医用材料工学

臨床工学シリーズ 12

医用材料工学

臨床工学技士国家試験を目指す学生にも実務に従事している技士にも生体材料工学は重要な分野である。最後の章に医用材料の基礎として、生体材料工学の学習に必要な化学を整理し、初学者にも十分に理解できるよう解説した。

ジャンル
発行年月日
2006/02/10
判型
A5
ページ数
192ページ
ISBN
978-4-339-07112-2
医用材料工学
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定価

2,750(本体2,500円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
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臨床工学技士国家試験を目指す学生にも実務に従事している技士にも生体材料工学は重要な分野である。最後の章に医用材料の基礎として、生体材料工学の学習に必要な化学を整理し、初学者にも十分に理解できるよう解説した。

初版第14刷にあたって

初版第1刷の発行から14年が経過し,この間にISO 10993-1:2018およびJIS T 0993-1との整合が進み,米国食品安全管理局(FDA)発出の生物学的安全性評価指針とも差異がほとんどなくなった。そこで今回の版では,「6.4生物学的試験」の内容を更新した。

2020年11月
堀内 孝
村林 俊


まえがき

1988年4月に臨床工学技士法が施行されてから18年が経過した。次世代の臨床工学技士の養成のために作成された教育カリキュラムは臨床工学技士の担う社会的責任の大きさを映し出したもので,他の分野では類を見ないほど広範な内容である。その教育カリキュラムは医学系と工学系の科目にほぼ二分できるが,工学系の専門基礎科目の一つである「医用材料工学」には45時間の履修が課せられている。臨床工学技土の業務が体外循環操作,カテーテル検査,医用機器の安全管理など,多種多様な医用材料にかかわることから考えても重要な教科であり,国家試験を目指す学生にも,資格取得後の臨床工学技士にとっても「医用材料工学」には十分習得していただきたい内容が数多く含まれている。

医用材料や生体材料を取り扱った書籍は多く見られるが,それらの内容はすでに大学の基礎(教養)課程において化学の基礎を学んだ読者が対象であり,高校から進学したばかりの学生には系統的な理解が困難な内容も少なくない。また,臨床工学技士を目指す学生達の高校在学時の化学Ⅰ,IIの履修状況や臨床工学技士養成校や大学における化学教育の時間配分を鑑みると,医用材料工学を学習するに最低限の「化学のまとめ」を章として整理しておくことが重要と考えた。そこで,本書では7章「医用材料の基礎」として掲載することで,今までにない臨床工学技士養成のための教科書ができたと思っている。

1章から3章は「実際の臨床工学技士の業務に関連する材料」を中心に取り上げ,整理し,関連する基本的な内容を7章にリンクさせ,理解を深められるように心掛けた。4章はいまだ不明な部分が多く,それゆえ難解である「医用材料と生体との相互作用」をできるだけ平易に説明できるよう紙面をさいた。

5章の「医用材料の滅菌」は臨床医学総論の中で「滅菌消毒学」として取り上げられているので,原理を概説するにとどめ,各材料に対する滅菌法は付録中に言己した。

6章の「医用材料の安全性評価」では「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドライン」を中心に,各種試験法を医療機器の分類と関連付けながら概説した。

7章は2章の医用材料の種類と対応できるよう構成した。高等学校化学Ⅰ,Ⅱおよび化学の基本項目から医用材料を学ぶために重要と思われる最小限の内容を掲載した。すでに,化学の基礎を習熟している学生は本章を割愛し,1章から6章までの各項目で参照を勧めている箇所のみ7章を使用すると効果的な学習ができるであろう。

本書の特色の最後の一つは,第1回目から現在までの臨床工学技士国家試験過去問題および解答と解説(医用材料分野)をインターネット上(https://www.coronasha.co.jp/static/07112/07112.htm)に掲載することである。本文の関連箇所を繰り返し学習していく間に教科書の中から「医用材料とは何たるか」を学び取る力を自ら培っていただければ幸いである。

