振動工学 - 応用編 -

振動工学 - 応用編 -

本書では,波動,音波,自励振動とパラメータ振動,回転体の振動,非線形振動,振動のアクティブ制御を扱った。動的設計,構造解析に携わる学生や技術者に,振動のあらゆる問題に対して,解決の糸口を与えることを目標としている。

ジャンル
発行年月日
2001/08/02
判型
A5
ページ数
232ページ
ISBN
978-4-339-04558-1
振動工学 - 応用編 -
在庫あり
2営業日以内に出荷致します。

定価

3,080(本体2,800円+税)

カートに入れる

電子版を購入

購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

本書では,波動,音波,自励振動とパラメータ振動,回転体の振動,非線形振動,振動のアクティブ制御を扱った。動的設計,構造解析に携わる学生や技術者に,振動のあらゆる問題に対して,解決の糸口を与えることを目標としている。

この本は,著者が先に上梓した「振動工学」の「基礎編」に続く「応用編」である。基礎編,応用編を合わせた本書「振動工学」によって,動的設計・構造解析の分野の技術者が必要とする基礎知識を統一した形で提示するという,著者の永年の夢が実現できたと考えている。

基礎編では,機械・構造物の基本的な振動である自由振動と強制振動を解説し,また現実の機械や構造物をモデル化し解析するのに必要となる,解析力学の基礎,有限要素法の基本的な考え方を述べた。これらは,動的設計・構造解析の分野の技術者が修得しておくべき最小限の基礎知識である。

機械や構造物に対して高速化・軽量化・高性能化の要求がますます厳しくなっている今日,設計・開発の現場で技術者が解決を迫られる問題は多岐にわたる。その解決に当たって技術者は,基礎編に含まれる以上の多くの知識と,それに基づく問題解決能力を必要とする。応用編では,このような場合に必要となる項目として,波動,音波,自励振動とパラメータ振動,回転体の振動,非線形振動といった種々の振動現象,最後に振動のアクティブ制御を取り上げた。これらはいずれも動的設計・構造解析の技術者が修得しておくべき重要なことばかりである。

基礎編のときと同じように,応用編を著すにあたって著者は,全体を統一した取り扱いをすることと,各章を易から難に順を追って説明することを心がけた。基礎編に書かれているある程度の予備知識があれば,応用編の各章とも,それほど困難を感じないで読み進むことができると信じている。それぞれの章には,適切な例題を配し,それを解くことによって問題解決の能力を養えるように心がけた。

基礎編,応用編を合わせた本書は,著者が名古屋大学および他の大学と高専で長年にわたって行ってきた講義のノートと,いくつかの企業で行った研修の資料を整理してできあがったものである。講義や研修の際に寄せられた学生や受講者からの質問やコメントは,本書を仕上げるにあたってきわめて有用であった。

応用編の原稿に対しても基礎編と同様に,多くの同僚,後輩から貴重なコメントをいただき,この本を改善するのに役立たせていただいた。お名前はいちいち申し上げないが,これらの方々に感謝申し上げたい。

振動工学を学ぶうえで,また動的設計・構造解析の仕事を進めるうえで,本書が読者に少しでも役立つならば,著者のこの上ない喜びである。

2001年6月
安田仁彦

9 波動
9.1 1次元の波動…1
  9.1.1 波動方程式…1
  9.1.2 波動の伝播…3
  9.1.3 インピーダンスと波動のエネルギー…7
  9.1.4 波動の反射…9
  9.1.5 波動の透過…12
 9.2 2次元・3次元の波動…17
  9.2.1 波動方程式…17
  9.2.2 2次元の波動の伝播…17
  9.2.3 3次元の波動の伝播…19
  9.2.4 平面波の反射と屈折…22
 9.3 波動の干渉と定常波…25
  9.3.1 1次元の波動の干渉…25
  9.3.2 1次元の定常波…28
  9.3.3 3次元の波動の干渉…30
  9.3.4 2次元・3次元の定常波…32
 演 習 問 題…34

10 音波
 10.1 音波…36
 10.2 1次元の音波…37
  10.2.1 基礎式…37
  10.2.2 音波の伝播…40
 10.3 音圧と音の強さ…43
  10.3.1 音圧と音圧レベル…43
  10.3.2 音のエネルギーと音の強さ…44
 10.4 音響管…46
  10.4.1 閉口音響管…47
  10.4.2 開口音響管…49
  10.4.3 音響インピーダンス密度が与えられた値となる音響管…50
  10.4.4 音響管における定常波…51
 10.5 3次元の音波…52
  10.5.1 基礎式…52
  10.5.2 音波の伝播…55
 10.6 自由空間の音波…56
  10.6.1 呼吸球による放射…56
  10.6.2 点音源による放射…59
  10.6.3 二重音源による放射…61
  10.6.4 平面音源による放射…63
 10.7 閉空間の中の音波…66
  10.7.1 直方体の閉空間…66
  10.7.2 円筒形の閉空間…69
 演 習 問 題…72

