レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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メディア学大系 10
メディアサイエンスを支える基幹技術であるICTを整理し,情報科学とネットワークに関する基本的なリテラシーを身に付けるための内容を網羅。本改訂では情報をアップデートし新たに登場した様々なトピックを随所に盛り込んだ。
- 発行年月日
- 2022/03/15
- 定価
- 3,190円(本体2,900円+税)
- ISBN
- 978-4-339-02791-4
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読者モニターレビュー【N/M 様(ご専門:総合情報学(情報科学))】
掲載日:2022/03/08
本書は,メディア学大系シリーズの10巻目に位置する書籍の改訂版であり,「メディアICT」について,メディア学を学ぶ上で必要な情報科学及び,ネットワークの分野についての記述がなされている.
以下に読んでみて,いくつか感じた点を中心にレビューとして挙げていく.
まず,「1.3 メディアリテラシー」では,メディアリテラシーとして,フェイクニュースの問題が取り上げられている.この問題は,正しくない情報が拡散されて,それを信じるものと,信じないものとの対立構造が,特にSNSで見受けられる.具体的には,このレビュを書いている現在(2022年2月下旬〜3月上旬),疫病や紛争,芸能系の暴露動画配信者などが挙げられるだろう.『この情報は誰がいつ誰に対してどのような意図で発信しているのか』と記述されているように,疫病に関して言えば,「テレビなどのメディアが言っているから」とか「医師免許を持つ疫病(感染症)の専門家が言っているから」,「国(総理や担当大臣)が言っているから」という理由で,盲目的になり,安易にその情報に飛びつかずに,その情報はどのような「意図」で発信されているのかを,自身で分析し,まずは批判的な姿勢で,さまざまな角度から吟味する必要性を改めて感じた.また,自分が見たい情報と信じたい情報のみが正しい情報だと錯覚に陥る現象(フィルターバブル)についても述べられている.これらの基本的なしくみや知識は,この情報化社会を生きていく上で専門家以外にも必須のリテラシになってきているので,じっくりと読まれることをオススメする.
「4.1 WorldWideWeb」,「4.1.3URIとURL」では,専門用語の使い方に関しての記述が興味深かった.前者では,「ホームページ」という用語について,世間一般では,ホームページというと,Webブラウザで表示されているものすべてを指すが,専門家は,ホームページはHomeとあるように,任意のページの最初(トップ,ホーム)のページを指すという認識の違いがある.後者では,httpsで始まるWWWの世界で目的の情報(資源)の場所を示す専門用語をURLとURIのどちらで呼ぶかという違いも興味深かった.両者とも学生時代に「Web技術」,「Webデザイン」という講義で話としては聞いていたが,この章・節で改めて考えるキッカケにもなった.
他にも,改定前の2013年から本書の発行の2022年までの約9年間で技術革新が進んでおり,それらの最新の技術や専門用語が各章及び,第11章に概論的にではあるが,紹介されているので,情報科学の分野については,ほぼ網羅できているのではないかと思う.
ただ,第3〜5,9,11章については,ところどころで文書によって説明しようとしているが,冗長過ぎる部分も正直見受けられるので,もう少し図解された方が,より分かりやすくなるだろうと思われるので,時期尚早ではあるが,次回の改訂版に期待したい.
最後に,各章末には,記述式中心に演習問題が2〜3題ほど用意されている.おそらく,本書を講義で使うためレポートとしての意味で記載されていると思われるが,ヒントや略解・回答例みたいなものや,他の形式の演習問題(穴埋め問題,正誤問題など)も一緒に記載されていると,知識の確認・定着という意味で良かったのではないかと,個人的には思った次第である.
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読者モニターレビュー【もろ 様(ご専門:電気電子系◦情報系)】
掲載日:2022/03/02
本書では情報通信技術について包括的に書かれている。これは大学生以上の人向けで大学の講義2単位に相当する内容となっている。
本書の特徴は、コンピュータの仕組みやネットワークの仕組みはもちろんのこと、スマートフォンやGoogleの検索サービスなど私たちが日常的試使用しているものまでこと細かく解説されており、それに加え、昨今はやりとなっているプログラミングについても触れられている。また、各章の最初のページにはその章の導入とキーワードがあり理解を深められるように工夫されている。さらに、最後のページには演習問題が用意されており、その章を理解できたか確認するようなっていることである。
一方、本書の残念な点は全体的に図が少ないということである。そのぶん文章で説明されているが、図をつけた方がわかりやすくなると思う場面が多々存在した。例えば、5章の多重化・多元接続(P100)においてTDMAやFDMAなどが説明されているが文章だけであり初学者が理解するには難しいだろう。
以上のことから、若干図が少なく理解しにくい箇所もあるかもしれないが、簡潔にまとめられており一読をお勧めする。