2006年1月
堀内 孝
村林 俊

1 臨床工学技士と医用材料
1.1 医用材料の種類と分類
1.2 医用材料の備えるべき条件
1.3 まとめ
引用・参考文献

2 医用材料の種類
2.1 医用金属材料
 2.1.1 ステンレス鋼
 2.1.2 コバルトクロム合金 
 2.1.3 チタンおよびチタン合金 
 2.1.4 貴金属合金 
2.2 医用無機材料(バイオセラミックス) 
 2.2.1 アルミナ 
 2.2.2 ジルコニア 
 2.2.3 カーボン 
 2.2.4 ヒドロキシアパタイト 
 2.2.5 リン酸カルシウム系ガラス 
2.3 医用高分子材料 
 2.3.1 シリコーン 
 2.3.2 ポリアミド 
 2.3.3 ポリウレタン 
 2.3.4 ポリ塩化ビニル 
 2.3.5 ポリエステル 
 2.3.6 ポリエチレン 
 2.3.7 ポリプロピレン 
 2.3.8 ポリメタクリル酸メチル 
 2.3.9 ポリメタクリル酸・2・ヒドロキシエチル 
 2.3.10 ポリテトラフルオロエチレン 
2.4 生体由来医用材料 
 2.4.1 コラーゲン 
 2.4.2 ゼラチン 
 2.4.3 キチン・キトサン 
2.5 まとめ 
引用・参考文献 

3 医用材料の応用
3.1 非観血的組織代替材料 
 3.1.1 軟組織代替材料 
 3.1.2 硬組織代替材料 
3.2 観血的組織代替材料 
 3.2.1 人工血管 
 3.2.2 ステント 
 3.2.3 人工弁 
 3.2.4 人工心臓・補助心臓 
3.3 体外循環治療用材料 
 3.3.1 人工腎臓 
 3.3.2 アフェレシス療法 
 3.3.3 人工肺 
 3.3.4 補助循環装置 
3.4 インタフェース材料 
 3.4.1 カテーテル 
 3.4.2 血液回路 
 3.4.3 スキンボタン 
 3.4.4 ブラッドアクセス用シャント 
3.5 まとめ 
引用・参考文献 

4 材料・生体相互作用と医用材料の生体適合性
4.1 材料と生体の相互作用とは 
4.2 血漿タンパク質の材料表面への吸着 
 4.2.1 吸着タンパク質の脱着・交換 
 4.2.2 IgGの吸着配向性 
 4.2.3 吸着タンパク質の多層化 
 4.2.4 吸着タンパク質の構造変化 
4.3 血栓形成反応 
4.4 補体活性化反応 
4.5 アレルギー反応 
4.6 炎症反応 
4.7 石灰化反応 
4.8 癌化反応 
4.9 それぞれの反応の相互関連 
4.10 材料・生体相互作用と生体適合性 
4.11 まとめ 
引用・参考文献 

5 医用材料の滅菌
5.1 医用材料の滅菌と消毒・殺菌 
5.2 滅菌の定量的考え方 
5.3 高圧蒸気滅菌法 
5.4 エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌法 
5.5 放射線滅菌法 
5.6 まとめ 
引用・参考文献 

6 医用材料の安全性評価
6.1 医用材料の安全性規格と試験法 
6.2 物性試験 
 6.2.1 弾性 
 6.2.2 延性 
 6.2.3 圧縮強さ 
 6.2.4 靭性(衝撃強さ)と脆性 
 6.2.5 硬さ 
6.3 化学的試験 
6.4 生物学的試験 
6.5 まとめ 
引用・参考文献 

7 医用材料の基礎
7.1 原子の結合と材料 
 7.1.1 原子の構造と元素周期表 
 7.1.2 電子の軌道と配置 
 7.1.3 電子式(最外殻電子の表記法) 
 7.1.4 一次的結合 
 7.1.5 二次的結合(分子間に働く引力) 
7.2 金属材料 
 7.2.1 金属の構造 
 7.2.2 金属の性質
 7.2.3 金属材料の種類と性質 
7.3 無機材料 
 7.3.1 無機材料の構造 
 7.3.2 無機材料の種類と性質 
7.4 有機材料 
 7.4.1 有機化合物の構造 
 7.4.2 高分子の合成と高分子材料 
 7.4.3 天然高分子材料 
 7.4.4 高分子材料の性質 
7.5 まとめ 
引用・参考文献 

付録 
索引 

堀内 孝(ホリウチ タカシ)

村林 俊(ムラバヤシ シュン)