットは意識を持ちうるか? 63
★ 文 献 64
6章 言 語 ―サルとヒトとの決定的な違い―
動物から人間へ 66
動物のコミュニケーションと言語との違い 68
言語処理回路はあるのか? 70
言語による生き方の革命 72 意識へのアクセス 74
言語によって開かれた世界 76
★ 文 献 77
7章 文 化 ―遺伝に匹敵する大原理―
遺伝によらない継承メカニズムの出現 80
新たな継承メカニズムによる大変革 82
言い伝えの効用 84 伝承の起こり 87
芸 術 89
★ 文 献 91
8章 自 己 ―実体があるのか、それとも幻想か―
個体発生から人格形成へ 94 個体と自己 96
自己概念形成の背景 98 個人主義 99
自己概念の拡張 101 利他主義 102
死 104
★ 文 献 105
9章 多 様 性 ―有効な適応方策が困難をもたらす―
多様性の明暗 108 人 種 111
個 性 112 文 化 115
民族・社会 117 宗 教 118
★ 文 献 120
10章 攻 撃 性 ―淘汰の後遺症―
攻撃性の起源 122
種内の攻撃性と抑制機構 124
社会集団の攻撃性 127
人間社会における攻撃抑制の知恵 129
攻撃性の危険の増大 131
★ 文 献 132
11章 種の存続 ―ヒトが絶滅したら元も子もない―
生物種の存続期間 134
分散の効用と一様化の危険 136
技術の発達による危険の増大 137
生態系の破壊 139 生きる意欲の低下 140
個人主義の危険 142
★ 文 献 144
12章 生き方の迷い ―いまだに「よく生きる」ということがわからない―
種の存続の後になにを求めるか 146
満たされた後の空虚 148 よい生き方 150
よい社会 153 心の世界の広がり 154
★ 文 献 156
あとがき ―生命の歴史の完結― 157
★ 文 献 158
索 引 163