11 自励振動とパラメータ振動
 11.1 自励振動…73
  11.1.1 自励振動の発生…73
  11.1.2 自励振動の解析…75
 11.2 平衡状態の安定性の判別法…77
  11.2.1 平衡状態の安定性…77
  11.2.2 安定性の判別法…79
 11.3 種々の自励振動…80
  11.3.1 乾性摩擦による自励振動…80
  11.3.2 調速機のハンティング…83
  11.3.3 車輪のシミー…85
 11.4 パラメータ振動…87
 11.5 1自由度系のパラメータ振動…89
  11.5.1 マシューの方程式…89
  11.5.2 数値積分法によるマシューの方程式の解…91
  11.5.3 マシューの方程式の近似解…92
  11.5.4 パラメータ振動の発生…95
  11.5.5 パラメータ振動の発生領域外の振動…99
 11.6 連続体のパラメータ振動…100
 演 習 問 題…102

12 回転体の振動
 12.1 回転体…103
 12.2 2自由度回転体のたわみ振動…104
  12.2.1 運動方程式…104
  12.2.2 自由振動…106
  12.2.3 不釣合いによる強制振動…108
 12.3 減衰が作用する2自由度回転体のたわみ振動…111
  12.3.1 運動方程式…111
  12.3.2 自由振動の解析…113
  12.3.3 自由振動の性質…114
  12.3.4 不釣合いによる強制振動…118
 12.4 扁平軸で支えられた回転体の振動…119
  12.4.1 運動方程式…120
  12.4.2 自由振動の解析…121
  12.4.3 安定領域内における振動…122
  12.4.4 不安定領域内における振動…124
 12.5 2自由度回転体の傾き振動…126
  12.5.1 運動方程式…126
  12.5.2 自由振動…129
  12.5.3 不釣合いによる強制振動…132
 12.6 4自由度回転体の振動…134
  12.6.1 運動方程式…134
  12.6.2 自由振動…137
  12.6.3 不釣合いによる強制振動…141
 演 習 問 題…143

13 非線形系の振動
 13.1 非線形系…144
 13.2 自由振動…146
  13.2.1 運動方程式…146
  13.2.2 数値積分による自由振動の解…147
  13.2.3 自由振動の理論解析…148
 13.3 強制振動…151
  13.3.1 調和共振…151
  13.3.2 分数調波共振…156
  13.3.3 結合共振…160
 13.4 自励振動とパラメータ振動…167
  13.4.1 自励振動…167
  13.4.2 パラメータ振動…169
 13.5 カオス振動…172
  13.5.1 カオス振動の特徴…173
  13.5.2 カオス振動の発生…177
 演 習 問 題…178

14 振動のアクティブ制御
 14.1 振動のアクティブ制御…179
 14.2 1自由度系の振動のアクティブ制御…180
  14.2.1 状態方程式…181
  14.2.2 状態フィードバック制御…183
  14.2.3 極配置による状態フィードバック制御…184
  14.2.4 最適フィードバック制御…186
 14.3 多自由度系のシステム方程式…189
  14.3.1 状態方程式…189
  14.3.2 出力方程式…192
  14.3.3 可制御性と可観測性…194
 14.4 多自由度系の振動のアクティブ制御…198
  14.4.1 極配置による状態フィードバック制御…198
  14.4.2 最適フィードバック制御…200
  14.4.3 オブザーバを用いた状態フィードバック制御…201
 14.5 モード解析と振動制御…205
  14.5.1 理論モード解析によるモデルの低次元化…206
  14.5.2 スピルオーバ…207
  14.5.3 スピルオーバの回避…209
 演 習 問 題…211
参考文献…212
演習問題略解…214
索   引…219
 
基礎編主要目次
1. 緒論
2. 1自由度無減衰系の振動
3. 1自由度減衰系の振動
4. 2自由度系の振動
5. 多自由度系の振動
6. 連続体の振動
7. 解析力学の基礎
8. 有限要素法による振動解析

安田 仁彦(ヤスダ キミヒコ)