実践 道路アセットマネジメント入門 - 継続的改善を実現するためのマネジメントの基本 -

実践 道路アセットマネジメント入門 - 継続的改善を実現するためのマネジメントの基本 -

アセットマネジメントの全体像を掴み,需要に応じた支援ツールの開発・検証,ツールを駆使し継続的改善を図ることができるよう解説。

ジャンル
発行年月日
2019/04/18
判型
A5
ページ数
262ページ
ISBN
978-4-339-05265-7
実践 道路アセットマネジメント入門 - 継続的改善を実現するためのマネジメントの基本 -
在庫あり

定価

4,290(本体3,900円+税)

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本書では,道路橋を対象として,アセットマネジメントの全体像を掴み,ニーズに応じたマネジメント支援ツールの開発や検証ができ,また支援ツールを駆使して総合的に継続的改善を図ることができるように,わかりやすく解説した。

わが国の道路などの社会基盤施設は,歴史的な経緯をたどれば明らかなように,戦後の復興を目指し短期間に集中して行われた公共投資によって本格的に整備が開始され,わが国の高度経済成長を演出するとともに社会経済活動を支えてきた。その後も国土の有効利用の観点や国民の豊かで安全安心な暮らしを確保するために,将来の国民に向けた公共投資は継続的に実施されてきており,全国的な広がりの視点で見れば,量的な整備に関して終息を迎えたと認識されつつある。

一方で,わが国は世界的にも有数の自然災害に見舞われやすい地域に立地しており,例年,大規模な豪雨災害や地震災害が発生し多くの人命や国富が失われている。脆弱な国土の上に整備されてきた社会基盤施設も例外ではなく,災害の規模によっては甚大な被害を被っており,その復旧に時間を要することも珍しくない。社会基盤施設に要求されるべき質的な性能に関してはいままさに国民の関心が高まり,性能のレベル向上に期待が寄せられつつもある。

さらに,営々として築き上げられてきた社会基盤施設の規模は膨大なものであるが,これらはその物理的な特質から経年的に疲労,腐食,摩耗などの劣化現象に晒されている。このため,効率的・効果的な維持管理を怠ると,道路橋をはじめとした構造物の劣化に伴う不具合が急速に展開し,長期的な視点に立つと不必要な補修や更新の増加に見舞われる恐れがある。事実,海外においては長大橋梁の落橋事故が後を絶たず,国内においても重大損傷の発生と対処が繰り返されているのも現状である。

国土交通省は,2013年を「メンテナンス元年」と位置付け,国民の財産である社会基盤施設をどのように戦略的に維持管理していくのかについて,本格的に取組みを開始した。その成果の一例を挙げれば,2014年には道路法の改正により法第42条「道路の維持又は修繕」に関する施行令,施行規則等がようやく制定され,全国70万橋に及ぶすべての道路橋などは近接目視による5年に一度の定期点検の対象となり,全国的な規模で法定によりメンテナンスサイクルが始動される運びとなった。

しかしながら,これらの制度的な整備とともに,社会基盤施設の状態把握に伴うデータを有効に活用した戦略的な維持管理,例えば道路橋については計画的な補修,更新などを通じた予防的な保全によってライフサイクルコスト縮減を目指した取組みが始まっているが,社会基盤施設全般について,地域も含めて持続可能なマネジメントの取組みがなされている状況までには至っていない。

これは,社会基盤施設を対象としたアセットマネジメントに関する研究がさまざまに行われ,特にデータシステムや劣化予測手法などの技術開発も行われてアプリケーションなども提供されているものの,実務において対象とする社会基盤施設のそもそもの目的を明確に位置付けるとともに,アセットマネジメントの全体像を明確に示したうえで,その継続的な改善のあり方も認識しつつ,マネジメントを戦略的に実施する方法論がいまだ提示されていないことに起因する部分も大きい。

本書は,アセットマネジメントの本来的な意味を改めて提示し,アセットマネジメントの国際規格(ISO 55000s)にも準拠して,あらゆる実務者・関係者が共通して認識しておくべきアセットマネジメントの全体像を明らかとすること,また,関係する実務者の共同作業としてニーズに応じた効果的なマネジメントの支援ツールの開発や検証がなされ,全国の道路管理者によって適正にこれらの支援ツールが駆使されるなかで,マネジメント全体の継続的改善をバランス良く図っていくための方法論を提示することを目的としている。

なお,本書は一般財団法人橋梁調査会からの寄附により2016年4月に京都大学経営管理大学院に設置された道路アセットマネジメント政策講座が中心となり企画し,これまでの研究・普及活動に関係されてきた執筆者のご尽力により出版に至ったものである。さらに,本寄附講座は,京都大学の教員が中心となり構成される一般社団法人京都ビジネスリサーチセンターアセットマネジメントインスティチュートとも連携し活動を行ってきた。ここに感謝の意を表す次第である。

