新 医用材料工学 - バイオマテリアルの基礎からDDS・再生医療への応用まで -

新 医用材料工学 - バイオマテリアルの基礎からDDS・再生医療への応用まで -

  • 堀内 孝 三重大名誉教授・京都橘大特任教授 工博
  • 村林 俊 元北大大学院准教授 工博
  • 宮本 啓一 三重大大学院教授 博士(理学)

臨床工学技士・医療技術者としての知識を固める,基礎材料工学と臨床工学を融合した教科書

ジャンル
発行予定日
2026/06/上旬
判型
A5
ページ数
208ページ
ISBN
978-4-339-07285-3
新 医用材料工学 - バイオマテリアルの基礎からDDS・再生医療への応用まで -
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定価

2,860(本体2,600円+税)

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  • 内容紹介
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【読者対象】
臨床工学系、材料工学系の学生・大学院生、医用材料に興味のある研究者、医療機器を開発する技術者など

【本書の特徴】
実際に臨床で使われている医療機器や器具を材料工学の視点から学習できるよう基礎的内容から応用例を多くの画像を用い解説しました。特に、従来の医用機器のみならず今後、様々な姿で使用される再生医療用材料やドラッグデリバリーシステムの具体的作成法など紹介しています。第1回から直近までの臨床工学技士国家試験解説をWeb上で参照でき、本書の説明箇所と対応付けしています。 

【各章について】
1章では、医用材料の分類と必要な条件を整理します。2章から5章では、医用金属、バイオセラミックス、医用高分子(合成)、医用高分子(生体由来)を基礎から応用まで紹介します。6章、7章では、ドラッグデリバリーシステムや再生医療用材料に用いられる材料とその加工方法を紹介します。8章では、生体と材料の間で生じるさまざまな生体反応(血栓形成反応、補体活性化反応など)を系統立てて解説します。9章では、厚労省発出の医療機器の安全性評価基準を修得します。10章では、医用材料、医療器具・装置の滅菌法について紹介します。

【著者からのメッセージ】
本書を通して、臨床の現場でどのような医用材料が使われているのかを掴んで下さい。生体組織と医用材料との反応をよく理解し、それらの材料が医療分野以外で使用されている材料と何が異なるかを学び、今後医療の分野でますます活用されるであろう再生医療用器具やドラッグデリバリーシステムの開発に生かされて行くことが著者一同の希望でもあります。

【キーワード】
医用材料、人工臓器、再生医療用材料、組織工学、生体適合性、安全性

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

紀元前2500年頃には金が,18世紀にはセラミックスが歯の代替材料として用いられたとの記録がある。いまを遡ること170年前に無菌手術法が確立すると,新たな医療技術が感染症を起こさず導入可能となり,飛躍的に医学が発展した。その立役者の一つが医用材料であるといっても過言ではない。外科手術で用いられるメスや縫合糸は金属や生体高分子から出発し,20世紀に入ると輸血セットや注射器,注射針などの治療用器具,さまざまな生体機能を人工物で置きかえる人工臓器などの治療機器へと進化した。人工臓器の需要が高まるにつれ,医学と工学の両分野の知識と技術をもつ人材の育成が望まれ,本邦では1988年4月,国家資格としての臨床工学技士が誕生した。

本著の前身である臨床工学シリーズ12「医用材料工学」はまさしく,その考え方に則り,2003年2月に初版が刊行され,今年で23年を迎えるに至った。その間,医療技術もますます発展し,組織工学,再生医療,ドラッグデリバリーシステム(DDS)と医用材料の新たな領域が拡大している。そこで,いままでの知識と技術を系統的にまとめ,臨床工学技士のみならず医療機器開発を目指す次世代の医療技術者育成に寄与できる基礎材料工学と臨床工学を融合した教科書を上梓することとした。本書「新 医用材料工学」では,再生医療用材料,DDS材料の研究者である三重大学工学部生体材料化学研究室の宮本啓一教授にあらたな章をご執筆いただくとともに,最新の医療機器・医療器具をアップデートした。

1章から5章は「実際の臨床現場で用いられている医用材料」を中心に取り上げ,工学的視点から整理し,関連する基本的な内容を8章以降にリンクできるよう心がけた。

6章には「ドラッグデリバリー材料」,7章には「再生医療用材料」を新たに加えた。

8章はいまだ不明な部分が多く,それゆえ難解である「医用材料と生体との相互作用」をできるだけ平易に説明できるよう紙面をさいた。

9章の「医療機器および医用材料の安全性評価」では,2020年に改訂された「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドライン」を中心に,各種試験法を医療用具の分類と関連付けながら概説した。

10章の「医用材料の滅菌」は医学全般の中で「滅菌消毒学」として取り上げられているので,原理を概説するに留め,医用材料の滅菌に関連付け解説した。

なお,前著「医用材料工学」発刊時からの臨床工学技士国家試験の解説は引き続きURL:https://www.coronasha.co.jp/static/07112/07112.htmに随時アップデートしているので,国家試験を目指す学生はぜひ参照されたい。
 
2026年5月
著者一同

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1.臨床の中の医用材料
1.1 医用材料の種類と分類 
1.2 医用材料の備えるべき条件 
1.3 まとめ 

2.医用金属材料
2.1 医用金属材料とは 
2.2 金属の基礎 
 2.2.1 金属結合 
 2.2.2 金属の結晶構造と組織 
 2.2.3 純金属と合金 
2.3 金属の性質 
 2.3.1 化学的性質 
 2.3.2 物理的性質 
 2.3.3 生物学的安全性 
2.4 金属の種類 
 2.4.1 鉄と鉄合金 
 2.4.2 非鉄金属と非鉄合金 
2.5 医用金属材料の応用 
 2.5.1 循環血液と非接触(非観血的) 
 2.5.2 循環血液と接触(観血的) 
2.6 まとめ 