最後に,本書が社会基盤施設のマネジメントに携わっている行政機関や民間企業の実務者,また,支援ツールの開発者や研究に従事する学生などの幅広い層のご参考となることを願うものである。

2019年3月 京都大学経営管理大学院 道路アセットマネジメント政策講座 小林潔司,中谷昌一,青木一也

0.本書の目的・使い方

1.インフラアセットマネジメントの全体像
1.1 インフラアセットマネジメントとは何か
 1.1.1 アセットマネジメントの意味
 1.1.2 インフラアセットマネジメントの考え方
 1.1.3 インフラアセットマネジメントの取組み
1.2 インフラアセットマネジメントの課題
 1.2.1 国内の現状と課題
 1.2.2 国際規格(ISO 55000シリーズ)への対応
 1.2.3 マネジメントシステムの形
1.3 インフラアセットマネジメントのあるべき姿
引用・参考文献

2.道路の社会的役割とアセットマネジメント
2.1 道路の社会的役割とは
2.2 道路の社会的役割の捉え方
 2.2.1 歴史から見た道路の社会的役割
 2.2.2 日本
 2.2.3 欧米
 2.2.4 日米欧の事例からの示唆
2.3 道路の社会的役割と現行制度の整合性
 2.3.1 道路の社会制度上の位置付け
 2.3.2 日本の道路制度
 2.3.3 欧米の道路制度
2.4 道路橋のアセットマネジメント
 2.4.1 目的に応じたマネジメントの目標設定
 2.4.2 プロファイリングの必然性,合理性
引用・参考文献

3.道路橋のマネジメントの目標に応じた技術的対応
3.1 マネジメントの目標と行動様式の枠組み
 3.1.1 アセットマネジメントの基本要素
 3.1.2 事故事例からみたマネジメント基本要素の重要性
3.2 アセットマネジメントに関わる行動様式
 3.2.1 マネジメントの全体像と行動様式の関係
 3.2.2 階層的マネジメントと行動様式の関係
 3.2.3 道路橋の維持管理における行動様式
3.3 行動様式を支える技術的対応
 3.3.1 技術的支援の有効性,必要性
 3.3.2 道路橋における技術的支援の例
3.4 マネジメントの目標および行動様式の継続的改善方法
 3.4.1 マネジメントの対象とマネジメントそのものの評価
 3.4.2 達成度評価
 3.4.3 成熟度評価
3.5 支援ツールの適切な運用と継続的改善
引用・参考文献

4.アセットマネジメントの実践のための支援ツール
4.1 アセットマネジメントに有効な要素技術
 4.1.1 データ分析技術の有用性
 4.1.2 データ分析技術に関する基礎
4.2 支援ツールの活用にあたっての留意点
 4.2.1 劣化予測モデルの構築
 4.2.2 目的変数(予測する内容)の設定
 4.2.3 不確実性の考慮
 4.2.4 データの離散化処理
 4.2.5 その他
4.3 データ分析におけるさまざまな工夫(支援ツールの高度化)
 4.3.1 遷移確率の推計(時間依存性を考慮しない方法)
 4.3.2 遷移確率の推計(時間依存性を考慮する方法)
 4.3.3 固有情報の反映
 4.3.4 異質性評価とベンチマーキング
 4.3.5 データ不足の影響の緩和
 4.3.6 点検間隔が一様ではない時系列データの取扱い
4.4 劣化モデル構築のための支援ツールの紹介
 4.4.1 非集計推計によるマルコフ推移確率行列の推計方法
 4.4.2 時間を変数にもつワイブル関数を用いた劣化モデルの推定方法
 4.4.3 ベンチマーキング劣化過程の推定と異質性評価の方法
 4.4.4 劣化モデルのパラメータ推計におけるベイズ推定の適用
 4.4.5 その他の応用モデル
4.5 支援ツールの適用事例
 4.5.1 マルコフ劣化ハザードモデルの適用事例
 4.5.2 ワイブル劣化ハザードモデルの適用事例
 4.5.3 多段階ワイブル劣化ハザードモデルの適用事例
 4.5.4 混合マルコフ劣化ハザードモデルの適用事例
4.6 支援ツールの継続的改善の方法とその必要性
引用・参考文献

索引

中谷 昌一(ナカタニ ショウイチ)

玉越 隆史(タマコシ タカシ)

青木 一也(アオキ カズヤ)

竹末 直樹(タケスエ ナオキ)

「建設マネジメント技術」2019年11月号 掲載日:2019/11/14

「建設マネジメント技術」2019年6月号 掲載日:2019/07/01


掲載日:2019/11/15

「土木学会誌」2019年11月号広告