3.医用無機材料(バイオセラミックス)
3.1 医用無機材料(バイオセラミックス)とは 
3.2 セラミックスの基礎 
 3.2.1 セラミックスの結合 
 3.2.2 セラミックスの結晶構造 
3.3 セラミックスの種類と性質 
 3.3.1 化学的性質 
 3.3.2 物理的性質 
3.4 バイオセラミックスの種類 
 3.4.1 生体内不活性 
 3.4.2 生体内活性 
 3.4.3 生体内崩壊性 
3.5 バイオセラミックスの応用 
 3.5.1 人工骨,骨スペーサ 
 3.5.2 骨増量剤 
 3.5.3 人工歯 
 3.5.4 人工関節骨頭部 
 3.5.5 人工弁弁葉 
3.6 まとめ 

4.医用高分子材料I(合成高分子)
4.1 医用高分子材料とは 
4.2 合成高分子の基礎 
 4.2.1 合成高分子の種類と合成法 
 4.2.2 高分子材料の構造と形態 
 4.2.3 高分子の性質 
4.3 合成高分子の種類と応用 
 4.3.1 非観血的軟組織代替材料(血液と接触しない) 
 4.3.2 観血的軟組織代替材料(血液と接触する) 
 4.3.3 体外循環治療用材料 
 4.3.4 インターフェース材料 
4.4 まとめ 

5.医用高分子材料II(生体由来高分子)
5.1 天然高分子の基礎 
 5.1.1 単糖と多糖類 
 5.1.2 アミノ酸とタンパク質 
 5.1.3 その他の天然高分子 
5.2 医用天然高分子の種類 
 5.2.1 多糖系 
 5.2.2 タンパク質系 
5.3 天然高分子の応用 
 5.3.1 人工皮膚 
 5.3.2 人工靭帯 
 5.3.3 生体弁弁尖 
 5.3.4 脱細胞化組織 
5.4 まとめ 

6.ドラッグデリバリー材料
6.1 ドラッグデリバリーシステムとは 
6.2 ドラッグデリバリーシステムの基礎 
 6.2.1 薬物体内動態と血中濃度変化について 
 6.2.2 薬物送達方法 
6.3 ドラッグデリバリー材料の応用 
 6.3.1 マイクロカプセル・リポソーム材料 
 6.3.2 ハイドロゲル材料 
 6.3.3 高分子ミセル材料 
 6.3.4 薬物溶出型ステント 
6.4 まとめ 

7.再生医療用材料
7.1 再生医療用材料とは 
7.2 再生医療用材料の基礎 
 7.2.1 生体組織の基本構造 
 7.2.2 再生医療用材料の要素 
 7.2.3 リモデリングの方法論 
 7.2.4 オルガノイドの作成技術 
7.3 再生医療用材料の応用 
 7.3.1 細胞材料 
 7.3.2 細胞足場材料 
7.4 まとめ 

8.材料・生体相互作用と医用材料の生体適合性
8.1 材料と生体の相互作用とは 
8.2 血漿タンパク質の材料表面への吸着 
 8.2.1 吸着タンパク質の脱着・交換 
 8.2.2 IgGの吸着配向性(oriented adsorption) 
 8.2.3 吸着タンパク質の多層化 
 8.2.4 吸着タンパク質の構造変化 
8.3 生体反応 
 8.3.1 血栓形成反応 
 8.3.2 補体活性化反応 
 8.3.3 アレルギー反応 
 8.3.4 炎症反応 
 8.3.5 石灰化反応 
 8.3.6 癌化反応 
 8.3.7 それぞれの反応の相互関連 
8.4 材料-生体相互作用と生体適合性 
8.5 まとめ 

9.医療機器および医用材料の安全性評価
9.1 医療機器および医用材料の安全性規格と試験法 
9.2 物性試験 
 9.2.1 弾性 
 9.2.2 延性 
 9.2.3 圧縮強さ 
 9.2.4 靭性(衝撃強さ)と脆性 
 9.2.5 硬さ 
9.3 化学的試験(溶出物試験) 
9.4 生物学的試験 
9.5 まとめ 

10.医用材料の滅菌
10.1 医用材料の滅菌と消毒・殺菌 
10.2 滅菌の定量的考え方 
10.3 各種滅菌法 
 10.3.1 高圧蒸気滅菌法(物理的滅菌法/加熱法) 
 10.3.2 乾熱滅菌法(物理的滅菌法/加熱法) 
 10.3.3 放射線滅菌法(物理的滅菌法/照射法) 
 10.3.4 ろ過滅菌法(物理的滅菌法/ろ過法) 
 10.3.5 エチレンオキサイドガス滅菌法(化学的滅菌法/ガス法) 
 10.3.6 過酸化水素滅菌/過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法(化学的滅菌/薬液法) 
10.4 まとめ 

付録
引用・参考文献
索引

堀内 孝

堀内 孝(ホリウチ タカシ)

大学院で学んだ拡散現象の物理化学的基礎研究から研究活動を出発し、人工臓器の世界に飛び込んだのが50年前です。医学と工学が協働する世界です。そこから学んだことは新たなものを生み出すには学問的な境界線はいらないといことです。新たに生まれてくる世界を柔軟に受けとめ今一歩前に進んでゆきたいものです。

村林 俊(ムラバヤシ シュン)